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群馬県情報公開条例の解釈及び運用基準(20~28条)

更新日:2022年4月1日 印刷ページ表示

第20条(事案の移送)関係

(事案の移送)

第20条 実施機関は、開示請求に係る公文書が他の実施機関により作成されたものであるときその他他の実施機関において開示決定等をすることにつき正当な理由があるときは、当該他の実施機関と協議の上、当該他の実施機関に対し、事案を移送することができる。この場合においては、移送をした実施機関は、開示請求者に対し、事案を移送した旨を書面により通知しなければならない。

2 前項の規定により事案が移送されたときは、移送を受けた実施機関において、当該開示請求についての開示決定等をしなければならない。この場合において、移送をした実施機関が移送前にした行為は、移送を受けた実施機関がしたものとみなす。

3 前項の場合において、移送を受けた実施機関が第18条第1項の決定(以下「開示決定」という。)をしたときは、当該実施機関は、開示の実施をしなければならない。この場合において、移送をした実施機関は、当該開示の実施に必要な協力をしなければならない。

趣旨

本条は、他の実施機関への開示請求事案の移送について要件及び手続を定めるものである。

解説

開示請求に対する開示決定等は、当該開示請求を受けた実施機関において行うことが原則である。しかし、同一の公文書が複数の実施機関において管理されている場合等においては、一般的に当該公文書を作成した実施機関の方が、開示、非開示の判断を適切に行うことができると考えられ、また、開示請求に係る公文書が他の実施機関の事務又は事業と密接な関連を有する場合においては、当該他の実施機関の方が適切に判断し得ることもあるため、より適切な判断をし得る実施機関に「移送」を認めるものである。

1 移送の協議(第1項)

(1)第1項は、開示請求に係る公文書が他の実施機関により作成されたものであるときその他他の実施機関において開示決定等をすることにつき正当な理由があるときは、請求を受けた実施機関は、当該他の実施機関と協議の上、当該他の実施機関に対し、事案を移送することができることを規定している。

(2)「正当な理由」とは、本項で例示された「開示請求に係る公文書が他の実施機関により作成されたものであるとき」のほか、開示請求に係る公文書が他の実施機関の事務又は事業と密接な関連を有しているなど、他の実施機関に処理を委ねた方が迅速かつ適切な処理ができる合理的な理由をいう。

(3)「協議の上、移送する」とは、単に協議したという事実があれば移送できるということではなく、実施機関相互の協議が調った場合に移送できるという趣旨であり、協議が調わない場合には、開示請求を受けた実施機関が開示決定等を行うことになる。

(4)事案を移送する場合、請求を受けた実施機関は、請求者に対し、事案を移送した旨を書面により通知しなければならない。通知は、規則第6条の定めるところに従い、公文書開示請求事案移送通知書(規則別記様式第9号)により行う。

2 開示決定等(第2項)

(1)事案が移送されたときは、その効果として、移送を受けた実施機関が第18条各項の開示請求に対する措置を行うことを明確にするため規定している。

(2)事案の移送の結果、請求者に不利益が及ばないようにするため、移送をした実施機関が移送前にした行為は、同項により移送を受けた実施機関がしたものとみなされるので、移送を受けた実施機関は、第19条の規定により、原則として、開示請求があった日から起算して15日以内に開示決定等を行わなければならないことになる。

3 開示の実施(第3項)

(1)移送の効果として、移送を受けた実施機関が、開示請求に係る公文書の全部又は一部を開示する決定を行ったときは、自らの責任において開示の実施をしなければならないことを明確化するために規定したものである。

(2)前段における開示の実施が円滑に行われるよう、移送をした実施機関の協力義務も明記した。

必要な協力の内容としては、次のようなことが考えられる。

〔1〕移送前にした行為があれば、その記録を作成し、これを提供する。

〔2〕開示請求書及び事案を移送した旨の書面の写しの提供(移送した実施機関で開示請求時の写しを作成、保管)

〔3〕他の実施機関が請求に係る公文書を保有していない場合には、その開示請求に係る公文書の写しの提供又は原本の貸与

〔4〕原本を閲覧する方法による開示の実施をするために必要な公文書の貸与又は場所(当該公文書を保有している実施機関の組織の事務所等)の提供

(3)請求を受けた実施機関が事案を移送する場合の事務手続は、次のとおりである。

〔1〕移送先の実施機関との協議を経て、事案の移送を決定し、決定後、移送先の実施機関に事案を移送する旨の通知及び開示請求書を送付する。

〔2〕請求者に対し、公文書開示請求事案移送通知書(規則別記様式第9号)により通知するとともに、その写しを県民活動支援・広聴課長に送付する。

〔3〕移送先の実施機関に開示請求に係る公文書の貸与その他の必要な協力を行う。

(4)同一の公文書を複数の実施機関が管理している場合は、開示、非開示の判断が的確に行われるよう、開示請求を受け付ける窓口で、原則として公文書を作成した実施機関に対して請求書を提出するよう求めることから、本条は、郵送等により請求書が送付された場合などで、請求書の記載と異なる実施機関において開示、非開示の判断をしようとする場合に適用される。

なお、開示請求を受けた実施機関は公文書を管理していないが、他の実施機関が当該公文書を管理している場合には本条は適用されないため、開示請求を受けた実施機関は、請求者に対し、他の実施機関に請求書を提出するよう求めるものとし、請求者が応じない場合は、条例第18条第2項の規定により、開示請求に係る公文書を実施機関が管理していないことを理由に公文書不存在の決定を行い通知することになる。

第21条(第三者に対する意見書提出の機会の付与等)関係

(第三者に対する意見書提出の機会の付与等)

第21条 開示請求に係る公文書に県、国、独立行政法人等、他の地方公共団体、地方独立行政法人、公社及び開示請求者以外の者(以下この条、第27条及び第28条において「第三者」という。)に関する情報が記録されているときは、実施機関は、開示決定等をするに当たって、当該情報に係る第三者に対し、開示請求に係る公文書の表示その他実施機関が定める事項を通知して、意見書を提出する機会を与えることができる。

2 実施機関は、次の各号のいずれかに該当するときは、開示決定に先立ち、当該第三者に対し、開示請求に係る公文書の表示その他実施機関が定める事項を書面により通知して、意見書を提出する機会を与えなければならない。ただし、当該第三者の所在が判明しない場合は、この限りでない。

(1)第三者に関する情報が記録されている公文書を開示しようとする場合であって、当該情報が第14条第2号ロ又は同条第3号ただし書に規定する情報に該当すると認められるとき。

