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公文書開示審査会答申第98号

更新日:2011年3月1日 印刷ページ表示

「○○市△△地区で建設中の◇◇◇◇(株)の廃棄物処分場から外部に排出される雨水および浸出液処理水を含む排水の敷設場所の変更に係る手続き書類一式(変更前と変更後の排水路の敷設位置、ルート、断面、工法、変更理由などを含む。)」の開示決定に対する異議申立てに係る答申書

群馬県公文書開示審査会
第二部会

第1 審査会の結論

 「○○市△△地区で建設中の◇◇◇◇(株)(以下「当該法人」という。)の廃棄物処分場から外部に排出される雨水および浸出液処理水を含む排水の敷設場所の変更に係る手続き書類一式(変更前と変更後の排水路の敷設位置、ルート、断面、工法、変更理由などを含む)。」の開示請求に対し、以下1~3の各文書を特定して開示とした決定は妥当ではなく、「平成10年6月10日付けで提出された一般廃棄物処理施設設置許可申請書」及び「平成17年7月12日付けで提出された一般廃棄物処理施設軽微変更等届出書」の全体を特定して、改めて決定をすべきである。

1 変更前の文書として、当該法人から平成10年6月10日付けで提出された一般廃棄物処理施設設置許可申請書(以下「設置許可申請書」という。)のうち、「放流水処理施設平面図」、「放流水処理施設縦断面図」、「放流水処理施設横断面図」及び「放流水処理施設構造図」(以下「公文書1」という。)

2 変更後の文書として、当該法人から平成17年7月12日付けで提出された一般廃棄物処理施設軽微変更等届出書(以下「軽微変更等届出書」という。)のうち、「放流水処理施設平面図・縦断図(1)」、「放流水処理施設平面図・縦断図(2)」、「放流水処理施設図(組立1号マンホール構造図)」及び「放流水処理施設図」(以下「公文書2」という。)

3 変更理由として、当該法人から平成17年7月12日付けで提出された軽微変更等届出書のうち、「軽微変更概要説明」(以下「公文書3」という。)

第2 諮問事案の概要

1 公文書開示請求

 異議申立人(以下「申立人」という。)は、群馬県情報公開条例(以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県知事(以下「実施機関」という。)に対し、平成18年2月27日付けで、「○○市△△地区で建設中の当該法人の廃棄物処分場から外部に排出される雨水および浸出液処理水を含む排水の敷設場所の変更に係る手続き書類一式(変更前と変更後の排水路の敷設位置、ルート、断面、工法、変更理由などを含む)。」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

2 実施機関の決定

 実施機関は、平成18年3月13日、本件請求に係る公文書を「○○市△△地区で建設中の当該法人の廃棄物処分場から外部に排出される雨水および浸出液処理水を含む排水の敷設場所の変更に係る手続き書類一式(変更前と変更後の排水路の敷設位置、ルート、断面、工法、変更理由などを含む。)」(以下「本件公文書」という。)であると判断し、公文書1、公文書2及び公文書3を特定し、開示決定(以下「本件処分」という。)を行い、申立人に通知した。

3 異議申立て

 申立人は、行政不服審査法第6条の規定に基づき、平成18年3月27日付けで、本件処分を不服として実施機関に対し異議申立てを行った。

4 諮問

 実施機関は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して、平成18年10月16日、本件異議申立て事案の諮問(以下「本件事案」という。)を行った。

第3 争点

 本件公文書に該当するとして、実施機関が公文書1、公文書2及び公文書3を特定したことは妥当であったか。

第4 争点に対する当事者の主張

(1)申立人の主張要旨

ア 本件公文書のうち、変更に伴う申請書および届出書、申請および届出に対してなぜ軽微な変更だと判断したのか、その根拠を示す庁議などの協議書類等、変更手続に関する書類が開示されなかった。

当該文書は、実際に存在していることが、手続き上、必要であり、申立人が開示請求した「変更に係る手続書類一式」とする請求内容を満たしていない。

イ 開示時に、廃棄物政策課の職員は口頭で「去年7月に変更した」と、申立人に説明したのみで、肝心の変更に伴う申請書および届出書等の公文書を開示書類に含めなかった。これは、県民の知る権利を妨害するもので、条例に違反する。

ウ 「軽微変更概要説明」と題する開示公文書には、今回開示請求した排水関係の変更を含め合計14項目の変更点が列挙されている。これが「軽微変更」なのかどうか。処分場の直ぐ下流で水田を耕作する申立人は利害関係者として、実施機関がこの変更を「軽微変更」と判断した根拠を示す当該文書の開示を求める権利を有している。

