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公文書開示審査会答申第76号

更新日:2011年3月1日 印刷ページ表示

「○○市◇◇(地区)△△(以下、特定地番)、△△、△△、△△、△△およびそれらの近傍で、平成16年11月10日付けで農地法による一時転用申請が出され、平成16年12月16日に許可が下り、農地改変が為された土地に係る当該農地手続にかかる一切の書類。」の部分開示決定に対する異議申立てに係る答申書

群馬県公文書開示審査会
第二部会

第1 審査会の結論

  実施機関は、本件異議申立ての対象となった公文書の非開示部分のうち、次の部分については開示すべきであるが、その他の部分については非開示が妥当である。

  農地法第4条第1項の規定による許可申請書(本件公文書2)中、申請者の「職業」の部分

第2 諮問事案の概要

1 公文書開示請求

  異議申立人(以下「申立人」という。)は、群馬県情報公開条例(以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県知事(以下「実施機関」という。)に対し、平成17年7月4日付けで、「○○市◇◇(地区)△△(以下、特定地番)、△△、△△、△△、△△およびそれらの近傍で、平成16 年11 月10 日付けで農地法による一時転用申請が出され、平成16 年12 月16 日に許可が下り、農地改変が為された土地に係る当該農地手続にかかる一切の書類。」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

2 実施機関の決定

  実施機関は、平成17年7月19日、本件請求に対応する公文書として、次の公文書を特定した上で、条例第14条第2号に該当する情報が含まれていることを理由として、部分開示決定(以下「本件処分」という。)を行い、申立人に通知した。

  • 「農地法第4条の規定による許可申請に係る意見書」(以下「本件公文書1」という。)
  • 「農地法第4条第1項の規定による許可申請書」(以下「本件公文書2」という。)

  なお、実施機関が示した非開示部分及び当該部分を開示しない個々の理由は別紙のとおりである。

3 異議申立て

  申立人は、行政不服審査法第6条の規定に基づき、平成17年7月28日付けで、本件処分を不服として実施機関に対し異議申立てを行った。

4 諮問

  実施機関は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して、平成17年8月4日付けで、本件異議申立て事案の諮問を行った。

第3 争点

1 争点1(条例第14条第2号本文該当性)

  「本件公文書1」及び「本件公文書2」で非開示とされた部分が条例第14条第2号本文に該当するか。

2 争点2(条例第14条第2号ただし書イまたはロ該当性)

  「本件公文書1」及び「本件公文書2」で非開示とされた部分が条例第14条第2号ただし書イまたはロに該当するか。

第4 争点に対する当事者の主張

1 争点1(条例第14条第2号本文該当性)

(1)申立人の主張要旨

  開示請求公文書は、農地法に係わるものである。農地法は、農地はその耕作者みずからが所有することをもっとも適当であると認めて、耕作者の農地の取得を促進し、及びその権利を保護し、並びに土地の農業上の効率的な利用を図るためその利用関係を調整し、もって耕作者の地位の安定と農業生産力の増進を図ることを目的とするもので、開示請求公文書もこの趣旨によって取り扱われなければならない。
  本件では、その農地法の手続に違反しているおそれがあることから、周辺地区で耕作する農業者にとって、開示請求公文書は、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報であるから、非開示情報の適用は受けない。

(2)実施機関の主張要旨

  農地法の申請・許可自体が個人を対象としたものであり、その資料を明らかにすることは個人の情報を開示することになるため。また、特に今回の農地法第4条許可の場合、申請者個人が自身の財産を処分する行為に対する許可のため。
  今回一部開示しなかった情報は、条例第14条第2号本文の規定による「個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの」及び「特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」に該当する非開示情報である。

2 争点2(条例第14条第2号ただし書イまたはロ該当性)

(1)申立人の主張要旨

ア 請求した情報は、昨年来、焼却灰と思しき灰色の物質などが投棄されてきた場所に関するものであり、申立人は不法投棄ではないかとの疑念からその投棄情報を逐次詳細に、危険を顧みず実施機関に平成16年11月1日以来、通報し続けてきた。その結果、実施機関は、地権者からの聞き取り調査等の結果、搬入されている残土は公共工事から排出された残土であることが判明したとして申立人に平成17年6月27日までに回答している。当該場所では、○○市が平成16年11月2日に現場に赴き、作業員に聞き取りを行ったところ、残土は業者がダンプで搬入したもので、農地転用がされていないため、○○市農業委員会と○○市で残土の搬入は転用の許可が下りるまで中止するように指導したという。残土搬入の目的は農地の高さを道路の高さまでするためで、残土を搬入し道路の高さまで来たら、もともとの農地の土を搬入した残土にかぶせる、というが、これは違法埋め立てを取り繕う、地権者の言い訳に過ぎない。
 このように投棄物質については、実施機関は残土と認定しているが、その出所情報等は申立人らに隠したままとなっている。投棄物質が安全だとする根拠は誰からも示されていないのが実態だ。
 よって、地域住民の生命、健康、生活又は財産を保護するために必要な、環境保全と再発防止の担保の観点から、本件非開示部分のうち、「転用事由の詳細」と「始末書」については、個人名を除き、全て開示されなければならない。

