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「みんなでSDGs会議~環境編~」を放送しました

更新日:2024年3月8日 印刷ページ表示

 [素材]番組ロゴ画像

 群馬県では2050年までに温室効果ガス排出量をゼロにする「ぐんま5つのゼロ宣言」の実現に向け環境課題解決に取り組んでいるところです。
 2030年までに温室効果ガス排出量の半減に向け、県民一人ひとりの行動変容が求められています。そのような中、県民にとって身近な情報媒体のひとつであるラジオを通して、環境SDGsに関する取組を幅広い層に届ける目的で、FMぐんまとタイアップした『ラジオの前のあなたと考える1Day特別番組「みんなでSDGs会議~環境編~」』を放送しました。

 当日の様子をお届けしますので、是非御覧ください。(※肩書き及び年齢等は当時のものを記載)

概要

  • 放送日時:2023(令和5)年10月31日(火曜日) 10時00分-16時50分
  • 提供:群馬県
  • 出演:内藤聡(FM GUNMA 「WAI WAI Groovin'」パーソナリティ)
     富所哲平(吉本興業・群馬住みます芸人)
     葭内ありさ(お茶の水女子大学附属高校教諭)
  • 企画、制作:株式会社エフエム群馬
  • インフォメーション:
    「みんなでSDGs会議~環境編~」は2023年10月31日、朝のレギュラー番組「WAI WAI Groovin’」の10時台に開会宣言し、夕方番組「ポットラック」16時台の閉会宣言まで、約6時間にわたって放送した1Day特別企画です。本来、SDGSの17の目標はジェンダーや格差、平和、感染症など幅広いテーマを含みますが、今回の番組は「水」「エネルギー」「ごみ」「地球温暖化」にテーマを絞ったため、環境編としました。
    エフエム群馬サイト内には10月9日から専用ページを開設し、メッセージフォームを設置。告知も始めた。リスナーから現在取り組んでいるエコアクションや提言をテーマ別に募ったところ、終了までに約80通のメールが届きました。

番組構成

  • テーマは「ごみ」「水」「エネルギー」「地球温暖化」。
  • SDGsの17の目標の中で、特に環境に関連した目標6(安全な水とトイレを世界中に)、目標12(つくる責任、つかう責任)、目標13(気候変動に具体的な対策を)の県の取り組みを紹介。
  • 県公認「環境SDGsファシリテーター」制度や、自分の日頃の行動から年間Co2排出量を算出する「群馬県版myCo2シュミレーター」の紹介。
  • 環境SDGsファシリテーターをプレゼンターとしてスタジオに迎え、実践していることを紹介してもらう(議題も出してもらう)。
  • 県内の小学校の取り組みを紹介。SDGsの認知度が最も高いと言われる子どもたちから大人にクイズを出してもらう。
  • 企業の紹介(循環型農業に取り組む「mino-lio」)。
  • リスナーからも広く取り組み事例や提言を募り、“会議”への参加意識を高めてもらう。

出演者紹介

 内藤聡(ないとう さとし)

 エフエム群馬ラジオパーソナリティ、ぐんま特使、藤岡市観光特使
 [素材]内藤聡の写真

 富所哲平(とみどころ てっぺい)

 よしもと群馬住みます芸人アンカンミンカンの1人、ぐんま特使、みどり市観光特使、SDGs芸人
 [素材]アンカンミンカン富所哲平の写真

 葭内ありさ(よしうち ありさ)

 お茶の水女子大学附属高校教諭
 [素材]葭内ありさの写真

特設ページ・メッセージフォーム

 特別番組放送約1ヶ月前より、エフエム群馬ホームページに番組特設サイトをセットし、番組告知、番組テーマに伴うリスナーメッセージを募集しました。

 サイト内の事前告知画像 ◀サイト内の事前告知画像 メッセージフォームの画像 ◀メッセージフォーム

番組進行内容(時系列で紹介)

[10時台]

