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公文書開示審査会答申第99号

更新日:2011年3月1日 印刷ページ表示

「○○市△△地区で建設中の◇◇◇◇(株)の廃棄物処分場から外部に排出される雨水および浸出液処理水を含む排水の敷設場所の変更に係る手続き書類一式(変更前と変更後の排水路の敷設位置、ルート、断面、工法、変更理由などを含む。)H18.3.27以降発生した文書」の開示決定に対する異議申立てに係る答申書

群馬県公文書開示審査会
第二部会

第1 審査会の結論

 実施機関の決定は妥当であり、取り消す必要はない。

第2 諮問事案の概要

1 公文書開示請求

 異議申立人(以下「申立人」という。)は、群馬県情報公開条例(以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県知事(以下「実施機関」という。)に対し、平成17年7月3日付けで、「○○市△△地区で建設中の◇◇◇◇(株)(以下「当該法人」という。)の廃棄物処分場から外部に排出される雨水および浸出液処理水を含む排水の敷設場所の変更に係る手続き書類一式(変更前と変更後の排水路の敷設位置、ルート、断面、工法、変更理由などを含む。)」の開示請求を行った(受付日は平成18年7月4日)。

また、平成18年7月6日、請求年月日が「平成17年7月3日」から「平成18年7月3日」に修正され、「開示を請求する公文書の内容又は件名」に「H18.3.27以降発生した文書」が付け加えられる補正がなされた。(以下「本件請求」という。)

2 実施機関の決定

 実施機関は、平成18年7月18日、本件請求に係る公文書を「○○市△△地区で建設中の当該法人の廃棄物処分場から外部に排出される雨水および浸出液処理水を含む排水の敷設場所の変更に係る手続き書類一式(変更前と変更後の排水路の敷設位置、ルート、断面、工法、変更理由などを含む。)H18.3.27以降発生した文書」(以下「本件公文書」という。)であると判断し、「平成18年4月14日付けで提出された一般廃棄物処理施設軽微変更等届出書(以下「軽微変更等届出書」という。)」を特定し、開示決定(以下「本件処分1」という。)を行い、申立人に通知した。

なお、実施機関は、補正前の開示請求に係る公文書として「河川法第55条第1項の許可申請書類」及び「農地法第3条第1項の規定による許可申請書類」を特定し、平成18年7月31日、それぞれ部分開示決定(以下「本件処分2」及び「本件処分3」という。)を行い、申立人に通知している。

3 異議申立て

 申立人は、行政不服審査法第6条の規定に基づき、平成18年8月2日付けで、平成18年3月13日の開示決定(当該決定は答申第98号に係る開示決定である。)及び本件処分1を不服として実施機関に対し異議申立てを行った。

4 諮問

 実施機関は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して、平成18年10月16日、本件異議申立て事案の諮問(以下「本件事案」という。)を行った。

また、同日付けで、平成18年3月13日の開示決定に対する異議申立ての部分については、行政不服審査法で定められている不服申立て期間を経過しているとの理由で却下を行った。

第3 争点

 実施機関が本件公文書を特定して開示したことが妥当であったか。

第4 争点に対する当事者の主張

(1)申立人の主張要旨

ア 本件公文書のうち、変更に伴う申請書および届出書、申請および届出に対してなぜ軽微な変更だと判断したのか、その根拠を示す庁議などの協議書類、排水路ルート変更に伴う施設境界確認書類等、変更手続に関する書類が開示されなかった。

当該文書は、実際に存在していることが、手続き上、必要であり、申立人が開示請求した「変更に係る手続書類一式」とする請求内容を満たしていない。

イ 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)によれば、軽微であってもなくても、次の事項の変更をしようとする場合には、許可若しくは遅滞なく届出をしなければならないとされている。

(ア) 一般廃棄物処理施設において処理する一般廃棄物の種類

(イ) 一般廃棄物処理施設の処理能力(一般廃棄物の最終処分場である場合にあっては、一般廃棄物の埋立処分の用に供される場所の面積及び埋立容量)

