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公文書開示審査会答申第92号

更新日:2011年3月1日 印刷ページ表示

(1)「平成元年3月10日付けで旧○○村に譲与した開拓財産の地積測量図」の公文書開示決定
(2)「平成元年3月10日付けで旧○○村に譲与した開拓財産の公図」の公文書非開示決定
に対する異議申立てに係る答申書

群馬県公文書開示審査会
第一部会

第1 審査会の結論

 実施機関の決定はいずれも妥当である。

第2 諮問事案の概要

1 公文書開示請求

 異議申立人(以下「申立人」という。)は、群馬県公文書の開示等に関する条例(以下「条例」という。)第5条第1項の規定に基づき、群馬県知事(以下「実施機関」という。)に対し、平成18年3月27日付けで、「○○村内20ヶ所の土地の所在図及地積測量図(昭和62年2月~平成元年頃のもの)、20ヶ所を○○村に公衆用道路として農地法74条の2で譲与しています。よって現在の所在図(公図)及測量図(平成元年3月24日付けで県が保存登記している)○○村は公衆用道路として責任をもって管理しますとある。」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

2 実施機関の決定

 実施機関は、本件請求に係る公文書を「平成元年3月10日付けで旧○○村に譲与した開拓財産の地積測量図」(以下「本件公文書1」という。)及び「平成元年3月10日付けで旧○○村に譲与した開拓財産の公図」(以下「本件公文書2」という。)であると判断し、平成18年4月11日に本件公文書1について開示決定(以下「本件処分1」という。)を行い、また、平成18年4月12日に本件公文書2について公文書を非開示とした理由を次のとおり付して非開示決定(以下「本件処分2」という。)を行い、申立人に通知した。

(本件処分2)本県では保有していないため

3 異議申立て

 申立人は、行政不服審査法第6条の規定に基づき、平成18年5月8日付けで、本件処分1及び本件処分2を不服として実施機関に対し異議申立てを行った。

4 諮問

 実施機関は条例第12条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して、平成18年5月26日付けで、本件異議申立て事案の諮問(以下「本件事案」という。)を行った。

第3 争点

1 本件処分1の妥当性について

 本件請求とは別の開示請求に基づき既に交付した「地積測量図」を、本件公文書1として再度特定したことは妥当であるか。

2 本件処分2の妥当性について

 本件公文書2は存在しないとして非開示決定をした実施機関の処分は妥当であるか。

第4 争点に対する当事者の主張

1 争点1(本件公文書1の開示決定について)

(1)申立人の主張要旨

 平成17年8月23日付けで県より開示を受けた土地表示登記嘱託書を今回も開示した。偽造公文書の開示は1回でいい。

(2)実施機関の主張

 県は、昭和62年2月5日付け及び平成元年1月12日付けで表示登記を嘱託しており、その登記に際し用いた「地積測量図」の写しを開示決定したものである。

2 争点2(本件公文書2の非開示決定について)

(1)申立人の主張要旨

 当方の開示請求文書と違う。なぜ問題をすりかえるのか回答を求める。県が嘱託表示登記を行ったとするなら当然20ヶ所の昭和23年当時の公図があるはずであり、また、公衆用道路として譲与しているのだから現在の公図があるはずである。なぜ開示できないのか。

(2)実施機関の主張

 開示請求のとおり県は、平成元年3月24日付けで旧○○村に公衆用道路用地として譲与した土地の所有権保存の登記嘱託を行っているが、その譲与に係る「公図」については、県が保有しているものではなく、○○地方法務局において備えている地図であるため非開示としたものである。

第5 審査会の判断

1 争点1(本件公文書1の開示決定の妥当性について)

 申立人は、「平成17年8月23日付けで県より開示を受けた土地表示登記嘱託書を今回も開示した。偽造公文書の開示は1回でいい。」と主張するが、公文書開示制度は開示請求書の「開示を請求する公文書の内容又は件名」欄の記載から特定された公文書を開示するという制度であるので、異なる記載であっても同じ公文書が特定されうることはあり得るものである。そして、同じ公文書が特定された以上は、結果として同じ公文書が開示決定されることになったとしても、そのことのみを理由に取り消しうる決定となるわけではない。
 次に、本件公文書1を特定したことが妥当であるか否かを検討する。
 本件公文書1に係る開示請求書の「開示を請求する公文書の内容又は件名」欄の記載は「○○村内20ヶ所の土地の所在地及地積測量図(昭和62年2月~平成元年頃のもの)」であり、実施機関は本件公文書1を対象公文書として特定をし、開示決定を行っている。審査会が実施機関に対し、実際に特定した公文書の提示を求めたところ、昭和62年2月4日及び昭和64年1月6日に作製された地積測量図(土地の所在の記載を含む。20ヶ所)が示された。
 審査会は、念のために本件請求に関連する一連の公文書(条例が適用される昭和61年4月1日から平成12年12月31日までに県の機関が職務上作成・受領し、決裁・供覧を終えた文書等で実施機関が管理しているものをいう。2において同じ。)の提示を実施機関から受けたが、審査会が確認した限りでは、本件公文書1以外に「○○村内20ヶ所の土地の所在地及地積測量図(昭和62年2月~平成元年頃のもの)」に該当するものは存在しなかった。
 以上のことから、本件公文書1について、「平成元年3月10日付けで旧○○村に譲与した開拓財産の地積測量図」を対象公文書とした実施機関の判断に特段不合理な点は認められない。

2 争点2(本件公文書2の非開示決定の妥当性について)

 本件事案の調査審議を行うに当たって、公図に関する平成元年当時の文献を調べたところ次のような記載がされていた。
 「・・・なお、全国の登記所に備え付けられているいわゆる公図(旧土地台帳付属地図)は、現地指示能力および現地復元能力を有しないものが多いので、不動産登記法第17条の地図としては取り扱われないが、不動産登記法第17条の地図が完備されるまでの間は『地図に準ずる図面』として取り扱うこととされている。また、登記所に保管されている地籍図等の図面で、本条の地図として備え付けられていないものが修正等により地図としての要件を充足するものとなったとき、また地図として備え付けることを適当としない特別の事情が消滅したときは、不動産登記法第17条の地図として備え付けるものとされている(準則29条)。・・・」(注釈不動産登記法 半田正夫編 有斐閣 昭和62年6月30日発行)。
 また、平成16年法律第123号による全部改正前の旧不動産登記法第17条は「登記所ニ地図及ビ建物所在図ヲ備フ」となっているので、いわゆる公図そのものは登記所(旧○○村内の土地については○○地方法務局)に備え付けられる図面であることが認められる。
 次に、公図そのものではなくその写しを保有している可能性があるので、審査会は、本件請求に関連する一連の公文書の提示を実施機関から受けたが、審査会が確認した限りでは、本条例の対象となる公文書としては存在しなかった。
 以上のことから、本件公文書2について、保有していないため非開示決定を行った実施機関の判断はやむを得ないものであると認められる。

3 結論

 「第1 審査会の結論」のとおり、実施機関の決定はいずれも妥当であると判断する。
 なお、申立人はその他種々主張するが、審査会の判断を左右するものではない。

第6 審査の経過

 当審査会の処理経過は、以下のとおりである。

審査会の処理経過

年月日 内容
平成18年5月26日 諮問
平成18年6月30日 実施機関からの理由説明書を受領
平成18年7月19日 異議申立人からの意見書を受領
平成19年1月29日
(第6回 第一部会)
審議(本件事案の概要説明)
平成19年3月8日
(第7回 第一部会)
審議(インカメラ審理)
平成19年5月11日
(第8回 第一部会)
審議
平成19年5月22日 答申