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文化財保護審議会 平成27年度第2回開催結果

更新日:2016年2月1日 印刷ページ表示

1 日時

 平成28年2月1日(月曜日)13時から15時15分

2 会場

 県庁29階 第一特別会議室

3 出席者

 大平良治会長、戸所隆副会長、篠木れい子委員、染川香澄委員、野田香里委員

4 事務局出席者

 吉野勉教育長、洞口正史文化財保護課長、羽鳥尚之埋蔵文化財主監、五十嵐洋次長

 文化財活用係:南雲芳昭補佐(係長)、飯森康広主幹、齊籐英敏指導主事、橋本淳指導主事、田島輝之指導主事、小林正副主幹、長谷川博幸指導主事

 埋蔵文化財係:桜井美枝係長

5 開会

 午後1時 文化財保護審議会の開会

6 あいさつ

群馬県教育委員会教育長 主催者あいさつ

群馬県文化財保護審議会会長 会長あいさつ

7  議事録書名人選出

 議長が今回の議事録署名人に戸所委員を指名。

8 傍聴人の報告

 文化財保護課次長が、傍聴人は1名であることを報告。

9 傍聴制限確認

 文化財保護課埋蔵文化財主監から、部会報告と審議事項については非公開、その他については公開とする提案がなされ、委員に承認された。

10 内容

報告事項

平成27年度文化財保護課主要事業

  1. 文化財活用係の事業について
  2. 埋蔵文化財係の事業について

平成28年度文化財保護課事業計画

群馬県指定文化財の保存事業について

群馬県指定文化財の現状変更等について

国県指定等文化財件数について

【質疑】

(審議委員)統合型GISのGISとは。

(事務局)地理情報システムの略である。群馬県がホームページ上で道路や文化財、観光地の地図情報を提供しており、その中の遺跡と文化財の部分を文化財保護課が担当している。指定等文化財や埋蔵文化財の位置を細かく示しているので、開発行為の時に文化財への影響等の見当をつけていただいたり、温泉に行ったらその近くに良い遺跡がないか、というふうに使えるシステムである。

(審議委員)8月の考古学会議はどこであるのか。

(事務局)同志社大学の今出川キャンパス中心で行われる。

(審議委員)11月にも全国博物館大会が群馬で開かれる。

(議長)全国か。

(審議委員)全国の博物館である。3日間の日程で、群馬県に600人以上が集まって開催される。講演会やテーマ別のディスカッションがある。お互いに連携し、サポートし合えば良いと思う。

(審議委員)大抵は新しい館、県立博物館が開くとか、何か目玉がある場所へ行って開催される。群馬県は県立歴史博物館のリニューアルと、世界遺産の富岡製糸場もある。

(審議委員)県内には県立歴史博物館が中心となった群馬県博物館連絡協議会がある。県立の歴史博物館や自然史博物館、私立のハラミュージアムや相川考古館、市立では前橋市文学館等が理事になっている。

(審議委員)良いチャンスである。

(事務局)我々が持っている古墳総合調査や金井東裏遺跡の資料は、博物館のリニューアルオープンの時に大々的に使っていただければと考えている。

(審議委員)研修会として見学会等を企画するようなので、連携・協力していただければと思う。

(議長)同志社大学で行われる世界考古学会議は何を出すのか。

(事務局)金井東裏遺跡を中心に考えている。

(審議委員)県立歴史博物館のリニューアルオープンは来年か、来年度か。

(事務局)来年度である。

(審議委員)観音山古墳の関連で、県立歴史博物館の閉鎖の影響について、歴史博物館が教育委員会からはずれたことで連絡等が途切れて利用者の減少が起こっているか。今後どういうふうに、例えばリニューアルオープンしたときの連携ができるのか、官庁の縦割りはどうなのか。

(事務局)県立歴史博物館は観音山古墳の遺物・出土品がメインの展示品になっており、ここを見てから観音山古墳の本体に立ち寄るという東京の学校が非常に多かった。それが、博物館が閉館ということでコースを変えられたということがあったが、コース設定上の問題であるので、また上手く博物館に帰ってきていただければ持ち直すと思う。

