ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 組織からさがす > 生活こども部 > 県民活動支援・広聴課 > 公文書開示審査会答申第102号

本文

公文書開示審査会答申第102号

更新日:2011年3月1日 印刷ページ表示

「答申第74号(諮問第69号)第4(1)ア~キに記載されたことについて、県民センターが保有する、実施機関による不正の隠蔽と揉み消しを否定、あるいはその不存在を証明する文書 【対象公文書】第122回群馬県公文書開示審査会議事録について」の部分開示決定に対する異議申立てに係る答申書

群馬県公文書開示審査会
第一部会

第1 審査会の結論

 実施機関の決定は妥当であり、取り消す必要はない。

第2 諮問事案の概要

1 公文書開示請求

 異議申立人(以下「申立人」という。)は、群馬県情報公開条例(以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県知事(以下「実施機関」という。)に対し、平成18年11月11日付けで、「答申第74号(諮問第69号)第4(1)ア~キに示される事実について、県民センターが保有する、実施機関による不正の隠蔽と揉み消しを否定、あるいはその不存在を証明する文書」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

2 実施機関の決定

 実施機関は、平成18年11月24日、本件請求に係る公文書を「答申第74号(諮問第69号)第4(1)ア~キに記載されたことについて、県民センターが保有する、実施機関による不正の隠蔽と揉み消しを否定、あるいはその不存在を証明する文書【対象公文書】第122回群馬県公文書開示審査会議事録について」(以下「本件公文書」という。)であると判断し、条例第14条第1号及び第2号に該当する情報が含まれていることを理由として、部分開示決定(以下「本件処分」という。)を行い、本件公文書を一部開示しない理由を次のとおり付して、申立人に通知した。

 (1)第122回群馬県公文書開示審査会議事録(以下「第122回議事録」という。)

 (開示しない部分の概要及びその理由)

 第2号議案 諮問第72号案件名に出てくる個人の氏名

 条例第14条第2号該当 個人識別情報のため

 審査会の調査審議している部分

 条例第14条第1号該当 条例第34条に該当する非公開情報のため

 (2)資料1 口頭による意見等の陳述について(以下「資料1」という。)

 (開示しない部分の概要及びその理由)

 鑑の文書中にある申立人の住所、公職ではない肩書、氏名

 条例第14条第2号該当 個人識別情報のため

 意見書中の内容の部分(申立人の意見陳述の読み原稿)

 条例第14条第1号該当 条例第34条に該当する非公開情報のため

 (3)資料2 公文書開示審査会補足説明資料(以下「資料2」という。)

 (開示しない部分の概要及びその理由)

 公文書開示審査会補足説明資料の内容の部分(実施機関の意見陳述の読み原稿)

 条例第14条第1号該当 条例第34条に該当する非公開情報のため

3 異議申立て

 申立人は、行政不服審査法第6条の規定に基づき、平成19年1月11日付けで、本件処分を不服として実施機関に対し異議申立てを行った。

4 諮問

 実施機関は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して、平成19年2月5日、本件異議申立て事案の諮問を行った。

第3 争点

1 争点1(条例第14条第1号又は第6号該当性)

 本件公文書で非開示とされた部分が条例第14条第1号又は6号に該当するか。

2 争点2(条例第14条第2号該当性)

 本件公文書で非開示とされた部分が条例第14条第2号に該当するか。

第4 争点に対する当事者の主張

1 争点1(条例第14条第1号又は第6号該当性)

(1)申立人の主張要旨

 実施機関は、本件公文書の記載内容のすべてを不開示とし、その記述が全く示されておらず、その具体的内容の一切が不明であり、当該証明が客観的事実であると認められない。

 審査会の調査審議は、特にその手段としてインカメラ審理手続が採用されていることから、その内容を直接確認し、開示・非開示のみならず、本件公文書の真偽あるいは正否について、公正に判断すべきである。

 審査会においては、民事訴訟法や刑事訴訟法等に規定される宣誓証言とは異なり、虚偽の陳述等を行ったからといって、そのことが直ちに刑法上の犯罪に当たるとは指摘しかねるものの、実施機関から非開示情報を含めた率直な説明が期待され、その非公開が自由な質疑応答を担保していることに鑑み、虚偽又は不実の説明等に対しては、特に厳正に対応すべきである。

