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公文書開示審査会答申第97号

更新日:2011年3月1日 印刷ページ表示

 ○○氏の測量士、測量士補、又は土地家屋調査士の免許証の写しの公文書の存否を明らかにしない決定に対する異議申立てに係る答申書

群馬県公文書開示審査会
第二部会

第1 審査会の結論

 実施機関の決定は妥当である。

第2 諮問事案の概要

1 公文書開示請求

 異議申立人(以下「申立人」という。)は、群馬県情報公開条例(以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県知事(以下「実施機関」という。)に対し、平成18年5月26日付けで、「昭和64年1月6日作制者群馬県□□部△△課○○○○氏○○氏は測量士ですか。存在していない土地を測量したのですか。県の職員ですか。△△氏は測量していない。偽造土地表示嘱託書と言っている。」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

2 実施機関の決定

(1)実施機関は、平成18年6月8日、本件請求に係る公文書を特定できないとして、条例第12条第2項に基づき、相当の期間を定め、申立人に補正を求めたところ、同月12日付けで補正書が提出された。

(2)実施機関は補正後の対象公文書を、「昭和64年1月6日作成者群馬県□□部△△課○○氏(以下「特定職員」という。)の昭和54年~平成4年の間の職歴(配属課名)」(以下「公文書1」という。)及び「特定職員の測量士、測量士補又は土地家屋調査士の免許証の写し」(以下「公文書2」という。)であると判断し、平成18年6月19日、本件公文書1について公文書部分開示決定(以下「本件処分1」という。)を行い、一部開示しない理由を次のとおり付して、申立人に通知した。

条例第14条第2号該当

 職員の生年月日、職員番号、本籍、住所、学歴、資格及び給与の発令は、個人に関する情報に該当するため。

 また、本件公文書2については同日、公文書の存否を明らかにしない決定(以下「本件処分2」という。)を行い、存否を明らかにしない理由を次のとおり付して、申立人に通知した。

条例第17条該当

 特定の個人の資格に関する文書は、当該公文書が存在しているか否かを答えるだけで、条例第14条第2号の個人に関する情報を明らかにすることになるため。

3 異議申立て

 申立人は、行政不服審査法第6条の規定に基づき、平成18年6月26日付けで、本件処分2を不服として実施機関に対し異議 申立てを行った。

4 諮問

 実施機関は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して、平成18年8月2日、本件異議申立て事案の諮問を行った。

第3 争点(条例第14条第2号該当性)

 本件公文書2の内容が条例第14条第2号に該当するか。

第4 争点に対する当事者の主張

争点(条例第14条第2号該当性)

(1)申立人の主張要旨

 特定職員作成の土地表示登記嘱託書2件は、測量日時には存在していない。なぜ、測量図が作成できたのか同人の測量関係の免許証の写しを求めたものである。免許証が無いので公文書偽造行使、測量法、不動産登記法違反等、重大な犯罪行為でこの事実をインペイし又嘘の開示を当方に行った。

当該情報は、条例第14条第2号イ、ロ、ハにより当然公開すべき事である。

(2)実施機関の主張

 昭和64年1月当時、特定職員が従事していた業務において、「測量士、測量士補又は土地家屋調査士」の資格を要求している法令上の根拠が存しない。

 ついては、当該資格の有無は、職員の個人情報に該当する。

したがって、存否を明らかにする回答を行った場合、本来、非開示とすべき個人情報を開示することと同義になるため。

第5 審査会の判断

 当審査会は、本件事案について審査した結果、次のとおり判断する。

1 条例第14条第2号該当性

 条例は第13条で原則開示をうたい、第14条で例外的に非開示を認めている。

 本県の条例は非開示とすべき個人情報の類型について個人識別型を採用しているので、条例第14条第2号本文にいう「個人に関する情報」であって「特定の個人を識別することができるもの」とは、当該情報に係る個人が誰であるかを識別させることになる氏名その他の記述の部分だけでなく、特定の個人情報全体を指すほか、当該情報単独では特定の個人を識別することができないが、他の情報と照合することにより識別可能となるものについても含まれると解される。

 通常、特定の個人の氏名を挙げてその個人が有する資格が記録された公文書の開示請求があった場合に、実施機関がそれに従い公文書を特定すれば、その公文書に記載されているすべての情報は識別される特定の個人情報になり、条例第14条第2号本文に該当するものと判断され、その個人情報が同号ただし書に該当しない限り、当該情報は非開示情報となる。