(ウ) 一般廃棄物処理施設の位置、構造等の設置に関する計画

(エ) 一般廃棄物処理施設の維持管理に関する計画

なぜ、軽微な変更と知事が判断したのか、開示された文書を何度も見直しても、その経緯と根拠の記載が見当たらない。

ウ 実施機関は、当該法人の処分場の毒水を下流にながる(意見書記載のとおり。)ための配水管(意見書記載のとおり。以下同様。)の施設ルート(意見書記載のとおり。以下同様。)の変更について、排水口の変更を知りながら、軽微の変更として黙認するために、故意に「施設ルートの変更」としたことも疑わせる。しかし、そのような違法行為を実施機関がすることは常識的に見て考えられないことである。

したがって、当該法人が配水管の施設ルート変更にかかる届出に対して、軽微な変更と判断した根拠、すなわち、処理に伴い生ずる排水の処理方法(排出の方法(排出口の位置、排出先等を含む。)の観点から、配水口(意見書記載のとおり。)の位置の変更がなかったと特定した公文書があったはずである。

エ 実施機関の回答は、「変更前の施設ルートも図示されている」としていることから、排水口の場所が変更になったことを認識していたことをうかがわせる。しかし、うっかりして見逃してしまい、”軽微な変更”として扱ってしまった、という可能性も否定できない。はっきりとこの点について、判断根拠が示されない限り、違法かどうかの判断がつきかねる。

万が一、実施機関が排水口の場所が変更になったことを認識していたのを知りながら、当該法人に対して”軽微な変更”として本件処分を行ったとなると、違法行為になるので、このところの判断を第三者機関である審査会がきちんとしなければ、実施機関の無法行為は今後も再発し、県民の財産と安全な生活を脅かすであろう。

(2)実施機関の主張

ア 本件請求において開示請求書に記載されていた「開示を請求する公文書の内容又は件名」は本件公文書であり、本件請求で求められている公文書に該当するものとして、当該法人から平成18年4月14日付けで提出された軽微変更等届出書を特定し、当該届出書一式を開示した。

イ また、本件請求で求められている公文書は、「○○市△△地区で建設中の当該法人の一般廃棄物最終処分場(以下「本件処分場」という。)から外部に排出される雨水及び浸出液処理水を含む排水の敷設場所の変更(以下「地区外排水の変更」という。)に係る公文書で、廃棄物処理法の手続き上発生したもの(ただし、平成18年3月27日以降発生した文書)」であると判断した。

ウ 一般廃棄物最終処分場の変更に関する手続については、廃棄物処理法上、同法第9条第1項の規定による変更の許可と同法第9条第3項の規定による軽微な変更等の届出とが定められている。

本件請求日(平成18年7月3日)現在において、当該法人から提出された変更に関する書類で、平成18年3月27日以降発生したものは、「廃棄物処理法第9条第3項の規定による平成18年4月14日付け軽微変更等届出書」のみである。

当該届出書は、本件処分場の浸出液処理水の排水管の敷設ルートの変更に関する届出であることから、地区外排水の変更に関する文書として当該届出書一式を開示した。

なお、当該届出書には、当該届出に係る変更理由の記載もあり、また、当該届出書の添付図面には、浸出液処理水の排水管の変更前の敷設ルートも図示されている。(浸出液処理水の排水管の変更前の平面図、縦断図、構造図等については、別の開示請求手続において、申立人のうち○○○氏に開示し、写しを交付済みである。)

申立人は異議申立書の中で、「変更に伴う申請書及び届出書、申請及び届出に対して、なぜ「軽微な変更」だと判断したのか、その根拠を示す庁議などの協議書類等、排水路ルート変更に伴う施設境界確認書類等、変更手続に関する書類が開示されなかった。」と主張しているが、本件請求で求められている公文書は、開示請求書の記載内容から、廃棄物処理法の手続き上の書類であると解し、上記のとおり文書を特定し、開示したものである。

エ なお、地区外排水の変更に伴い、実施機関に対して行われた手続きのうち、廃棄物処理法以外の法令に基づいて行われたものについては、○○土木事務所及び△△農業事務所が別途開示決定等の処分を行っている。

第5 審査会の判断

本件事案は、公文書開示決定に対する異議申立てに関するものであるため、当審査会は、実施機関の文書の特定が妥当であったか否かを検討する。

(1)本件公文書の特定の妥当性について

 申立人は、開示請求書において、「・・・変更に係る手続き書類一式(変更前と変更後の排水路の敷設位置、ルート、断面、工法、変更理由などを含む。)H18.3.27以降発生した文書」と記載している。これに対して実施機関は、当該法人から提出された「平成18年4月14日付け軽微変更等届出書」を本件請求に係る文書として特定しており、この特定の妥当性について検討する。

