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令和5年度答申第8号

更新日:2023年8月7日 印刷ページ表示

第1 審査会の結論

 本件審査請求には、理由がないので、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第45条第2項の規定により審査請求を棄却すべきである。

第2 審査関係人の主張の要旨

1 審査請求人

 処分庁が行った令和4年8月22日付け審査請求人に対する精神障害者保健福祉手帳の障害等級の更新決定処分(以下「本件処分」という。)を取り消すことを求めるものであり、その理由は次のとおりである。
(1) 審査請求書による主張
 本件処分を受けたが、その理由が記載されていない。
 平成○○年○○月○○日から現在まで障害の状態はよくなっていない。等級が下がったことに大変ショックを受けた。障害者として私が感じている苦しみをないがしろにされているような気持ちを抱えてしまった。それは現在も続いている。
(2) 反論書による主張
 審査請求人は、申請書(以下「本件申請書」という。)に添付した診断書(以下「本件診断書」という。)については封がされていたため閲覧していない。処分庁の弁明書では、本件診断書には「就労支援施設は継続できている。」との記載があり、このことを等級を3級とした理由の一つとしてあげているが、実際には就労支援施設の利用は本件診断書の作成日より前にやめており、事実と異なっている。その後、新たに就労できる場所を探したりもしたが、新しい場所で新たなことを始める気力がわかずに現在はほぼ家にこもって生活している。​

2 審査庁

 審理員意見書のとおり、本件審査請求を棄却すべきである。

第3 審理員意見書の要旨

 審査請求人の精神疾患(機能障害)の状態についてみると、主たる精神障害が広汎性発達障害であることから、「精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について(平成7年9月12日健医発第1133号厚生省保健医療局長通知。以下「判定基準」という。)」別添1「精神障害者保健福祉手帳等級判定基準の説明」(1)(7)(b)に該当する精神疾患があることが認められる。また、審査請求人の広汎性発達障害関連症状の程度については本件診断書から、「高度のもの」であるとまで認めるに足りる記載は見当たらない。したがって判定基準における主症状とその他の精神神経症状の程度から、精神疾患(機能障害)の状態は障害等級3級に該当すると判断できる。
 次に、審査請求人の能力障害(活動制限)の状態についてみると、「日常生活能力の程度」については、「精神障害を認め、日常生活に著しい制限を受けており、時に応じて援助を必要とする。」に該当するとされており、「精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準の運用に当たって留意すべき事項について(平成7年9月12日健医精発第46号厚生省保健医療局精神保健課長通知。以下「留意事項」という。)」(6)の表ではおおむね2級程度の区分となる。また、「日常生活能力の判定」では、8項目のうち4項目が判定基準において3級相当とされる「自発的にできるが援助が必要」又は「おおむねできるが援助が必要」とされており、他4項目が判定基準において1級相当とされる「できない」とされていることからおおむね2級程度と判断できる一方で、「就労支援施設への通所できるようになった。家事等は○○と協力しておこなっている。」との記載から判定基準別添2「障害等級の基本的なとらえ方」と照らして、障害等級3級に該当すると判断できる。
 以上から、精神疾患(機能障害)の状態及び能力障害(活動制限)の状態を総合的に判断し、審査請求人は障害等級2級についての要件を満たしておらず、障害等級3級に該当すると認めることができる。
 診断書については、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行規則(昭和25年厚生省令第31号。以下「省令」という。)第23条第2項第1号に「指定医その他精神障害の診断又は治療に従事する医師の診断書(初めて医師の診療を受けた日から起算して6月を経過した日以後における診断書に限る。)」と規定されている。本件診断書についてみると、精神科の医師である○○○○の○○○○が作成しており、また、審査請求人の主たる精神障害の初診年月日は平成○○年○○月頃であることから、主たる精神障害の初診年月日から本件診断書の作成日までの間に約○○年が経過しており、同号の規定に適合するものであることが認められる。
 次に、審査請求人は反論書により、本件診断書の内容が事実と異なっている旨主張しているものの、障害等級の判定は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号。以下「法」という。)第45条第2項に「前項の申請に基づいて審査し」と規定されており、あくまで提出された診断書に基づく書面審査を行うものであって、診断書の内容の真偽についての判断までは求められていないと判断できる。よって、審査請求人の当該主張は認められない。
 精神障害者保健福祉手帳の更新については、法第45条、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行令(昭和25年政令第155号。以下「政令」という。)第8条及び省令第28条において準用する省令第23条に規定がある。法第45条第3項から第5項までによれば、精神障害者保健福祉手帳の更新は2年ごとに知事の認定が必要とされ、審査の結果、手帳申請者が精神障害の状態にないと認めたときには、知事は、理由を付して、その旨を申請者に通知しなければならないとされている。この規定から、手帳の更新に際して、その申請により申請者が「精神障害の状態にない」と知事が認定した場合には、知事は理由を付して申請者にその旨通知しなければならない法律上の義務があるといえるが、手帳の更新の申請に際して、「精神障害の状態がある」と認められる場合、つまり手帳が交付される場合には、その理由の提示は不要であると解される。
 本件処分は「申請をした者を名あて人としてされる処分(行政手続法(平成5年法律第88号)第2条第4号ロ)」であるため、その処分の理由提示については同法第8条第1項が適用され、同項では「行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない」と規定している。
 更新申請は法第45条第4項に基づくものであり、同項では「精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた者は、厚生労働省令で定めるところにより、2年ごとに、第2項の政令で定める精神障害の状態にあることについて、都道府県知事の認定を受けなければならない。」と規定していることから、更新申請で知事に認定を求める対象はあくまで「精神障害の状態にあること」であり、希望する障害等級について認定を求める対象とはいえない。本件申請書の記載上は、更新のみに丸印が付されており、「更新」であると明記されていることから、本件更新申請に等級変更申請を併せてなされたということはできず、審査請求人は法第45条第4項にいう「精神障害の状態にあることの認定」を求めているものであり、等級を3級と認定をし、「精神障害の状態にあること」を認定しているものであるから、申請に対して拒否した処分に当たらず、行政手続法に基づく処分の理由付記は不要であると解される。
 以上のとおり、法令に基づき、医師により作成された本件診断書を、処分庁が審査及び判定した本件処分について、違法又は不当な点は認められず、本件審査請求には理由がないから、行政不服審査法第45条第2項の規定により、棄却されるべきである。​

