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令和5年度 第1回群馬県観光審議会結果概要

更新日:2023年10月12日 印刷ページ表示

1 開催日時

令和5年7月31日(金曜日) 13時30分 ~ 15時30分

群馬県庁29階 第1特別会議室

2 概要

(1)開会挨拶

(2)戦略セールス局長挨拶

(3)自己紹介

(4)会長・副会長選任

(5)議事

報告事項

群馬県観光振興計画(2021-2023)の進捗状況について​

配布資料により、事務局より説明。略​

審議事項

次期群馬県観光振興計画の策定について​

【A委員】

  • 基本理念を「リトリート聖地 群馬県」となっているが、もう少しこれに加えた突っ込んだものが必要であり、この審議会の中でもっと議論ができたらと思う。
  • 自身の会社の「観光フィールド事業」は、令和3年、令和4年と過去最高の売上を達成したが、そこにどんなエッセンスがあって、なぜそうなったか、ということを自分なりにいろいろ分析をした結果、単に密が避けられていたという環境の変化だけでなく、もっと違う深い意味があったと総括している。今後、審議会での議論を通じて、そのようなことも一つヒントとして出せたらいいなと考えている。
  • 群馬県が目指す姿について、「持続可能な観光地域づくりが進展する」ことは本当にとても大切なことだと思うし、観光にとって大事な観点である。
  • 「群馬県を訪れる人の満足度が向上してる」状態を目指すということについて、満足度の指標、何をもって満足度が向上しているとするのか、ということをしっかり見抜いてく必要がある。
  • 群馬県にはこんなにたくさん癒しを得られる場所があって、皆さんに癒しを提供できるとか、そういう形の提案では駄目なのではないかと思う。ただ、そういう要素が全く不要ということではないが、コロナの影響により非常に変則的な状況が生まれたことから、「自分を発見していく」といった要素を前面に出す観光戦略の方が群馬県にはふさわしいと考える。

【B委員】

  • 道の駅にいて感じることは、季節の農作物や四季の景観など、自然を楽しみに来てくださる方が多いということである。
  • 毎年訪れてるお客様が、今回は買い物だけじゃなくて、体験に参加するなどのプラスアルファで何かしてみようという提案できるとよいのではないかと思う。
  • リトリートについて、長期滞在型観光を目指すということであるが、すぐにはとても厳しいところがあるので、まずは日帰りのお客様を増やし、その人が次は宿泊してみよう、その次は連泊してみよう、といったステップを踏んでいけるのが一番いいのかなというふうに個人的に感じている。
  • 道の駅でお店を始めて一周年だったので、アンケートを実施した結果、県外のお客様が多いという予想に反して、群馬県内のお客様が半数以上であったことから、群馬県の魅力を群馬県内の人たちがまず感じるということも大事なことなんだと思った。
  • 推し活の効果という観点について、以前、ローカル番組で、芸能人の手越裕也さんが来店された様子が放送されたが、深夜の番組だったにも関わらず、放送後に多くのファンが来店され、何度となく来ていただいた方もいたことから、推し活の経済効果についても実感した。
  • 基本戦略に「データマーケティングに基づく戦略的プロモーション」と記載されているが、このデータについて、どのようなデータをお持ちなのか。宿泊者数の他にどういったデータがあって、それに基づいて今後どのようにプロモーションを展開していくのか。

【藤田観光政策係長】

  • 現在収集しているデータについては、国や県が調査を行っている宿泊者数や、観光地点において実際にどのくらいお客様が来て、いくら消費しているか、ということを測る観光入込客数や観光消費額の統計データである。
  • また、その他には、スマホのGPS情報による人流データやウェブ上における検索ワード等の有料の情報も入手している。
  • 今後の展開として、検討段階ではあるが、人流データについては、現状、スマホの位置情報は国内キャリアに限られているので、全世界的なアプリケーションの人流データを入手することによって、特にインバウンドの人流データを把握したり、観光消費額については、現状、アンケート調査等に基づくものがメインであるところ、例えばキャッシュレス決済のデータを入手することによって、より正確な消費額データの分析ができるようになると考えている。

