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公文書開示審査会答申第93号

更新日:2011年3月1日 印刷ページ表示

(1)「【1】平成元年3月10日に県が旧○○村に公衆用道路敷として譲与した際に、県から○○村に交付された正式譲与通知書
【2】昭和62年2月5日付けで県が行った表示嘱託登記に際し、県が○○と取り交わした測量契約書
【3】平成17年7月13日に県庁で行われた話し合いの席で『開拓財産の関係書類等は法務局の公図及び謄本等に優先する』との発言が出されたが、その発言の根拠とした文書
【4】平成17年7月13日に県庁で行われた話し合いの席で『法務局が間違っている。法務局が怠慢だ』『表示登記は名字みたいなもの』との発言が出されたが、その発言の根拠とした文書
【5】平成元年3月10日に県が旧○○村に公衆用道路敷として譲与したことに対する県開示公文書や県説明事項等に係る偽造、不正インペイの指示文書
【6】平成17年7月13日に県庁で行われた話し合いの席での暴言や脅しととれる発言を受けたが、そうした発言の根拠となる文書」の公文書不存在決定

(2)「【7】平成17年7月13日に県庁で行われた話し合いの際に提示された『地籍調査票』を作成した者の確認
【8】昭和62年2月5日付けで県が行った表示嘱託登記に際し、県から測量等を受託した○○が作成した地積測量図に係る不正事実のインペイを指示した者の確認
【9】昭和62年2月5日付けで県が行った表示嘱託登記の際に公図の改ざんを行った者の確認」の開示請求拒否決定

に対する異議申立てに係る答申書

群馬県公文書開示審査会
第一部会

第1 審査会の結論

 実施機関の決定はいずれも妥当である。

第2 諮問事案の概要

1 公文書開示請求

 異議申立人(以下「申立人」という。)は、群馬県情報公開条例(以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県知事(以下「実施機関」という。)に対し、平成18年5月26日付けで、「平成17年9月30日付公開質問状の回答を求めます。平成18年1月10日、平成18年2月20日、平成18年3月27日に続いての請求です(県の開示文章、当方への解答の矛盾・疑問です)」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

2 実施機関の決定

(1)実施機関は、平成18年6月12日付けで、本件請求に係る公文書を特定できないとして、条例第12条第2項に基づき、相当の期間を定め、申立人に補正を求めたところ、同月19日付けで補正書が提出された(その後、「開示の実施方法」について、再度の補正依頼及び補正がされている。)。しかし、なお特定が不十分であったため、同年7月4日付けで補正を求めたところ、同月18日付けで補正書が提出された。

(2)実施機関は最終補正後の対象公文書を、「【1】平成元年3月10日に県が旧○○村に公衆用道路敷として譲与した際に、県から○○村に交付された正式譲与通知書、【2】昭和62年2月5日付けで県が行った表示嘱託登記に際し、県が○○と取り交わした測量契約書、【3】平成17年7月13日に県庁で行われた話し合いの席で『開拓財産の関係書類等は法務局の公図及び謄本等に優先する』との発言が出されたが、その発言の根拠とした文書、【4】平成17年7月13日に県庁で行われた話し合いの席で『法務局が間違っている。法務局が怠慢だ』『表示登記は名字みたいなもの』との発言が出されたが、その発言の根拠とした文書、【5】平成元年3月10日に県が旧○○村に公衆用道路敷として譲与したことに対する県開示公文書や県説明事項等に係る偽造、不正インペイの指示文書、及び【6】平成17年7月13日に県庁で行われた話し合いの席での暴言や脅しととれる発言を受けたが、そうした発言の根拠となる文書」(以下、併せて「本件公文書1」という。)並びに「【7】平成17年7月13日に県庁で行われた話し合いの際に提示された『地籍調査票』を作成した者の確認、【8】昭和62年2月5日付けで県が行った表示嘱託登記に際し、県から測量等を受託した○○が作成した地積測量図に係る不正事実のインペイを指示した者の確認、及び【9】昭和62年2月5日付けで県が行った表示嘱託登記の際に公図の改ざんを行った者の確認」(以下、併せて「本件公文書2」という。)であると判断した。

