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公文書開示審査会答申第100号

更新日:2011年3月1日 印刷ページ表示

(1)県から公衆用道路用地として旧○○村に譲与した、旧○○村○○▲▲-▲及び旧○○村○○▲▲-▲の土地の現在(平成18年5月)の公図

(2)旧○○村○○▲▲-▲及び旧○○村○○▲▲-▲の土地について、県が○○法務局に行った表示嘱託登記手続き書(表示嘱託登記申請書)

の公文書不存在決定に対する異議申立てに係る答申書に係る答申書

群馬県公文書開示審査会
第一部会

第1 審査会の結論

 実施機関の決定のうち、「県から公衆用道路用地として旧○○村に譲与した、旧○○村○○▲▲-▲及び旧○○村○○▲▲-▲の土地の現在(平成18年5月)の公図」の公文書不存在決定は妥当であるが、「旧○○村○○▲▲-▲及び旧○○村○○▲▲-▲の土地について、県が○○法務局に行った表示嘱託登記手続き書(表示嘱託登記申請書)」の公文書不存在決定は妥当ではなく、公文書を特定し直した上で改めて決定すべきである。

第2 諮問事案の概要

1 公文書開示請求

 異議申立人(以下「申立人」という。)は、群馬県情報公開条例(以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県知事(以下「実施機関」という。)に対し、平成18年5月26日付けで、「昭和64年1月6日作制者群馬県○○部○○課主事○○氏 ○○氏は測量士ですか 存在していない土地を測量したのですか 県の職員ですか ○○測量○○氏は測量していない 偽造土地表示嘱託書と言っている」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

2 実施機関の決定

 (1)実施機関は、平成18年6月8日及び同月15日の2回にわたり、本件請求に係る公文書を特定できないとして、条例第12条第2項に基づき、相当の期間を定め、申立人に補正を求めたところ、同月12日及び26日付けで補正書が提出された。

 (2)実施機関は最終補正後の対象公文書を、「県から公衆用道路用地として旧○○村に譲与した、旧○○村○○▲▲-▲及び旧○○村○○▲▲-▲の土地の現在(平成18年5月)の公図」(以下「本件公文書1」という。)及び「旧○○村○○▲▲-▲及び旧○○村○○▲▲-▲の土地について、県が○○法務局に行った表示嘱託登記手続き書(表示嘱託登記申請書)」(以下「本件公文書2」という。)であると判断し、平成18年8月8日、本件公文書1について公文書不存在決定(以下「本件処分1」という。)を行い、不存在の理由を次のとおり付して、申立人に通知した。

当実施機関では保有していないため。

 また、本件公文書2についても同日、公文書不存在決定(以下「本件処分2」という。)を行い、不存在の理由を次のとおり付して、申立人に通知した。

該当文書の所在が不明なため。

3 異議申立て

 申立人は、行政不服審査法第6条の規定に基づき、平成18年8月16日付けで、本件処分1及び本件処分2を不服として実施機関に対しそれぞれ異議申立てを行った。

4 諮問

 実施機関は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して、平成18年10月19日付けで、本件異議申立て事案の諮問を行った。

第3 争点

1 本件処分1の妥当性について

 本件公文書1は不存在であるとした決定は妥当であるか。

2 本件処分2の妥当性について

 本件公文書2は不存在であるとした決定は妥当であるか。

第4 争点に対する当事者の主張

1 争点1(本件公文書1の不存在決定について)

(1)申立人の主張要旨

 ○○▲▲-▲及び○○▲▲-▲に係る土地表示登記嘱託書は、偽造土地表示嘱託書である。存在していない土地を公衆用道路として譲与し、保存登記している。また、法務局に嘘の登記申請を嘱託登記という制度を使用するため開拓財産でないのに開拓財産として旧○○村が資料作成したものである。県では保有していないとする決定通知書は偽造公文書である。
 申立人は不動産登記法第14条、120条の公図を求めたもので、不存在決定は同法違反である。この2件の現在の公図は不正登記であるので○○法務局にも存在しない。よって虚偽であり、不当な処分、不当な公権力行使である。

(2)実施機関の主張

 開示請求のあった「現在の公図」は法務局で備え付けられている地図であり県では保有していないため。

2 争点2(本件公文書2の不存在決定について)

(1)申立人の主張要旨

 実施機関は該当文書の所在が不明であることを理由としているが、申立人は平成17年8月23日付けで表示登記嘱託書の開示を実施機関から受けている。なぜ嘘の公文書不存在決定をするのか。この2件は○○課担当者が作成した偽造土地表示登記嘱託書であり県は同人の不正隠ぺいのため非開示としたと思われる。

(2)実施機関の主張

 開示請求公文書は「表示嘱託登記の申請書」と判断し、これを探したところ、当該公文書の発生年度(昭和63年度)当時の嘱託登記に係る県の起案方法は、現在の方法(a起案文書作成→b回議→c決裁→d施行)でない方法(公印伺簿に件名を登載し処理する方法)がとられており、その公印伺簿に今回請求された土地の表示嘱託登記に関すると思われる件名の記載はあったが、発見できなかった。
 申立人が開示を受けた公文書は「登記済み」のものであり、今回開示請求された「登記申請時のものではない」と考えている。