2 条例第14条第2号ただし書ハ該当性

 特定職員は公務員等であることから、以下、本号ただし書ハに該当するか否かを検討する。

 申立人は、土地表示登記に必要な地積測量図の作製者欄に特定職員が記名押印していたことから、同氏は測量士、測量士補又は土地家屋調査士の資格を有していなければならず、これらの免許証の写しを求めているものと認められる。

 そこで、審査会は実施機関に対して条例第30条第4項に基づく調査を実施し、実施機関から特定職員の当時の職務において、測量士や土地家屋調査士等の資格が実務として必要であったのか説明を求めたところ、昭和64年当時はもちろん、現在においても、土地に関する測量・調査については業務委託をしており、土地家屋調査士が土地所在図・地積測量図等の作成は行っているが、業務委託の成果品として実施機関に提出される地積測量図については、当時から作製者欄に土地家屋調査士が記名押印したものと、作製者欄が空欄で提出されるものと2種類あり、作製者欄が空欄で提出されたものについては、実施機関の事務慣行として担当職員が記名押印することが行われていた。

そして、現在も、業務委託の成果品として実施機関に提出される地積測量図については、作製者欄に土地家屋調査士が記名押印したものと、作製者欄が空欄で提出されるものと2種類あり、作製者欄が空欄で提出されたものについては、実施機関の担当職員が記名押印しているとのことである。

 地積測量図の作製者欄が空欄で実施機関に提出されることについて、実施機関と社団法人群馬県公共嘱託登記土地家屋調査士協会との間で協議は行われておらず、実施機関内でも明確な取扱基準はないが、嘱託登記においては実施機関が申請人として記名押印することから、土地家屋調査士は補助的な立場で地積測量図を作成しており、地積測量図に係る責任の所在は実施機関にあるという考えで作製者欄が空欄で実施機関に提出されるのではないかと実施機関は説明する。

 また、登記所への申請時に、地積測量図の作製者欄に担当者が記名押印したものについて、担当者が土地家屋調査士等の資格を有しているか否か確認されることもなく受付がされると実施機関は説明する。

 このようなことからすると、昭和64年1月当時、特定職員が従事していた職務において、測量士や土地家屋調査士等の資格が実務として必要なものであったとは言えず、現在においても必要なものとは言えない。

 したがって、本件請求内容である特定職員が有する資格に関する情報は、条例第14条第2号ただし書ハの「職務の遂行に係る情報」に該当しない。

3 条例第14条第2号ただし書イ及びロ該当性

 次に、申立人は、条例第14条第2号ただし書イ及びロについても該当すると主張していることから、当該情報が、同号ただし書イ及びロに該当するか検討する。

 本件請求内容である特定職員が有する資格に関する情報は、法令等の規定により公にされている情報ではなく、慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報とは言えない。よって、条例第14条第2号ただし書イには該当しない。

 また、申立人は、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であるものとも認められる情報である旨を主張するが、公にすることが必要であると認められる情報とは、人の生命、健康、生活又は財産の保護の必要性が、個人の権利利益よりも上回る場合をいうものであり、開示の必要性も、その公にする必要性と個人の権利利益を比較衡量した上で判断されるものであるところ、本件請求内容である特定職員が有する資格に関する情報を公にすることが、人の生命、健康、生活又は財産の保護に必要であるものとは認められない。よって、条例第14条第2号ただし書ロには該当しない。

4 結論

 以上のことから、本件請求内容は非開示情報である個人情報に該当するため、本件請求は条例第17条「当該開示請求に係る公文書が存在しているか否かを答えるだけで、非開示情報を開示することとなるとき」に該当し、同条の規定により開示請求を拒否すべきものと認められる。よって、本件処分は妥当であり、取り消す必要はないと判断する。

 なお、申立人はその他種々主張するが、審査会の判断を左右するものではない。

第6 審査の経過

 当審査会の処理経過は、以下のとおりである。

審査会の処理経過

年月日 内容
平成18年8月2日 諮問
平成18年9月13日 実施機関からの理由説明書を受領
平成18年10月11日 異議申立人からの意見書を受領
平成19年3月19日
(第7回 第二部会)
審議(本件事案の概要説明)
平成19年5月19日
(第8回 第二部会)
審議(実施機関からの意見聴取)
平成19年6月25日
(第9回 第二部会)
審議

平成19年6月28日

答申