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公文書開示審査会答申第94号

更新日:2011年3月1日 印刷ページ表示

(1)当時の県担当者が○○に不正・インペイを依頼するように命令した上司の指示文書
(2)土地家屋調査士会が「○○の業務は適正で問題ない」と回答したことを県農政部が承認したとする不正、インペイの指示文書の公文書不存在決定に対する異議申立てに係る答申書

群馬県公文書開示審査会
第一部会

第1 審査会の結論

 実施機関の決定は妥当である。

第2 諮問事案の概要

1 公文書開示請求

 異議申立人(以下「申立人」という。)は、群馬県情報公開条例(以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県知事(以下「実施機関」という。)に対し、平成18年6月26日付けで、「農政課○○氏が○○氏に行った不正インペイの指示文章」及び「県農政部の県土地家屋調査士会に対し行った『業務が適正』とする違法証認指示文章及関係法条文」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

2 実施機関の決定

(1)実施機関は、平成18年7月4日、本件請求に係る公文書を特定できないとして、条例第12条第2項に基づき、相当の期間を定め、申立人に補正を求めたところ、同月18日付けで補正書が提出された。

(2)実施機関は補正後の対象公文書を、「当時の県担当者が○○に不正・インペイを依頼するように命令した上司の指示文書」(以下「公文書1」という。)及び「土地家屋調査士会が『○○の業務は適正で問題ない』と回答したことを県農政部が承認したとする不正、インペイの指示文書」(以下「公文書2」という。)であると判断し、平成18年8月8日、本件公文書1について公文書不存在決定(以下「本件処分1」という。)を行い、不存在の理由を次のとおり付して、申立人に通知した。

 当実施機関では保有していないため。

 また、本件公文書2についても同日、公文書不存在決定(以下「本件処分2」という。)を行い、不存在の理由を次のとおり付して、申立人に通知した。

 当実施機関では保有していないため。

3 異議申立て

 申立人は、行政不服審査法第6条の規定に基づき、平成18年8月16日付けで、本件処分1及び本件処分2を不服として実施機関に対しそれぞれ異議申立てを行った。

4 諮問

 実施機関は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して、平成18年10月19日付けで、本件異議申立て事案の諮問を行った。

第3 争点

1 本件処分1の妥当性について

 本件公文書1は不存在であるとした決定は妥当であるか。

2 本件処分2の妥当性について

 本件公文書2は不存在であるとした決定は妥当であるか。

第4 争点に対する当事者の主張

1 争点1(本件公文書1の不存在決定について)

(1)申立人の主張要旨

 当時の県担当者は、現任者の前任者であり、昔の話ではない。
 「不正」とは、申立人への暴言・脅し、測量をしていない○○に測量費を支払っていること、土地改良区域外が約半分であるのに土地改良事業で嘱託登記を行っていること等である。県は組織である以上、当時の担当者が理事・課長の不正・インペイの指示を受けており、その上司の氏名の開示を求めたものである。
 なお、申立人は、○○の○○氏に対し県担当者が不正・インペイの指示をしたとの回答を、同氏から得ている。

(2)実施機関の主張

 当時の県担当者が○○に不正・インペイを指示した文書や、県担当者の上司が担当者に対し○○に不正・インペイを依頼するよう指示した文書は保有していないため。

2 争点2(本件公文書2の不存在決定について)

(1)申立人の主張要旨

 ○○の○○氏は県による土地表示登記嘱託書の測量は行っていないと言っているし、事実、存在していない土地の測量はできない。また、県には開拓財産としての旧○○地内の資料はない。
 したがって、県が行ったとする開拓財産としての嘱託登記は嘘であって、土地改良事業で行ったものであるが、群馬県土地家屋調査士会長は公式文書で申立人に対し、県が測量会社の業務は適正であるし問題はないと指示した、と回答した。同会長による土地家屋調査士法違反の容認等の不正を指示したのは、理事・課長である。

(2)実施機関の主張

 申立人が県土地家屋調査士会へ行った質問の回答について、県農政部が承認したとする不正・インペイの指示文書は保有していないため。

第5 審査会の判断

1 争点1(本件公文書1の不存在決定について)

(1)本件公文書1の特定について

 申立人は、県が行った表示嘱託登記に関し測量を行ったとされる土地家屋調査士に対して、県担当者が(測量をしていないのに地積測量図を作成した等の)不正の隠ぺいを頼んだが、当該職員は上司の命令で行ったので、その指示の文書について開示を求めているものと認められる。
 この開示請求は、【1】表示嘱託登記に関して不正が行われたこと、【2】不正の隠ぺいについて県から依頼があったこと、及び【3】依頼について担当者に対して上司が指示・命令したことの3点を前提としているものであるので、実施機関が「当時の県担当者が○○に不正・インペイを依頼するように命令した上司の指示文書」が対象となる公文書であると判断したことは妥当である。
 なお、申立人は審議会に提出した意見書において、担当理事及び課長の氏名の開示を求めているものである旨を主張しているが、開示請求の対象となる公文書の特定の妥当性は、開示請求時(本件においては補正がされているため補正書受領時)で判断すべきものであり、開示請求書及び補正書の記述からは、この主張を認めることはできない。