(3)実施機関は、平成18年8月8日、本件公文書1について公文書不存在決定(以下「本件処分1」という。)を行い、不存在の理由を次のとおり付して、申立人に通知した(なお、【4】について通知書では「平成17年7月13日に県庁で行われた話し合いの席で『法務局が間違っている。法務局が怠慢だ』『表示登記は名字みたなもの』との発言が出されたが、その発言の根拠とした文書」と記載されているが、「名字みたなもの」は「名字みたいなもの」の誤記であると認められる。)。

【1】については、正式な譲与通知書は、県から旧○○村に交付した公文書であり県では保有していないため。

【2】については、保存期間満了により、平成4年度に廃棄しているため。

【3】、【4】及び【6】については、発言の根拠となる公文書は保有していないため。

【5】については、開示請求事項に関わる上司の指示文書は保有していないため。

 また、本件公文書2について、同日、公文書開示請求拒否決定(以下「本件処分2」という。)を行い、拒否の理由を次のとおり付して、申立人に通知した。

開示請求の対象が、条例第2条第4項で規定している公文書に該当しないため。

3 異議申立て

 申立人は、行政不服審査法第6条の規定に基づき、平成18年8月16日付けで、本件処分1及び本件処分2を不服として実施機関に対し異議申立てを行った。

4 諮問

 実施機関は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して、平成18年10月3日付けで、本件異議申立て事案の諮問(以下「本件事案」という。)を行った。

第3 争点

1 本件処分1の妥当性について

 本件公文書1はいずれも不存在であるとした決定は妥当であるか。

2 本件処分2の妥当性について

 本件公文書2はいずれも条例第2条第4項で規定している公文書に該当しないとした開示請求拒否処分は妥当であるか。

第4 争点に対する当事者の主張

1 争点1(本件公文書1の不存在決定について)

(1)申立人の主張要旨

ア 本件公文書1のうち【1】について
 平成17年8月31日に○○市から正式公文書として開示を受けたものが、公印のない譲与通知書であった。群馬行政評価事務所の職員も偽造であると言った。

イ 本件公文書1のうち【2】について
 県農政課は○○に正式発注していないので最初から存在しない。

ウ 本件公文書1のうち【3】、【4】及び【6】について
 申立人は脅し・暴言を受けた。当然、その根拠となる法令条文が存在するはずであるので、それを求めている。

エ 本件公文書1のうち【5】について
 県が不正嘱託表示登記を行い、二重登記及び土地改良区域外の土地の土地改良事業での開拓財産と偽っての虚偽登記を行い、それを利用して譲与した行為は事実である。この不正行為を県が行ったと言ったので、申立人はその文書を求めたものである。

(2)実施機関の主張

ア 本件公文書1のうち【1】について
 「正式譲与通知書」は、県から旧○○村に交付した公文書であり、県では保有していない。

イ 本件公文書1のうち【2】について
 請求公文書について調べたところ、当該請求公文書の保存期間は、県文書ファイル基準表により保存期間5年と決められており、その保存期間の経過により廃棄済みである。

ウ 本件公文書1のうち【3】について
 平成17年7月13日に申立人と面会したことは事実であり、面会記録は整理されていたが、「開拓財産の関係書類等は法務局の公図及び謄本等に優先する」との発言の根拠となる書類は整理されていない。

エ 本件公文書1のうち【4】について
 平成17年7月13日に申立人と面会したことは事実であり、面会記録は整理されていたが、「法務局が間違っている。法務局が怠慢だ」「表示登記は名字みたいなもの」との発言の根拠となる書類は整理されていない。

