ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 組織からさがす > 生活こども部 > 県民活動支援・広聴課 > 公文書開示審査会答申第101号

本文

公文書開示審査会答申第101号

更新日:2011年3月1日 印刷ページ表示

(1)「群馬県の農産物の宣伝に対し△△△△とのコマーシャル契約書及び費用支払書(平成15年度県実施分)」の部分開示決定、

(2)「群馬県の農産物の宣伝に対し△△△△とのコマーシャル契約書及び費用支払書(平成15~17年度分)」県議会の議事録(平成15年度~17年度分)」の不存在決定、

(3)「□□□□へのコマーシャルするなとした不正指示文書」の不存在決定

に対する異議申立てに係る答申書

群馬県公文書開示審査会
第二部会

第1 審査会の結論

 実施機関の決定のうち、「群馬県の農産物の宣伝に対し△△△△とのコマーシャル契約書及び費用支払書(平成15~17年度分)」及び「□□□□へのコマーシャルするなとした不正指示文書」の公文書不存在決定は妥当であるが、「群馬県の農産物の宣伝に対し△△△△とのコマーシャル契約書及び費用支払書(平成15年度県実施分)」の公文書部分開示決定は妥当ではなく、供覧用紙も含めた公文書全体を特定して、改めて決定をすべきである。

第2 諮問事案の概要

1 公文書開示請求

 異議申立人(以下「申立人」という。)は、群馬県情報公開条例(以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県知事(以下「実施機関」という。)に対し、平成18年5月26日付けで、「平成17年9月30日付公開質問状の回答を求めます。平成18年1月10日、平成18年2月20日、平成18年3月27日に続いての請求です(県の開示文章、当方への解答の矛盾・疑問です)」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

2 実施機関の決定

(1)実施機関は、平成18年6月12日、本件請求に係る公文書を特定できないとして、条例第12条第2項に基づき、相当の期間を定め、申立人に補正を求めたところ、同月19日付けで補正書が提出された(その後、「開示の実施方法」について、再度の補正依頼及び補正がされている)。

(2)実施機関は補正後の対象公文書を、「(1)群馬県の農産物の宣伝に対し△△△△とのコマーシャル契約書及び費用支払書(平成15年度県実施分)」(以下「本件公文書1」という。)、「(2)群馬県の農産物の宣伝に対し△△△△とのコマーシャル契約書及び費用支払書(平成15~17年度分)県議会の議事録(平成15年度~17年度分)」(以下「本件公文書2」という。)及び「(3)□□□□へのコマーシャルするなとした不正指示文書」(以下「本件公文書3」という。)であると判断した。

(3)実施機関は、平成18年7月12日、本件公文書1について公文書部分開示決定(以下「本件処分1」という。)を行い、一部開示しない理由を次のとおり付して、申立人に通知した。

 条例第14条第2号該当

 請求書中の担当者印影は、開示することにより、特定の個人が識別されるため。

 条例第14条第3号該当

 支出回議書中の相手方の口座番号は、開示することにより、法人の正当な利益を害するおそれがあるため。

 また、本件公文書2について、同日、公文書不存在決定(以下「本件処分2」という。)を行い、不存在の理由を次のとおり付して、申立人に通知した。

 △△△△における県産農産物のコマーシャル事業については、事業実施主体が□□□□である。したがって、事業に係る契約書や経費支出に関する書類は県では保有していないため。

 県議会の議事録については、議会の一般質問等で取りあげられていないため保有していないため。

 また、本件公文書3について、同日、公文書不存在決定(以下「本件処分3」という。)を行い、不存在の理由を次のとおり付して、申立人に通知した。

 県では、県産農産物のイメージを消費者に定着させるとともに、生産振興及び消費拡大を図るために□□□□で行う「グッドぐんまの新鮮野菜PR事業」に対して補助を行っている。したがって、事業の趣旨に反するような文書は存在しないため。

3 異議申立て

 申立人は、行政不服審査法第6条の規定に基づき、平成18年7月18日付けで、本件処分1、本件処分2及び本件処分3を不服として実施機関に対し異議申立て(以下「異議申立て1」という。)を行うとともに、同日付けで、本件処分2を不服として実施機関に対し異議申立て(以下「異議申立て2」という。)を行った。

