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公文書開示審査会答申第109号

更新日:2011年3月1日 印刷ページ表示

「○○保健福祉事務所にある、請求者を請求者の保護者(平成5年に●●家裁が選任)の引き取りを精神保健福祉法を無視して相談にすら応じないことを示し合わせた内容」の公文書の存否を明らかにしない決定に対する異議申立てに係る答申書

群馬県公文書開示審査会
第二部会

第1 審査会の結論

 実施機関の決定は妥当であり、取り消す必要はない。

第2 諮問事案の概要

1 公文書開示請求

 異議申立人(以下「申立人」という。)は、群馬県情報公開条例(以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県知事(以下「実施機関」という。)に対し、平成19年10月12日付けで、「○○保健福祉事務所にある、請求者を請求者の保護者(平成5年に●●家裁が選任)の引き取りを精神保健福祉法を無視して相談にすら応じないことを示し合わせた内容」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

2 実施機関の決定

 実施機関は、平成19年10月22日、本件請求に関して、公文書の存否を明らかにしない決定(以下「本件処分」という。)を行い、公文書の存否を明らかにしない理由を次のとおり付して、申立人に通知した。

条例第17条該当

 特定の個人を名指しした開示請求に係る情報は、当該情報が存在しているか否かを答えるだけで、条例第14条第2号の個人に関する情報を明らかにすることになるため。

3 異議申立て

 申立人は、行政不服審査法第6条の規定に基づき、平成19年10月29日付けで、本件処分を不服として実施機関に対し異議申立てを行った。

4 諮問

 実施機関は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して、平成19年11月5日、本件異議申立て事案の諮問(以下「本件事案」という。)を行った。

第3 争点(条例第14条第2号ただし書ロ該当性)

 本件請求内容が条例第14条第2号ただし書ロに該当するか。

第4 争点に対する当事者の主張

争点(条例第14条第2号ただし書ロ該当性)

(1)申立人の主張

 条例では、第14条第2号ただし書ロにおいて、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報は開示せねばならない。

 また、本来保健福祉事務所というものは一般市民の健康と福祉を担うものなのであり、実施機関の法解釈ではホームレスの方や重病を患っている方の相談にも乗らないことも保健福祉事務所の職員の裁量で可となってしまうのであり、従って本件請求は条例第14条第2号ただし書ロに該当する。

 また、情報の存否拒否というからには、たとえ個人情報の形で開示請求しても不存在もしくは非開示の決定を下すのが目に見えており、悪質である。

(2)実施機関の主張

 本件請求は、特定の個人を名指ししての請求であり、開示請求に係る公文書の存否を明らかにすることにより、条例第14条第2号に規定する個人情報を開示することになる。

 また、申立人が開示請求した内容は、特定の個人が行う相談の対応に関する情報と考えられ、条例第14条第2号ただし書ロに規定される「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」には該当しない。

第5 審査会の判断

 当審査会は、本件事案について審査した結果、次のとおり判断する。

1 争点(条例第14条第2号ただし書ロ該当性)

 条例は第13条で原則開示をうたい、第14条で例外的に非開示を認めている。本県の条例は非開示とすべき個人情報の類型について個人識別型を採用しているので、条例第14条第2号本文にいう「個人に関する情報」であって「特定の個人を識別することができるもの」とは、当該情報に係る個人が誰であるかを識別させることになる氏名その他の記述の部分だけでなく、特定の個人情報全体を指すほか、当該情報単独では特定の個人を識別することができないが、他の情報と照合することにより識別可能となるものについても含まれると解される。

 また、条例の開示請求制度は、何人に対しても開示請求権を認めていることから、本人から、本人に関する情報の開示請求があった場合にも、開示請求者が誰であるかは考慮されず、条例第14条第2号ただし書イ~ハ又は条例第16条で規定する公益上の理由による裁量的開示に該当しない限り、非開示となる。

 本件請求は、相談対応に関する情報を求めるものであるが、請求内容に「請求者」及び「請求者の保護者」という記載があることから、請求内容全体が、特定の個人に関する情報であることは明らかである。

 したがって、本件請求に係る情報が存在しているか否かを答えることは、特定の個人に関する情報を開示することになり、条例第14条第2号本文に該当することとなる。

 しかし、申立人は本件請求が条例第14条第2号ただし書ロに規定される「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」に該当すると主張しているため、以下、この点について判断する。

 公にすることが必要であると認められる情報とは、人の生命、健康、生活又は財産の保護の必要性が、公にすることにより害されるおそれがある個人の権利利益よりも上回る場合をいうものであり、開示の必要性も、その公にする必要性と個人の権利利益を比較衡量した上で判断されるものである。

 条例が何人にも開示請求権を認め、何人にも同じ情報を開示することから、自己の個人情報の開示請求である等の個別事情を考慮しないことは前述のとおりである。

 また、条例第14条第2号ただし書ロは、「公にすることが必要である」ということを要件としているが、本件請求については、特定個人の相談対応に関する情報が何人にも公にされることにより害されるおそれがある当該個人の権利利益を上回る必要性があるとは認められないため、本件請求内容は条例第14条第2号ただし書ロには該当しない。

2 結論

 以上のことから、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。

なお、申立人はその他種々主張するが、本答申の判断を左右するものではない。

第6 審査の経過

 当審査会の処理経過は、以下のとおりである。

審査会の処理経過

年月日 内容
平成19年11月5日 諮問
平成19年11月29日 実施機関からの理由説明書を受領
平成19年12月4日 異議申立人からの意見書を受領
平成20年4月25日
(第16回 第二部会)
審議(本件事案の概要説明)
平成20年6月24日
(第16回 第二部会)
審議(実施機関の口頭説明)
平成20年7月24日
(第16回 第二部会)
審議
平成20年7月29日 答申