ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 組織からさがす > 生活こども部 > 県民活動支援・広聴課 > 群馬県情報公開条例の解釈及び運用基準(前文~2条)

本文

群馬県情報公開条例の解釈及び運用基準(前文~2条)

更新日:2021年4月19日 印刷ページ表示

前文

県政の主役は、県民である。

県民の意志に基づいた自治の確立が、民主主義の基礎となる。

県民が、県政について理解し、判断し、自ら主体となって県政に参加することが、県民による県政である。

県は、県民の知る権利を尊重し、県の保有する情報を公開するとともに説明する責務を果たす。

そして、県は、県民が求めている情報の収集と分かりやすい情報の創造に努めるものとする。

ただし、情報の公開により、県民のプライバシーや公共の利益の侵害など、本来の目的が阻害されてはならない。

このような考え方に立って、県は、県民との相互の信頼関係を築き、県民のための県政を推進する。

趣旨

 前文は、情報の公開について、その必要とされる背景と県の責務を述べるとともに、群馬県情報公開条例(平成12年群馬県条例第83号。以下「条例」という。)の制定の理念を宣言したものである。

 これを要約すれば、

  1. 県政は、県民自らの意志と責任で担うこと
  2. そのために、県は情報の公開と説明責務を果たし、県民の必要な情報を収集し、創造すること
  3. ただし、県民のプライバシーや公共の利益を守ること
  4. これらにより、県民との相互の信頼関係を築くこと

 となる。

 本条例は、このような基本的な考えの下に制定されたものである。

解説

  1. 「知る権利」という概念については、憲法上明文の規定はなく、解釈上主として国民主権や表現の自由に関連づけて論じられているもので、その請求権的性格については抽象的な請求権としての性格を有するにとどまり、法律による具体化があって初めて具体的な権利となるという見解が有力である。しかしながら、情報公開制度の理念として一般的には理解が進んできているので、条例上明記して県の情報公開に対する姿勢を示すこととしたものである。
  2. 「説明する責務」とは、国民主権や住民自治の原理に基礎を置くもので、住民の信託を受けた行政が負う責任であって、情報公開の総合的な推進を支える指導理念である。
  3. 「情報の創造」とは、県自らが情報の発信者として、住民の求める情報を把握・分析・整理し、わかりやすく表現するなどして、有益で良質な情報を創り出すことをいう。
  4. 「プライバシー」の概念は、個人の尊厳に直接かかわる権利であること、また、いったん侵害されると事後的に回復が不可能であることなどから、公共の利益とともに保護すべきものとして明記したものである。
  5. 「本来の目的」とは、県民主権の実質化をいう。

本条例は、権利を与えるだけの形式的な県民主権ではなく、県民自らの意志と責任で担う県政の実現という実質的な県民主権を目指し、積極的な情報公開を行うものである。

第1章 総則

第1条(目的)関係

目的

第1条 この条例は、情報公開の総合的な推進に関し必要な事項を定めるとともに、公文書の開示を請求する権利を明らかにし、もって県が県政に関し県民に説明する責務を全うすることにより、県民の理解と信頼の下に公正で透明な行政を推進し、県民による県政への参加を進めていくことを目的とする。

趣旨

本条は、本条例の目的を定めるものである。

【解説】

  1. 本条は、本条例の目的を明らかにしたものであり、前文と併せて本条例の解釈及び運用の指針となるものである。
    職員は、前文に掲げる理念とともに本条例の目的を十分に理解し、公正で透明な行政を推進するため、日常の職務の遂行に十分留意する必要がある。
  2. 「情報公開の総合的な推進」とは、従来の公文書開示制度だけでは県民に対して県政の諸活動を説明するには不十分なため、公文書開示制度の充実を図るとともに情報の公表や情報の提供等各種制度を整備拡充することにより、情報公開を総合的に進めていくという趣旨である。
  3. 「公文書の開示を請求する権利」とは、県が保有する公文書の開示を求める権利をいい、各実施機関には条例に定める要件を満たした開示請求に応じる条例上の義務が生ずることとなる。
  4. 「県政に関し県民に説明する責務を全うする」とは、県民から県政を負託された県が、主権者である県民に対して県政理解のために県政の諸活動を説明する責務を果たしていくことをいう。
  5. 「県民の理解と信頼の下に公正で透明な行政を推進し、県民による県政への参加を進めていく」とは、県政に関する情報を広く公開することにより、県民による県政に対する理解と信頼形成が可能となり、公正で開かれた県政が実現し、県民の県政への参加が一層進むことを述べたものである。

第2条(定義)関係

第1項(実施機関の定義)関係

定義

第2条 この条例において「実施機関」とは、知事(病院事業の管理者の権限を行う知事を含む。)、議会、教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会、監査委員、公安委員会、警察本部長、労働委員会、収用委員会、内水面漁場管理委員会及び企業管理者並びに県が設立した地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)第2条第1項に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)(以下「県設立地方独立行政法人」という。)及び群馬県住宅供給公社(以下「公社」という。)をいう。