【C委員】

  • 世界的にもウェルネスツーリズムだとか、リトリートだとか、そういった言葉が聞かれるようになってると思う。
  • 世界的に有名な観光地と言われるところは、コロナに関係なく、たくさんの観光客がいて、満足度が高くて、持続可能な観光地域となっている、こういった所はたくさんあると思う。
  • 確かにコロナは一つの機会になっているかもしれないが、本来我々が大切にしなくてはいけないものは何か、それは自分の時間であったり、生活であったり、健康であったり、そういうものを見つめ直すきっかけになっていると思う。
  • 温泉も自然と捉えるならば、最終的に「自然」と「人」に集約されると考えており、自然と人が掛け合わさることで、どんなものを生成したり創造するか、それが時間だったり、場所だったり、そのような観点にフォーカスが必要ではないかなと思っている。
  • 日本全国に自然環境がいいところはあちこちにあるので、私が聞きたい3つの大事なことがあって、1つは「なぜ群馬県のここに来たのですか」というモチベーションの観点と、2つ目は「満足いただけましたか」、3つ目は「もう1回来訪したいですか」ということ。この3つが分かればいいので、そのためには何をするかが重要である。
  • リトリートは群馬県のブランディングの1つしてはすごくいいと思うが、それぞれの地域がどんなことを担っていくのか、例えば、みなかみだったらアドベンチャーツーリズムを通して感動と喜び、また季節でしか味わえないものを提供するだとか、また地域によっては温泉街のレトロな雰囲気や、歴史と文化を感じることができるみたいなところもあってもいい。
  • いろいろなものの個性を際立たせること、シビックプライドみたいなことが計画骨子案に掲げられているが、そういった誇りと愛着を醸成するということが観光にとっては大事なとこであると考える。
  • 私は温泉に携わってるので、なぜ日本の温泉は素晴らしいかと言うと、まずは森がたくさんあって、森が水を一生懸命蓄えてくれるので水が豊富であり、それから日本は世界3位の地熱国なので熱がある、そういった森と水と熱が生み出す自然に感謝をすることが、リトリートの根底にもあるのではないかと思う。
  • 自然を背景とする温泉の素晴らしさをどう表現してお客様に感動していただくのか、そのために群馬県内の連携が必要で、様々な関係者が自分のないものは補完しあって、相乗効果を生み出し、お互いに競争することで共創効果みたいなものがうまくまとまれば、観光振興になるのではないかと考える。

【会長】

 B委員も、C委員も「繰り返し来る」とおっしゃっていたが、それは同じ方が季節を変えたりして繰り返し来訪されるという意味でよろしいか。

【C委員】

 あそこは一度行けばもういいというのではなくて、また行きたいと思っていただけるような、季節を変えたりして、誰かをまた連れて行きたいといったリピーターになっていただくような、これはインバウンドも含めて、群馬県の良さを味わっていただけるようになったらいいなと思う。

【D委員】

  • 群馬県の観光を進めていくにあたって、それぞれの皆さんは一生懸命に頑張っているが、その活動が点になってしまい面になってないことがもったいないと思うことがある。なので、基本理念の「リトリートの聖地」が一つの軸になって、みんながそこに向かって行き、それが面になっていくことができればよいと思う。
  • まだ県民の中でもリトリートという言葉がなじみも少なく、また、「癒しの聖地」というところも、人によって全く癒しのイメージが違う可能性もある。自然をイメージする人もいれば、ロックフェスのようなことに癒しのイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれない。何をもって群馬を「リトリートの聖地」とするのか、みんなが目指すべきものが示されてくると同じ方向を向きやすいと思う。
  • また、リトリートと言われた時に、例えばお土産物屋さんが、「うちはリトリートにどうつなげていくのか」など、不安に思う方もいらっしゃると思う。そこをフォローできるような施策を入れていただきたい。
  • 地域の人たちが観光にどう携わっていけばいいのかといったところが分かるような施策があるといいと思うので、この基本戦略1に記載の「観光人材の育成・確保」であったり、戦略2の「観光を担う中核人材の育成」、戦略3の「地域内連携強化の促進」といった内容について深めていただければと思う。
  • 昨年度、私が参加させていただいた「群馬観光リーダー塾」において、「群馬県民総ガイド計画」という提案をされた方がいて、すごく面白いと思った。コロナ禍でバスガイドさんのお仕事が減少する中、群馬県民の方にガイドと一緒に県内を回っていただき、県内の魅力を県民に伝えることで、今度はその県民が他の人に魅力を伝えていく。それによって先ほど出てきたシビックプライドも醸成され、多くの県民が群馬県の良いところを説明できるようになっていくような、そういったことも組み入れていけたらいいのではないかと思った。