第5 審査会の判断

1 争点1(本件公文書1の不存在決定について)

(1)本件公文書1の特定について

 申立人は、特定の2筆の土地(旧○○村○○▲▲-▲及び○○▲▲-▲)についての不動産登記法上の公図を求めているものと認められるところ、実施機関はいわゆる公図は法務局が備え付けている地図であるとの理由で公文書不存在決定を行ったものであるが、申立人は審査会に提出した意見書において、不動産登記法第120条(地図の写しの交付等)の公図を求めていると述べている。
 一般に、ある公文書の開示を請求する段階で、当該公文書が原本であるのか写しであるのかを開示請求者が判断することは困難であり、特に本件事案においてはいわゆる公図の請求であることから、開示請求時において公図の写しも請求されているとの判断を実施機関に求めることは格別厳しいものではないと考えられる。
 したがって、公図の写しについても求めているものとして本件公文書1を特定すべきであったと認められる。

(2)本件公文書1の不存在について

 いわゆる公図そのものは不動産登記法の規定により登記所に備え付けられるものであるところ、登記所は国の行政機関であり条例の実施機関ではない。
 また、(1)で述べたように、公図の写しも公文書として特定すべきであると考えられるため、審査会では実施機関に対し本件事案に関連する一連の公文書の提示を求めたところ、実施機関から提示があり、確認した限りでは、当該2筆の土地の平成18年5月現在の公図の写しは存在しなかった。
 したがって、本件公文書1について不存在であるとした実施機関の決定は結論としては妥当である。
 なお、申立人は不存在決定が取り消されるべきである理由として、表示登記及び保存登記の際に違法行為があったと主張しているが、条例に基づく公文書開示制度は、実施機関が保有する公文書について、あるがままの状態で開示を行うものであり、その公文書の作成・取得の事情は問わないものであるため、仮にそのような違法行為があったとしても、不存在決定を取り消す理由とは認められないものである。

2 争点2(本件公文書2の不存在決定について)

(1)本件公文書2の特定について

 申立人は、平成17年8月23日付けで表示登記嘱託書の開示を受けており公文書不存在決定は嘘である旨を異議申立書で述べていることから、当該土地表示登記嘱託書(以下「登記嘱託書」という。)も本件公文書2として特定すべきであるとの主張であると認められる。
 一方、実施機関は、申立人に対し「平成元年3月10日付け旧○○村の譲与した開拓財産(20箇所・○○▲▲-▲、○○▲▲-▲を含む)を表示登記した際の嘱託書副本及び添付書類」の開示請求により、既に当該文書の全部開示を行っていることから、申立人が同一の文書を再度請求する意思はないと考え、登記嘱託の意思決定を行ったことが分かる文書すなわち起案文書が対象公文書であると判断し、「旧○○村○○▲▲-▲及び旧○○村○○▲▲-▲の土地について、県が○○法務局に行った表示嘱託登記手続き書(表示嘱託登記申請書)」を本件公文書2として特定したものと認められる。
 ところで、本件公文書2に係る開示請求書の記載(最終補正後のもの)は「○○▲▲-▲番及び○○▲▲-▲番の県○○課の嘱託表示登記指示文章」であることからすると、実施機関が対象公文書を当該土地表示登記嘱託の意思決定を行ったことが分かる文書であると判断したことは特段不合理ではない。しかし、申立人に開示済みの登記嘱託書には農林水産省所管不動産登記嘱託職員としての群馬県知事の公印が押印されていることから、登記嘱託書は、条例第18条の決定を行うまでに開示請求者からの明確な意思表示がない限り、実施機関としての登記嘱託の意思決定が表示されている文書であると考えることが妥当である。
 したがって、実施機関が申立人の意思を確認することなく対象公文書を起案文書に限定したことは妥当ではなく、当該土地表示登記嘱託の意思決定を行ったことが分かる文書すべてを対象公文書として特定すべきであった。

(2)本件公文書2の不存在について

 申立人は、大要、登記嘱託書を偽造したことを隠ぺいするため、既に開示を受けている公文書についても不存在決定したものであると主張し、実施機関は、当時の事務慣行として、登記嘱託に関する起案文書を作成していなかったと主張する。
 しかし、(1)で判断したとおり、土地表示登記嘱託の意思決定を行ったことが分かる文書は、登記嘱託書を含め、すべて対象公文書とすべきであるから、公文書不存在決定は妥当ではない。

3 結論

 以上により、「第1 審査会の結論」のとおり、実施機関の行った処分のうち、本件処分1は妥当であるが、本件処分2については公文書を特定し直した上で改めて決定すべきであると判断する。
 なお、申立人はその他種々主張するが、審査会の判断を左右するものではない。

第6 審査の経過

 当審査会の処理経過は、以下のとおりである。

審査会の処理経過

年月日 内容
平成18年10月19日 諮問
平成18年12月1日 実施機関からの理由説明書を受領
平成19年2月20日 異議申立人からの意見書を受領
平成19年3月8日
(第7回 第一部会)
審議(本件事案の概要説明)
平成19年5月11日
(第8回 第一部会)
審議(インカメラ審理)
平成19年6月18日
(第9回 第一部会)
審議
平成19年7月23日
(第10回 第一部会)
審議
平成19年7月24日 答申