オ 本件公文書1のうち【5】について
 偽造や不正インペイに係わる県の指示文書は保有していない。

カ 本件公文書1のうち【6】について
 平成17年7月13日に申立人と面会したことは事実であり、面会記録は整理されていたが、「暴言や脅しととれる発言」の根拠となる書類は整理されていない。

2 争点2(本件公文書2の開示請求拒否決定について)

(1)申立人の主張要旨

ア 本件公文書2のうち【7】について
 地籍調査票は旧○○村が作成した偽造文書であり、平成17年7月13日に県庁で行われた話し合いの席で、この文書により申立人は脅しを受けた。県が保有しているのは事実である。

イ 本件公文書2のうち【8】について
 申立人が○○に確認したところ、県と○○との嘱託登記の測量契約はない。組織で行った不正行為であり、課長、理事が不正インペイの指示を出している。

ウ 本件公文書2のうち【9】について
 申立人が所有する土地2筆について公図が赤道(法定外公共物である道路)に改ざんされている事実がある。登記官も「これは偽造であり、登記関係者が行ったと思われる」と指摘している。その後、○○地方法務局では「嘱託登記申請人の申出により、地図訂正を行った」としている。

(2)実施機関の主張

 申立人の請求内容は「作成者の確認」、「指示した者の確認」及び「行った者の確認」であり、いずれも条例第2条第4項で定義している公文書には当たらない。

第5 審査会の判断

1 争点1(本件公文書1の不存在決定について)

(1)本件公文書1のうち【1】について
 申立人は、○○市から開示を受けた公文書の写しには知事印の印影がなかったため、知事印の印影がある譲与通知書の開示を求めたものと認められる。
 ところで、群馬県文書管理規程(昭和61年群馬県訓令甲第1号)第32条第1項によれば「施行文書は、群馬県公印規程(昭和33年群馬県訓令乙第15号)に規定するところにより公印を押印しなければならない。」とされ、群馬県公印規程第11条第1項は「公印は、押印すべき文書に決裁済みの回議書等を添えて、公印取扱主任の照合を受けてから、明りょうかつ正確に押さなければならない。」と規定していることから、知事印が押印された譲与通知書は旧○○村に交付され、実施機関は保有していないものと認められる。また、実施機関においては通常、施行文書の写しを保有することはなく、本件について保有していると推測すべき理由もない。
 したがって、【1】について不存在であるとした実施機関の決定は妥当である。

(2)本件公文書1のうち【2】について
 申立人は、県と○○との間にはそもそも測量契約が存在していないので、保存期間満了を理由とした不存在決定は不当であると主張しているものと認められる。
 ところで、審査会は答申第85号(平成19年2月5日答申)において、本件測量契約について、「対象となる公文書は20年以上も前の公文書であり現時点では、審査会はそもそも○○と契約があったのか否かさえ確認できず、また完全な検証も不可能であるが、結論としては、本件公文書が不存在とする実施機関の判断に特段不合理な点は認められない。」と判断しているところであり、この判断を変更する必要があると認めるに足りる新たな事実はない。
 したがって、【2】について不存在であるとした実施機関の決定は結果として妥当である。

(3)本件公文書1のうち【3】、【4】及び【6】について
 申立人は、国(関東農政局)及び県の職員と話し合った際に相手方が脅し・暴言ととれる発言をしたからには、発言の根拠となる法令や書類が存在するはずであると主張しているものと認められる。
 一般的に行政機関の行為は、法令及び条例・規則等に基づき行われるものであるが、個別具体的な行為をするに当たって、必ずしも根拠となる法令等が記載された資料を用意しているわけではないことは、審査会に顕著な事実である。仮に申立人が主張するような発言があったとしても、そのことのみをもって、発言の根拠とした資料を持っていたはずであるということはできない。
 また、実務上は出版社が発行した法令集や解説書を参考にして発言することも多いと思われるが、これらの書籍は条例第2条第4項ただし書により、「公文書」から除外されているところである。
 したがって、【3】、【4】及び【6】について不存在であるとした実施機関の決定は妥当である。