エ 当該法人は、処分場の本体工事の認可を急ぐあまり、肝心の排水管の敷設ルートのことは二の次だった。まず、予定よりも6年も計画が遅れていた本体工事に着手し、配水管(意見書記載のとおり。以下同様。)工事は、いつでもできると考えていたに違いない。当初の計画では申立人の耕作する水田の灌漑用水路に沿って、敷設することにしていた。この工事は、無理な計画を修正する為に必要となった数多くの変更工事と一緒に、実施機関に対して申請が行われ、昨年7月ごろに変更許可が出た。

ところが、水路の敷設工事に際して、申立人の同意が必要となった。現に昨年秋から、申立人のところに当該法人が執拗に同意を求めてきた経緯がある。大切な水田の灌漑用水に毒水を入れられてはかなわないから、申立人は同意しなかった。そこで、申立人の同意を得られそうにもないと判断した当該法人は、実施機関に相談して、新たなルートを探し出した。そして、最後に、公有地である道路敷の下に排水管を敷設しようとしたのである。

実施機関は、これまでに何度も当該法人の違法行為を黙認しているが、今度も、当該法人の都合を最優先に考えて、申立人が耕作する水田の灌漑用水路をどのように当該法人にいじられるのか、不安にさいなまれて、本件請求をしたにもかかわらず、当該法人の配水管の敷設ルートの計画内容が最終的にきまらないとして、申立人が請求した情報について、再度ルート変更することを承知していたにもかかわらず、情報を故意に隠匿し、開示を先延ばしにして、処分場の工事を当該法人に進めさせた疑いがある。

(2)実施機関の主張

ア 本件請求において開示請求書に記載されていた「開示を請求する公文書の内容又は件名」は本件公文書であり、本件請求で求められている公文書に該当するものとして、公文書1、公文書2及び公文書3を特定し、開示した。

イ また、本件請求で求められている公文書は、「○○市△△地区で建設中の当該法人の一般廃棄物最終処分場(以下「本件処分場」という。)から外部に排出される雨水及び浸出液処理水を含む排水の敷設場所の変更(以下「地区外排水の変更」という。)に係る公文書で、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)の手続き上発生したもの」であると判断した。

ウ 一般廃棄物最終処分場の変更に関する手続については、廃棄物処理法上、同法第9条第1項の規定による変更の許可と同法第9条第3項の規定による軽微な変更等の届出とが定められている。

当該法人から平成10年6月10日付けで設置許可申請書が提出されて以降、平成18年2月27日付けで本件請求がなされるまでの間において、当該法人から提出された変更に関する書類は、「廃棄物処理法第9条第3項の規定による平成17年7月12日付け軽微変更等届出書」のみである。

当該届出書には、地区外排水の変更を含む14項目の変更が記載されていることから、公文書1、公文書2及び公文書3を特定した。

申立人は異議申立書の中で、「変更に伴う申請書及び届出書、申請及び届出に対して、なぜ「軽微な変更」だと判断したのか、その根拠を示す庁議などの協議書類等、変更手続に関する書類が開示されなかった。」と主張しているが、本件請求で求められている公文書は、開示請求書の記載内容から、廃棄物処理法の手続き上の書類であると解し、上記のとおり文書を特定し、開示したものである。

エ なお、本件処分場に関しては、本件請求の後に、本件請求において開示対象とした地区外排水の変更とは別に、浸出液処理水の排水管の敷設ルートが変更されている。申立人は、異議申立書のなかで、「廃棄物政策課の職員は口頭で『去年7月に変更した』と、申立人に説明したのみで、肝心の変更の伴う申請書及び届出書等の公文書を開示書類に含めなかった。」と主張しているが、申立人が本件請求において真に請求しようとしている公文書は、当該浸出液処理水の排水管の敷設ルートの変更に関する文書であると推察される。

しかし、当該浸出液処理水の排水管の敷設ルートの変更が廃棄物処理法第9条第3項の規定による軽微変更等届出書として提出されたのは、平成18年4月14日付けであり、本件請求日(平成18年2月27日)現在において、当該浸出液処理水の排水管の敷設ルートの変更に関する文書は発生していなかった。

第5 審査会の判断

本件事案は、公文書開示決定に対する異議申立てに関するものであるため、当審査会は、実施機関の文書の特定が妥当であったか否かを検討する。

(1)本件公文書の特定の妥当性について

 申立人は、開示請求書において、「・・・変更に係る手続き書類一式(変更前と変更後の排水路の敷設位置、ルート、断面、工法、変更理由などを含む)。」と記載している。これに対し実施機関は、当該法人から提出された「平成10年6月10日付け設置許可申請書」及び「平成17年7月12日付け軽微変更等届出書」のうち、公文書1、公文書2及び公文書3を本件請求に係る文書として特定しており、この特定の妥当性について検討する。