第4 調査審議の経過

 当審査会は、本件諮問事件について、次のとおり、調査審議を行った。

 令和5年 6月16日 審査庁から諮問書及び諮問説明書を収受

 令和5年 6月30日 調査・審議

 令和5年 7月21日 調査・審議

第5 審査会の判断の理由

1 審理手続の適正について

 本件審査請求について、審理員による適正な審理手続が行われたものと認められる。

2 本件処分に係る法令等の規定について

​(1) 都道府県知事は、精神障害者保健福祉手帳の交付の申請(医師の診断書等を添付)があった場合において、当該申請に基づいて審査し、申請者が政令第6条に規定する精神障害の状態にあると認めたときは、申請者に精神障害者保健福祉手帳を交付しなければならず(法第45条第1項及び第2項並びに省令第23条第2項)、また、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた者は、2年ごとに、政令第6条に規定する精神障害の状態にあることについて、都道府県知事の認定(申請に当たっては、医師の診断書等を添付)を受けなければならないとされている(法第45条第4項及び省令第28条第1項)。
(2) 政令第6条に規定する精神障害の状態とは、障害の程度に応じて重度のものから1級、2級及び3級とし、障害等級1級の障害の状態として「日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの」、障害等級2級の障害の状態として「日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」、障害等級3級の障害の状態として「日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの」とされている(同条第3項)。
(3) 障害等級の判定の具体的な基準については、国から「精神障害者保健福祉手帳制度実施要領について」(平成7年9月12日付け健医発第1132号厚生省保健医療局長通知。以下「実施要領」という。)が発出されており、「障害等級の判定に当たっては、精神疾患(機能障害)の状態とそれに伴う生活能力障害の状態の両面から総合的に判定を行うものとし、その基準については、別に通知するところによる。」とされている(実施要領第2の2(2))。
(4) この実施要領を受けて、判定基準が発出され、また、この判定基準の運用について留意事項が発出されている。
(5) 判定基準によれば、障害等級の判定は、精神疾患の存在の確認、精神疾患(機能障害)の状態の確認、能力障害(活動制限)の状態の確認、精神障害の程度の総合判定という順を追って行われることとされ、判定に際しては、診断書に記載された精神疾患(機能障害)の状態及び能力障害(活動制限)の状態について十分な審査を行い、対応することとされている。
 また、留意事項によれば、精神疾患の種類によって、また、精神疾患(機能障害)の状態によって、精神疾患(機能障害)の状態と能力障害(活動制限)の状態の関係は必ずしも同じではないため、一律に論じることはできないが、精神疾患の存在と精神疾患(機能障害)の状態の確認、能力障害(活動制限)の状態の確認の上で、精神障害の程度を総合的に判定することとされている。
 発達障害の精神疾患(機能障害)の状態については、「その主症状とその他の精神神経症状が高度のもの」は1級と、「その主症状が高度であり、その他の精神神経症状があるもの」は2級と、「その主症状とその他の精神神経症状があるもの」は3級とされている(判定基準別紙の表)。
 能力障害(活動制限)の状態については、「適切な食事摂取」、「身辺の清潔保持、規則正しい生活」、「金銭管理と買い物」、「通院と服薬」、「他人との意思伝達・対人関係」、「身辺の安全保持・危機対応」、「社会的手続や公共施設の利用」及び「趣味・娯楽への関心、文化的社会的活動への参加」の各項目について、「できない」等にいくつか該当するものは1級と、「援助なしにはできない」等にいくつか該当するものは2級と、「行うことができるがなお援助を必要とする」等にいくつか該当するものは3級とされている(判定基準別紙の表)。
 また、診断書の「3 日常生活能力の程度」欄が、「精神障害を認めるが、日常生活及び社会生活は普通にできる」である場合は障害等級非該当と、「精神障害を認め、日常生活又は社会生活に一定の制限を受ける」である場合はおおむね3級程度と、「精神障害を認め、日常生活に著しい制限を受けており、時に応じて援助を必要とする」である場合はおおむね2級程度と、「精神障害を認め、日常生活に著しい制限を受けており、常時援助を必要とする」又は「精神障害を認め、身の回りのことはほとんどできない」である場合はおおむね1級程度とされている(留意事項別紙3(6)の表)。
 そして、障害等級の基本的なとらえ方として、「精神障害が日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの。この日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度とは、他人の援助を受けなければ、ほとんど自分の用を弁ずることができない程度のもの」である場合は1級と、「精神障害の状態が、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものである。この日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度とは、必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は困難な程度のもの」である場合は2級と、「精神障害の状態が、日常生活又は社会生活に制限を受けるか、日常生活又は社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの」である場合は3級とされている(判定基準別添2)。
(6) なお、申請者が政令第6条に規定する精神障害の状態にあるかどうかの判定は、都道府県に設置されている法第6条第1項に規定する精神保健福祉センターに行わせるものとされ、当該判定を行う者については、原則として、法第18条第1項の精神保健指定医(以下「指定医」という。)を含めるものとされ、群馬県においては、処分庁が精神保健福祉センターの事業を行っている(実施要領第2の3(2))。
(7) 都道府県知事は、法第45条第2項の規定による審査の結果、申請者が同項の政令で定める精神障害の状態にないと認めたときは、理由を付して、その旨を申請者に通知しなければならないとされている(法第45条第3項)。
(8) 行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならないとされている(行政手続法第8条第1項)。​

