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公文書開示審査会答申第121号

更新日:2011年3月1日 印刷ページ表示

「群馬県立○○○○センター内で特定の電波を妨害・遮断する内容」の公文書不存在決定に対する異議申立てに係る答申書

群馬県公文書開示審査会
第二部会

第1 審査会の結論

 実施機関の決定は妥当であり、取り消す必要はない。

第2 諮問事案の概要

1 公文書開示請求

 異議申立人(以下「申立人」という。)は、群馬県情報公開条例(以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県病院管理者(以下「実施機関」という。)に対し、平成21年11月5日付けで、「群馬県立○○○○センター内で特定の電波を妨害・遮断する内容」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

2 実施機関の決定

 実施機関は、平成21年11月12日、本件請求に係る公文書を「群馬県立○○○○センター内で特定の電波を妨害・遮断する内容」(以下「本件公文書」という。)であると判断し、公文書不存在決定(以下「本件処分」という。)を行い、不存在の理由を次のとおり付して、申立人に通知した。

(不存在の理由)
 当該請求に係る文書は保有していないため

3 異議申立て

 申立人は、行政不服審査法第6条の規定に基づき、平成21年11月30日付けで本件処分を不服として実施機関に対し異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を行った。

4 諮問

 実施機関は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して平成21年12月9日、本件異議申立て事案の諮問(以下「本件事案」という。)を行った。

第3 争点(本件公文書の公文書不存在決定について)

 本件公文書を不存在とした実施機関の決定は妥当であるか。

第4 争点に対する当事者の主張

1 申立人の主張要旨

 最近、○○○○センター職員は、PHSを持つようになったが、通常の携帯電話と違う周波数帯を用いて、なおかつ、最近ではあまり新規に契約をする人がいないPHSを病院職員がわざわざ使うのは、明らかに通常の携帯電話の周波数帯を病院の中の特定の場所で妨害・遮断しているように考えられる。
 携帯電話の通信を妨害するには、一見大規模な設備や予算が必要なように見えるが、片手でも容易に持てる小型の装置があれば可能なのであり、また、最近の携帯電話はインターネットや原子時計から送信されてくる信号を常時やり取りしているため、妨害・遮断されても即座に通信が途絶えるわけでもない。こうした事情を悪用して、職員以外の一般市民には気づかれにくい、あるいは、立証が難しいのを逆手に取って虚偽の主張をしているのであり、かような実施機関は悪質である。

2 実施機関の主張

 群馬県立○○○○センター(以下「センター」という。)では、申立人の主張するような工事・修繕は行っていない。したがって、本件請求に係る公文書は、作成または取得しておらず、保有もしていないため本件処分としたものである。
 なお、申立人の主張するところの「特定の電波を妨害・遮断する内容」とは、センター職員の業務連絡用として使用しているPHS機器導入に伴うアンテナを示すとしても、これは「特定の電波を妨害・遮断する内容」のものではない。

第5 審査会の判断

1 争点(本件公文書の公文書不存在決定について)

 申立人の主張は、センターの職員がPHSをわざわざ使うのは、明らかに通常の携帯電話の周波数帯をセンターの特定の場所で妨害・遮断しているように考えられるため、本件公文書は存在するはずであるとの趣旨と判断される。
 一方、実施機関は、申立人の主張するような工事・修繕は行っておらず、申立人の主張するところの「特定の電波を妨害・遮断する内容」とは、センター職員の業務連絡用として使用しているPHS機器導入に伴うアンテナを示すとしても、これは「特定の電波を妨害・遮断する内容」のものではない。したがって、本件公文書は、作成または取得しておらず、保有もしていないと主張する。
 「公文書を保有していない」という類型には、(1)そもそも作成又は取得していない、(2)作成又は取得したが保存期間満了により廃棄済み、及び(3)開示請求の対象となる「公文書」ではないという3つの場合があるが、実施機関は、そもそも作成又は取得していないと主張しているので、本件公文書が実施機関における事務処理において作成・取得されるものであるか否かを検討する。

 一般に、医療機関内での携帯電話端末等の使用については、携帯電話端末等からの電波により医用電気機器に誤作動等の影響が発生する場合があることから、医療機関の指示により制限が設けられており、職員の業務連絡用としても医療用PHS端末が使用されていることが多い。これは携帯電話端末と比較して、PHS端末から発射される電波による医用電気機器への影響が小さいためであり、申立人が主張する「特定の電波を妨害・遮断するため」ではない。さらに、審査会では、本件事案についての概要の説明を実施機関から受けたところ、今までセンターでは、職員の業務連絡用としてポケットベルを使用していたが、修理用の部品が現在では製造されていないことや職員の利便性、医用電気機器への影響等も考慮し、医療用PHS端末を導入することになり、そのためのアンテナ取付工事等を平成20年11月から同21年2月にかけて行ったが、これは職員が業務連絡用に使用するためのものであり、申立人の主張する特定の電波を妨害・遮断するものではなく、また、センターの特定の場所で、携帯電話端末の通信を妨害・遮断していることもないため、本件公文書は存在しないとする実施機関の説明に特段不合理な点は認められなかった。
 また、審査会では、医療用PHS端末導入に伴うアンテナ取付工事に関する公文書の提示を実施機関から受けたが、確認した限りでは、本件公文書として特定すべき文書の存在は認められなかった。
 したがって、本件公文書が不存在とする実施機関の判断は妥当であると認められる。

2 結論

  以上のことから、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。

第6 審査の経過

 当審査会の処理経過は、以下のとおりである。

審査会の処理経過
年月日 内容
平成21年12月9日 諮問
平成21年12月24日 実施機関からの理由説明書を受領
平成22年1月15日 異議申立人からの意見書を受領
平成22年1月25日
(第30回 第二部会)
審議(本件事案の概要説明)
平成22年3月19日
(第31回 第二部会)
審議(実施機関からの口頭説明)
平成22年4月21日
(第32回 第二部会)
審議
平成22年4月23日 答申