(審議委員)活用という点で、文化財の方からするとこれを展示したい、ところが博物館を運営する方からすると全く違うことになることがある。その辺の連携はどうか。

(事務局)観音山古墳については、歴史博物館の中で特殊な位置づけをしていただき、基本的に全点を展示している。

(審議委員)今後の全体としての活用の中で、そのあたりがスムーズにいくシステムになっているかどうかというのが気になる点である。

(議長)文化行政が教育委員会と知事部局に分かれた。

(事務局)文化課という状態から、文化財保護課と文化振興課に分かれた時点で、博物館の管理が知事部局に移った。

(議長)文化行政をどこが取り扱うのか長い議論をした。難しいところだ。

(審議委員)漠然とした印象であるが、博物館等が子どもたち教育の中で十分に活用されていないのではないか。どこが文化行政を取り扱うのかは、さほど大きな問題ではないと思う。実際に教育に活用されるためには、何が必要かを精査してその解決法を探ってほしい。

(議長)知事部局に博物館が行ったから支障があるというわけではない。

(審議委員)それは全然問題ない。どこにあっても連携をすればよい。

(審議委員)県指定になった「下南室太々御神楽の養蚕の舞」という重要無形民俗文化財があるが、その養蚕の舞を教材にして、来年度北橘地区の全部の小中学校で、映像の授業と現地の方が養蚕の舞をしてくださる授業を行うことになった。ただ、現在移動手段がないということのほかに、養蚕の舞は地元の方の舞だという思いがあり、同じ北橘地区でもちょっと離れた地域の校長先生は「何故その舞の授業のためにうちに来てくれるのか。うちの地元でないのに」という意識がある。つまり、群馬県の場合、文化というものが個々の集落のものだという意識がすごく強い。私が「それは県の文化財になったものだ」と説明すると、安心されて「来ていただくことを遠慮していた」ということをおっしゃっていた。多分、文化財というものの意識のあり方が、群馬県ならではのものがあるのではないか。

(議長)養蚕の舞というのはどのくらい残っているのか。

(審議委員)2カ所しか残っていない。前橋と北橘の赤城神社と2つだけで、文化財の指定になったのは北橘のものだ。

(議長)昔はどういう時に舞ったものなのか。

(審議委員)毎年やっていたものではないが、神楽のワンバージョンである。

(事務局)4月第1日曜の赤城神社の春祭りの奉納であり、神楽の演目がたくさんある中でも、養蚕の舞というのが養蚕文化を非常に残しているということで県の指定にさせていただいた。先生がおっしゃったように、基本的には渋川市の旧北橘町の北橘という地区、その中でも下南室という集落の舞いで、舞手の方も基本的には下南室の人である。下南室の男性でなければだめということで、保存会の人達もその辺は苦慮している。先程おっしゃられたように北橘のほかの地域の方たちも、特に民俗は地区意識が強い。

(議長)神楽は長男でなくてはだめ。

(審議委員)どのように発信するかというところで、観音山古墳のことも今の話も、文化財が活用されているかどうかが見学者数でジャッジされるという状況がある。また次の計画も見学者数を増やしたら良いということではなく、見学者数以外の新たな指標で今後あらゆることをやりやすいところから始めれば良いが、見学者数ではない指標は何なのだろうかということが十分考えられるのではないか。私は自説があるが、色々な角度のものが考えられるのではないか。

(審議委員)同じ事を別の言葉で表現することになるが、文化財の活用の指標の第一に入館者や観光客の数をとってしまうと、最も大切なことが見失われてしまう。例えば、オキリコミは観光客用の地図ができ上がっているなど、対外的には宣伝等がなされているが、県内の子どもたちの教育にオキリコミがどのように活用されているのかは聞こえてこない。給食でオキリコミを出しているのか。

(事務局)給食の方でも本当のオキリコミを出すのは保存が難しいので、オキリコミ風の幅広うどんを出していただくようになっている。

(審議委員)その時に、オキリコミの説明や道具、あるいは昔の暮らし等の説明がつくのか。

(事務局)道具の説明までは難しいが、各学校の献立表の中でオキリコミの説明がつくようになっている。

(審議委員)よそから来た人たちへの提供、それによる観光客の増加が、目的の第一になっているような印象をどうしても受ける。文化財の保護・活用は、地元の人たちがまず知って、ふるさとに興味をもち、さらに学びたいという意欲をかき立て、そして明日への元気に結びついていくことが大切で、結果として観光客の増加にも、というふうになっていったら良いと思っている。そのような意識で連携をしてもらいたい。

