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公文書開示審査会答申第107号

更新日:2011年3月1日 印刷ページ表示

「陳情『○○市デイサービスセンターにおける利用者死亡に至る介護事故について』(介護事業者による介護報酬不正受給及び群馬県による不正隠蔽と揉み消しについて)に係る議会内での発言等」の公文書不存在決定に対する異議申立てに係る答申書

群馬県公文書開示審査会
第一部会

第1 審査会の結論

 実施機関の決定は妥当である。

第2 諮問事案の概要

1 公文書開示請求

 異議申立人(以下「申立人」という。)は、群馬県情報公開条例(以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県議会(以下「実施機関」という。)議長に対し、平成19年6月21日付けで、「陳情『○○市デイサービスセンターにおける利用者死亡に至る介護事故について』(介護事業者による介護報酬不正受給及び群馬県による不正隠蔽と揉み消しについて)に係る議会内での発言等」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

2 実施機関の決定

 実施機関は、平成19年7月2日、本件請求に係る公文書を「陳情『○○市デイサービスセンターにおける利用者死亡に至る介護事故について』(介護事業者による介護報酬不正受給及び群馬県による不正隠蔽と揉み消しについて)に係る議会内での発言等」(以下「本件公文書」という。)であると判断し、公文書不存在決定(以下「本件処分」という。)を行い、不存在の理由を次のとおり付して、申立人に通知した。

該当する発言がなかったため

3 異議申立て

 申立人は、行政不服審査法第6条の規定に基づき、平成19年8月24日付けで、本件処分を不服として実施機関に対し異議申立て(以下「本件申立て」という。)を行った。

4 諮問

 実施機関は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して、平成19年9月21日、本件申立て事案の諮問を行った。

第3 争点(本件公文書の不存在について)

本件公文書を不存在とした実施機関の決定は妥当であるか。

第4 争点に対する当事者の主張

争点(本件公文書の不存在について)

(1)申立人の主張要旨

申立人は、県議会議長に対し、平成19年1月31日付け陳情書「○○市デイサービスセンターにおける利用者死亡に至る介護事故について」(以下、「陳情1」という。)を提出し、同年2月1日付けにて受理され、保健福祉常任委員会に参考送付されるとともに議員に配布された。

申立人は平成19年3月15日付けで陳情1に係る議会内での発言等について公文書開示請求を行ったが、該当する発言がなかったとして、不存在決定通知書を送付された。

申立人は、陳情1につき、「介護事業者による介護報酬不正受給及び群馬県による不正隠蔽と揉み消しについて」と題し、平成19年5月7日付けで県議会議長に対し陳情1を県議会において討議されるべく再度、陳情書を提出した(以下「陳情2」といい、「陳情1」と「陳情2」を総称して「本件陳情」という。)。

また、同日、本件陳情につき、県議会における質疑等を強く要望したことから、議会各会派のすべてに対して個別に陳情書を配達証明郵便により送付した。これは、配送の際の過誤等を避けるとともにその確実な送達を目的としたものである。

申立人は、本件陳情に係る議会内での発言等につき本件請求を行い、平成19年7月2日付けで本件処分を受けた。

申立人は、再三にわたり本件陳情につき、県議会において取り上げてその事実を明らかにし、もってよりよい県政の実現に向けての端緒となすべく多様な手法を可能な限り試みた。いずれにしても、本件処分に示される事実は、「県議会における本件陳情の黙殺」の一語に尽きる。

いずれにしても、申立人は、審査会において、本件処分が妥当か不当かあるいは、どちらであれ本件陳情は議会において取り上げられるべき、あるいは審査会が最も適切であると思料する手法により本件陳情に関し必要な措置を講じうる組織・機関・あるいは個人に対し当該措置が講ぜられるべきとの判断を求め、本件申立てに及んだ。

ア 本件処分が妥当である場合

本件処分は、本件陳情に示される介護事業者による介護報酬不正受給及び群馬県による不正隠蔽と揉み消しについて、県議会・議員が、県議会において、これを一切取り上げなかったことから、その発言等がなく、従って公文書も存在しないということである。

イ 本件処分が不当である場合

本件陳情につき、議会において何らかの発言があったが、これを公文書として残さなかった場合及び議会において何らかの発言があり、公文書が存在しているにもかかわらずこれを開示しない場合等が考えられるが、いずれにしても、申立人は、本件につき何らかの対応等が行われた事実を承知していない。