(2)第三者に関する情報が記録されている公文書を第16条の規定により開示しようとするとき。

3 実施機関は、前2項の規定により意見書の提出の機会を与えられた第三者が当該公文書の開示に反対の意思を表示した意見書を提出した場合において、開示決定をするときは、開示決定の日と開示を実施する日との間に少なくとも2週間を置かなければならない。この場合において、実施機関は、開示決定後直ちに、当該意見書(第26条及び第27条において「反対意見書」という。)を提出した第三者に対し、開示決定をした旨及びその理由並びに開示を実施する日を書面により通知しなければならない。

趣旨

本条は、実施機関が開示請求の処理を行うに当たって、第三者の権利利益の適正な保護を図るため、必要な調査の一環として設けられた手続的規定であり、第三者に対する意見書提出の機会の付与、開示に反対の意思を表示した意見書の提出があった場合の措置について定めたものである。

解説

第三者に関する情報が記録されている公文書について開示請求があったときは、当該第三者に意見書の提出の機会を与えることができることとするとともに、公益上の理由により開示しようとするときには、当該機会を与えなければならないとし、また、当該 第三者から開示に反対する旨の意見書が提出された場合において開示決定をするときには、開示決定日と開示の実施日との間を空けて開示の実施前に当該第三者が争訟を提起する機会を確保し、第三者の権利利益の保護を図るものである。

1 任意的意見聴取(第1項)

(1)本項は、実施機関が開示請求の処理を行うに当たって、第三者の意見を聴くことができる旨を定めるものである。

実施機関が開示、非開示の判断を行うに当たって、より的確な判断を行うため、関係する第三者の意見を聴くことは有意義である。しかしながら、第三者に関する情報が記録されている公文書といっても、例えば、当該情報が既に公にされているものである場合、同種のケースについて非開示決定を行う取扱いが確立している場合、当該第三者が開示に反対しないことが明らかである場合など、第三者に意見提出の機会を与える必要がないものもあるので、本項では、意見書提出の機会を与えるかどうかは実施機関の判断に委ねている。

なお、開示、非開示の判断を行うに当たって、実施機関による資料の収集、意見の聴取などは、特別の規定がなくとも任意に適宜の方法により行うことは可能であるが、本項による手続をとった場合には、第3項の適用がある。

(2)本条における「第三者」は、第33条の一般的意味の「第三者」とは異なり、第27条及び第28条と同様に、「県、国、独立行政法人等、他の地方公共団体、地方独立行政法人、公社及び開示請求者以外の者」をいう。

意見を聴くことができる「第三者」の範囲から、県、国、独立行政法人等、他の地方公共団体、地方独立行政法人及び公社を除いているのは、それらが広い意味での国家機関等であって、私人と同様の手続的保障を図る必要性に乏しいこと、また、それらの意見を聴く必要があるときは、適宜の方法により意見を求めれば足りることによる。

(3)「第三者に関する情報」とは、当該第三者が識別できる情報に限らず、第三者に何らかの関連性を有する情報も含まれる。

(4)「公文書の表示」とは、公文書を特定するに足りる事項を意味するものであり、通知の相手方である第三者に対し、意見書提出の機会の付与に係る公文書がどれであるかを当該第三者が判断できるように伝えることを意味する。

(5)「公文書の表示」以外に通知すべき事項については、実施機関で定めるとしており、規則第7条において、〔1〕開示請求の年月日、〔2〕開示請求に係る公文書に記録されている当該第三者に関する情報の内容、〔3〕意見書を提出する場合の提出先及び提出期限が定められている(規則第7条参照)。

(6)第三者の意見聴取の方法としては、本項の規定による意見聴取の結果、開示に反対の意見が出されたときは第3項の規定による手続を取ることが必要となるため、書面の提出をもって行うものとする。

(7)意見書にどのような内容を記載するかについては、第三者の判断に委ねられているが、開示、非開示の判断はあくまでも第14条に規定する非開示情報が記録されているか否かによって行われるものであり、第三者の意向によって決まるものではないことから、単に開示に対する賛否を記載するだけでは意見書を提出する意義に乏しい。よって、できる限り実施機関の開示、非開示の判断に資するような情報の提供が望まれる。

なお、意見書には、意見の内容を裏付ける資料を添付することができる。

(8)第三者が意見書を提出することができるのは、当該第三者に関する情報の開示、非開示についてであり、開示請求に係る公文書に記録されている他の情報についてまで意見書を提出する権利を有するものではない。

2 必要的意見聴取(第2項)

(1)本項は、公益的開示の場合は当該公文書に記録されている情報に係る第三者の権利利益を侵害するおそれがあるため、適正手続の保障の観点から、当該第三者に意見書提出の機会を与えることを義務づけるものである。

本項が適用されるのは、次の3つの場合のいずれかに該当する、第三者に関する情報が記録されている公文書を開示しようとするときである。

〔1〕個人情報ではあるが、人の生命、健康等を保護するために、開示することが必要と認められるもの(第14条第2号ロ)

〔2〕法人等情報ではあるが、人の生命、健康等を保護するために、開示することが必要と認められるもの(第14条第3号ただし書)

〔3〕非開示情報が記録されている公文書ではあるが、開示することに特に公益上の必要性があると認められるもの(第16条)

これらは、本来、当該第三者の権利利益だけを見れば非開示情報として保護されるべきものであるにもかかわらず、他の公益との関係で開示されることとなるものである。このため、これらの場合には、第三者に意見書提出の機会を与えることを実施機関に義務づけることとした。

(2)「当該第三者」とは、公益上の理由による開示でなければ非開示となる情報に係る第三者を指し、開示請求に係る公文書の他の情報に係る第三者は含まない。

(3)実施機関が第三者の所在について合理的な努力を行ったにもかかわらず、当該第三者の所在が判明しない場合には、手続が進められなくなることを避けるため、意見書提出の機会を与えなくても良いこととしている。例えば、実施機関に届けられている住所や、法人であれば登記簿に記載された住所に送付しても不達の場合には、本ただし書が適用される。また、第三者が死亡している場合や、解散している場合も本ただし書の対象となる。

3 反対意見書を提出した場合の手続(第3項)

(1)本項は、意見書提出の機会を与えられた第三者が、開示決定について、行政上又は司法上の救済手続を講ずる機会を確保するものである。

公文書が一度開示されてしまうと、保護されるべき第三者の権利利益の救済は不可能となることから、開示の実施前に、第三者が開示決定の取消しの審査請求又は取消訴訟を提起することができるようにする必要がある。このため、開示の決定をしたときは、意見書提出の機会を与えた第三者に対し必要な事項を通知するとともに、開示の実施までに少なくとも2週間を置くこととした。