 朝の中継コーナーで取り上げたのは、「スポGOMI」の話題。最近このように清掃活動の奉仕的側面を強調しすぎずに、ごみ拾いにエンターテイメント性を持たせた活動が増えている。ごみ拾いとジョギングを組み合わせた“ブロギング”などもその一例だ。

 スポGOMIは日本財団が企画・支援する新スポーツで、一定時間内に決められたエリアで1時間ごみを拾い、そのごみを20分の制限時間内に分別してその量と質(環境汚染度が高いために拾うことに意義があるごみ、最高得点はタバコの吸い殻だそう)を競うというもの。

 この日、富所さんは8月の「スポGOMIワールドカップ2023群馬Stage」で優勝した御家族とWAI WAI Groovin’の午前の放送時間中に対決。正田醤油スタジアム群馬からエフエム群馬本社までの道のりを1時間、ごみを拾いながら歩いた。富所さんは開始直後一人だったが最初の中継でパートナーを募ったところ、近くに住むリスナーさんが参戦。

 [素材]スポGOMIファミリーの写真
 ▲拾ったごみを確認するファミリーと富所さん

 富所チームが拾ったごみはタバコの吸い殻、燃えるごみ、缶とペットボトルなどが3袋分。一方、フットワークの軽い御家族チームは路上だけでなく、河川敷の草むらにも分け入って靴2足や上下レインコートなどの大きなごみを見つけた。最近は放課後、自主的にごみ拾いに出かけることもあるという小学生の息子さんも熱心に拾い、「楽しかった!」とコメントしていた。「宝探しに近い楽しさもあるスポGOMIを、もっと多くの人に知ってほしい」と富所さんは呼びかけた。

[12時台]

​ ゲストの葭内さんは2011年頃からエシカル消費をテーマにした授業を始め、家庭科で環境問題、児童労働、フェアトレードなどSDGsに関することを積極的に扱ってきたことで注目されている。

 東京書籍の家庭総合教科書の編集委員でもある葭内さんによれば、現在の教科書では30年前は小さな囲みコラムだったフェアトレードやエシカルファッションは、「持続可能な社会を目指して」という一つの章に独立するほど重要項目になったという。

 「これまでの家庭科のイメージが覆る」と驚く内藤さんと富所さんに対し、「家庭科は生きていること全部、幸せに暮らすことすべてに関わる教科」と説明。「体験型の授業を重視している」と話す葭内さんは、実社会でエシカル(作り手や環境への影響を考えること)やサステナブルに取り組む企業の創業者を授業に招くなどして、生徒たちに問題を「自分ごと化」してもらう工夫をしているという。例えば、アフリカ・ガーナのエシカルブランドと連携し、生徒に製品のアイデアを出してもらう授業は好評で、優良デザインは実際に製品にもなるそうだ。自分のアイデアが形になるワクワク感を生徒も楽しんでいる。

 フェアトレードの認知度もますます広がる昨今、「普通のバナナとフェアトレードのバナナでなぜ値段が違うのかを説明できる子どもも増えている。教育の力は大きい。いわゆる“サステナブル・ネイティブ”の子どもはこれから増えていくと思う」と葭内さん。これからの世の中で大事になることは、「まず何かをやる時、自分の行動がどんな影響を与えるか、どんな人とつながっているのか、想像力を持つこと」とアドバイス。葭内さんの現在の活動の原点には、いつも社会を助けることを優先していた父親の姿があるという。​

<山本一太知事のメッセージ(抜粋)>

​ SDGsは差別、貧困、人権や環境問題などの課題を世界中の国が一緒に取り組んで解決しようというもの。群馬県が掲げる「誰一人取り残さず、誰もが幸福を実感できる自立分散型の社会」と目指すところは一緒で、私たちの生活の中でもできることはたくさんあります。今日は環境に関わる「水」「ごみ」「エネルギー」についての事例を紹介しますが、先だって群馬県の取り組みを紹介します。