趣旨

本項は、この条例により公文書の開示に関する制度等を事務処理する基本的な組織の単位を定める。

解説

(1)各実施機関は、この条例に基づく事務を自らの判断と責任において誠実に管理し、執行する義務を負う。

(2)「実施機関」は、地方自治法、地方公営企業法、警察法、地方独立行政法人及び地方住宅供給公社法により、独立した権限を行使することができる機関の名称を掲げることによって、各実施機関の組織規則等により定められる県庁各課室及び地域機関等(以下「課所」という)の全体を含む意味で用いられる。

(3)議会の情報公開については、県政を推進する上で議会と執行部は車の両輪であることと県民の利便を考え、同一の条例で実施することとした。

(4)警察本部長を公安委員会から独立した実施機関とした理由は、

  • 県警察と公安委員会は、それぞれ運営機関と管理機関として組織法上の独立性を有すること
  • 警察本部長は個別案件につき、公安委員会から独立した指揮監督権限を有すること
  • 警察本部長は、公安委員会にはない警察職員の任命権を有すること

など、県警察は組織的にも権限的にも公安委員会から相当程度独立した行政機関であることから、本県の警察機関全体を実施機関とするためには、公安委員会のほか警察本部長も実施機関とする必要があることによる。

(5)群馬県公立大学法人については、国から情報公開条例及び個人情報保護条例において所要の措置を講ずることが適当と示されていることや、県の方針や政策に基づき運営されるという地方独立行政法人の特性を踏まえて、県の情報公開及び個人情報保護制度を適用する方針とされた。群馬県公立大学法人を含め、県が設立する地方独立行政法人は同様の特性を有しているため、県設立地方独立行政法人を実施機関とした。

(6)群馬県住宅供給公社は広い意味で県の住宅政策を補完しているという性格の公社であることから、群馬県住宅供給公社を実施機関とした。

第2項、第3項(情報の公表、情報の提供の定義)関係

2 この条例において「情報の公表」とは、県政に関する情報を法令又は条例(以下「法令等」という。)の規定により義務として公開することをいう。

3 この条例において「情報の提供」とは、県政に関する情報を任意に公開することをいう。

趣旨

第2項及び第3項は、この条例における「情報の公表」と「情報の提供」を定めるものである。

解説

  1. 「情報の公表」とは、法令等の規定(本条例第4条を含む。)に基づき、県の義務として情報を公開することをいう。県の保有するある一定の情報については、いつでも県民が手に入れられるようにしておくとともに、行政の透明度を高めておくことが必要であることから、これを定めるものである。
  2. 「情報の提供」とは、他の法令等の規定によらず、事業の目的・必要性等に応じ県政に関する情報を公開することをいう。「情報の公表」で公開される情報以外の情報も、県民の県政理解のためには積極的に公開する必要があることから定めるものである。
  3. 本条例における「情報の提供」は、「情報の公表」、「公文書の開示」と同様、何人に対しても等しく情報を公開するものであるから、非開示情報について公開することのないよう十分注意をしなければならない。

従来から、広報等によりいわゆる情報の提供は行っているところであるが、事務事業を円滑に遂行するために利害関係人等特定の者に対して提供する場合などは、何人に対しても等しく情報を公開する情報公開制度にそぐわない面があり、本条例における「情報の提供」とはいえない。

しかし、事務事業を円滑に執行する上で、特に交渉を伴うようなものについては、特定の者に対して、本条例に規定する非開示情報までも提供する必要があることも想定できる。本条例は、それら事務・事業の執行上における情報の供与までも制限するものではない。

第4項(公文書の定義)関係

4 この条例において「公文書」とは、実施機関の職員(県設立地方独立行政法人及び公社の役員を含む。以下同じ。)が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているものをいう。ただし、次に掲げるものを除く。

  1. 官報、県報、白書、新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるもの
  2. 群馬県公文書等の管理に関する条例(令和2年群馬県条例第15号)第2条第 4項に規定する特定歴史公文書等
  3. 群馬県立文書館その他規則で定める県の機関において、歴史的若しくは文化的な資料又は学術研究用の資料として特別の管理がされているもの(前号に掲げるものを除く。)