なお、行政不服審査法及び行政事件訴訟法上、執行不停止の原則が採られているので、開示決定を争おうとする第三者は、審査請求及び訴訟を提起すると同時に開示決定の執行停止の申立てをする必要があるが、運用上、当該第三者の利便を考慮して、審査請求及び訴訟が提起されたときは、開示決定の執行停止の申立てがなくとも実施機関の職権において開示の執行を停止することができるため(行政不服審査法第25条第2項)、当該第三者及び開示請求者に対し、直ちに開示の執行を停止する旨通知するものとする。

(2)「開示に反対の意思を表示した意見書を提出した場合」とは、意見書において、当該第三者が開示を望まない旨が明らかであれば足りる。

(3)「開示決定をするとき」とは、公文書の全部開示の決定に限らず、部分開示の決定をするときも含まれるが、当該第三者に関する情報を非開示とする場合は含まれない。

(4)「意見書を提出した場合」における提出の時点は、第三者が意見書を郵送等に付した時点ではなく、意見書が当該実施機関に到着した時点を意味する。実施機関が指定した期限後に意見書が提出された場合には、本条に基づく手続の対象外となるが、開示決定等の前であれば、当該意見書に記載された情報を考慮に入れることは当然可能であり、そうすることが望ましい。

(5)「開示決定の日と開示を実施する日との間に少なくとも2週間を置かなければならない。」とは、第三者が審査請求又は訴訟を提起するために最低限必要な期間として、開示決定から開示を実施するまでに2週間以上の期間を確保しなければならないこととするものである。

期間を明確化することは、開示請求者の速やかに開示を受ける権利の保障との関係上、適当であると考えられることによるが、「2週間」としたのは、事前に第三者の意見を聴いているという事情を踏まえ、訴訟手続における控訴期間を参考にしたものである。

個別の事案に応じ、2週間以上の期間を置くことを妨げるものではないが、開示請求者の速やかに開示を受けられる利益を不当に害することのないよう、第三者の利益と開示請求者の利益との比較衡量が必要である。

(6)「開示決定後直ちに、…開示決定をした旨及びその理由並びに開示を実施する日を書面により通知しなければならない。」とは、反対意見書を提出した第三者が争訟を提起しようとする場合に必要な情報を提供するということである。この通知は、第三者が争訟の提起のために必要な準備作業に要する時間を確保できるよう、開示決定をしたときは直ちに行う必要がある。

(7)「その理由」は、第三者に係る情報が非開示情報に該当しないことと判断した理由又は公益上の理由による開示が必要と判断した理由であり、開示することとした部分すべてについての理由を記載する必要はなく、当該第三者に係る情報を開示することとした理由のみを記載すれば足りる。

なお、反対意見書に記載されている項目について、逐一理由を加える必要はない。

(8)「開示を実施する日」とは、開示決定の時点では確定日とはならないので、開示を実施することが見込まれる日でもよい。

4 著作権との関係

(1)著作権法では、著作物の扱いについて著作者のコントロール権を認めているため、通常、実施機関が保有する第三者の未公表著作物を著作者本人の許諾を得ずに開示することは著作権法第18条で定める公表権の規定により禁止され、著作物の写しを本人の承諾を得ずに交付することは同法第21条の複製権の規定により禁止されている。

したがって、開示請求に係る公文書が第三者の著作物である場合は、著作権法上の公表権、複製権等との調整が必要となることから、行政機関の保有する情報の公開に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成11年法律第43号)により、著作者が行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報公開法」という。)に基づく開示に同意しない旨を表明していない場合には開示に同意したものとみなすこと、公益上の理由により開示する場合には公表権を害することとならないこと、開示に必要な限度で複写等を行う場合には複写権等を害することにはならないことなどの調整措置が講じられた。また、情報公開条例に基づいて著作物を開示する場合においても、情報公開法と同様な規定に従って開示する限り、情報公開法における取扱いと同様とする調整措置が講じられた。

(2)公表権との調整(著作権法第18条第3項第3号及び第4項第3号ないし第5号)

ア 開示の同意(著作権法第18条第3項第3号)

著作者が「未公表の著作物」を地方公共団体に対し別段の意思表示(開示に同意しない旨の意思表示)をせずに提供した場合には、情報公開条例に基づく開示に同意したものとみなすこと。

イ 公表権の適用除外(著作権法第18条第4項第3号ないし第5号)

公益上の義務的開示、裁量的開示等の場合の「未公表の著作物」の開示については、著作者の意思のいかんを問わず、公表権の規定を適用しない。

(3)複製権等との調整(著作権法第42条の2)

情報公開条例で定められた方法によって、著作物の写しの交付等を必要と認められる限度において行う場合には、複製権等の著作権を害することとはならない。また、開示のために作成された複製物を他の目的で使用することは、開示請求者、実施機関ともに認められない(著作権法第49条)。

第22条(開示の実施)関係

(開示の実施)

第22条 公文書の開示は、文書又は図画については閲覧又は写しの交付により、電磁的記録についてはその種別、情報化の進展状況等を勘案して規則で定める方法により行う。ただし、閲覧の方法による公文書の開示にあっては、実施機関は、当該公文書の保存に支障を生ずるおそれがあると認めるときその他正当な理由があるときは、その写しにより、これを行うことができる。

趣旨

本条は、公文書の開示について、その実施方法を定めるものである。

解説

(1)文書又は図画(以下「文書等」という。)という視覚によって直接その内容を確認できる公文書については、公文書そのものを見せる「閲覧」と、その写しを作成して交付する「写しの交付」を開示の方法とした。開示を受けるものは、そのいずれか又は両方の方法を選択することができる。

(2)電磁的記録の開示方法については、種々の形態が考えられるところであり、特に電子計算機処理に係る情報については、再生用機器の普及状況及びセキュリティの確保に係る技術的、専門的な観点からの検討を行う必要があることから、「その種別、情報化の進展状況等を勘案して規則で定める」とした。

規則第9条により、用紙に出力できるものは出力したものの閲覧及び交付、聴取、視聴のほか新たに電磁的記録の閲覧及び複写物の交付を受けることができることとした。当面の間、複写物の媒体としてCD-R及びDVD-Rを対象とする。

(3)文書等の閲覧及び電磁的記録の閲覧、聴取及び視聴については、原本の保存に支障を生ずるおそれがあるなど、原本を閲覧に供することが困難な場合があり得るので、その場合には、写しによることとしている。