―まず目標6「安全な水とトイレを世界中に」の水。群馬県は利根川の源流。豊富な水資源に恵まれ、首都圏の水がめ、水を育む森林の整備や水をきれいに保つための下水道の整備を進めています。皆さんも水を大切にして、洗剤などの使いすぎに気をつけましょう。

―次は目標12「つくる責任、つかう責任」にあるごみ。一人一日あたりのごみの排出量は986グラムで全国平均を78グラム上回っています。限りある天然資源の使用を控え、ゴミを減らし、環境型社会を作る必要があります。県では「プラごみ『ゼロ』、食品ロス『ゼロ』」を掲げ、循環型社会を目指しています。皆さんも3Rにレフューズ、リスペクトを加えた5Rに取り組んでください。海洋プラスチック問題は海なし県群馬も関係します。川のごみをなくし、ポイ捨てをなくし、川をきれいにしましょう。

―最後は目標13「気候変動に具体的な対策を」のエネルギー。今夏桐生の猛暑日は46日間で、国内の年間最多記録を更新しました。群馬県は温室効果ガス排出ゼロを掲げ、再生可能エネルギーの普及、省エネルギーを推進しています。温暖化対策には我慢して節電する、みたいなイメージがあるかもしれませんが、快適で豊かに暮らすヒントもたくさんありますので、ぜひこの番組の中から探してみてください。自分の暮らしがどうSDGsの目標に関わっているのかを考え、一緒に持続可能な社会を築いていきましょう。

<県の取組について>

1.県公認環境SDGsファシリテーター養成事業とは?

 環境政策課の担当者が説明した。県では、2050年までに「自然災害による死者ゼロ」「温室効果ガス排出量ゼロ」「災害時の停電ゼロ」「プラスチックごみゼロ」「食品ロスゼロ」の5つのゼロを目指す宣言を出したが、この目標に県民一丸となって取り組むために設けたのが、環境SDGsファシリテーター制度だ。運動のすそ野を広げようと、約20人いるファシリテーターには県内のプロスポーツ選手やタレントも含まれる。ちなみに内藤さんも、富所さんもファシリテーターだ。

 ファシリテーターの養成研修は、都内の特定NPO法人issue + design(イシュープラスデザイン)と連携して実施している。そのプログラム内容について、同団体の森さんが電話出演して説明した。

 森さんによると、イシュープラスデザインが提供するプログラム「脱炭素まちづくりカレッジ」は難しい座学などではなく、「カードゲームを使って気候変動に対して何をすればいいのかを楽しく学んでもらうワークショップ」。参加経験のある内藤さんが「どうしてあんなに楽しい?」と理由を尋ねると、「いろんな人と交流したり、協力しながら新しい地域を作る内容なので、自分の行動でまちが変化していくところが楽しいのでは」と森さん。体験すると環境問題をより身近に感じられるという。

 【参考】脱炭素まちづくりカレッジ(イシュープラスデザイン)<外部リンク>

 先だってファシリテーター講座に参加した富所さんも、ゲーム形式の講座の効果を感じたと振り返る。「環境問題は大きすぎて自分にできることはないと思ってしまうが、ゲームを通して最終的に大きなアクションが起こせると体感すると、自分の有用感を感じられる。何かできるかも、とゲームが自分の中のスイッチを押してくれる」と話した。

​2.群馬県版マイCo2シミュレーター

 続いて「群馬県版myCo2シュミレーター」を紹介。スマホなどからサイトにアクセスし、住居、食、消費、レジャー・サービス、移動の5つの項目別に32問のアンケートに答えていくと、自分がどのくらいCo2を排出しているか、全国平均や県平均のカーボンフットプリント指数やCo2排出量と比較できるというものだ。「県が掲げる『温室効果ガス排出ゼロ』の実現のためにも、まずは個人の排出量を見える化し、削減の動機づけになれば」と担当は話す。​
(下の画像をクリックすると群馬県版マイCO2シミュレーターが開きます。)
 [素材]群馬県版マイCo2シミュレーター<外部リンク>
 ▲「住居」の項目から順に質問に答えていくと、年間の自分のCo2排出量を推定できる。