趣旨

本項は、本条例の適用対象となる「公文書」の範囲を定めるものである。

解説

  1. 県の説明責務を全うするという条例の目的からすると、決裁・供覧等の形式的・手続的要件で対象文書の範囲を画することは、必ずしも十分とはいえない。このため、開示請求の対象の範囲を実質的な要件(「当該実施機関の職員が組織的に用いるもの」)により画するとともに、媒体の種類を幅広くとらえて電磁的記録を含むこととした。
  2. 「実施機関の職員」とは、実施機関が職務上指揮監督権を有する全ての職員をいい、県設立地方独立行政法人及び公社については役員を含む。
  3. 「職務上作成し、又は取得した」とは、職員が自己の職務の範囲内において作成し、又は取得したことをいう。作成し、又は取得したかどうかについては、文書管理台帳に記載すること、収受印があること等の群馬県文書管理規程(昭和61年訓令甲第1号。以下、「文書管理規程」という。)等が定める手続的な要件を必ずしも満たす必要はない。
    なお、「職務」には、法定受託事務のほか、地方自治法第180条の2又は第180条の7の規定により、実施機関又は実施機関の職員が委任を受け、又は補助執行している事務も含まれる。ただし、地方職員共済組合や地方公務員災害補償基金の事務等、実施機関の職員が法令の規定により従事している他の団体の事務は含まれない。
  4. 「文書、図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。)」とは、実施機関において現に事務又は事業において用いられている記録の形式を網羅するものである。
  5. 「文書」とは、人の思想などを文字又は符号を用いて、有体物の上に可視的状態で表現したものをいい、「図画」との区別は、「文字又は符号」を用いているか「象形」を用いているかにある。写真、フィルムについても「図画」に含まれ、この条例の対象となるものである。
    なお、マイクロフィルムについては、記録されている内容により「文書」又は「図画」とみなし、これらに準じて取り扱うものとする。
  6. 「電磁的記録」とは、人の知覚によっては認識できない方式で作られた記録をいい、「電子的方式、磁気的方式」はその記録方式を例示したものである。これらには、電子計算機による情報処理の用に供されるいわゆる電子情報の記録だけでなく、録音テープ、ビデオテープ等のように内容の確認に再生用の専用機器を用いる必要のある記録も含まれる。また、電子計算機による情報処理のためのプログラムについても、電磁的記録に該当するが、ディスプレイに情報を表示するため一時的にメモリに蓄積される情報やハードディスク上に一時的に生成されるテンポラリファイル等は含まれない。
    なお、電磁的記録を用紙に出力したものについては、「文書」又は「図画」としてこの条例の対象となる。
  7. 「実施機関の職員が組織的に用いる」とは、作成又は取得に関与した職員個人段階のものではなく、組織としての共用文書の実質を備えた状態、すなわち、当該実施機関の組織において、業務上必要なものとして利用又は保存されている状態を意味する。したがって、組織としての利用を予定していない個人のメモや、職員が自己の執務の便宜のために利用する決裁文書の写し、職員の個人的な検討段階にとどまる資料等は、これに当たらない。ただし、これらであっても、決裁・供覧文書に添付された場合には、「組織的に用いる」ものとなる。
  8. 「実施機関が保有しているもの」とは、作成又は取得に関与した職員個人が所持している段階のものではなく、実施機関が業務上の必要から組織として所持している状態にあるものをいう。この「所持」は物を事実上支配している状態をいい、当該文書を文庫などで保管している場合にも、当該文書を事実上支配(当該文書の作成、保存、閲覧・提供、移管・廃棄等の取扱いを判断する権限を有していること。)していれば、「所持」に該当し、保有しているということができる。
    なお、一時的に文書を借用している場合など、当該文書を支配していると認められない場合には、保有しているとはいえない。
  9. 実施機関における具体的な文書等の管理は、文書管理規程等、それぞれの実施機関が定める文書等の管理に関する規程等により行う。
  10. ただし書は、公文書から除かれるものについて定めたものである。
    ア 第1号に掲げるものは、一般に容易に入手・利用が可能であることから、「公文書」から除外したものである。
    これらは紙媒体のものに限られるものではなく、インターネット上で不特定多数の者への有償頒布を目的として発行される新聞、雑誌、書籍等も含まれる。
    イ 第2号に掲げるものは、一般の行政事務処理上の必要性からではなく、県の諸活動や歴史的事実の記録であるという資料的価値に着目して、県政の適正かつ効率的な運営並びに現在及び将来の県民に説明する責務の全うという目的のために、群馬県公文書等の管理に関する条例(令和2年群馬県条例第15号。以下「公文書等管理条例」という。)の規定により文書館において適切な保存及び利用等を図る対象とされていることから、公文書等管理条例の規定に添った取扱いがなされることが適当であるため、「公文書」から除外したものである。
    ウ 第3号に掲げるものは、一般の行政事務処理上の必要性からではなく、図書館、博物館等において、歴史的若しくは文化的観点又は学術研究の観点からその資料的価値に着目して管理されており、それぞれの文書等を管理する趣旨に添った取扱いがなされることが適当であるため、「公文書」から除外したものである。具体的には、群馬県情報公開条例施行規則(平成12年群馬県規則第123号。以下「規則」という。)第2条及び第2条の2並びに群馬県公文書等の管理に関する条例施行規則(令和3年群馬県規則第85号)第3条各号及び第4条を参照のこと。
  11. 本項の規定は、作成又は取得の時期にかかわらず、実施機関のすべての文書等について適用される。
    なお、実施機関のうち公社の役員及び職員が平成14年4月1日前に作成し、又は取得した文書等については、本条例は適用されない。