 審査会は、情報公開上の不服申立てにおいて提起された法律、政令、条例及び規則上の論点等について端的に法律判断を示すことが要請されていることから、本件公文書の調査審議において、犯罪があると思料されるときは、遅滞なく告発等を提言すべきである。

 審査会における調査審議手続が、原則として書面主義を採用しており、インカメラ審理手続がなされていることは、実施機関の主張のとおりであると考えられる。また、対象公文書の見分だけでは正確な判断が困難な場合は、実施機関から口頭での説明を求めたり、申立人からの意見陳述に対する所要の質疑応答を行っており、公文書を実際に保有している実施機関からも率直で忌たんのない説明を求め、それを根拠として自由かつ適法な審査会運営を経ることにより、開示・非開示の適正妥当な心証が形成されることも理解できる。

 また、審査会が、不服申立てにおいて提起された法律、政・省令、条例及び規則上の論点等について端的に法律判断を下すことが要請されており、法律判断に当って、複数の審査会委員の自由かつ率直な意見交換が必要不可欠であることについても、特に異論はない。また、審査会委員間で、仮定の心証に基づく意見を出し合い、開示・非開示の判断及び法令等の解釈においての議論については、正当な法律知識が適正に共有されていることを前提として、審査会の適切な運営手法であると認められる。

 従って、実施機関の主張のとおり、「群馬県情報公開条例の解釈及び運用の基準」(平成13年1月1日付総務部長通知)(以下「解釈及び運用の基準」という。)における「審査会の説明責任は、答申の内容の公表を通じて担保されるものである。」の規定に則り、審査会の説明責任は、適法な答申の公表等によって図られるべきである。

 以上のことから、知事の指示による、当該法人の指定基準違反及び介護報酬の不正受給の揉み消し等の不法行為等につき、審査会に対し、その事実をどのような文言で否定し、糊塗したのかも含め、本件公文書の内容を厳正に判断し、それに基づく適正な答申等を求めるものである。

(2)実施機関の主張要旨

 (対象部分)

 【1】「第122回議事録」の審査会の調査審議している部分

 【2】「資料1」の意見書中の内容の部分(申立人の意見陳述の読み原稿)

 【3】「資料2」の内容の部分(実施機関の意見陳述の読み原稿)

 条例第14条第1号該当として非開示とした、【1】、【2】及び【3】について、条例第14条第6号も該当するものとして非開示理由の追加を行う。

 審査会の調査審議手続は,原則として書面主義を採用しており、インカメラ審理手続がなされることになっているが、対象公文書の見聞だけでは正確な判断をすることができないので、非開示とした理由及びその考え方や事実関係等を正確に把握し適正な審理を行うため、必要があると認めるときは、インカメラ審理手続と合わせて、条例第30条4項の規定に基づき、実施機関に口頭での説明を求めたり、条例第31条により申立人からの意見陳述を行い、その場で疑義のある点について所要の質疑応答を行っている。

 本件公文書のうち、非開示とした部分は、主に実施機関からの口頭での説明及び質疑(【3】は独立した意見書というより口頭での読み原稿である)、申立人からの意見陳述(【2】は独立した意見書というより口頭での読み原稿である)及び審査会委員間の意見の交換から構成されている。

 この実施機関の口頭での説明や申立人からの意見陳述は、非公開(条例第34条)であることを前提とした上で、とりわけ公文書を実際に保有している実施機関から率直で忌たんのない説明を受け、それを基に自由かつ率直な質疑応答が行われることが不可欠であって、このような手続を経ることによって審査会委員の開示・非開示の判断に関する適正・妥当な心証が形成されている。

 また、審査会は、情報公開上の不服申立てにおいて提起された法律、政・省令、条例及び規則上の論点等について端的に法的判断を示すことが要請されており、このような法的判断が、複数の審査会委員の合議により公正になされ適切な結論に導いていくためには、自由かつ率直な意見の交換が必要不可欠である。

 審査会は、過去において警察の捜査費関係、刑事訴訟に関する公文書の関係及び事件を起こし懲戒免職になった職員の件等の調査審議も行ってきているところであるが、口頭での説明等の記録を公にすると、今後の審査会の調査審議において、実施機関に口頭での説明を求める場合に、実施機関から非開示情報を含めた率直な説明が期待できなくなる(ちなみに、民事訴訟法や刑事訴訟法の宣誓のような義務はないので、事後も含めた非公開とすることが率直な説明を担保している面は否定できない)とともに、それを踏まえた自由な質疑応答を行うことに支障が生じることは明らかであり、結果として適正・公正な判断を行うことにも支障が生じる(条例第14条第6号該当)。