【会長】

 リトリートという言葉が出始めてからしばらく経つが、未だに聞き慣れない方も多いと思う。群馬県が考えるリトリートについて、今一度、具体的に説明いただけないか。

【新木リトリート推進係長】

  • 知事が令和3年度にリトリートについてその方向性を示され、そこから我々も群馬県におけるリトリートについて検討を進めてきた。
  • リトリートについて、一般的に言われているのが、日常生活の場から離れた別の場所に行って、心と体を癒す過ごし方であるが、群馬に来て元気になって日常生活に戻ってもらうというイメージである。
  • 群馬県がリトリートの聖地を目指すことについて、群馬の魅力はやはり自然、それから温泉というのがキーワードになるのではないかと考えている。またそこに食であったり、様々なアクティビティがある、そういったものをいろいろ組み合わせることで、リトリートの聖地を目指していきたい。
  • 人が感じる癒しは多様であることから、群馬県における癒しを限定的に表現していいのだろうかということについても検討しながら進めているところであるが、群馬県内の地域にはそれぞれ強みとなるものがあり、それぞれの地域における魅力や強みを活かして、この地域ではこういったリトリートができる、癒しを提供できるといったことを、各エリア別に作っていけたらよいのではないかと考えている。

【会長】

 私も最初はリトリートの聖地のイメージについて、温泉であると思っていたが、幅広くいろいろな地域がその特徴を活かして地域づくりをしていくことと今は捉えている。

【E委員】

  • 群馬県観光振興計画の骨子案を拝見して、すごく大事な部分が何かというと、2030年に目指す姿が何かということ、要は、今ではなく、将来の観光のシーンがどのように変化しているかというイメージをもって、そして群馬県にはどんな観光スタイルが求められるのか、また、地域の在り方、従業員や地域住民も含めて満足する地域になれるのか、この辺りの観点がすごく重要であると考える。
  • コロナ禍を通じての変化として、出社しなくても仕事ができるという業態が一般化し、ワーケーションの発想も出てきたが、2030年にはもう少し違う発想とか、旅のスタイルも出てくるのではないかなと思う。
  • また、間違いなく変化したこととして、団体旅行とか大型旅行から少人数旅行へ移行したことがあげられる。シニア層の宿泊旅行に係る調査では、これまで同じ部屋で寝るのが当たり前だったが、最近は一人一部屋のニーズが高まってきた。
  • 旅行する際にも、自分自身がどうしたいか、自分がしたい旅行をしようといった意識が生まれてきたというのが、今の状況なのではないか捉えている。
  • リトリートを基本理念に掲げた観光戦略について、3泊旅と説明があったが、やHぐには厳しいとは思うが、目指す姿としては良いと思う。ただ、そこに対してどういうコンテンツがあって、どういう楽しみ方をするのか、1泊でも2泊でもしっかり感じ取っていただいて、或いはもう1泊したいという気持ちになれるか、ここがすごく大事であるので、それぞれの地域がリトリートを打ち出す時に、この観点で考えるとより良いのではないかと思う。
  • 計画骨子案の基本戦略について、他の地域でも同じような内容が掲げられているので、ここで大事な点が、この基本理念を実現するために戦略の優先順位を置いていくということである。2030年に目指す群馬県の姿を実現するために、どこを優先していくのかということをもう少しピックアップしながら考えていけると良いのではないかと思う。
  • 群馬県の宿泊旅行に係る満足度の調査では、初回訪問者よりもリピーターの方の満足度が高い結果となっているが、昨年の群馬県における初回訪問者の満足度が80%に対し、リピーターは88%という結果であった。何度も来ることに何かしら価値があり、そこを突き詰めて、リピーターがより満足するための施策を考えることも重要である。
  • もう1つ重要な観点として、人材不足である。日本はコロナ前から人材不足が叫ばれており、コロナ禍になり観光事業者における雇用の継続が非常に厳しくなった。そして現在、観光需要が回復傾向にある中、雇用を元に戻せるかといった時に、いろいろな費用が高騰しており、雇用を元に戻せない状況である。その結果、例えば宿泊事業者においては客室を満室できないという状況に陥っている。
  • この対応策としての高付加価値化という手段もあるが、観光事業者の給与水準が比較的に低いこともあり、やりがいを持って働かれている方々が非常に多い中で、観光従事者の待遇改善は1つテーマとしても入れていただく必要があると考える。
  • 群馬県を訪れる人の満足度が向上しているという姿について、来訪者の満足度という観点の他に、その地域の事業者や地域住民の方々が満足するような地域になっている必要があり、その観点も大事である。地域のホスピタリティに係るアンケート調査の結果、群馬県は47都道府県中7位だったことから、実は群馬県のホスピタリティは高いという状況なっていて、この結果について、詳細を突き詰めることで、リトリートの聖地に近づくのではないかと思った。
  • 最後に、データ分析について、観光消費額の把握を適宜行っていくことはすごく大事で、観光戦略は経済施策でもあることから、今どういう状況で、何が不足してるのか数値として把握することが必要である。特に群馬県の特徴は、宿泊単価は結構全国平均にも近づいてきたが、お土産や体験の単価が低い状況である。いかに旅ナカの消費を喚起するかということが課題であると考える。