例えば、原本の傷みが激しいためにそのまま開示に供すると当該公文書の保存に支障がある場合や、原本を事務又は事業に使用する必要があり閲覧に供すると事務又は事業の遂行に支障がある場合、部分開示をするために黒インクを塗るなどしてマスキングを施す必要がある場合等において、同一性を保持した上で原本の写し(複製)を作成し、これを閲覧に供したり、これの写しにマスキングをしたもの又はその写しを閲覧に供する又は交付することを想定している。

(4)文書等の写しは、乾式複写機によりA3判以下の用紙で作成し、又はスキャナにより読み取ってできた電磁的記録をCD-R又はDVD-Rに複写して作成するものとする。なお、A3判よりも大きい用紙で写しを作成することを妨げるものではないが、開示請求者に求める費用負担の額は、当該用紙をA3判で換算した金額となる。

(5)文書等の写しを作成する場合は、原本と同一の形状で写しを作成し、拡大や縮小等の加工は行わない。また、裏面に反故紙を再利用している場合等で、有意な情報が記録されていないページについては、公文書の一部とはみなさないものとする。

(6)開示請求に係る文書等がカラー(白黒以外の単色を含む。以下同じ。)を含む場合にあっては、開示請求者から希望があったときは、カラーコピー機により当該文書等の写しを作成し、交付するものとする。また、当該文書等を電磁的記録としても保有している場合は、カラープリンタにより写しを作成し、交付することもできる。

なお、開示請求者からカラーの写しの希望があったものの、文書等中にカラーのものは存在しないが白黒のものは存在する場合には、白黒の写しを交付するものとする。

また、カラーの写しは、通常、カラーの図画や写真等を対象とし、特段の意思表示がない限り単なる印影や単にカラーのペンで記述されたページ等は白黒の写しで対応するものとする。

(7)開示請求者がスキャナによる複写物の交付を希望している場合であっても、担当課所が保有する処理装置では容易に複写物を作成できないときは、乾式複写機により写しを作成するものとする。
なお、「容易に複写物を作成できないとき」の例としては次のような場合が考えられる。

  • スキャナそのものを保有していない場合
  • 文書等はA3判であるが、保有しているスキャナではA3判の文書等を読み取れない場合

(8)電磁的記録に写しの交付の請求があったときは、原則として用紙に出力したものを交付するものとする。ただし、開示請求者から電磁的記録の複写物による交付の希望があった場合は、電磁的記録が存在し、かつ規則第9条で定める方法による電磁的記録の複写物の交付ができる場合に行うものとする。

なお、開示請求者から電磁的記録の複写物による交付の希望があったが、現有する機器等では技術上対応ができない場合及び電磁的記録では存在しないが用紙に出力したものは存在する場合等は、用紙に出力したものあるいはその写しにより交付を行うものとする。

(9)電磁的記録の複写物の交付は、請求者からの媒体物の持ち込みによる交付は、パソコンのセキュリティの問題や媒体物の破損等を避ける為に認めない。

(10)郵送等により公文書の写しを交付する場合は、開示決定等通知書(公文書開示決定通知書(規則別記様式第2号)及び公文書部分開示決定通知書(規則別記様式第3号)をいう。以下同じ。)の「開示の場所」欄に「送付による」旨を記載するものとし、費用徴収後に送付するものとする。

(11)開示の実施は、開示請求者に対して行うことが原則であるため、次のとおり取り扱うものとする。

ア 開示決定等通知書等の提示があった場合は、開示請求者本人又はその使者として扱い、開示の実施を行う。

イ 開示決定等通知書の提示がない場合は、実施機関において開示請求者本人であると確認できるときを除き、開示請求者本人であることがわかる書類又は開示請求者の任意代理人若しくは法定代理人であることがわかる書類の提示があった場合に限り、開示の実施を行う。

(ア)開示請求者本人であることがわかる書類は、群馬県個人情報保護条例(平成12年群馬県条例第85号。以下「個人情報保護条例」という。)第16条第2項で定める書類とする。具体的には運転免許証、旅券等である。

(イ)任意代理人であることがわかる書類は、開示請求者が発行した委任状等代理関係を証明する書類及び受任者本人であることがわかる書類((ア)と同様に個人情報保護条例第16条第2項で定める書類)とする。

(ウ)法定代理人であることがわかる書類は、開示請求者の法定代理人であることを証明する書類(戸籍謄本、住民票等)及び法定代理人本人であることがわかる書類((ア)と同様に個人情報保護条例第16条第2項で定める書類)とする。

第23条(費用の負担)関係

(費用の負担)

第23条 公文書の開示を受ける者は、実費の範囲内において規則で定める費用を負担しなければならない。

趣旨

本条は、公文書の開示を受ける者は、規則で定める費用の負担が必要であることを定めたものである。

【解説】

(1)請求手数料や閲覧手数料を徴収するという考えもあるが、情報公開制度の公共性やこれによる県政の透明性の向上、住民参加を図るという観点から、これらを徴収せず無料とし、写しの交付を求める場合及び「その他公文書の性質に応じて複写について特別な対応を必要とする場合における当該複写したもの」の聴取、視聴又は閲覧を求める場合については、その作成等に要する費用の負担を求めるものである(規則第11条)。

(2)写しの作成に要する費用として徴収する額は、次のとおりとする。

費用負担に係る額
区分 費用の額

1 乾式の複写機による写しの交付(A3判以下の大きさのものに限り、5の項に該当する場合を除く。)

白黒複写1枚につき10円

カラー複写1枚につき50円

2 用紙に出力したものの交付(A3判以下の大きさのものに限り、5の項に該当する場合を除く。)

白黒複写1枚につき10円

カラー複写1枚につき50円

3 CD-Rに複写したものの交付(5の項に該当する場合を除く。)

文書等をスキャナにより読み取ってできた電磁的記録の複写の場合

1枚につき200円に当該文書等1枚ごとに10円を加えた額

その他の場合

1枚につき200円

4 DVD-Rに複写したものの交付(5の項に該当する場合を除く。)

文書等をスキャナにより読み取ってできた電磁的記録の複写の場合

1枚につき220円に当該文書等1枚ごとに10円を加えた額

その他の場合

1枚につき220円

5 その他公文書の性質に応じて複写について特別な対応を必要とする場合における当該複写したものの聴取、視聴、閲覧又は交付

当該複写したものの作成に要する費用に相当する額

また、両面複写の場合は片面を1枚として額を算定する。
なお、「5 公文書の性質に応じて複写について特別な対応を必要とする場合」とは、実施機関の有する機器では複写することができないが、複写物の作成を外部に委託することで容易に複写が可能な場合等を指し、「当該複写したものの作成に要する費用に相当する額」とは、委託等により複写するために要した費用を指す。このような場合、最終的にCD-RやDVD-R等での交付や聴取、視聴又は閲覧のように写しの交付を行わない場合であっても、実費の負担の考え方に基づき、開示請求者に、当該複写したものの作成に要する費用に相当する額の負担を求めることとなる。
個別対応のために発生した特別な費用の負担を開示請求者に求めるため、実施機関は、複写したものの作成に要する費用の概算が分かった時点で開示請求者にその費用を伝え、請求を維持するか否かの意向確認をすることが望ましいと考えられる。