4 諮問

 実施機関は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して、平成18年10月26日、本件異議申立て1事案及び異議申立て2事案の諮問を行った。

第3 争点

1 本件処分1の条例第14条第2号該当性及び第3号イ該当性

 本件公文書1で非開示とした部分が、条例第14条第2号及び第3号イに該当するか。

2 本件処分2の妥当性

 本件公文書2は不存在であるとした決定は妥当であるか。

3 本件処分3の妥当性

 本件公文書3は不存在であるとした決定は妥当であるか。

第4 争点に対する当事者の主張

1 争点1(本件処分1の条例第14条第2号該当性及び第3号イ該当性について)

(1)申立人の主張要旨

 汚染農産物が出荷されている事実を知りながらのイメージアップは刑法、土地改良法、産業廃棄物処理法、食品安全衛生法等に違反するのをインペイした。条例第1条、条例第14条第2号ロ及び第3号の「人の生命、健康、生活、財産を保護」に該当し、開示文章はインペイ偽造である。

(2)実施機関の主張

 「グッドぐんまの新鮮野菜PR事業」は、□□□□が実施している事業に対して県が補助金を交付するものであるが、平成15年度においては、より強力に県産農産物のPRを行うために県の直接事業として「知事コマーシャル」を新たに制作し、期間を絞って集中的に放送を行った。したがって、平成15年度、県が直接契約した部分については、条例に定める個人情報(個人の印影)及び法人情報(口座情報等)を除き部分開示決定したものである。

ア 条例第14条第2号該当性

 本件公文書1の○○○○の従業員が押印した承認印及び担当印は、法人を代表して押印したというより、あくまでも当該法人での内部決裁のため押印したのではないかと推認されるものであり、条例第14条第2号本文に該当し、イ、ロ、ハのただし書のいずれにも該当しない。

イ 条例第14条第3号イ該当性

 本件公文書1の○○○○の口座番号は、通常、広告会社は口座情報を不特定多数に公開しているものと認められず、取引のあった債務者のみ等に対して明らかにしていると認められるので、開示すると法人の正当な利益を害するおそれがあると判断し、非開示とした。め。

2 争点2(本件公文書2の不存在決定について)

(1)申立人の主張要旨

 県農政部、県廃棄物政策課、県中部農業事務所、前橋市は県営ほ場整備事業で産業廃棄物の大量投棄を区域内に行った事実を知っている。当然、小寺知事が知らないわけがない。グッドぐんまの新鮮野菜とするイメージアップのためのコマーシャルは、汚染農産物のインペイである。県は当然のことながら事実を公表し産廃物質を撤去し安全性を証明する義務がある。県はこのような不正の事実を知りながら消費者及び耕作者をだまし続けている。(異議申立て1)

 また、契約等は□□□□とする。よって、□□□□に対し条例第20条の適用を求める。(異議申立て2)

(2)実施機関の主張

 県は、□□□□が実施している事業に対して補助金を交付するものであり、○○○○との契約書及び支払書については、事業実施主体である□□□□で保管管理しており、県では保有をしていない。

 また、県議会の議事録については、求める期間中においては、県議会(一般質問、委員会)において一般質問、委員会質問等がなされなかったため保有していない。

2 争点3(本件公文書3の不存在決定について)

(1)申立人の主張要旨

 消費者には知事が△△△△コマーシャルに直接出演し信用させ、汚染地から生産された農産物の消費拡大を税金を使用して県民(国民)をだまし続けている。この不正インペイを当方に指摘された県はあわてて□□□□にラジオコマーシャルの縮小の指示を出したのは事実である。申立人が平成18年2月2日に□□の●●氏に苦情を伝えたところ、その後急に△△△△のコマーシャルが少なくなったということは不正指示の文書はないが不正の指示は当然あったと思われる。

(2)実施機関の主張

 「グッドぐんまの新鮮野菜PR事業」は、首都圏を中心とした消費者に対し、本県の農産物の周知、消費拡大を行うために、□□□□の行う事業に対して補助金を交付しているものであり、開示請求のあった期間についても、補助事業は適正に実施されており、これに対して補助金を交付しているものである。したがって、開示請求のあった不正指示文書については、事業の趣旨からしても存在し得ないものである。