【会長】

 従業員の待遇改善については何を一番のポイントと考えるか。

【E委員】

  • 以前にこの観点でヒアリング調査をした際に、その地域に就職しても楽しみがないといったことや福利厚生が少し弱いという意見があった。
  • 例えば、福利厚生については、1つの宿泊施設だけだと難しい部分があるかと思うが、地域の観光事業者が連携して提供できる福利厚生みたいなものがあるとよいのではと考える。
  • その地域で働くメリットのような、例えば、ある地域や宿泊施設に勤めた場合は、従業員の家族が割安でサービスを受けられるといった、航空会社や鉄道会社で導入されていたりするが、ただ安いだけでなく、付加価値を提供してあげられるようなことも考えられる。
  • また、京都市ではホテルに勤めてることがブランドになっていることから、その地域に勤めていることを対外的に言いやすい環境を作ることも大事なことではないかと考える。

【会長】

 旅ナカの消費環境ということについて、群馬県はまだ観光地の単価が低いと考えるがどうか。

【B委員】

 店舗における価格設定については、あえて高めに設定しようと決めて、それに見合うサービスの提供を行っている。周辺のお店の価格と比較すると決して安くはないが、ただ、最近は全体的にいろいろな価格が上がってきたので、現在の価格も受け入れてもらえるような状況なってきていると感じている。

【A委員】

  • 自社が運営するキャンプ場について言えば、いわゆる旅館のおもてなしのスキームと比較すると、全然違うホスピタリティが要求される。要するに、来てくれた方が、いかに自分たちが自分たちの手でいろんなことができるよう、その安全を見極めていくことが、いわゆるアウトドアのホスピタリティである。そのため、いかに余分なことをしない、世話も焼かないということを徹底してやる。そこがアウトドアビジネスの一つの特徴だと思う。
  • このことは、従来の観光サービスの概念を完全に変えたところだと考えるが、そこである程度の価格帯に設定したところで、お客様は必ずしも高いとは思わない。それはリピート率が非常に高いことから、むしろ満足感を感じていただけていると思う。

【F委員】

  • リトリートについて、やはりよく分からないという方が多いと思う。現状、詳しい方たちでも明確でない状況において、一般の方にとっては、リトリートという形で露出していた時に、理解ができないため、読み飛ばされてしまうのでないかと思う。
  • そのため、リトリートの聖地という姿を設定することは良いと思うが、リトリートという言葉を使わずにリトリートの聖地を目指すような形でやっていかないと、言葉が1人歩きしてしまうと考える。リトリートの概念が群馬県から提示されて2年ほど経過し、未だ浸透していないということは、やはりピンときてない事業者や消費者が多いのだと思う。
  • もう一歩踏み込んだ具体策やキャッチコピーにして周知していかないと、リトリートはいつまでも浸透しないのではないかと感じている。
  • リトリートという言葉を出して、全く地域の差別化が無い状況において、群馬県を選ぶ決め手にかける印象がある。他の地域に勝てる強いワードを持って押し出していかないと、群馬県のリトリートは普及していかないのではないかと、これまでの審議会での議論やこの骨子案を拝見させていただいた感想である。
  • 加えて、非日常的な体験というのが、観光商品の中でも、かなり需要が高まってきていると思うので、群馬県であれば自然や温泉というものに対して、体験を組み合わせることで、他の地域にないものになっていくし、それが満足度を高めて、リピーターを増やしていくことにつながるのではないか。何か1つ他の地域と比べて群馬県が突出する部分が弱い印象があるため、そこを考えていけたら良いのではないかと思う。

