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デジタル技術を活用した障害者の社会参画促進について(「OriHime」を活用した事例)

更新日:2022年3月31日 印刷ページ表示

 県障害政策課では、外出困難な重度障害者等に「OriHime」の体験利用を通じて社会参加や就労の可能性を感じてもらい、障害者の社会参画を促すために、OriHimeロボット体験利用事業を実施しました。

OriHimeについて

 OriHimeとは、オリィ研究所が開発した人型分身ロボットです。以下の特徴を持っています。

  • タブレット端末等を使用し、インターネットに接続することで操作を行う
  • マイク、スピーカー等を搭載しており、発声、ジェスチャーによりコミュニケーションが可能
  • 目にカメラを搭載しており、操作者が自由に周囲を見ることが可能
    ※「OriHime」は、オリィ研究所の登録商標です。

「タブレット端末等を使用」

タブレット端末を使用の画像

「意思伝達装置を使用」

意思伝達装置を使用の画像

体験内容と感想

 令和3年9月~翌年2月にかけて、身体障害者入所施設(車椅子等を使用している方が中心)及びALS患者の方(県立義肢製作所を介して)へ貸出を行いました。

(施設名:誠光荘(渋川市))
●自宅周辺を散策しました

自宅散策の写真

【54歳/脳挫傷による両上下肢機能全廃1級】
<利用方法>
何年も帰っていない自宅へ帰省し、自宅周辺を散策した。
面会制限等で長期間会っていなかった母親と会話をした。

<感想>
自宅に帰れておらず気持ちが塞ぎ込んでいたが、今回の体験でよい気分転換ができた。

●前橋アーツで館内スタッフと交流しました

前橋アーツの写真

【70歳/脊椎小脳変性症による体幹機能障害】
<利用方法>
趣味である絵の展覧会へ行き、作品鑑賞した。
(アーツ前橋の「収蔵展」)

<感想>
度々映像が途切れる時もあったが、絵の鑑賞を楽しむことができた。また、アーツ前橋のスタッフとも交流をすることができた。

(施設名:大地(高崎市))
●他施設の友人と会話ができました

オリヒメとの会話の写真

【48歳/脳性麻痺による体幹機能障害】
<利用方法>
以前入所していたグループホームを訪問し、友人と会話をした。

<感想>
約1年ぶりに友人と会い、会話ができて良かった。OriHimeは人型なので愛着もわきやすい。
お互いの顔が見える状態で、表情を確認しながら会話ができたらもっと良かった。

●古墳・埴輪を見に行きました

埴輪等の写真

【30歳/脳性麻痺による体幹機能障害】
<利用方法>
上毛野はにわの里公園へ外出し、到着までの車からの景色を見たり、公園の古墳や埴輪を鑑賞したりした。

<感想>
車椅子では行くことが難しい、古墳の上部や内部まで見ることができて良かった。通信や光の関係で映像が乱れることがあった。

(施設名:桐花園(桐生市))
●バスでおでかけしました(OriHimeからの映像)

バス映像の写真1バス映像の写真2

【44歳/脳性麻痺】
<利用方法>
職員がOriHimeロボットと共に桐生市内のバスにのり、利用者の指示でバスを利用した。

<感想>
自分が実際にバスに乗ったような気持ちになって楽しめた。

●お寺を訪問しました

お寺の写真

【65歳/脳血管障害、57歳/脳性麻痺、50歳/脳性麻痺、61歳/脳性麻痺】
<利用方法>
車での移動からお寺の中まで、OriHimeロボットを通じて利用者と通信しながら訪問した。

<感想>
車椅子になって行けなくなっていた場所へ久しぶりに行けて良かった。
ロボットの操作は扱っている内に分かるようになった。通信が度々切れることがあった。

●慰問に来た方と会話ができました

慰問の写真

【60歳/脊髄損傷、65歳/脳血管障害、36歳/脳性麻痺】
<利用方法>
モーターボート競走会の慰問時に、OriHimeロボットを通じてお礼をした。

<感想>
慰問に来ていただいた方に、直接お礼を言うことができてよかった。

●保育園の園児たちと交流できました(保育園側)

保育園の写真

【40歳/脳性麻痺、61歳/脳性麻痺、55歳/脳性麻痺】
<利用方法>
OriHimeロボットを介して、保育園とオンラインでの交流会を実施した。

<感想>
見た目のデザインから子どもたちが興味を示してくれ、交流を楽しむことができた。
また、子どもたちの元気な様子が見られて良かった。

●(施設側)

施設側の写真

(ALSの方(2名))
●家族とジェスチャーを使いながら会話しました(視線入力を行っている様子)

ALS1の写真

【79歳/ALS(筋萎縮性側索硬化症)】
<利用方法>
家族とコミュニケーションをとった。

<感想>
操作には簡単に慣れることができた。ジェスチャーと合成音声を組み合わせることで喜怒哀楽を伴う会話ができた。

ジェスチャーの種類やジェスチャーした際の音声がさらに増えると良い。

文字入力に関して予測変換機能があるとよい。

●様々なところで利用できました(意思伝達装置による操作を行っている様子)

ALS2の写真

【53歳/ALS(筋萎縮性側索硬化症)】
<利用方法>
スーパーへ買い物、訪問看護の事務所を訪問しあいさつ、自宅周辺の散歩等で利用した。

<感想>
車に乗って、外出を楽しむことができた。
普段、会えない人に会えて良かった。
初期設定が大変で、支援者の知識が必要だと感じた。
ジェスチャーの種類が増えたり、自走できたりするとよいと思う。

アンケート回答まとめ

 今回、体験利用いただいた方へアンケートを実施し、質問1~8までのそれぞれについて「1.全く当てはまらない」「2.当てはまらない」「3.どちらとも言えない」「4.当てはまる」「5.とてもよく当てはまる」の中から選んで回答いただきました。

1操作が簡単で利用しやすいグラフ画像2今回の利用方法以外でも様々な場面で利用できそうグラフ画像

3普段より他社とコミュニケーションを頻繁にとれたグラフ画像4社会に参加している実感が得られたグラフ画像

5オリヒメ等のデジタル機器を使って就労してみたいと思ったグラフ画像6周囲の協力がかなり必要だったグラフ画像

7使う場所や時間等、周りの環境により使いやすさに差があったグラフ画像8今後も利用していと思うグラフ画像

まとめ

 デジタル技術の一つとしてOriHimeロボットを障害のある方々に体験利用していただきました。ロボットを利用することで次のように多くの良い面が確認されました。

  • 外出が難しい方であっても実際に外出した気分を味わうことができる
  • 普段関われない方ともコミュニケーションがとれる
  • ジェスチャー等によりコミュニケーションの幅が広がる

一方で、次のように何点か課題も見られました。

  • 通信及び使用環境等により使いやすさに差がある
  • 利用に当たり周囲の協力がかなり必要となる
  • 就労に結びつけるのが難しいこと

 本事業で得られた情報を基に、今後も引き続きデジタル技術の活用による障害者の社会参画の促進に努めていきたいと思います。

【参考】官民共創ピッチの開催

 群馬県庁の各課においてもOriHimeを活用した様々な取組を実施しており、それらの内容について「♯7官民共創ピッチ」にて報告を行いました。動画はこちら官民共創ピッチ #7(デジタル技術を活用した障害者の社会参画)(YouTube)<外部リンク>(意見、アンケートの募集は締め切っています)