3 本件処分の妥当性について

(1) 審査請求人の障害等級について、判定基準及び留意事項に従って、以下検討する。
ア 精神疾患の存在の確認
 本件診断書の「(1) 病名」から、主たる精神障害として「広汎性発達障害」が確認できる。
イ 精神疾患(機能障害)の状態の確認
 本件診断書の「(3) 発病から現在までの病歴並びに治療の経過及び内容」では「○○より不登校。通信制の高校に進学するも在籍期間ぎりぎりで卒業。就労はせず。H(※注)○○.○○頃より緊張する場面でのイライラ、頭重感、呼吸苦が出現。 H○○.○○○○○○受診。H○○.○○.○○○○○○受診、H○○.○○.○○当院転医、加療中。」との記載がある。
 次に、「(4) 現在の病状及び状態像等」では、「(11)広汎性発達障害関連症状」の、「相互的な社会関係の質的障害」及び「コミュニケーションのパターンにおける質的障害」に該当していることが確認できる。
 また、「(5) (4)の病状及び状態像等の具体的程度、症状、検査所見等」では「対人緊張が強く、視線はなかなか合わない。言葉もでにくい。就労支援施設は継続できている。」との記載がある。
ウ 能力障害(活動制限)の状態の確認
 本件診断書の「(1) 現在の生活環境」では、「在宅(家族等と同居)」が○で囲まれている。
 次に、「(2) 日常生活能力の判定」では、「適切な食事摂取」、「身辺の清潔保持、規則正しい生活」、「金銭管理と買物」、「通院と服薬」の各項目について「自発的にできるが援助が必要」又は「おおむねできるが援助が必要」と判定されている。「他人との意思伝達・対人関係」、「身辺の安全保持・危機対応」、「社会的手続や公共施設の利用」、「趣味・娯楽への関心、文化的社会的活動への参加」の各項目については「できない」と判定されている。
 また、「(3) 日常生活能力の程度」には、「精神障害を認め、日常生活に著しい制限を受けており、時に応じて援助を必要とする。」と判定されており、「上記の具体的程度、状態像」の欄には「対人緊張から社会的な活動への参加は制限されているが、就労支援施設への通所できるようになった。家事等は○○と協力しておこなっている」との記載がある。
エ 精神障害の程度の総合判定
 上記ア及びイを基に、審査請求人の精神疾患(機能障害)の状態についてみると、主たる精神障害が広汎性発達障害であることから、判定基準別添1「精神障害者保健福祉手帳等級判定基準の説明」(1)(7)(b)に該当する精神疾患があることが認められる。また、審査請求人の広汎性発達障害関連症状の程度については本件診断書から、「高度のもの」であるとまで認めるに足りる記載は見当たらない。したがって判定基準における主症状とその他の精神神経症状の程度から、精神疾患(機能障害)の状態は障害等級3級に該当すると判断できる。
 次に、上記ウを基に審査請求人の能力障害(活動制限)の状態についてみると、「日常生活能力の程度」については、「精神障害を認め、日常生活に著しい制限を受けており、時に応じて援助を必要とする。」に該当するとされており、留意事項(6)の表ではおおむね2級程度の区分となる。また、「日常生活能力の判定」では、8項目のうち4項目が判定基準において3級相当とされる「自発的にできるが援助が必要」又は「おおむねできるが援助が必要」とされており、他4項目が判定基準において1級相当とされる「できない」とされていることからおおむね2級程度と判断できる一方で、「就労支援施設への通所できるようになった。家事等は○○と協力しておこなっている。」との記載から判定基準別添2「障害等級の基本的なとらえ方」と照らして、障害等級3級に該当すると判断できる。
 以上から、精神疾患(機能障害)の状態及び能力障害(活動制限)の状態を総合的に判断し、審査請求人は障害等級2級についての要件を満たしておらず、障害等級3級に該当すると認めることができる。