 もう一つ、例えば、オキリコミの調査をしたときに、実際に作られている過程を映像で残すというのも大事なことだと思うが、どのような言葉でそれが語られるのかという言葉の世界への視点も持ってもらいたい。

 さらに、群馬県のゆかりの文学者たちの文学作品などへも広げてほしい。質素な食べ物だったけれど、心を和ませる夕食の場の象徴として忘れられないとか、1年の365日の百何日も食べていたという話も出てくる。そういった物の背後に物語があり、歴史があり、子供がいて、大人がいる。そんなことが感じられるような伝え方をして欲しい。

(審議委員)活用と言うことで、子供たちを教育することが将来につながるということは私も同感である。滋賀県では「うみのこ」という学習船を仕立てて、小学校の間に必ず1泊2日で船に乗って琵琶湖を1周し、そこで環境教育とか地域の文化財とか、滋賀県とはこういう県なのだということを学んでいる。群馬県では群馬交響楽団の音楽移動教室を聞いた人が、県外に行ってその素晴らしさを伝えるのと似たようなものである。

 それで言いたいことというのは、教育委員会として、バス1日で回れるような、これだけは群馬県の文化財として子供たちに知ってもらいたいというモデルコースを作り、教育と文化財が一体化してやっていくということ、この辺を考える必要があるのではないか。

 もう一つ、新しい学習指導要領にも関わって、地理や歴史で総合的にアクティブラーニングをやるときに、上手くその辺とリンクさせながらやっていくということも今後の検討課題であろう。

 文化財保護や子どもの教育を通じて、群馬県への愛着を育み、群馬県に戻ってくる、これをどういうふうに作り上げるかという戦略を、ぜひ文化財行政として将来に向かってやっていただければ良い。アクティブラーニングとの関係で言えば、結構上手くいくかもしれない。そのへんは教育委員会としても、他の部局と共同でやっていただくことによって何か出来ないかなと思う。

(事務局)群馬県の場合、尾瀬学校をやっている。尾瀬は特別天然記念物なので、そういうところのやり方をどう考えていくかが重要だ。尾瀬学校の場合は環境部局が主でやっているということがある。世界遺産をどうしようかということも含めて、全体的なイメージ作りから始めないといけないかなと思う。

(審議委員)何でもかんでもというのは無理なので、他部局も含めて1日でパックでできるような形にしないと学校も大変である。そのあたりを上手くやって、環境教育も、群馬県を愛するということも、旅立っていったときに広報できるようなものにしてもらいたい。

審議事項

(議長)教育委員会から諮問のあった、文化財の指定解除の審議を始めたい。まずは、事務局から説明をお願いする。

(事務局)群馬県教育委員会より群馬県文化財保護審議会あてに、群馬県指定文化財の指定解除についての諮問があった。これについて、平成28年1月4日付けにて、群馬県文化財保護審議会より名勝・天然記念物専門部会あてに調査を依頼した。

 調査報告については、名勝・天然記念物専門部会から報告をお願いしたい。

(事務局)平成28年1月4日付けで依頼のあった下記の群馬県指定文化財の指定解除については、名勝・天然記念物専門部会において現地調査その他必要な調査を実施し、慎重に検討したところ、群馬県指定天然記念物の指定解除の要件を満たすと認められたので報告する。

名称:三ツ堀加茂神社のサカキ

所在地:桐生市境野町三丁目1380番地

指定年月日:昭和32年4月23日

所有者:宗教法人賀茂神社

理由:滅失

種別:天然記念物

 場所は桐生市街地の南側、足利寄りである。渡良瀬川が国道50号と並行して走っているが、昭和橋から南に下ったところに、境野の水処理センターという下水処理施設があり、そのすぐ北側に三ツ堀加茂神社がある。ここから2キロくらい南に行ったところに加茂神社がある。その加茂神社から勧請して、16世紀の末から17世紀初め位に三ツ堀加茂神社ができたと伝えられいる。その後荒れていたらしいが、1750年位に再建されたと言われており、その頃に植えられたのではないかと言われている。昭和32年の指定で、指定当時樹齢が200年位といわれていたので、今ならば樹齢が250年から60年位ではないかと考えられる。

 指定当時の資料では樹高が13メートル位、樹間が10メートル前後、目通り周が1.4メートル位である。平成25年5月に所有者の方から一部の葉が落葉している、茶色く枯れているとの連絡が桐生市教育委員会にあり、桐生市教育委員会から県文化財保護課へ連絡が来て、すぐに現地に赴き、専門部会の先生1名と現地調査を行った。その時に測った目通り周が1.6メートルあったので、若干成長していたようである。