(3)公文書の写しの交付部数は、請求1件につき1部である。

(4)写しを送付する必要がある場合は郵送等によることとし、それにかかる費用は、現金書留又は郵便為替により徴収する。

 なお、送付料は、郵便切手若しくは知事が定めるこれに類する証票による徴収もできるものとする。「知事が定めるこれに類する証票」とは、一般信書便事業者(民間事業者による信書の送達に関する法律第2条第6項)が郵便切手に類する証票を発行した場合を想定しているが、現時点では具体的に定められているものはない。

郵便為替による場合で、費用を上回る定額小為替が送付されたときは、受付をしないで返送をすることとする。ただし、郵送等送付に要する費用の全部又は一部については、郵便切手(料金後納を含む。)をもって代えることができるものとする。

また、返送時のトラブルを避けるために、公文書開示決定通知書(規則別記様式第2号)又は公文書部分開示決定通知書(規則別記様式第3号)の備考欄に「※○○○円を超える額の郵便為替が送付された場合は、受付をせずにそのまま返送することになりますので、ご注意下さい。」と必ず付記することとする。この場合、写しの作成に要する費用と郵送等送付に要する費用の内訳がわかるように記載する。

(5)費用は、送付料を含め前納である。

第24条(適正な請求及び使用)関係

(適正な請求及び使用)

第24条 開示請求をしようとする者は、この条例の目的に則し、適正な請求を行うとともに、開示により得た情報を適正に使用しなければならない。

趣旨

本条は、開示請求する者の「適正な請求」及び開示を受けた情報の「適正な使用」を定めたものである。

解説

(1)本条は、この条例によって県民に保障された権利に内在する制約、いわゆる権利の濫用の防止について定めており、この制度を利用するに当たっての指針を示している。

(2)「適正な請求」とは、この制度の利用を開示請求の段階で規定したものであり、「適正な使用」とは、取得した情報の利用の段階で規定したものである。

(3)民法第1条第3項(権利の濫用)の一般法理だけでなく、開示を受ける意思のない請求を行うべきではないなど、「適正な請求」が開示請求者の責務であることを明確にしている。

どのような場合に権利濫用に当たるかは、開示請求の態様や開示請求に応じた場合の実施機関の業務への支障及び県民一般の被る不利益等を勘案し、社会通念上妥当と認められる範囲を超えるものであるか否かを個別に判断することになる。実施機関の事務を混乱、停滞させることを目的とするなど開示請求権の本来の目的を著しく逸脱したような開示請求は、権利の濫用として請求を拒否できるものと考えられる。なお、開示請求の対象となる公文書が著しく大量であることにより事務の遂行に著しい支障が生じるおそれがあっても、前述のように実施機関の事務を混乱、停滞させることを目的とするなどの場合を除き、単に事務処理上対応が困難という場合には、処理期限の特例(第19条第3項)により対処するものであって、権利の濫用に該当しない。

大量請求以外で不適正な請求の事例は次のもの等が考えられる。

〔1〕開示請求をするだけで閲覧に来なかったり、写しの受け取りに来ない請求

〔2〕過去に本制度により得た情報を不適正に使用して第三者の権利利益を不当に侵害した事実が認められる場合であって、同請求者から同種の内容の請求がなされ、不適正な使用が繰り返されると明らかに認められる請求

〔3〕特定の個人を誹謗、中傷、又は威圧することを目的とするなど、明らかな害意が認められる請求

上記のような事案においてもその態様によっては、権利濫用の一般法理を適用し拒否できることがあると考えられる。

(4)開示請求者は、公文書の開示によって得た情報を社会通念上の良識に従って使用しなければならず、第三者の権利利益及び公共の利益を侵害することのないよう、この条例の目的に則し、適正に使用しなければならない。

第25条(他法令等との調整等)

(他法令等との調整等)

第25条 実施機関は、法令、他の条例、規則、規程等(以下この条において「法令等」という。)の規定により、何人にも開示請求に係る公文書が第22条本文に規定する方法と同一の方法で開示することとされている場合(開示の期間が定められている場合にあっては、当該期間内に限る。)には、同条本文の規定にかかわらず、当該公文書については、当該同一の方法による開示を行わない。ただし、当該法令等の規定に一定の場合には開示をしない旨の定めがあるときは、この限りでない。

2 法令等の規定に定める開示の方法が縦覧であるときは、当該縦覧を第22条本文の閲覧とみなして、前項の規定を適用する。

趣旨

本条は、公文書の開示等を定める法令等の規定との調整措置を定めるものである。

解説

(1)本条例と、一定の情報を特定の手続によって提供又は開示する旨を定める個々の法令等とは、制度の目的や手続を異にするため、原則としては、本条例の規定と個別法等の規定とがそれぞれ別個に適用されることになる。

しかし、公文書が、個別法等の規定により何人にも本条例に規定する開示の方法と同一の方法により開示することとされている場合には、本条例を重ねて適用する必要はなく、事務手続の錯綜を避ける意味からも、当該公文書については当該同一の方法による開示を行わないこととするものである。

(2)県における住民参加の一環として設けられている公文書の閲覧及び縦覧は、法令だけでなく、規則、要綱や条例以外のルールに根拠を置くものが多いことを考慮して、「法令、他の条例、規則、規程等」としている。

(3)本条の調整措置の対象となる規定は、公文書を「何人にも」開示することとされているものに限られる。

公文書が本人、利害関係人等特定の者に対して開示することとされている規定については、本条例が並行的に適用されることとなり、本条例に基づいてこれらの公文書の開示請求があった場合には、当該規定の趣旨を考慮しつつ、当該公文書に記録されている情報が第14条各号の非開示情報に該当するか否かを個別に判断することになる。

(4)「第22条本文に規定する方法と同一の方法」については、他の法令等の規定における開示の方法が条例第22条本文に規定する開示の方法と同一である場合に限って、当該同一の方法による開示をしないこととするものである。