第5 審査会の判断

 当審査会は、本件事案について審査した結果、次のとおりと判断する。

1 争点1本件処分1の条例第14条第2号該当性及び第3号イ該当性について)

(1)本件公文書1の特定について

 申立人は、「群馬県の農産物の宣伝に対し△△△△とのコマーシャル契約書及び費用支払書」を請求している。これに対して実施機関は、△△△△ラジオにおけるコマーシャルに関しては、通常、△△△△ラジオと直接に契約をすることはなく、コマーシャル放送枠を持っている広告代理店と契約をするものであることから、申立人が求めている請求意図が、△△△△ラジオにおけるコマーシャル放送を行う際に取り交わされた契約書等であると考え、実施機関が平成15年度に制作、放送したコマーシャルに関して、広告代理店である○○○○広告との契約書及び支出回議書を特定したと主張する。

 この実施機関の特定について、申立人は特に異議を申し立てておらず、実施機関が△△△△ラジオにおけるコマーシャル放送を行う際に取り交わされた契約書等であると判断したことは特段不合理ではないが、今回の特定に当たって、実施機関は申立人の意思を確認しておらず、本来であれば、請求の内容が「△△△△とのコマーシャル契約書及び費用支払書」であり、申立人から特段の意思表示がない限り、契約の相手方は△△△△に限定されると解することが通常であることから、申立人の意思を確認した上で特定を行うべきであった。

 また、審査会は実施機関に対し本件事案に関連する公文書の提示を求め、公文書を確認したところ、○○○○との契約書には、所属内で供覧した供覧用紙が添付されていた。本件処分1で申立人に開示した文書には、供覧用紙は含まれておらず、実施機関に確認をしたところ、本件処分1を行うに当たり、申立人から公文書1だけでよいという明確な意思を確認していないとのことであった。

 条例に基づく開示請求の対象は「情報」ではなく「公文書」であるから、請求の対象を情報単位で特定できたとしても当該情報が記録されている公文書全体が請求の対象となるというべきであり、実施機関の取扱いとしては、開示請求者からの明確な意思表示があれば、公文書の一部を頁単位で「請求対象外」としているところである。

 したがって、実施機関が申立人の意思を確認することなく対象公文書から供覧用紙を除いたことは妥当ではなく、供覧用紙も含め対象公文書として特定すべきであった。

(2)条例第14条第2号該当性

 本件公文書1で実施機関が非開示とした情報が、条例第14条第2号に該当するかどうかについて検討する。

 争点1に関する本件公文書1における非開示情報のうち、請求書中の○○○○従業員の承認印及び担当印の印影は、審査会で確認したところ、すべて○○○○従業員の個人印であり、法人を代表して押印したものではないと認められるため、条例第14条第2号本文に該当するととともに、ただし書イ、ロ及びハのいずれにも該当しないことは明らかであるため、非開示とすべき個人情報に該当する。

(3)条例第14条第3号イ該当性

 次に、本件公文書1で実施機関が非開示とした、支出回議書に記載された○○○○の振込先金融機関名、支店名及び口座番号の口座情報が、条例第14条第3号イに該当するかどうかについて検討する。

 実施機関は、通常、広告会社は口座情報を不特定多数に公開しているものと認められず、取引のあった債務者のみ等に対して明らかにしていると認められるので、開示すると法人の正当な利益を害するおそれがあると主張する。審査会で確認したところ、○○○○が作成し実施機関に交付した請求書には、○○○○の振込先金融機関名、支店名及び口座番号の口座情報は記載されていない。

 このような情報管理の実態及び当該法人が属する業界の取引状況等を考慮すると、これらの情報は不特定多数の顧客に知られることを容認し、そうした状態に置いているとは考え難く、○○○○の内部限りで管理している情報であると認められることから条例第14条第3号イに該当するとともに、本文ただし書にも該当しないことは明らかであるため、非開示とすべき法人等事業情報に該当する。