 その調査の際に、氏子の総代さんからお話を聞いたところ、平成23年頃に根元にキノコが見られたということがあったらしい。桐生市の樹木医に診断してもらったところ、ゴマダラカミキリの幼虫の侵入が確認されている。直径が1センチメートル弱程度の穴が根元に15カ所くらい空いており、木の水を一番吸う所にカミキリの幼虫が侵入して成虫になるということで、虫害があったことが分かった。薬剤をしっかり塗ったり、灌水をしっかりしたりといったことを助言をさせていただいて、一時期樹勢が大分回復した。平成26年2月16・17日の大雪があった時、地元ですぐ見回りに行っていただいて、その時は木も青々としており安心していたが、わずか1ヶ月半後に葉の元気がなくなって、枯れ始めているとの報告が急に入ってきた。すぐ隣の水処理センターから水を融通していただいて、木の根の廻に土嚢でダムを作って灌水したりとか、薬剤を投与してみたり、色々やってみたが樹勢の衰えが止まらず、平成26年7月に専門部会の調査を行ったところ、その段階では葉がほぼ無いという状態であった。平成26年4月にも木が完全に落葉している様子を見ていただいているが、急にこのような状況になってしまったということである。

 もしかしたらひこばえが出てきたりであるとか、樹勢が回復して新芽が出てくる可能性もあるということで、春の芽吹きの時期を待とうということで話をしていたが、平成27年3月、地元の方から太い枝が枯れて落ちてくることがあるとの報告があり、現地に行ってみたところ、上のほうの枝が完全に枯れて、折れて途中で引っかかっているような状態で大変危険なため、太い枝を撤去した。その時に切った枝を確認したが、手で握りつぶせるほどスカスカの状態で、腐朽が進んでいる状態を確認している。

 平成27年7月3日、三ツ堀加茂神社の総代代表さん、県の名勝・天然記念物専門部会の専門委員、県文化財保護課、桐生市教育委員会文化財保護課の立ち会いのもと現地確認を行い、ひこばえもなく木に生活反応が全くないこと、樹皮がはがれて落ちている段階であることから、枯死という確認をさせていただいた。その後、危険の除去ということで、県の補助事業で伐採を行った。

 初期衰退の原因の特定が難しいが、平成23年の頃にキノコが見られたということなので、木の根のところに菌糸、キノコの本体が蔓延していて、ベッコウタケであるとか腐朽菌類が侵入して衰退が始まり、樹勢の衰退したところでゴマダラカミキリの幼虫が侵入して衰退が促進され、最終的には水の吸い上げが出来なくなってしまったのではないかということである。

 最終的に枯死を確認して、危険防止のための伐採も完了したので、所有者から平成27年11月11日付けの滅失届が提出され、県教育委員会で受理した。滅失をしたため、指定解除をご審議いただいているところである。

 樹木には基本的には寿命はなく、芯材の周りに維管束という水を吸い上げる所があり、その外側に樹皮があるが、水を吸い上げるところや樹皮は日々成長している。そこが何らかのかたちで水を吸い上げられなくなって枯れたところが、ある意味寿命と言えば寿命であると言えるが、今回の場合は残念ながら木が枯れてしまったという理解である。

(議長)サカキということは、神社の色々な祭礼に使っていたのか。

(事務局)ここのサカキはヒサカキではなくマサカキで、非常に珍しい。祭礼の際には使っていたと思われる。

 元々サカキというのが常緑の中高木という分類で普通は樹高10メートル未満らしく、指定当時13メートルあったということで、サカキとしては非常に希少な巨樹であった。県指定としてのサカキは唯一だったので非常に残念である。

(議長)ただ今の説明に関して、質疑・意見等をお願いしたい。

 今回の件は寿命が来て、大往生したということか。

(審議委員)植物というのは、寿命があるようなないようなという事だとすると、天然記念物等に指定した物をどういうふうに維持管理していくか、監視をどのようにしていくか、予算等関係してくるかと思うが、こういうことを教訓にする必要がある。今すぐにというわけではないが。