例えば、他の法令等において閲覧の方法による開示が規定されている場合、閲覧の方法による開示については本条例では行わず、他の法令等によることとなり、写しの交付の方法による開示については、本条例に基づき行うこととなる。

(5)他の法令等における開示規定の中には開示の期間が定められているものがあり、この場合には、当該期間内に限り本条例の調整措置の対象となる。すなわち、当該期間内においては、他の法令等の規定に定める開示の方法が条例第22条本文に規定する開示の方法と同一の方法である場合に、本条例では当該同一の方法による開示を行わない。当該期間の前後については、他の法令等の規定に定めがないことから、本条例に基づくこととなる。

(6)他の法令等の規定に、「正当な理由がなければこれを拒むことはできない」(河川法第12条第4項等)とされているなど、一定の場合に開示をしない旨の定めがあるときは、本条例に基づき開示請求した場合の開示の範囲とは必ずしも同一にはならないことから、本条の調整措置の対象とならない。

(7)「縦覧」は、条例第22条において開示の方法として規定されていないが、個々人に公文書の内容が明らかに分かるように示し、見せるものであり、閲覧と同視される開示の形態であることから、他の法令等の定める開示の方法が縦覧であるときは、当該縦覧を閲覧とみなして、本条例では、閲覧の方法による開示は行わないこととするものである。

【具体例】

1 閲覧等の期間が限定されていないもの

(1)閲覧
  • 貸金業者登録簿(貸金業法第9条)
  • 宅地建物取引業者名簿等(宅地建物取引業法第10条)
  • 建設業許可申請書等(建設業法第13条)
  • 道路台帳(道路法第28条第3項)
  • 測量業者登録簿等(測量法第55条の12第1項)
  • 建築計画概要書(建築基準法第93条の2)
  • 建築士事務所登録簿等(建築士法第23条の9)
(2)縦覧
  • 都市計画図書(都市計画法第20条第2項)
(3)謄本又は抄本の交付
  • 開発登録簿(都市計画法第47条第5項)(※閲覧も可能。)

2 閲覧等の期間が限定されているもの

  • 土地改良事業計画書及び定款の写しの縦覧(土地改良法第8条第6項等)
  • 都市計画の案の縦覧(都市計画法第17条第1項)
  • 特定非営利活動法人の定款、役員名簿等の縦覧(特定非営利活動促進法第10条第2項及び第25条第5項)
  • 特定非営利活動法人の事業報告書等の閲覧(特定非営利活動促進法第30条及び第56条)

第25条の2(県設立地方独立行政法人等に対する審査請求)

(県設立地方独立行政法人等に対する審査請求)

第25条の2 県設立地方独立行政法人若しくは公社がした開示決定等又は県設立地方独立行政法人若しくは公社に対する開示請求に係る不作為について不服がある者は、当該県設立地方独立行政法人又は公社に対し、審査請求をすることができる。

趣旨

本条は、県設立地方独立行政法人若しくは公社がした開示決定等又は県設立地方独立行政法人若しくは公社に対する開示請求に係る不作為について不服がある者は、当該県設立地方独立行政法人又は公社に対して審査請求をすることができることを確認的に定めるものである。

解説

(1)本条例では県設立地方独立行政法人及び公社(以下「県設立地方行政法人等」という。)を実施機関としていることから、開示請求に対する開示決定等は行政不服審査法第1条第2項の「処分」に当たり、開示請求に係る不作為は第3条の「不作為」に当たる。したがって、これらについて不服がある者は、審査請求をすることができる。

(2)県設立地方行政法人等には上級行政庁が存在しないため、県設立地方行政法人等に対する審査請求は、県設立地方行政法人等に行うものとなる。

(3)なお、県設立地方行政法人等がした開示決定等については、行政事件訴訟法に基づく処分の取消しの訴え等の対象ともなり、不作為については、同法に基づく不作為の違法確認の訴え等の対象ともなる。

第25条の3(審理員による審査請求手続に関する規定の適用除外)

(審理員による審査請求手続に関する規定の適用除外)

第25条の3 開示決定等又は開示請求に係る不作為に係る審査請求については、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第9条第1項に規定する審理手続を行う者を指名しないものとする。

趣旨

本条は、本条例に係る審査請求について、行政不服審査法第9条第1項に規定する「審理手続を行う者」、すなわち「審理員」による審理を適用しないことを定めたものである。

解説

(1)行政不服審査法第9条は、審理の公正性、透明性を高めることにより、審査請求人の手続的権利を保障するとともに、従前以上に行政の自己反省機能を高め、国民の権利利益の救済及び行政の適正な運営を確保するため、処分に関する手続に関与していない等一定の要件を満たす「審理員」が、同法第2章第3節に規定する審査請求の審理を行うことを法律事項として規定するものである。

(2)「行政不服審査法-第9条第1項に規定する審理手続を行う者」とは、「審理員」のことである。

(3)行政不服審査法第9条第1項ただし書は、「条例に基づく処分について条例に特別の定めがある場合-は、この限りでない」と規定している。これは、「審理員」の指名を要しない場合を規定したものであるが、条例に基づく処分については、条例で特別の定めを設け、審理員を指名しないとすることができることとしているものである。例えば、いわゆる情報公開条例に基づく処分について、地方公共団体の情報公開審査会が諮問を受けて実質的な審理を行っている場合などに審理員を指名しないと条例で定めることが想定されている。

(4)本条例は、第26条で、開示決定等又は開示請求に係る不作為に対する審査請求について、審査請求を受けた実施機関に対し、原則として、公文書開示審査会への諮問を義務づけており、これにより実施機関における審査の公正さが保たれている。また、公文書開示審査会は、優れた識見を有する者で構成された諮問機関であり、本条例第30条第1項に規定された、いわゆるインカメラ審理の権限をもって開示の可否を判断するなど実質的な審理を行っている。そのため、行政不服審査法で規定された「審理員」による審理が不要と考えられることから、本条では行政不服審査法第9条第1項の規定を適用しないこととしたものである。

(5)行政不服審査法第9条第3項は、「審査庁が第1項-ただし書の特別の定めがある場合においては、別表第一の上欄に掲げる規定の適用については、これらの規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとし、第17条、第40条、第42条及び第50条第2項の規定は、適用しない」と規定している。これは、「審理員」を指名しない場合、「審理員」ではなく「審査庁」が審理する構造となることから、審理員制度を前提とする同法の諸規定についての適用読替及び適用除外を規定するものである。そのため、「審理手続を行う者を指名しない」とした本条の規定により、当該適用読替及び適用除外の特例が適用されるものである。