【会長】

 差別化の部分で、群馬県が一番であるところはどんなところだと考えるか。

【F委員】

  • 土地柄として有している要素として、温泉とか自然だと思う。それとソフト的な部分でおもてなしといった人の要素を組み合わせていくことは大事なのではないかと思う。
  • それと、強いものを持っていなくても、どう見せるかという切り口が重要ではないかと感じており、群馬県はそこが少し弱いので、その部分に手を入れることができれば、他の地域との差別化ができるのではないかと思う。

【会長】

 是非、県の中でも検討していただき、この場でまた話し合いができるといいなと思う。

【G委員】

  • まず、リトリートという言葉であるが、基本理念の「リトリートの聖地」と「癒しの聖地」はイコールなのか。そうであるならば「癒しの聖地」でもよいのではないか。先ほど県の方から説明があったが、知事が2年前に御発言されて、私自身はこのリトリートの聖地はすごくいいなと思い、それに関わることが楽しみで参加した。しかし、「リトリート」という言葉を骨子案に出して、この場で提示するにあたり、県庁の皆さんに、この言葉の定義というか、こういう思いでこの言葉を出しているということを最低限説明していただきたいと思う。何となくのイメージではなく、これを使っていくと決めて打ち出していく限りは、最低限そこは自分たちで考える必要があると思う。曖昧な部分でいいこともあれば、曖昧な部分がもし違う印象に変わったとき、リトリートという言葉がネガティブなイメージで出回ってしまったときに、自分たちはこう捉えているということを説明できないと大変な思いをすることになると思う。このことに正解はないので、仮にでもまず県から発信する時には、リトリートの定義をしっかり作られた方がいいと思う。
  • 私の中で「リトリート」と「癒し」をどう整理してるかというと、癒しとは割と受動的というか、他人に何かしてもらうようなイメージで、リトリートは能動的なイメージがあると思っており、何かをしてもらいに行くというよりは、自分がどんな過ごし方ができるのか、どんな心地になれるのかというイメージが持てる場所だと思う。そのイメージが群馬県ではどうかといったとき、群馬県は「自然」だと思う。
  • 基本戦略の内容について、例えば、インフラや組織体制が整ってキャッシュレス決済ができてWi-Fiが整い、プログラムがたくさんあるような場所がリトリートの場所なのか。なぜ自然が入ってないのか。自然の状態が2030年にどうなっているのかという観点が無くて、リトリートは語れないのではないか。基本戦略の中に自然基盤がどうなるか、今の自然がどうで、これが2030年にどうなっているかというところが入った方が、リトリートの聖地を語る上では良いのではないかと思う。
  • その上で、戦略を見たときに、戦略1から戦略3まで、その理念がリトリートの聖地でなくてもよい内容となっているのではないか。例えば、「温泉の聖地」といっても戦略に影響はないような内容になっているのではないか。
  • そこで1つ聞きたいのは、このリトリートの聖地としたときに、これまでの観光戦略と違う部分、特徴的な部分はどこかというところを聞きたいと思う。
  • もう一つは、戦略2に記載の「住んでよし訪れてよし」というのを見たときに、移住施策なのかなという印象を受けたが、「住んでよし」とはどういうことを指しているのを教えていただきたい。