当審査会が実施機関に確認したところ、廃棄物処理法で定められた手続きで、「平成10年6月10日付け設置許可申請書」以降、本件処分場に関し当該法人が実施機関に提出した変更に関する書類は、主に地区外排水管構造等の変更(管の材質の一部変更、マンホールの変更等)を行う「平成17年7月12日付け軽微変更等届出書」及び、主に地区外排水管の敷設ルートの変更を行う「平成18年4月14日付け軽微変更等届出書」であった。

したがって、本件請求は「H18.3.27以降発生した文書」であることからも、「平成18年4月14日付け軽微変更等届出書」が本件請求の対象文書となることは明らかである。

次に、申立人が異議申立書において、「変更に伴う申請書および届出書、申請および届出に対してなぜ軽微な変更だと判断したのか、その根拠を示す庁議などの協議書類、排水路ルート変更に伴う施設境界確認書類等」が開示されなかったと主張していることについてであるが、公文書開示制度は、開示請求書の記載から公文書を特定する制度であることから、開示請求書に記載された「手続き書類一式」が「庁議などの協議書類」及び「施設境界確認書類等」までを含むのかどうかが問題となる。

まず、「庁議などの協議書類」についてであるが、当審査会が実施機関に確認したところ、「手続き書類一式」という文言から廃棄物処理法の手続き上発生した文書であると判断したとのことであるが、平成18年3月27日から本件請求日までの間に「平成18年4月14日付け軽微変更等届出書」の他に本件処分場の変更に関する書類は作成、取得しなかったとのことであった。

廃棄物処理法第9条第3項には、一般廃棄物最終処分場の設置許可を受け、その後に軽微な変更をしたときは、「・・・その旨を都道府県知事に届け出なければならない。」と規定があり、法の定める手続きとしては、「軽微変更等届出書」を実施機関に提出することで足り、軽微変更等届出書を受理する前に設置者と協議することまで求められてはいない。また、行政指導としてそのような協議を求めるということもない、とのことであった。

一般に「手続き」とは、事を行う順序や方法をいい、必ずしも実施機関の主張するような法令に規定された手続きのみに限定するとまではいえないものの、本件請求に当たって、「平成18年4月14日付け軽微変更等届出書」を特定したとする実施機関の説明に、特段不合理な点は認められない。

次に、「排水路ルート変更に伴う施設境界確認書類等」についてであるが、当審査会が確認をしたところ、「平成18年4月14日付け軽微変更等届出書」は当該届出書の鑑に、「軽微変更概要説明」、排水路ルート変更に係る「平面図」、「縦断図」、「処理水放流施設構造図」及び「流量計算書」が添付された一式であり、この全てが申立人には開示されている。

また、実施機関は、本件処分2及び本件処分3として「河川法第55条第1項の許可申請書類」及び「農地法第3条第1項の規定による許可申請書類」を特定し、部分開示決定を行っているところであるが、これら河川法や農地法の手続き書類及び申立人のいう「施設境界確認書類」のような廃棄物処理法で定められた手続き以外の書類は、本件処分1の事務を分掌する廃棄物政策課には提出されておらず、また、通常も設置者に提出を求めることはないとのことであり、この実施機関の説明に特段不合理な点は認められない。

(2)結論

以上のことから、実施機関が本件公文書を特定して開示決定をしたことは妥当であると認められるため、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。

なお、申立人はその他種々主張するが、本答申の判断を左右するものではない。

第6 審査の経過

 当審査会の処理経過は、以下のとおりである。

審査会の処理経過

年月日

内容

平成18年10月16日 諮問
平成18年11月28日 実施機関からの理由説明書を受領

平成18年12月26日

申立人からの意見書を受領

平成19年3月19日

(第7回 第二部会)

審議(本件事案の概要説明)

(実施機関の口頭による意見聴取)

平成19年5月14日

(第8回 第二部会)

審議

平成19年6月25日

(第9回 第二部会)

審議

平成19年6月28日

答申