第26条(審査会への諮問)関係

(審査会への諮問)

第26条 開示決定等又は開示請求に係る不作為について審査請求があったときは、当該審査請求に対する裁決をすべき実施機関は、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、遅滞なく、群馬県公文書開示審査会に諮問しなければならない。

(1)審査請求が不適法であり、却下するとき。

(2)裁決で、審査請求の全部を認容し、当該審査請求に係る公文書の全部を開示することとするとき。ただし、当該公文書の開示について反対意見書が提出されているときを除く。

趣旨

本条は、開示決定等又は開示請求に係る不作為に対する審査請求について、審査請求を受けた実施機関に対し、原則として、公文書開示審査会への諮問を義務づけるものである。

解説

(1)第18条の規定による開示決定等は、行政不服審査法に規定する「処分」に当たるものであり、開示決定等について不服がある場合又は開示請求から相当の期間が経過したにもかかわらず、実施機関の不作為がある場合には、審査請求をすることができる。本条は、この審査請求があった場合に、実施機関は、原則として、審査会に諮問しなければならないことを定めたものである。

 これは、実施機関が行った開示決定等又は実施機関の不作為に対して行う審査請求の裁決に際して、審査会の審議を求めることにより、当該審査請求の審査の公正さを保つためのものである。

(2)開示決定等を不服として法的救済を受ける手続には、行政不服審査法に基づき実施機関に対して行う「処分に対する審査請求」と、行政事件訴訟法に基づき裁判所に対して実施機関を被告として行う「処分取消の訴え」とがあり、いずれの方法を採るかは法的救済を受けようとする者の選択に任されている。

(3)実施機関が審査請求に対する裁決を行うに当たって審査会の議を経なければならないのは、当該審査請求が、第18条の規定に基づく次のアからエに掲げる事由に対するものであり、かつ、行政不服審査法に規定する審査請求の形式的要件を具備しているときである。

ア 開示請求に係る公文書の全部又は一部の開示を拒んだとき。

イ 開示請求に係る公文書の存否を明らかにしないで請求を拒んだとき。

ウ 開示請求に係る公文書を実施機関が保有していないとき。

エ 開示請求に係る公文書の全部又は一部を開示しようとするとき。

したがって、審査会は、上記アからエまでの実施機関の判断の妥当性について審査を行うこととなる。

なお、エに対するものには、開示請求に係る公文書に第三者の情報が含まれている場合の、開示に反対する当該第三者からの審査請求などがある。

(4)審査請求があった後、実施機関が開示決定等(開示請求に係る公文書の全部を開示する旨の決定を除く。)を取り消し又は変更して当該審査請求に係る公文書の全部を開示する旨の決定等を行うときは、審査会に諮問する必要がないこととした。例えば、実施機関が当初の決定を行った後、審議検討中で開示できない状況にあったものが審議検討の終了により開示できる状態になった場合や、訴訟中の同種の情報について裁判所の判断が示された場合などが考えられる。ただし、第三者から開示に反対の意見を表示した意見書が提出されているときには、当該第三者の利益を害するおそれがあるので、審査会の議を経た上で裁決等を行うこととした。

(5)不作為の審査請求については、争訟の一回的解決の観点から、不作為があるか否か、不作為がある場合にそれが違法又は不当であるか否かにとどまらず、違法又は不当な不作為が認められる場合において、審査庁が申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、裁決において、法令に基づく申請に対して「一定の処分」をする措置をとることになることから、行政不服審査法では、処分についての審査請求と同様に、原則として不作為庁の最上級行政庁を審査請求先とされている。また、不作為の審査請求も、行政不服審査法第3条の「相当の期間」が経過している以上は、当該審査請求に係る処分の内容等に照らし、不作為が違法又は不当であるか否かといった実体判断を伴うものであり、その判断に誤りがある場合には、行政不服審査法第49条第3項の「一定の処分」をすべきか否かが調査審議の対象となり得るから、第1項の規定による諮問を義務付けることとしている。

運用

審査請求があった場合の主な事務の内容

ア 県民活動支援・広聴課における事務

(a)知事宛の審査請求書の受付に関すること。

(b)知事宛の審査請求に係る反論書の受付に関すること。

(c)審査会の庶務に関すること。

(d)知事宛の審査請求に係る審査会への諮問書の作成及び第27条に規定する審査請求人等への通知等に関すること。

(e)知事宛の審査請求に係る審査会からの答申の受領に関すること。

(f)知事宛の審査請求に対する裁決に関すること。

(g)審査請求人に対する審査請求に係る必要な情報の提供に関すること。

(h)各課所における事務として、次のイに掲げる事務の指導及び助言に関すること。

 県民活動支援・広聴課が上記アに掲げる事務を処理するに当たっては、各課所との連絡を十分密にして行うものとする。

イ 各課所における事務

(a)審査請求書の受付に関すること。

(b)弁明書の作成に関すること。

(c)審査会における口頭説明に関すること。

(d)第28条に規定する第三者への通知に関すること。

(e)審査請求人に対する審査請求に係る必要な情報の提供に関すること。また、各課所は、県民活動支援・広聴課が上記アに掲げる事務を処理するために必要な書類、説明等を求めたときは、その求めに応じなければならないものとする。

第27条(諮問をした旨の通知)関係

(諮問をした旨の通知)

第27条 前条の規定により諮問をした実施機関(以下「諮問庁」という。)は、次に掲げる者に対し、諮問をした旨を通知しなければならない。

(1)審査請求人及び参加人(行政不服審査法第13条第4項に規定する参加人をいう。以下同じ。)

(2)開示請求者(開示請求者が審査請求人又は参加人である場合を除く。)

(3)当該審査請求に係る公文書の開示について反対意見書を提出した第三者(当該第三者が審査請求人又は参加人である場合を除く。)

趣旨

本条は、公文書開示審査会に諮問した旨を審査請求人等の関係者に通知することを諮問庁に義務づけるものである。

解説

(1)公文書開示審査会における調査審議の手続においては、審査請求人等に公文書開示審査会に対する口頭による意見陳述の求めや意見書提出の機会等が与えられており、審査請求人等がこれらの機会を行使できるよう、公文書開示審査会における調査審議の手続が始まったことを知らせる必要がある。このため、実施機関は、公文書開示審査会に諮問をしたときは、諮問した旨を審査請求人等に対して通知しなければならないこととした。