【藤田観光政策係長】

  • まずこの戦略が、その基本理念であるリトリートの聖地に結びついていないこと、他の基本理念であっても同様の取組になるのではないかという点について、基本理念に掲げるリトリートの聖地は、その大きな方向性として、複数泊、長期滞在をして、宿泊だけでなくて、アクティビティや様々なコンテンツ、体験、そういったものを間に挟みながら、滞在していただくという大きな流れは固まっており、そのためにどうしたらよいかという観点がこの計画の各戦略に含まれている。
  • 戦略1については、リトリートの聖地に直結しないかもしれないが、ただ、観光振興を目指す上においては非常に重要な部分であり基盤を成すものである。戦略2については、ソフト的な部分、例えば、アクティビティの創出であったり、新たな観光スタイルの確立であったり、高付加価値化であったりと、そういったところを創出するものであり、戦略3については、そのような整備を進めたうえでの戦略的なプロモーションにより、リトリートという新しい価値や新しい旅行スタイルを提案し、それ選んでいただけるような施策を盛り込んでいる。
  • 確かにリトリートが直接的に読み込めないという部分はあるかと思うが、一つ一つはリトリートに向かって取り組むべき施策となっている。
  • 2つ目の質問事項の「移住」など、観光以外の部分も視野に入れてるのかということについて、現行計画でもワーケーションのような仕事と観光を組み合わせる取組を進めており、観光と合わせて、仕事や生活ともに群馬県に移していただけるような、一部、移住促進の側面もある。

【G委員】

  • 戦略について、長期滞在をして滞在泊数を伸ばすということはよく分かった。ただ、リトリートを考える時には、単に滞在時間や滞在泊数を伸ばすだけではなく、どんな心地で過ごせるのかという観点も大事になる。
  • 個人的には、リトリートに行くときはそっとしておいて欲しい。環境がいいところで、体に良いものを食べて、できればそっとしておいて欲しいというのが、私が思うリトリートである。アウトドアに近い要素があり、そのニーズも増えていると思う。
  • そういった要素も踏まえ、リトリートに必要なものは何か、自然がなくてもリトリートなのか、そういうところから詰めていくと理想とする姿が見えてくるのではないかと思った。

【H委員】

  • 基本的には群馬県がちゃんと観光のブランディングとかポジショニングを考えてることはすごくいいことだと思うし、これまではこのような理念はなかったと思うので、そういうことが原因で群馬県の知名度が国内でなかなか上がらない一つの原因だったのではないかと思う。
  • リトリートを幅広く考えれば、群馬県のすべてのものは、網羅できるのではないかなと思う。ただ、リトリートという言葉をどう使っていくかということについては議論が必要と思う。
  • リトリートという言葉を幅広く使う場合、消費者や観光客に対する周知が必要で、癒しと捉える場合もあるし、アドベンチャーリトリートのことを指すこともあるので、リトリートを打ち出す時に、おそらく新しい使い方になるので、その周知にはすごいエネルギーが必要ではないかなと思う。
  • 2030年までにリトリートの聖地にできるかというと、観光のブランディングには大体10年くらいかかると言われているので時間はかかると思うが、方向性としてはすごく良いと思う。
  • 気になる点として、持続可能な観光地域づくりと書いてあるが、それを計る指標については何を導入するのか、GSTCとか、日本版のJSTSとか、グリーン・デスティネーションズなどのロードマップなどを参考にしたり、KPIをしっかり設定しているシステムがあるので、ちゃんとした持続可能なツーリズムも導入するのであれば、そういったシステムとかも同時に入れた方がマネジメントをしつつマーケティングもできるのではないかと思う。
  • 海外におけるリトリートのイメージはバリみたいなウェルネスリトリートだとか、マウンテンリトリートもある。このリトリートについて、県域でリトリートという言葉を使っているところはないと思うので、これが実現すれば結構面白いことになると思うが、かなり頑張らないといけないかなと思うところでもある。
  • リトリートという言葉をブランドとして使うのか、外向きのコミュニケーションの時はどう使うのかということをよく考えないといけないかなと思う。

【会長】

 リトリートの聖地について、群馬県全体で目指すということで、観光部門だけでない、温泉であれば薬務課であったり、環境森林部や農政部など、いろいろな部局が一緒になってリトリートの聖地を作っていくのだと思うので、そういった部局間の調整も行っていただき、リトリートをもっと具体的に理解できるような説明を群馬県には引き続きお願いしたい。