イ 「転用事由の詳細」及び「始末書」について
 実施機関の非開示理由は、条例第14条第2号の「個人に関する情報であって、他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができるもの」「特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」に該当するため、とした。
 これに対し、申立人らは、条例第14条第2号のただし書ロに該当。また「公にすることにより、なお個人の権利利益を害すおそれ」が具体的に存在することが客観的に明白であることを要するが、それを示していないと反論した。
 実施機関は、ただし書イについて理由説明書で初めて言及しているが、当該情報を開示してはならないとする法令はなく、原則開示の条例趣旨により開示できるものである。また、ただし書ロについて、本件事案は、外部からの土砂として、実施機関は工事残土であることを調査の結果認めているが、その出所情報は申立人らに明らかにしていない。実施機関の分析によれば、当該残土は強アルカリ性を示し、全シアンも検出されていることから、申立人らにとって、依然として得体の知れない物質である。したがって、単に盛土するだけの工事だから安全であるとは言えない。また、搬入された残土は、雨天時に降雨により内容物が溶出しており、下流域に得体のしれない物質が流下及び浸透した可能性が高い。また残土自体、相当量が畑に練り込まれており、申立人も耕作する農用地域にあって、このような不法投棄がらみの農地転用は、農業者の安全を脅かすものである。
  よって、安全を担保するためにも、個人名を除く「転用事由の詳細」及び「始末書」を開示することにはなんら問題はない。

(2)実施機関の主張要旨

  条例第14条第2号ただし書イ及びロにおいて、個人に関する情報であっても開示すべき情報として規定していることから、これらについて検討を行った
  まず、ただし書イについては、当該情報は法令等で公にされ又は公にすることが予定されている情報として規定されてはおらず、また公にする慣行も存在しない。
  ただし書ロについては、本件事案は農地の表土を一時的に除去し、外部からの土砂を農地に入れた後に表土を復元、農地に戻すことにより、農地と道路の高さを揃える工事に関するものであり、これが人の生命、健康等を保護するため、何人も知り得る状態におくことが必要な情報にはあたらない。
  以上の理由により、当該情報は条例第14条第2号ただし書イ及びロには該当しないと判断し、部分開示とした。

第5 審査会の判断

1 争点1(条例第14条第2号本文該当性)

  まず、本件公文書に記録され、実施機関が非開示とした情報が、条例第14条第2号本文に該当するかどうかについて検討する。
  本件請求については、本件公文書全体が、申請者個人が自身の財産を処分する行為に係る許可申請である農地法第4条の転用申請に関するものであり、申請者の特定に繋がる情報が特定の個人を識別する情報に該当するとみなし、以下のとおり判断した。
  本件公文書1で非開示とされた情報は、「転用者の氏名」、「地目別面積の『面積』」であり、本件公文書2で非開示とされた情報は、「申請人の『氏名』」、「申請者の住所及び職業」、「許可を受けようとする土地の表示・面積・利用状況その他の『地番』、『面積』、『耕作者氏名』及び『合計面積』」、「転用事由の詳細」、「所要面積」、「資金調達についての計画」、「転用実行行為者の『印影』」、「農地の表示(所在、面積)の『地番』及び『面積』」、「転用実行行為者の『住所』及び『氏名』」、「住民票」、「土地登記簿」、「残高証明書」、「始末書」、「案内図の『当該農地転用申請地(以下「申請地」という。)周辺』」、「住宅地図の『申請地周辺』」、「公図」、「農地復元計画書の『申請人印影』」、「農地復元計画書の申請地の『地番』及び『面積』」、「申請人の『住所』及び『氏名』」、「作付計画書の耕作者の『印影』、『住所』及び『氏名』」、「2現在の作付け状況の『地番』及び『面積』」、「3埋立等後の作付計画の『地番』及び『面積』」であり、審査会で確認したところ、これらは全て個人に関する情報であった。
  「転用者」、「申請人」、「申請者」、「耕作者」及び「転用実行行為者」の「氏名」、これらのうち、「住所(申請地を除く。)」並びに「印影」は、特定の個人を識別することができる情報であるため、条例第14条第2号本文に該当するものと判断する。
  ただし、「申請者の住所及び職業」のうち、「申請者の『職業』」については、申請者(土地所有者)が申請地周辺に居住しているとは限らず、遠方に居住している場合もあり、特定の個人を識別できる情報とは認められないため開示が相当である。
  「許可を受けようとする土地」、「農地の表示」及び「申請地」等で記載される申請地の「地番」、「面積」、「合計面積」及び「所要面積」並びに「案内図の『申請地周辺』」及び「住宅地図の『申請地周辺』」については、何人も容易に入手できる土地登記簿等を閲覧することにより、申請者の特定に繋がる情報であるため、条例第14条第2号本文に該当するものと判断する。
  なお、「公図」については、申請地上に「申請地」の付記があり、当該申請地を含む周辺地番にも地積、地目及び所有者が付記されており、申請者の特定に繋がる情報であるため、条例第14条第2号本文に該当するものと判断する。
  また、「転用事由の詳細」、「資金調達についての計画」、「残高証明書」及び「始末書」のうち、「残高証明書」及び「始末書」の2点については、申請人の住所及び氏名並びに土地の表示(地番及び面積)が記載されているため、特定の個人を識別することができる情報であり、他の2点についても個人の内心及び財産状況等が記載されており、個人の権利利益を害するおそれがある情報であるため、条例第14条第2号に該当するものと判断する。なお、「残高証明書」及び「始末書」については、当該非開示情報を除いた部分に有意の情報は記載されていなかった。