2 争点2(本件公文書2の不存在決定について)

 申立人は、異議申立て1において、グッドぐんまの新鮮野菜とするイメージアップのためのコマーシャルは、汚染農産物のインペイであり、県はこのような不正の事実を知りながら消費者及び耕作者をだまし続けていると主張し、異議申立て2において、□□□□に対し条例第20条の適用を求めると主張する。

 一方、実施機関は、○○○○との契約書及び支払書については、事業実施主体である□□□□で保管管理しており、県では保有をしておらず、県議会の議事録(平成15年度~17年度)についても、県議会において一般質問、委員会質問等がなされていなかったため存在しないと主張する。

   「公文書を保有していない」という類型には、(1)そもそも作成又は取得していない、(2)作成又は取得したが保存期間満了により廃棄済み、及び(3)開示請求の対象となる「公文書」ではないという3つの場合が含まれる。実施機関の主張は、そもそも作成又は取得していない場合であると考えられるので、本件公文書2が物理的に存在していなければ、実施機関の決定は妥当であったことになる。

 審査会は、本件事案に関連する公文書の提示を実施機関から受けたが、確認した限りでは、△△△△ラジオにおける県産農産物のコマーシャル事業に関する□□□□と○○○○との契約書及び費用支払書は存在しなかった。

 したがって、本件公文書2を不存在であるとした実施機関の決定は妥当である。

 また、申立人は、異議申立て2において、条例第20条により□□□□に事案の移送を求めると主張する。実施機関はこのことについて特段主張はしていないが、条例第20条第1項では「実施機関は、開示請求に係る公文書が他の実施機関により作成されたものであるときその他他の実施機関において開示決定等をすることにつき正当な理由があるときは、当該他の実施機関と協議の上、当該他の実施機関に対し、事案を移送することができる」と規定しており、□□□□は、条例第2条第1項で定義している「実施機関」には当たらないことから、申立人の主張は認められない。

 なお、申立人は、異議申立て1及び異議申立て2において、県議会の議事録(平成15年度~17年度)の不存在決定については異議を申し立てていないことから、当該決定の妥当性については判断しない。

3 争点3(本件公文書3の不存在決定について)

 申立人は、不正及び隠ぺいを申立人に指摘された県が□□□□にラジオコマーシャル縮小の指示を出したのは事実であり、コマーシャルが少なくなったということは不正の指示は当然あると主張しているものと認められる。

 一方、実施機関は、「グッドぐんまの新鮮野菜PR事業」は首都圏を中心とした消費者に対し、本県の農産物の周知、消費拡大を行うための事業であり、事業の趣旨からしても存在し得ないと主張する。

   「公文書を保有していない」という類型には、上記2で述べたように3つの場合があり、実施機関は、そもそも作成又は取得していない場合であると主張していると考えられるため、本件公文書3は物理的に存在していなければ、実施機関の決定は妥当であったことになる。

 審査会は、本件事案についての概要の説明を実施機関から受けたが、申立人が主張する△△△△ラジオにおけるコマーシャル回数が減ったということは認められなかった。また、本件事案に関連する公文書の提示を実施機関から受けたが、確認した限りでは、実施機関が□□□□に対してコマーシャルを縮小するよう指示をしたことをうかがわせるような文書は存在しなかった。

 したがって、本件公文書3を不存在であるとした実施機関の決定は妥当である。

3 結論

 以上により、「第1 審査会の結論」のとおりであると判断する。

 なお、申立人はその他種々主張するが、審査会の判断を左右するものではない。

第6 審査の経過

 当審査会の処理経過は、以下のとおりである。

審査会の処理経過

年月日 内容
平成18年10月26日 諮問
平成19年3月16日 実施機関からの理由説明書を受領
平成19年3月27日 異議申立人からの意見書を受領
平成19年5月14日
(第8回 第二部会)
審議(本件事案の概要説明)

 (実施機関からの意見聴取)

平成19年6月25日
(第9回 第二部会)
審議
平成19年7月25日
(第10回 第二部会)
審議(インカメラ審理)
平成19年8月28日
(第11回 第二部会)
審議
平成19年9月6日 答申