 次に、審査会の自由かつ率直な意見の交換の場において、審査会委員が様々な審議結果を想定して、仮定の心証に基づく意見を出すことや審査会委員間で開示・非開示の判断や法令等の解釈において異なった意見をぶつけ合うこともあるが、意見の交換の内容を記録した議事録が公にされることとなれば、公にされることによる誤解等を回避するために、審査会委員の自由な質疑や発言等が差し控えられるおそれが生じ、審議案件についての調査に支障を生ずる(条例第14条第6号該当)。

 このような考え方を基として、条例第34条が「審査会の行う調査審議の手続は、公開しない。」と定めている。

 さらに、条例を解釈する上でその手がかりとなる、解釈及び運用の基準で、「群馬県公文書開示審査会の調査審議は、公文書の開示・非開示の適否に関して行われるものであり、特にその手段としてインカメラ審理手続も採用されている。このような調査審議の手続は、公開すると非開示情報が公になるおそれがあり適当ではないため、非公開とすることとした。」としている。

 これについては、あくまでも、審査会の開催時の公開・非公開を定めたものだという考えもあるが、解釈及び運用の基準で「なお、審査会の説明責任は、答申の内容の公表を通じて担保されるものである。」としていることから、上記で述べた支障が生ずることを前提として、審査会の説明責任は事後においてもあくまでも議事内容の公開ではなく、答申の公表によって図ることが立法者意思といえ、制度であるといえる(条例第14条第1号該当)。

 以上のことから、条例第14条第1号及び条例第14条第6号のいずれにも該当し、非開示と判断したものである。

2 争点2(条例第14条第2号該当性)

(1)申立人の主張要旨

【1】個人の氏名について

 個人の氏名が非開示とされることは当然のことであるにも関わらず、実施機関は、不当にこれを用い、公益実現=真実発見を妨げようと謀ったことは明らかであり、絶対に容認できない。

【2】住所、公職ではない肩書きについて

 記載された団体がいかなる規約を持ち、いかなる内容の活動をしているのか全く不明であるにもかかわらず、個人を識別できる情報との判断が示される一方、実施機関は不当な目的から、氏名、家族名、続柄及び申立人が公文書開示請求を行った事実等の個人情報を違法に提供しており、絶対に容認できない。

(2)実施機関の主張要旨

 (対象公文書)

 【1】「第122回議事録」の第2号議案 諮問第72号案件名に出てくる個人の氏名

 【2】「資料1」の鑑の文書中にある申立人の住所、公職ではない肩書、氏名

 【1】、【2】のうち氏名及び住所は明らかに個人を識別できる情報であり、条例第14条第2号ただし書のいずれにも該当しないため非開示としたものである。

 次に【2】の申立人が付した肩書き(団体名から連続したもの)であるが、群馬県としては記載された団体がいかなる規約を持ち、いかなる内容の活動をしているのか全く不明であるが、団体の委員とまで肩書きを付している(限定をしている)ので、個人を識別できる情報と判断し非開示としたものである。

第5 審査会の判断

1 本件公文書について

 実施機関が特定した本件公文書は、「第122回群馬県公文書開示審査会議事録について」である。第122回群馬県公文書開示審査会(以下「第122回審査会」という。)は平成18年4月28日に開催され、諮問第69号、第70号、第72号及び第78号の審議を行っている。また、諮問第69号及び第70号は申立人の口頭意見陳述と実施機関の口頭説明が行われている。本件公文書は当審査会の議事録である「第122回議事録」に、諮問第69号及び第70号の案件において申立人が当審査会で配布した「資料1」と、同案件において実施機関が当審査会で配布した「資料2」が添付されている。

2 争点1(条例第14条第1号又は第6号該当性)

 実施機関が条例第14条第1号又は第6号に該当すると主張する本件公文書の非開示部分は、「第122回議事録」のうち、開催日時、会場、出席委員数、出席者氏名(委員及び事務局職員)、議題、閉会時間及び署名人を除いた審査会が調査審議している部分であり、実施機関に対する質疑、委員間の質疑及び審議の内容が記載されている。また、「資料1」及び「資料2」の非開示部分は、条例第14条第2号に該当するとして非開示とされた個人識別情報を除いた内容部分である。