【G委員】

  • 群馬県の森林分野においては、森林の活用について、これから5年間の中で、大きく三つを掲げているが、そのうち2つは木材に関することだが、もう1つは森林空間の活用である。これは森林サービス産業を作るという、木材ではなく、森林空間を活用してサービスを作っていこうというものである。こういったことを森林所管サイドもやろうとしてる。
  • ただ、森林を担当してる行政の方々は、観光部局と違い、サービスに関する知識が十分でないため、そこがすごくもったいないと思うことから、群馬県内にはそういった動きもあるのだということも承知しておいていただきたい。

【会長】

 群馬県全体でこのリトリートの聖地を作っていけるように、観光課の方、先頭切ってやっていただきたいと思う。

【I委員】

  • ラグジュアリーリゾートについて、最近、リッツカールトン日光の方とお会いする機会があったので、その方といろいろお話する中で、彼らがディスティネーションマーケティングをやる上で、競争相手として見ているのが、軽井沢と箱根だと言われていた。そんな中で、群馬県が、富裕層に対してどうポジショニングしていくのかと思ったのだが、逆にそこに入らないという選択肢もあるのではないかなと思った。
  • 計画骨子案の戦略の中には、ラグジュアリーリゾートの誘致と書かれているが、確かにラグジュアリーリゾートを誘致すれば、観光消費額の単価はぐっと上がり、ブランディングもできると思う。ただ、群馬県の戦略として明記する際に、果たして「ラグジュアリーリゾートの誘致」だけでいいのかと感じた。
  • それと、人材について言えば、私がZ世代と呼ばれている学生たちと日頃接している中で、彼らの意識が、持続可能やサステナブル、レスポンシブルといったことに意識や理解度が非常に高いと感じている。これは、おそらくこれまでの学校教育の中で培われたものだと思うが、戦略の中での観光人材を育成すると書かれているが、どんな人材育成するのかといった具体策まで落とし込めると大変未来が見えるような戦略になるのではないかなと感じた。

【会長】

 若い方たちが群馬県内で働きたいと思ってもらうためのポイントがあったら教えていただきたい。

【I委員】

  • 学生が群馬の観光の魅力と感じる一つに「スキー」があるようだ。スキーに限らず自然や四季を活かしたフィールドを、学生が将来の生活や仕事を考えることができる学修の場として与えることができれば、将来、群馬県を就業先として選択する可能性は非常に高いと考える。
  • それと、最近の傾向として、若い学生たちは、ホテルや旅館で働くということよりも、地域のため、地域活性化、そういうフレーズに響く傾向があることが、教員の中でも話題になっている。そのため、皆さんが課題視されている、点ではなくて面の繋がりを重視し、地域内の関係者が手を取り合って観光地域づくりを行っていく姿は、学生にとって魅力的なのではないかなと思う。
  • それと、交通の便がクリアになっていくことも必要である。

【J委員】

  • 計画骨子案には、リトリートの聖地という基本理念と、細かな基本戦略が書き込まれているが、すべてに共通して言えることは、国内の1000万人を超える障害者の方やその御家族の方たち、そして世界中の障害を持つ方々に、群馬県に来ていただく、そしてまた行きたくなる、もう一泊したくなるといった、誰でも楽しめる群馬県の観光地というのを、このすべての基本戦略の中に、当たり前に落とし込んで、これからの群馬県について考えていけたら良いと思っている。
  • どうしても障害者や高齢者に対する施策は後付け的に考えられがちであるが、これから高齢者の数は約30年間増え続ける試算となっていることから、こういった方々が、群馬の温泉地を楽しめる、そういった観光地にしていくことを私は目指していくべきだと思っている。
  • 来年の春からは、障害者差別解消法が改正されて、合理的配慮が義務化されることから、民間事業者は必然的に障害者が合理的配慮を求めた場合には、それに対して何かしらのアプローチをしていかなければいけないこととなる。
  • そんな状況であることから、計画骨子案にあるような、どんな人でも楽しめる多様な人が来られる観光地というふうに言葉だけでぼやかすのではなく、障害者でも高齢者でも、どんな人が来ても楽しむことができる群馬県を、すべての人が一体となって実現していく必要性を私は強く感じている。

【H委員】

  • ユニバーサルツーリズムの観点から、フードダイバーシティも最近では重要とされている。ヴィーガンやハラールといったことに対しても考えていかないといけないと思う。
  • またLGBTQプラスへの対応についても考えないといけないと思う。

(6)その他

意見なし