(2)本件公文書1の不存在について

 申立人は、大要、実施機関による不正・隠ぺいは事実であるから、本件公文書1は存在するはずであると主張し、これに対して実施機関は、本件公文書1を「保有していない」ため不存在決定を行ったものであると主張する。
 「公文書を保有していない」という類型には、【1】そもそも作成又は取得していない、【2】作成又は取得したが保存期間満了により廃棄済みである、及び【3】開示請求の対象となる「公文書」ではないという3つの場合が含まれる。実施機関は、本件不存在決定がいずれの場合であるか明確には主張していないが、少なくとも【1】又は【2】の場合であるとの主張であると考えられるので、いずれにしろ、本件公文書1が物理的に存在していなければ、実施機関の決定は妥当であったことになる。
 審査会は、本件事案についての概要の説明を実施機関から受けたが、申立人が主張する不正及び隠ぺいをうかがわせるような不自然な点は認められなかった。また、本件事案に関連する一連の公文書の提示を実施機関から受けたが、確認した限りでは、不正・隠ぺいを上司が担当者に指示した文書は存在しなかった。
 したがって、本件公文書1について不存在であるとした実施機関の決定は妥当である。

2 争点2(本件公文書2の不存在決定について)

(1)本件公文書2の特定について

 申立人は、県が行った表示嘱託登記に関し測量を行ったとされる土地家屋調査士は測量していないことを認めたのに、県土地家屋調査士会が文書で「当該業務は適正であるし問題ない」と回答したのは、県農政部がその回答内容を承認したからであるから、不正を指示した文書の開示を求めているものと認められる。
 この開示請求は、【1】表示嘱託登記に関して不正が行われたこと、【2】不正はないと県土地家屋調査士会が申立人に回答したこと、及び【3】県が土地家屋調査士会の回答について承認したことの3点を前提としているものであるので、実施機関が「土地家屋調査士会が『○○の業務は適正で問題ない』と回答したことを県農政部が承認したとする不正、インペイの指示文書」が対象となる公文書であると判断したことは妥当である(なお、「農政部」は「農業局」とすべきであったと思われるが、審査会の判断には影響しない。)。

(2)本件公文書2の不存在について

 申立人は、大要、実施機関による不正・隠ぺい及び県土地家屋調査士会の回答は事実であるから、本件公文書2は存在するはずであると主張し、これに対して実施機関は、本件公文書2を「保有していない」ため不存在決定を行ったものであると主張する。
 「公文書を保有していない」という類型には、争点1で述べたように3つの場合があり、実施機関は、本件不存在決定がいずれの場合であるか明確には主張していないが、少なくとも「【1】そもそも作成又は取得していない」又は「【2】作成又は取得したが保存期間満了により廃棄済みである」の場合であるとの主張であると考えられるので、いずれにしろ、本件公文書2が物理的に存在していなければ、実施機関の決定は妥当であったことになる。
 審査会は、本件事案についての概要の説明を実施機関から受けたが、申立人が主張する不正及び隠ぺいをうかがわせるような不自然な点は認められなかった。また、本件事案に関連する一連の公文書の提示を実施機関から受けたが、確認した限りでは、県土地家屋調査士会の回答を県農業局が承認した文書は存在しなかった。
 したがって、本件公文書2について不存在であるとした実施機関の決定は妥当である。

3 結論

 「第1 審査会の結論」のとおり、実施機関の公文書不存在決定はいずれも妥当であると判断する。
 なお、申立人はその他種々主張するが、審査会の判断を左右するものではない。

第6 その他

 実施機関が公文書不存在決定に当たり付した「公文書を保有していないため」という理由は違法・不当なものではないが、なぜ保有していないかについても記載することが望ましかったとの意見を申し添える。

第7 審査の経過

 当審査会の処理経過は、以下のとおりである。

審査会の処理経過

年月日 内容
平成18年10月3日 諮問
平成18年11月22日 実施機関からの理由説明書を受領
平成19年2月20日 異議申立人からの意見書を受領
平成19年3月8日
(第7回 第一部会)
審議(本件事案の概要説明、インカメラ審理)
平成19年5月11日
(第8回 第一部会)
審議
平成19年5月22日 答申