ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 組織からさがす > 生活こども部 > 県民活動支援・広聴課 > 公文書開示審査会答申第113号

本文

公文書開示審査会答申第113号

更新日:2011年3月1日 印刷ページ表示

「申請者が実家に戻ること自体を自傷他害の恐れありとする内容」の公文書の存否を明らかにしない決定に対する異議申立てに係る答申書

群馬県公文書開示審査会
第二部会

第1 審査会の結論

 実施機関の決定は妥当であり、取り消す必要はない。

第2 諮問事案の概要

1 公文書開示請求

 異議申立人(以下「申立人」という。)は、群馬県情報公開条例(以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県病院管理者(以下「実施機関」という。)に対し、平成20年1月6日付けで、「申請者が実家に戻ること自体を自傷他害の恐れありとする内容」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

2 実施機関の決定

 実施機関は、平成20年1月11日、本件請求に関して、公文書の存否を明らかにしない決定(以下「本件処分」という。)を行い、公文書の存否を明らかにしない理由を次のとおり付して、申立人に通知した。

 条例第17条該当

 特定個人を名指しした開示請求に係る情報は、当該情報が存在するか否かを答えるだけで、条例第14条第2号の個人に関する情報を明らかにすることになるため。

3 異議申立て

 申立人は、行政不服審査法第6条の規定に基づき、平成20年1月26日付けで、本件処分を不服として実施機関に対し異議申立てを行った。

4 諮問

 実施機関は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して、平成20年2月18日、本件異議申立て事案の諮問を行った。

第3 争点(条例第14条第2号ただし書ロ該当性)

 本件公文書が条例第14条第2号ただし書ロに該当するか。

第4 争点に対する当事者の主張

争点(条例第14条第2号ただし書ロ該当性)

(1)申立人の主張

 かなり前から「知る権利」も基本的人権の一つとして認められてきた。これを具体化したものが数々の情報公開法令であり、また、病院は公立であろうとなかろうと県民の生命・健康・生活又は財産を保護するための実働組織であり、様々な公開することが必要な公文書が存在することが想像される。そこの職員が原請求を個人情報が含まれているからといって存否拒否することであるならその固有名詞のみを明かさずに部分開示すればよいのである。これは、条例第14条(2)ロにもあるように、公にすることが必要であると認められる情報である。さらに、この案件が開示決定されなければ、「知る権利」の人権侵害になる。

 本件開示請求は、県民の生命・健康・生活又は財産を保護するためのものであるから利益を度外視して開示すべきである。

(2)実施機関の主張

 特定個人を名指しした開示請求に係る情報は、当該情報が存在するか否かを答えるだけで、条例第14条第2号の個人に関する情報を明らかにすることになるため、条例第17条により公文書の存否を明らかにできない。

 また、本件請求の「申請者が実家に戻ること自体を自傷他害の恐れありとする」という情報は、条例第14条第2号ただし書ロに規定される「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」には該当しないと判断した。

第5 審査会の判断

 当審査会は、本件事案について審査した結果、次のとおり判断する。

1 争点(条例第14条第2号ただし書ロ該当性)

 条例は第13条で原則開示をうたい、第14条で例外的に非開示を認めている。本県の条例は非開示とすべき個人情報の類型について個人識別型を採用しているので、条例第14条第2号本文にいう「個人に関する情報」であって「特定の個人を識別することができるもの」とは、当該情報に係る個人が誰であるかを識別させることになる氏名その他の記述の部分だけでなく、特定の個人情報全体を指すほか、当該情報単独では特定の個人を識別することができないが、他の情報と照合することにより識別可能となるものについても含まれると解される。

 また、条例の開示請求制度は、何人に対しても開示請求権を認めていることから、本人から、本人に関する情報の開示請求があった場合にも、開示請求者が誰であるかは考慮されず、条例第14条第2号ただし書イ~ハ又は第16条で規定する公益上の理由による裁量的開示に該当しない限り、非開示となる。

 本件請求は、請求者の病気の症状に関する情報を求めるものであり、請求内容に「申請者」という記載があることから、請求内容全体が、特定の個人に関する情報であることは明らかである。

 したがって、本件請求に係る情報が存在しているか否かを答えることは、特定の個人に関する情報を開示することになり、条例第14条第2号本文に該当することとなる。

 しかし、申立人は本件請求が条例第14条第2号ただし書ロに規定される「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」に該当すると主張しているため、以下、この点について判断する。

 公にすることが必要であると認められる情報とは、人の生命、健康、生活又は財産の保護の必要性が、公にすることにより害されるおそれがある個人の権利利益よりも上回る場合をいうものであり、開示の必要性も、その公にする必要性と個人の権利利益を比較衡量した上で判断されるものである。

 条例が何人にも開示請求権を認め、何人にも同じ情報を開示することから、自己の個人情報の開示請求である等の個別事情を考慮しないことは前述のとおりである。

 また、条例第14条第2号ただし書ロは、「公にすることが必要である」ということを要件としているが、本件請求については、特定個人の病気の症状に関する情報が何人にも公にされることにより害されるおそれがある当該個人の権利利益を上回る必要性があるとは認められないため、本件請求内容は条例第14条第2号ただし書ロには該当しない。

2 結論

 以上のことから、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。

 なお、申立人はその他種々主張するが、本答申の判断を左右するものではない。

第6 審査の経過

 当審査会の処理経過は、以下のとおりである。

審査会の処理経過

年月日 内容
平成20年2月18日 諮問
平成20年2月26日 実施機関からの理由説明書を受領
平成20年3月14日 異議申立人からの意見書を受領
平成20年4月25日
(第16回 第二部会)
審議(本件事案の概要説明)
平成20年6月24日
(第17回 第二部会)
審議(実施機関からの口頭説明)
平成20年7月24日
(第18回 第二部会)
審議
平成20年7月29日 答申