(2) 判定の手続について
 障害等級の判定の手続については、上記2(6)のとおり、実施要領の取扱いにのっとり3名の指定医による判定が行われており、本件処分を違法又は不当とすべき事実は認められない。
(3) 本件診断書の真偽について
 診断書については、省令第23条第2項第1号に「指定医その他精神障害の診断又は治療に従事する医師の診断書(初めて医師の診療を受けた日から起算して6月を経過した日以後における診断書に限る。)」と規定されている。本件診断書についてみると、精神科の医師である○○○○の○○○○が作成しており、また、審査請求人の主たる精神障害の初診年月日は平成○○年○○月頃であることから、主たる精神障害の初診年月日から本件診断書の作成日までの間に約○○年が経過しており、同号の規定に適合するものであることが認められる。
 審査請求人は、本件診断書の「就労支援施設は継続できている」との記載は事実と異なっている旨主張しているが、障害等級の判定については、法第45条第2項及び省令第23条第2項に、精神障害者保健福祉手帳の交付の申請(医師の診断書等を添付)に基づいて審査する旨規定されており、これは、あくまで提出された診断書に基づく書面審査を行うものであって、診断書の内容の真偽についての判断までは求められていない。よって、審査請求人の当該主張は認められない。
(4) 本件処分の理由の提示について
 法第45条第3項から第5項までによれば、精神障害者保健福祉手帳の更新は2年ごとに知事の認定が必要とされ、審査の結果、手帳申請者が精神障害の状態にないと認めたときには、知事は、理由を付して、その旨を申請者に通知しなければならないとされている。この規定から、手帳の更新に際して、その申請により申請者が「精神障害の状態にない」と知事が認定した場合には、知事は理由を付して申請者にその旨通知しなければならない法律上の義務があるといえるが、手帳の更新の申請に際して、「精神障害の状態がある」と認められる場合、つまり手帳が交付される場合には、その理由の提示は不要である。
 行政手続法第8条第1項によれば、行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならないとされている。
 更新申請は法第45条第4項に基づくものであり、同項では「精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた者は、厚生労働省令で定めるところにより、2年ごとに、第2項の政令で定める精神障害の状態にあることについて、都道府県知事の認定を受けなければならない。」と規定していることから、更新申請で知事に認定を求める対象はあくまで「精神障害の状態にあること」であり、希望する障害等級については認定を求める対象とはいえない。本件申請書の記載上は、更新のみに丸印が付されており、「更新」であると明記されていることから、本件更新申請に等級変更申請を併せてなされたということはできず、審査請求人は法第45条第4項にいう「精神障害の状態にあることの認定」を求めているものであり、等級を3級と認定をし、「精神障害の状態にあること」を認定しているものであるから、申請に対して拒否した処分に当たらず、行政手続法に基づく処分の理由付記は不要である。
(5) 結論
 法令に基づき、医師により作成された本件診断書を処分庁が審査し、障害等級を判定した本件処分について、これを取り消すべき違法又は不当な点はないものと認められる。​

 ※注 「H」は年号の「平成」の略

第6 結論

 以上のとおり、本件審査請求には理由がないから、「第1 審査会の結論」のとおり、答申する。

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