介護保険法制度は地方自治の試金石であり、本県において犯罪行為である介護報酬の不正受給は認められず、ましてや当該不正の隠蔽と揉み消しは絶対に容認されるべきではない。

地方自治制度において、県議会は、本県の予算及び決算等の承認等のみならず、行政運営についての監視機関としての役割を受け持つことから、本件に係る介護報酬の不正受給及び当該不正の隠蔽と揉み消しを看過、黙認することがあってはならない。

本件犯罪行為については、不正を行った事業所を運営する法人は当然のことながら、それを看過し、あろうことかその揉み消しを目論んだ所業は、諸法令に違反する前代未聞の組織的犯罪といわざるを得ず、本件に関与した本県職員及び関係者らの厳重な処分を前提とし、当該犯罪行為についての事実関係の徹底的な究明が必要である。

刑事訴訟法(昭和23年法律第131号。)第239条第2項において、「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない」と規定されている。

(2)実施機関の主張

平成19年5月7日付で「○○市デイサービスセンターにおける利用者死亡に至る介護事故について」(介護事業者による介護報酬不正受給及び群馬県による不正隠蔽と揉み消しについて)の陳情が議長あてに提出された。

当該陳情は、平成19年6月定例会において、所管の委員会に参考送付されるとともに、議員全員に配付したところであるが、本会議または委員会の場で、議員及び執行部職員から本件に関する発言が全く無く、当然本件に関する記録文書も無いことから、不存在決定したものである。

第5 審査会の判断

1 争点(本件公文書の不存在について)

本件請求は、申立人が実施機関に提出した陳情書に関する議会内での発言等の記録を求めたものである。

申立人は、本件公文書が存在するはずであるとする理由を明確に主張していないが、本件処分が妥当か不当かについて判断を求めているため、審査会では本件公文書の存否について判断を行う。

実施機関は、本会議又は委員会の場で、議員及び執行部職員から当該陳情に関する発言が全くなく、記録文書もないことから不存在としたと主張する。

まず、憲法第16条では何人にも請願権が認められており、地方公共団体の議会に対する請願については、地方自治法第124条により「(前略)議員の紹介により請願書を提出しなければならない。」とされている。本県では、議会に提出された請願は、群馬県議会会議規則にのっとり、所管の委員会に付託され、採択・不採択を決定し議長に報告される。

これに対し、陳情は法的な定めはないものの、本県では群馬県議会請願書及び陳情書取扱規程によりその取扱いが定められており、所管の委員会に参考送付するとともに、陳情書参考送付一覧表を作成し、議員全員に配付するものとされ、当該委員会において議案等の審査の際の参考に供するものとされている。

したがって、請願が所管の委員会で採択・不採択の審査が行われることから、その内容が会議記録として残ることに対し、参考送付及び配付された陳情が所管の委員会等で取り上げられるかどうかは各議員の判断によるため、発言がなかった場合には会議記録に記録されないことは明らかである。

よって、当該陳情に関する発言が全くなかったとする実施機関の説明には特段不合理な点は認められない。

また、審査会では、陳情2の提出後に開会された平成19年6月定例会における県議会会議録及び健康福祉常任委員会記録を確認したが、申立人が行った陳情に関する発言の記載は見当たらなかった。

なお、本件申立ては、平成19年7月2日付けで行われた本件処分に対するものであるが、申立人は上記「申立人の主張要旨」にあるように、実施機関に対して陳情1(平成19年1月31日付け)及び陳情2(平成19年5月7日付け)を提出しており、合わせて「本件陳情」と主張しているようにも考えられることから、審査会では念のため、陳情1の提出後に開会された平成19年2月定例会における県議会会議録及び保健福祉常任委員会記録も確認したが、申立人が行った陳情に関する発言の記載は見当たらなかった。

したがって、本件公文書が不存在であるとした実施機関の決定は妥当であったと認められる。

2 結論

以上のことから、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。

なお、申立人はその他種々主張するが、本答申の判断を左右するものではない。

第6 審査の経過

当審査会の処理経過は、以下のとおりである。

審査会の処理経過

年月日 内容
平成19年9月21日 諮問
平成19年10月30日 実施機関からの理由説明書を受領
平成20年2月1日 異議申立人からの意見書を受領
平成20年3月10日
(第15回 第一部会)
審議(本件事案の概要説明)
平成20年4月28日
(第16回 第一部会)
審議(実施機関の口頭説明)
平成20年6月16日
(第17回 第一部会)
審議
平成20年6月20日 答申