(4)本件公文書1のうち【5】について
 申立人は、県が不正行為及びその隠ぺいを行ったことは事実であるから、指示をした文書があるはずであると主張しているものと認められる。
 審査会は、本件事案についての概要の説明を実施機関から受けたが、申立人が主張する不正及び隠ぺいをうかがわせるような不自然な点は認められなかった。また、本件事案に関連する一連の公文書の提示を実施機関から受けたが、確認した限りでは、不正・隠ぺいを指示した文書は存在しなかった。
 したがって、【5】について不存在であるとした実施機関の決定は妥当である。

2 争点2(本件公文書2の開示請求拒否について)

(1)開示請求拒否決定について
 条例第18条第2項によれば、「実施機関は、開示請求に係る公文書の全部を開示しないとき(中略)は、開示をしない旨の決定」をすることとされており、具体的には、群馬県情報公開条例施行規則第4条に基づき「開示請求に係る公文書が開示請求をすることができないものである場合」は「公文書開示請求拒否通知書」により通知することとなる。そこで、本件公文書2が「開示請求に係る公文書が開示請求をすることができないものである場合」に該当するかどうかについて、以下検討する。

(2)「開示請求することができないものである場合」の該当性について
 実施機関が定めた「群馬県情報公開条例の解釈及び運用の基準」(平成13年1月1日付け総務部長通知)によれば、開示請求拒否を行う場合は次の6つの場合である。
 【1】条例の対象外となっている日を作成・取得日として指定した請求の場合
 【2】開示請求の対象が、条例第2条第4項に規定する公文書に該当しない場合
 【3】開示請求の対象が、条例第40条の適用除外規定により、開示請求の対象外である場合
 【4】開示請求の対象が他法令等により条例第22条本文に規定する方法と同一の方法で開示すると規定されているため、当該同一方法による開示を認めない場合
 【5】公文書の特定が不十分である場合等、開示請求に形式的な不備がある場合
 【6】権利濫用に関する一般法理が適用される場合
 本件公文書2について実施機関は、開示請求内容が条例第2条第4項で定義している「公文書」の請求となるよう、申立人に対し2度にわたり補正を依頼したが、最終的に、申立人の請求内容は「平成17年7月13日に県庁で行われた話し合いの際に提示された『地籍調査票』を作成した者の確認」、「昭和62年2月5日付けで県が行った表示嘱託登記に際し、県から測量等を受託した○○が作成した地積測量図に係る不正事実のインペイを指示した者の確認」及び「昭和62年2月5日付けで県が行った表示嘱託登記の際に公図の改ざんを行った者の確認」であると判断したものである。
 ところで、申立人の求めている内容は、大要、不正行為及びその隠ぺい等について数々の法律違反があるから検察・警察当局に対して捜査及び公表を求めるというものであると認められるが、条例に基づく公文書開示制度は、開示請求時において存在する公文書をありのままに開示するというものである。
 したがって、補正依頼にもかかわらず公文書の請求と認められる内容に補正がなされておらず、「作成者の確認」、「指示した者の確認」及び「行った者の確認」という申立人の請求は、いずれも条例第2条第4項で定義している公文書に該当しないとする実施機関の判断は妥当である。

3 結論

 「第1 審査会の結論」のとおり、実施機関の決定はいずれも妥当であると判断する。
 なお、申立人はその他種々主張するが、審査会の判断を左右するものではない。

第6 審査の経過

 当審査会の処理経過は、以下のとおりである。

審査会の処理経過

年月日 内容
平成18年10月3日 諮問
平成18年11月22日 実施機関からの理由説明書を受領
平成19年2月20日 異議申立人からの意見書を受領
平成19年3月8日
(第7回 第一部会)
審議(本件事案の概要説明、インカメラ審理)
平成19年5月11日
(第8回 第一部会)
審議
平成19年5月22日 答申