 当審査会が本件公文書を見分したところ、「資料1」及び「資料2」の内容部分は独立した意見書ではなく、第122回審査会で実施された口頭意見陳述及び口頭説明において、申立人及び実施機関が読み上げた原稿であることが確認された。

 また、「資料2」の内容部分の中に、「答申第74号(諮問第69号案件)第4(1)ア~キ」に記載された事項(この部分は諮問第69号案件において、申立人が審査会に提出した意見書の内容と同趣旨である。)に対して、実施機関が否定をしている記述のあることが確認された。

 申立人の主張は大要、本件処分が本件公文書の記載内容のすべてを非開示とし、その記述が全く示されておらず、その具体的内容の一切が不明であり、当該証明が客観的事実であると認められないため、審査会において直接確認し、開示・非開示のみならず、本件公文書の真偽あるいは正否について、公正に判断すべきであるというものであると考えられる。

 しかし、審査会は、実施機関が行う公文書の開示決定等や公文書の特定に係る実施機関の判断の妥当性について審査を行う機関であり、申立人の主張する公文書自体の真偽あるいは正否について判断を行うものではない。さらに、申立人は本件公文書の特定については異議を申し立てていないため、以下、当審査会においては本件公文書の開示・非開示の判断の妥当性について判断を行う。

(1)条例第14条第6号該当性について

 審査会の調査審議は、公文書の開示・非開示の適否に関して行われるものであり、特にその手段としてインカメラ審理手続も採用されている。このような調査審議の手続は、公開すると非開示情報が公になるおそれがあり適当ではないため、条例第34条で非公開とされている。また、前記理由から、審査会の調査審議は、申立人及び実施機関等の当事者の出席の下に審議を進める公開の対審ではなく、書面審理を中心として行うことを原則としている。しかし、実施機関が非開示とした理由及びその考え方や事実関係等を把握し適正な審理を行うため、必要があると認めるときは、実施機関に口頭での説明を求めたり、申立人からの意見陳述を行い、その場で質疑応答も行っている。

 この実施機関の口頭説明や申立人からの意見陳述は、質疑応答も含めて直接非開示情報に言及することが多く、その内容を記録した文書についても非開示情報について記述した部分がその多くの部分を占めることは当然に予測し得るものである。また、審査会の調査審議の手続は条例第34条により非公開を前提として行っているところであるが、後に口頭説明の内容を記録した文書が公にされることとなれば、実施機関が審査会に対し非開示情報を含めた率直な説明を行うことについてちゅうちょするおそれがあり、その結果、審議案件についての十分な調査が行えなくなるおそれが生ずると認められる。

 また、申立人の意見陳述の内容が公にされることになると、今後、公文書開示請求に係る実施機関の決定に対して不服のある請求者が、不服申立てを行うことをちゅうちょすることや、不服申立てがなされた場合であっても審査会が必要と認めた口頭意見陳述を申立人が辞退するおそれなどが考えられ、審査会の適正な事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるものと認められる。

 さらに、審査会は、情報公開上の不服申立ての審理の一環として審査を行い、公文書の開示決定等の適法性のみならず当・不当についても審査し、端的に法的判断を示すことが要請されており、このような法的判断が、複数の審査会委員の合議により公正になされ適切な結論に導いていくためには、自由かつ率直な意見の交換が必要不可欠である。

 その審査会における意見の交換の場では、審査会委員が様々な審議結果を想定して、仮定の心証に基づく意見を出すことや審査会委員間で開示・非開示の判断や法令等の解釈において異なった意見をぶつけ合うこともあるが、意見の交換の内容を記録した議事録が公にされることとなれば、公にされることによる誤解等を回避するために、審査会委員の自由な質疑や発言等が差し控えられるおそれが生じ、審議案件についての調査に支障を生ずるおそれがあると認められる。

 以上のことから、「第122回議事録」で審査会が調査審議している部分、「資料1」の内容部分及び「資料2」の内容部分については、条例第14条第6号に該当し、公にすることにより審査会の適正な事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるものと認められる。

(2)条例第14条第1号該当性について

 実施機関は、条例第34条において「審査会の行う調査審議の手続は、公開しない。」と規定されていることを根拠に、条例第14条第1号の「法令等の定めるところ・・・により、公にすることができないとされている情報」に該当するとも主張している。

