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公文書開示審査会答申第95号
「廃棄物政策課は、当初、現場の良質土の入れ替えを行うと言ったが、その後は全く何もしていない、『隠蔽の指示は誰が出したのかの文章』」の公文書不存在決定に対する異議申立てに係る答申書
群馬県公文書開示審査会
第一部会
第1 審査会の結論
実施機関の決定は妥当である。
第2 諮問事案の概要
1 公文書開示請求
異議申立人(以下「申立人」という。)は、群馬県情報公開条例(以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県知事(以下「実施機関」という。)に対し、平成18年5月26日付けで、「平成17年9月30日付公開質問状の回答を求めます。平成18年1月10日、平成18年2月20日、平成18年3月27日に続いての請求です(県の開示文章、当方への解答の矛盾・疑問です)」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。
2 実施機関の決定
実施機関は、平成18年6月12日、本件請求に係る公文書を特定できないとして、条例第12条第2項に基づき、相当の期間を定め、補正を求めたところ、平成18年6月19日付けで補正書が提出された(その後、「開示の実施方法」について、再度の補正依頼及び補正がされている。)。その補正された開示請求のうち「県産業廃棄物政策課は、当初、現場の良質土の入れ替えを行うと言ったが、その後はまったく何もしていない、『インペイの指示はだれが出したのかの文章』(環境省も時効は関係ない、汚染物質は取り除くのが当然と言っている。)」について、平成18年7月6日、対象公文書は「廃棄物政策課は、当初、現場の良質土の入れ替えを行うと言ったが、その後は全く何もしていない、『隠蔽の指示は誰が出したのかの文章』」(以下「本件公文書」という。)であると判断し、公文書不存在決定(以下「本件処分」という。)を行い、不存在の理由を次のとおり付して、申立人に通知した。
隠蔽の事実及び指示はなく、当該公文書の作成を行っていないため。
3 異議申立て
申立人は、行政不服審査法第6条の規定に基づき、平成18年7月18日、本件処分を不服として実施機関に対し異議申立てを行った。
4 諮問
実施機関は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して、平成18年10月25日、本件異議申立て事案の諮問(以下「本件事案」という。)を行った。
第3 争点(本件処分の妥当性について)
本件公文書は作成していないとして不存在決定をした実施機関の処分は妥当であるか。
第4 争点に対する当事者の主張
争点(本件公文書の不存在決定について)
(1)申立人の主張要旨
旧○○村○○課、県中部農業事務所、県農政課は県営ほ場整備事業粕川土地改良区域内に大型トラックで産業廃棄物の不法投棄の事実を隠ぺいしている(申立人は平成17年8月22日中部農業事務所より不法投棄の事実を初めて県が知っていた事を知る)。平成17年9月16日廃棄物政策課職員より時効だといわれた(県職員が時効と決定づけた)という事は最初から不正の事実を知っていたという事である。平成17年9月21日、9月29日別の職員より電話有り。課長と相談して良質土の入れ替えをやりますとの回答、その後まったく何の話も無いという事は課長以上の隠ぺいである。
土地改良区域内の大量の産業廃棄物不法投棄は中部農業事務所職員も認めているが、県はその事実を知りながら不正隠ぺいを決め、隠ぺいの指示文書の不存在決定処分を行った。
(2)実施機関の主張
異議申立書によると、実施機関の職員が「当該不法投棄については時効である。」「現場へ良質土を入れ替える。」などと回答したとされるが、上記の回答を実施機関の職員が行った事実はない。
また、当該不法投棄の事実を隠ぺいする事実もないため、申立人が主張する、「廃棄物政策課は、当初、現場の良質土の入れ替えを行うと言ったが、その後は全く何もしていない、『隠蔽の指示は誰が出したのかの文章』」に関する公文書は存在しない。
第5 審査会の判断
争点(本件公文書の不存在決定について)
(1)本件公文書の不存在決定の妥当性について
申立人の主張は、大要、申立人が主張していることは事実であるから本件公文書が存在しないわけがなく、そのような決定は取り消されるべきものであるとの趣旨と判断される。
そこで、審査会は実施機関に対して条例第30条に基づく調査を実施し、実施機関から本件事案についての概要の説明を受けたが、申立人が主張する隠ぺいをうかがわせるような不自然な点は認められなかった。
また、申立人が主張するような「当該不法投棄については時効である。」や「現場の良質土の入れ替えを行う」との発言が記録された公文書や隠ぺいの指示をうかがわせる公文書は、審査会が調査した限りでは、存在しなかった。
以上のことから、本件公文書について、作成しておらず不存在とする実施機関の判断に、特段不合理な点は認められない。
(2)結論
「第1 審査会の結論」のとおり、実施機関の決定は妥当であると判断する。
なお、申立人はその他種々主張するが、審査会の判断を左右するものではない。
第6 審査の経過
当審査会の処理経過は、以下のとおりである。
審査会の処理経過
年月日 | 内容 |
---|---|
平成18年10月25日 | 諮問 |
平成18年12月1日 | 実施機関からの理由説明書を受領 |
平成19年3月8日 (第7回 第一部会) |
審議(本件事案の概要説明、実施機関からの意見聴取) |
平成19年5月11日 (第8回 第一部会) |
審議 |
平成19年5月22日 | 答申 |