当審査会が実施機関に確認したところ、廃棄物処理法で定められた手続きで、「平成10年6月10日付け設置許可申請書」以降、本件処分場に関し当該法人が実施機関に提出した変更に関する書類は、主に地区外排水管構造等の変更(管の材質の一部変更、マンホールの変更等)を行う「平成17年7月12日付け軽微変更等届出書」及び、主に地区外排水管の敷設ルートの変更を行う「平成18年4月14日付け軽微変更等届出書」であった。

ところで、条例に基づく公文書開示制度は、開示請求時において存在する公文書をありのままに開示するというものである。

したがって、本件請求時に存在していなかった「平成18年4月14日付け軽微変更等届出書」は本件請求の対象文書とはならない。

次に、申立人が異議申立書において、「変更に伴う申請書および届出書、申請および届出に対してなぜ軽微な変更だと判断したのか、その根拠を示す庁議などの協議書類等」が開示されなかったと主張していることについてであるが、公文書開示制度は、開示請求書の記載から公文書を特定する制度であることから、開示請求書に記載された「手続き書類一式」が「庁議などの協議書類等」まで含むのかどうかが問題となる。

当審査会が実施機関に確認したところ、「平成17年7月12日付け軽微変更等届出書」の届出日から本件請求日までの間に、実施機関と当該法人との間で打ち合わせが行われていたことが認められた。

実施機関は、「手続き書類一式」という文言から廃棄物処理法の手続き上発生した文書であると判断したと説明するが、廃棄物処理法第9条第3項には、一般廃棄物最終処分場の設置許可を受け、その後に軽微な変更をしたときは、「・・・その旨を都道府県知事に届け出なければならない。」と規定があり、法の定める手続きとしては、「軽微変更等届出書」を実施機関に提出することで足り、軽微変更等届出書を受理する前に設置者と協議することまで求められてはいない。また、行政指導としてそのような協議を求めるということもない、とのことであった。さらに、当審査会が確認したところ、「設置許可申請書」及び「軽微変更等届出書」はそれぞれ一式の書類としてファイリングしており、法の定める手続き以外の書類とは別に保管されていた。

一般に「手続き」とは、事を行う順序や方法をいい、必ずしも実施機関の主張するような法令に規定された手続きのみに限定するとまではいえないものの、本件請求に当たって、「平成10年6月10日付け設置許可申請書」及び「平成17年7月12日付け軽微変更等届出書」が本件公文書に該当すると判断したとする実施機関の説明に、特段不合理な点は認められない。

最後に、実施機関が「平成10年6月10日付け設置許可申請書」及び「平成17年7月12日付け軽微変更等届出書」の中から、公文書1、公文書2及び公文書3を抜き出して特定したことの妥当性について検討する。

申立人はこのことについて特段主張をしていないが、条例第11条では、公文書開示請求の対象は「公文書」と規定しており、最高裁判決でも「・・・記録されている情報の面から公開を請求する公文書を特定した場合であっても、当該公文書のうちその情報が記録されている部分のみが公開の請求の対象となるものではなく、当該公文書全体がその対象となるものというべきである。・・・」(平成17年6月14日第3小法廷判決 平成13年(行ヒ)第263号 県営渡船情報非公開処分取消請求事件)と判断されているところである。

実施機関では例外として、平成17年9月8日付け理事通知「情報公開条例等の開示請求に係る文書特定の取扱いの変更について」に基づき、開示請求者から明確な意思表示があれば、公文書の一部を頁単位で「請求対象外」として扱うことができるとしているが、実施機関に確認をしたところ、本件処分を行うに当たり、申立人から公文書1、公文書2及び公文書3だけでよいという明確な意思を確認していないとのことであった。

したがって、実施機関が公文書1、公文書2及び公文書3を抜き出して特定したことは妥当ではなく、「平成10年6月10日付け設置許可申請書」及び「平成17年7月12日付け軽微変更等届出書」の全体を特定すべきであった。

(2)結論

以上を総合すると、実施機関の本件公文書の特定は妥当ではなく、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。

なお、申立人はその他種々主張するが、本答申の判断を左右するものではない。

第6 審査の経過

 当審査会の処理経過は、以下のとおりである。

審査会の処理経過

年月日

内容

平成18年10月16日 諮問
平成18年11月28日 実施機関からの理由説明書を受領

平成18年12月26日

申立人からの意見書を受領

平成19年3月19日

(第7回 第二部会)

審議(本件事案の概要説明)

(実施機関の口頭による意見聴取)

平成19年5月14日

(第8回 第二部会)

審議

平成19年6月25日

(第9回 第二部会)

審議

平成19年6月28日

答申