 本件公文書の内容を見分したところ、「第122回議事録」の審査会が調査審議している部分の内容は、実施機関に対する質疑、委員間の質疑及び審議であり、発言者と発言内容が記載されている。また、「資料1」及び「資料2」の内容部分は、前述のとおり実施機関及び申立人が実際に読み上げた原稿である。

 したがって、上記情報はすべて審査会が実際に行った調査審議の手続の内容が記録されたものであり、審査会の調査審議における意思形成過程が記載されているため、(1)のとおり非開示とすべき情報であり、条例第34条を根拠として条例第14条第1号に該当するとした実施機関の判断は妥当である。

3 争点2(条例第14条第2号該当性)

 次に、実施機関が条例第14条第2号に該当するとして非開示とした部分の妥当性についてそれぞれ判断する。

(1)実施機関が非開示とした個人の氏名は、第122回議事録の諮問案件名に出てくる氏名と資料1の鑑にある申立人の氏名である。申立人は個人の氏名が非開示とされることは当然のことであると主張しているため、当該氏名については開示・非開示の争いはない。

 条例第14条第2号では、「個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの」と非開示情報を規定している。当該氏名が特定の個人を識別することができる情報であることは条文からも明らかであり、同号ただし書イ、ロ及びハのいずれにも該当しない情報であることから、実施機関が非開示としたことは妥当である。

(2)申立人の住所については、特定個人の住所が条例第14条第2号に規定される特定の個人を識別することができる情報であることは明らかであり、同号ただし書イ、ロ及びハのいずれにも該当しない情報であることから、実施機関が非開示としたことは妥当である。

(3)申立人が記載した特定団体の委員という肩書きは、当該団体がどのような実態を持つものかは明確ではないものの、申立人本人が付した公職ではない肩書きであることから、実施機関が特定の個人を識別することができる情報であるとして条例第14条第2号に該当して非開示と判断したことは特段不合理とは言えない。また、当該情報は同号ただし書イ、ロ及びハのいずれにも該当しない情報であることから、実施機関が非開示としたことは妥当である。

4 結論

 以上のことから、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。

 なお、申立人はその他種々主張するが、本答申の判断を左右するものではない。

第6 付言

 本件請求において申立人は、「・・・実施機関による不正の隠蔽と揉み消しを否定、あるいはその不存在を証明する文書」と請求件名に記載している。これに対し、実施機関は「資料2」に申立人の主張を否定する記述があったため本件公文書を特定しており、申立人も実施機関の本件公文書の特定については特段異議を申し立てていない。

 しかし、「証明する文書」とは、例えば訴訟の「証拠」と同様に、その程度の大小や複数存在することなども予想される。そのため、その中から実施機関が請求内容に沿った文書を特定することは困難であり、例え「証明する文書」の全てを特定した場合であっても、その中に開示請求者の意図する文書が含まれていないこともあり得る。

 さらに、一般的に「何々の不存在を証明する文書」とは、「何々」という事実がなければ、その不存在を証明する公文書が存在する(又は作成・取得される)可能性は極めて薄いと考えられる。

 以上のことから判断すると、「何々を証明する文書」という請求件名は抽象的な表現であり、条例第12条第1項第2号で規定する「開示請求に係る公文書を特定するために必要な事項」が満たされていなかったと言うべきである。

 今後、「何々を証明する文書」「何々を証する文書」等の本件請求と同趣旨の開示請求がなされた場合、実施機関は開示請求者に対して、補正の参考となる情報を提供するよう努めた上で請求文書が特定されるよう補正を求め、請求文書が特定されるような補正がなされない場合には、開示請求を拒否するよう要望するものである。

第7 審査の経過

 当審査会の処理経過は、以下のとおりである。

審査会の処理経過

年月日 内容
平成19年2月5日 諮問
平成19年2月22日 実施機関からの理由説明書を受領
平成19年3月23日 異議申立人からの意見書を受領
平成19年6月18日
(第9回 第一部会)
審議(本件事案の概要説明)
平成19年7月23日
(第10回 第一部会)
審議(実施機関の口頭説明)
平成19年8月29日
(第11回 第一部会)
審議
平成19年11月5日
(第12回 第一部会)
審議
平成19年11月12日 答申