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令和5年度答申第13号

更新日:2024年3月6日 印刷ページ表示

第1 審査会の結論

 本件審査請求には、理由がないので、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第45条第2項の規定により審査請求を棄却すべきである。

第2 審査関係人の主張の要旨

1 審査請求人

 処分庁が行った令和5年6月14日付け生活保護変更処分(以下「本件処分」という。)の取消しを求めるものであり、その理由は次のとおりである。
 年金額の改正に伴って7月分保護費から減額される金額は誤っており、本件処分を取り消すことを求める。

2 審査庁

 審理員意見書のとおり、本件審査請求を棄却すべきである。

第3 審理員意見書の要旨

 処分庁は、令和5年6月9日に日本年金機構に対して審査請求人及び○○の老齢基礎厚生年金及び年金生活者支援給付金(以下「年金」という。)の受給額について調査を実施した。処分庁は、令和5年6月14日に、審査請求人世帯の6月分保護費について、遡及して保護の変更(年金等の認定額の変更)を行った上で、当該変更に伴って生じた過支給額○○○○円を7月分保護費から減額する本件処分を行い、同日付で、本件処分について生活保護変更通知書により審査請求人あてに通知した。生活保護法(昭和25年法律第144号。以下「法」という。)第29条第1項において、保護の実施機関及び福祉事務所長は日本年金機構に対し、必要な書類の閲覧若しくは資料の提供を求めることができると規定されている。「生活保護法による保護の実施要領について」(昭和38年4月1日厚生省社会局長通知。以下「局長通知」という。)第8の1(4)アにおいて、年金は受給月から次回の受給月の前月までの各月に分割して収入認定することとしている。また、局長通知第10の2(8)において、最低生活費又は収入充当額の認定を変更すべき事由が事後において明らかとなった場合は、当該事由に基づき扶助費支給額の変更決定を行えば生ずることとなる返納額を次回支給月以後の収入充当額として計上して差し支えないとしている。処分庁は、日本年金機構に対する調査の結果に基づき、審査請求人世帯の6月分保護費の収入認定額を変更し、7月分保護費から過支給分を減額する事務処理を行った。本件処分は、法令等の定めるところに従って適法かつ適正にされたものであり、違法又は不当であるとはいえない。以上のとおり、本件審査請求には理由がないから、行政不服審査法第45条第2項の規定により、棄却されるべきである。

第4 調査審議の経過

当審査会は、本件諮問事件について、次のとおり、調査審議を行った。
 令和6年1月12日 審査庁から諮問書及び諮問説明書を収受
 令和6年1月26日 調査・審議
 令和6年2月29日 調査・審議​

第5 審査会の判断の理由

1 審理手続の適正について

 本件審査請求について、審理員による適正な審理手続が行われたものと認められる。

2 本件に係る法令等の規定について

​(1)  法第8条第1項において、「保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うものとする。」と規定している。
(2) 法第25条第2項において、「保護の実施機関は、常に、被保護者の生活状態を調査し、保護の変更を必要とすると認めるときは、速やかに、職権をもつてその決定を行い、書面をもつて、これを被保護者に通知しなければならない。」と規定している。                                                 (3) 法第29条第1項において、「保護の実施機関及び福祉事務所長は、保護の決定若しくは実施又は第77条若しくは第78条の規定の施行のために必要があると認めるときは、(中略)官公署、日本年金機構若しくは国民年金法(昭和34年法律第141号)第3条第2項に規定する共済組合等(次項において「共済組合等」という。)に対し、必要な書類の閲覧若しくは資料の提供を求め、又は銀行、信託会社、次の号に掲げる者の雇主その他の関係人に、報告を求めることができる。(以下略)」と規定している。                                                                                                                     (4) 局長通知第8の1(4)アにおいて、「恩給法、厚生年金保険法、船員保険法、各種共済組合法、国民年金法、児童扶養手当法等による給付で、1年以内の期間ごとに支給される年金又は手当については、実際の受給額を原則として受給月から次回の受給月の前月までの各月に分割して収入認定すること。」と規定している。                                                                                                 (5) 局長通知第10の2(8)において、「最低生活費又は収入充当額の認定を変更すべき事由が事後において明らかとなった場合は、(中略)当該事由に基づき扶助費支給額の変更決定を行えば生ずることとなる返納額(確認月からその前々月までの分に限る。)を次回支給月以後の収入充当額として計上して差し支えないこと。」と規定している。​

3 本件処分の妥当性について

(1) 処分庁は審査請求人世帯の保護の程度を算定するに当たり、法第8条第1項に基づいて年金を収入認定した上で、保護の程度を決定している。                                         (2) 処分庁は、法第29条に基づき日本年金機構に対して審査請求人及び○○の年金額の調査を行った。調査の結果、両者の給付額が令和5年6月入金分から改定されたことが判明したため、処分庁は法第25条第2項に基づいて職権により収入認定額を変更した上で審査請求人に通知した。                               (3) 処分庁は、日本年金機構に対する調査の結果に基づき、審査請求人及び○○に令和5年6月15日に給付される年金額がそれぞれ○○○○円及び○○○○円であることを確認した。年金は偶数月に給付されることから、処分庁は局長通知第8の1アに基づいて年金額を二等分し、両者の年金額をそれぞれ月額○○○○円及び月額○○○○円と算定した上で、6月分保護費の収入認定額を変更した。                                                 (4) 6月分保護費の収入認定額を変更した結果、夫婦の年金額の合計は月額○○○○円から月額○○○○円に変更され、その差額○○○○円の過支給が生じた。処分庁は局長通知第10の2(8)に基づき、7月分保護費から同差額を減額することで、過支給額を返納する事務処理を行った。                                (5) 上記(1)~(4)より、審査請求人が主張する「減額される金額の誤り」について、処分庁の計算に誤りは認められず、処分庁の事務処理は正しい手続を踏んでいるといえる。また、処分庁が審査請求人に対して保護費変更についての説明を実施しようとした経過が認められ、保護費変更に至る計算式についても審査請求人へ書面が送付され、保護費の変更理由についての詳細を審査請求人が了知することが可能であると考えられる。                    以上のことから、本件処分は法令等の定めるところに従って適法かつ適正に行われたものであり、違法又は不当であるとはいえない。

第6 結論

 以上のとおり、本件審査請求には理由がないから、「第1 審査会の結論」のとおり、答申する。

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