(2)本条は、諮問する期限を明示するものではないが、諮問した実施機関にその旨の通知義務を課すことで、諮問の遅滞がないよう促進する間接的な効果があり、審査請求手続に遅延が生じた場合に、第35条の規定(答申書の送付等)とともに、少なくとも諮問をした実施機関における諮問の遅延をチェックすることができるものである。

(3)通知すべき相手方の範囲は、不服審査手続に関与している審査請求人及び参加人のほか、参加人となり得ることが明らかな者(反対意見書を提出した第三者)としている。

(4)「審査請求人」とは、開示決定等又は開示請求に係る不作為に対する審査請求をした者をいう。審査請求人には、開示請求者本人のほか、開示請求者への開示決定若しくは部分開示決定に対して自己に関わる情報が記録されていることを理由に審査請求をした第三者が含まれることに留意する必要がある。なお、第三者の範囲については第21条参照のこと。

(5)「参加人」とは、行政不服審査法第13条の規定に基づき、審査庁の許可を得て、又は審査庁の求めに応じ、当該不服審査手続に参加人として参加した者をいう。審査請求人と利害を一にするか否か、反対利害関係を有するか否かを問わない。

(6)第2号は、第三者から審査請求があった場合を想定したものである。
開示請求者が既に参加人として参加している場合は、第1号により通知されることになるが、まだ参加していない場合に、参加の機会を与えることを目的とするものである。

(7)第3号は、開示請求者が非開示決定又は部分開示決定を不服として、その取消しを求めた場合に、当該取消しに関し利害関係を有することが明らかである第三者に参加人として参加する機会を与えることを目的とするものである。

なお、当該第三者が反対意見書を提出している場合でも、開示決定等に対して審査請求をしていたり、既に不服審査手続に参加していたりする場合には第1号により通知される。

(8)例えば、実施機関が第三者に意見提出の機会を与えることなく非開示決定を行った場合のように、開示に反対の意思を有するが反対意見書を提出する機会が与えられなかった第三者が存在することも考えられるが、実施機関が当該第三者の存在を把握しているときは、行政不服審査法第13条第2項に基づき、当該第三者に参加人として参加することを求めることが適当である。

第28条(第三者からの審査請求を棄却する場合等における手続)関係

(第三者からの審査請求を棄却する場合等における手続)

第28条 第21条第3項の規定は、次の各号のいずれかに該当する裁決をする場合について準用する。

(1)開示決定に対する第三者からの審査請求を却下し、又は棄却する裁決

(2)審査請求に係る開示決定等(開示請求に係る公文書の全部を開示する旨の決定を除く。)を変更し、当該審査請求に係る公文書を開示する旨の裁決(第三者である参加人が当該公文書の開示に反対の意思を表示している場合に限る。)

趣旨

本条は、開示に反対の意思を有する第三者の審査請求を却下又は棄却する場合及び第三者の意に反して開示すべき旨の裁決を行う場合に、当該第三者が争訟を提起する機会を確保することを目的とするものである。

解説

1 第三者が開示に反対の意思を有する場合の手続(本文)

本条各号のいずれかに該当する場合には、第21条第3項と同様に、開示を実施する日までに2週間以上の期間を置かなければならないこととするとともに、裁決後直ちに、第三者にその旨、その理由及び開示を実施する日を書面により通知しなければならない。

第21条第3項中「開示決定の日」とあるのは「裁決の日」と読み替えられることになるが、裁決は、審査請求人に送達することによってその効力を生ずる(行政不服審査法第51条)ので、当該「裁決の日」は、「審査請求人に送達された日」と解される。

2 開示決定に対する第三者からの審査請求を却下し、又は棄却する場合(第1号)

本号は、開示決定の取消しを求める第三者からの審査請求について、却下又は棄却する場合を指す。

処分の取消を求める審査請求は、違法又は不当な行政処分により直接に自己の権利又は利益を侵害された者が行うことができるものと解されており、非開示決定を受けた開示請求者に限らず、開示決定に係る公文書に自己の情報が記録されている第三者であって、当該情報が開示されることにより自らの権利利益が害されることとなる者も行うことができる。よって、開示決定に直接の利害関係を有しない第三者からの審査請求は不適法であり却下されることになるが、当該利害関係の有無は、最終的には訴訟において判断される余地を確保すべきものであるので、本号では、審査請求適格を有しないことを理由とした却下の場合も対象となる。

3 審査請求に係る開示決定等を変更し、公文書を開示する場合(第2号)

(1)本号は、公文書の全部又は一部の非開示決定について審査請求を受けた実施機関が、当該審査請求に参加している第三者の意に反して開示する場合を指す。

(2)「審査請求に係る開示決定等」とは、第26条第2号において定義されているとおり、全部開示の決定を除いたものである。

「変更し、-公文書を開示する旨の裁決」とは、行政不服審査法第46条第1項の規定に基づき、原処分を開示決定に変更する裁決を指す。この裁決には、当該公文書の一部についてのみ開示することとしその他の部分は非開示のままとするものも含むが、この場合は、当該開示する部分について第三者が反対の意思を表示している場合である。

(3)「第三者である参加人が公文書の開示に反対の意思を表示している場合」とは、第三者が参加人として、審査請求手続において、審査庁又は審査会に対し公文書の開示に反対の旨の口頭意見陳述又は意見書の提出を行っている場合を意味する。

原処分を行う過程で第三者が反対意見書を提出している場合であっても、第27条の規定により諮問をした旨の通知が行われたにもかかわらず、当該第三者が参加人として参加していないときは、本条の適用はない。

(4)本号が適用されるのは、第三者が審査請求手続において開示に反対している場合に限られ、第21条第3項の規定により反対意見書を提出した第三者が当然に本号の規定により保護されるわけではない。それは次の理由によるものである。

〔1〕反対意見書を提出した第三者が審査請求を提起した場合であれば、本条第1号が適用されること。

〔2〕開示請求者が審査請求を提起した場合は、反対意見書を提出した第三者には第27条の規定により諮問をした旨の通知がなされるので、参加人として参加し、審査請求手続において反対の意思を表示する機会は保障されている。仮に、当該第三者が審査請求手続に参加しないのであれば、権利行使の機会を放棄したものであって、それ以上の手続的保障を与える必要はないと考えられること。

(5)開示決定等を取り消す裁決については、原処分庁において再度開示請求に対する開示、非開示の決定を行うことになるので、第21条第3項が直接適用される。

なお、原処分が行われる際に反対意見書を提出せず、その後の審査請求手続において参加人となり初めて反対の意思を表示した第三者には、第21条第3項の規定は直接適用されないが、このような第三者についても、本条の趣旨にかんがみ、同項の手続に準じた取扱いを行うものとする。