(議長)それについてはどうか。

(事務局)何年か前に、三波川のタラヨウの指定解除の時に同じご指導をいただいている。通常、文化財パトロールが行われているが、パトロール員の方はどちらかというと埋蔵文化財や史跡等が専門の方なので、樹木の日常の維持管理の状態や樹勢のちょっとした変化は、なかなか見るのが難しいというところがある。

 所有者から報告があればすぐに対応したいが、例えば、県の緑化推進課の緑化委員会に樹木医の方がいて、文化財に限らず、樹木診断、地域の巨樹古木の樹木診断を、来年度大々的にやりたいということで予算を要求しているということである。県指定に限らず、文化財も含めて樹木医の先生方に見ていただけることになりそうなので、こちらもしっかりと木の情報等を共有しながら、維持管理、保存をやっていければと考えている。その結果をふまえて、市町村、所有者にフィードバックをさせていただき、保護養生の必要があれば補助事業を行ったり、県の審議会専門部会で支援していければと考えている。

(審議委員)天然記念物に指定された場合に、主要な管理者はどうなっているのか。

 また、私の庭管理の経験では、年1回植木屋さんに手入れと健康診断をしていただき、日常的に管理することで樹勢の変化に対してすぐに適切に対応できる。天然記念物の場合はどういうシステムが良いのか。

(事務局)基本的に、所有者は神社であったりとか、個人の敷地であったりする。公的な場所にあるのは当然、市町村が所有者になっているが、神社や個人所有であっても市町村の教育委員会が管理者になっている場合があるので、市町村の教育委員会にご対応いただき、県指定も含めて地元の樹木医さんに見ていただく機会がある。県に情報を上げていただき、必要があれば対応できる形になっている。県指定の文化財であれば、個人法人には補助率70パーセントで補助をさせていただいている。個人の所有者さんは高齢の方が多く、木の養生が簡単ではないので、文化財としては補助事業ということで対応させていただいている。

(審議委員)実際木は枯れてきたら終わりだと思う。枯れる前にアリが出るとか、菌が入ったとか、何らかの異常を普段から見ている人が察知しなければならないと思う。それは、行政では難しく、そこで常に生活している人がどういう点を注意したら良いのかが重要なのではないかなと思う。

(議長)樹木の中が分かるセンサーなどはあるのか。

(事務局)空洞を調べる装置はあるが、水分の状態で空洞化率が変化しまうなど、なかなか難しい。やはり一番近い所有者や地元の方に見ていただき、ちょっとした異変でも行政に連絡していただけるようにお願いしておくしかないと思っている。ただ、先ほど申し上げたとおり、市町村で樹木医さんに見ていただいたり、所有者さんと話をしていただいたりということもあるので、今後も連携をはかっていけたらと考えている。

(議長)所有者が高齢化しており、地域コミュニティーを束ねていた神社も機能が非常に劣化しているので、保存のための制度が必要と思う。非常に大規模なものでは、昭和40年代の初めであるが、上毛カルタの「中山道しのぶ安中杉並木」がほとんど枯れ、安中土木事務所が中心になって切っている。当時、現在の安中総合高校のあたりは鬱蒼としていたが、今は何もない。

 他にどうか。

(審議委員)あまり良くない内容の質問で恐縮だが、何年か前に、樹齢何百年もある御神木のような木を、材木の材にするためにわざと枯らすという事件が結構多発していたが、県内では大丈夫なのか。

(事務局)県内では起こっていない。あれは西日本で発生していたもので、県内でもそういう事例があれば大変だということで、市町村教育委員会に周知し注意喚起を行ったが、今のところそういう例は報告されていない。今回は穴が開いていたので心配した。

(審議委員)それを聞いて安心した。

(事務局)樹木医に痕跡もしっかり見ていただいて、カミキリムシと判断をいただいている。切り株も見させていただいており、虫が開けた穴を確認できている。今回の主たる原因としては、カミキリムシではなくて、根を腐朽菌類にやられてしまったのが大きいのだろうと考えている。キノコが出た段階で報告をいただいて対処すればあるいは、というのもあったかもしれないが。

(議長)いずれにしても、地域が衰退しているので、指定されても維持管理が難しくなっていると思う。

 それでは、三ツ堀加茂神社のサカキについて、指定解除することが適当であるという答申でよろしいか。

(委員の了承)

(議長)審議事項については、以上で終了する。これをもって、予定された議事は全て終了した。進行を事務局にお返しする。

11 閉会

 午後3時15分 文化財保護審議会の閉会