2 争点2(条例第14条第2号ただし書イまたはロ該当性)

  本件公文書は、農地法第4条の転用申請に関するものであり、条例第14条第2号ただし書イで規定される、法令等の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報には該当しない。
  なお、「土地登記簿」は、それ自体は法令等の規定により公にされている情報ではあるが、本件請求における土地登記簿は、農地法第4条の転用申請に添付された資料であり、申請者の特定に繋がる情報であるため、条例第14条第2号本文にいう「個人に関する情報」に該当する。
  また、申立人は、「焼却灰と思しき灰色の物質などが投棄されてきた場所に関するものであり、・・・実施機関は残土と認定しているが、・・・投棄物質が安全だとする根拠は示されていない・・・搬入された残土は、雨天時に・・・内容物が溶出しており、下流域に流下及び浸透した可能性が高い。また残土自体相当量が畑に練り込まれており・・・」などと、搬入された残土の安全性等について主張するが、そもそも本件公文書は農地法第4条の転用申請に関するものであり、審査会が見分したところ、申立人が主張するような搬入された残土に関する情報が記載された文書ではなかった。したがって、争点1による条例第14条第2号本文該当情報を非開示とする必要性に比べ、地域住民の生命、健康、生活又は財産の保護の必要性が上回るとは認められないため、条例第14条第2号ただし書ロには該当しない。

3 結論

  以上のことから、申立人が開示を求めている情報の一部は非開示情報には該当しないので、これを開示するのが相当であり、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。
  なお、申立人はその他種々主張するが、本答申の判断を左右するものではない。

第6 審査の経過

当審査会の処理経過は、以下のとおりである。

審査会の処理経過
年月日 内容
平成17年8月4日 諮問
平成17年9月14日 実施機関からの理由説明書を受領
平成17年10月12日 異議申立人からの意見書を受領
平成18年7月20日
(第1回 第二部会)
審議(本件事案の概要説明)
(異議申立人、実施機関の口頭による意見聴取)
平成18年9月4日
(第2回 第二部会)
審議
平成18年10月23日
(第3回 第二部会)
審議
平成18年11月1日 答申
別紙 実施機関が行った部分開示決定の非開示部分と非開示理由
書類名 非開示部分 理由

農地法第4条の規定による許可申請に係る意見書
【本件公文書1】

申請者の「氏名」、申請地の「地積」及び「合計面積」

【条例第1 4条第2号該当】「個人に関する情報であって、他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができるもの」「特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」に該当するため

農地法第4条第1項の規定による許可申請書
【本件公文書2】

 

 

 

 

 

 

 

 

「申請人」名、「住所」、「許可を受けようとする土地の表示」

【条例第1 4条第2号該当】「個人に関する情報であって、他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができるもの」「特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」に該当するため

申請人の「転用事由の詳細」、「所要面積」、「資金調達についての計画」

【条例第1 4条第2号該当】「個人に関する情報であって、他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができるもの」「特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」に該当するため

申請人の委任状のうち、「印影」、「農地の表示」、「申請人」住所、「申請人」名

【条例第1 4条第2号該当】「個人に関する情報であって、他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができるもの」に該当するため

譲渡人の「住民票」

【条例第1 4条第2号該当】「個人に関する情報であって、他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができるもの」に該当するため

土地登記簿

【条例第1 4条第2号該当】「個人に関する情報であって、他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができるもの」に該当するため

資金計画にかかわる「残高証明書」

【条例第1 4条第2号該当】「個人に関する情報であって、他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができるもの」に該当するため

申請人「始末書」

【条例第1 4条第2号該当】「個人に関する情報であって、他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができるもの」「特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」に該当するため

添付された公図、地図、図面のうち、場所等が特定できるもの。

【条例第1 4条第2号該当】「個人に関する情報であって、他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができるもの」「特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」に該当するため

農地復元計画書、作付計画書の「土地の表示」、「申請人」住所、「申請人」名、「印影」

【条例第1 4条第2号該当】「個人に関する情報であって、他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができるもの」に該当するため