 事前に算出を行ってみた内藤さんが結果を報告。カーボンフットプリント指数が174(全国平均100)で、年間Co2排出量は1万2383キログラム(全国平均7100キログラム)と平均を大きく上回った。内藤さんはその理由を車など交通の「移動」だと説明。「(住居の項目で)太陽光を導入しているとか、電気の節約でこんな工夫をしているとか、その辺りまで良かったけど、「移動」の項目に移った瞬間に『ああ〜〜〜!!!』って」。最後にみるみる加算されてしまったそう。

「(車を日常的に多用する)群馬県民は仕方ないですよね。でも、ここで差が出るということは、群馬はここで一層がんばらなければとわかる」と富所さん。日頃シェアカーを利用しているという葭内さんも、「私も移動が鬼門でした。飛行機に1回乗るだけで数値が2倍近くなってしまう」と話していた。

 [素材]スタジオの様子(マイCo2シミュレーター実施後)写真

 番組を観覧していたリスナーも数人がスマホでマイCo2シュミレーターを試していた。甘楽町の男性に結果を尋ねると、カーボンフットプリント指数が129で年間Co2排出量が9190キログラム。電気関連の技術職で日頃から仕事で車に乗る機会が多いそうだ。仕事でディーゼル車に乗っている分、少しでも環境に貢献するようエレメントをこまめに交換したり、ごみも細かく裁断したり、分別したり、努力はしていると話していた。

[13時台]

1.県公認環境SDGsファシリテーターの角田正基さん

 [素材]角田正基の写真
 
▲角田さん

 角田さんは群馬自然体験研究会代表で、主に青少年を対象にしたキャンプやハイキングなどの野外教育や冒険教育、環境教育を各地で実施。角田さんは「今の子どもたちはスマホ、タブレットで調べることは得意だけど、それでわかったつもりになってしまう。実際に五感を使い、見たり聞いたりする経験が大切」と話す。オール電化の家が増えていて、キャンプをすると「炎を見たことがない」と焚き火を不思議そうに見つめる子もいるそうだ。

 内藤さんが「子どもたちに環境についてどんなふうに感じてほしい?」と尋ねると、「SDGsの言葉ばかり先行しているが、さまざまな課題を自分ごととしてとらえてほしい。そして、感じたことをできる範囲でアクションに移してほしい」と角田さん。現在、「ぐんま未来基金」というコミュニティ財団を設立準備中の角田さんは、子どもたちに夢や希望のある未来を手渡したいと願っている。

 ゲストからはそれぞれ、リスナーから意見を募りたい議題も聞いた。角田さんの議題は「未来の子どもたちに何を伝えたいですか?」

2.利根川流域におけるマイクロプラスチック調査体験ツアー

 今、学校の教科書にはSDGsを意識したテーマがたくさん取り上げられている。朝日新聞の調査によると、SDGsは年代別で10代の認知度、関心・知識が最も高く、電通が行った別の調査でも10代が最も認知度が高かった。こうした背景を踏まえ、今回は日頃からSDGsについて積極的に学んでいる県内小学生を取材。クイズもあえて“子どもから大人に出題する”形をとった。

 県主催の「利根川流域におけるマイクロプラスチック調査体験ツアー〜利根川のプラスチックごみの行方を探る旅〜」は今年6月から7月にかけての3日間、利根川上流域のみなかみと中流域の伊勢崎、河口付近の茨城県神栖市でそれぞれごみの散乱状況を調査。参加者10組の親子は拾ったごみの中にあるマイクロプラスチックを顕微鏡で観察するなど、海洋プラスチックごみ問題について実践的に学びながらプラごみアート制作なども楽しんだ。

 【参考】「流域連携によるマイクロプラスチック調査体験ツアー~利根川のプラスチックごみの行方を探る旅~」を開催しました

 参加した荒牧小の6年生は実際に河岸や砂浜でごみを拾ってみて、プラスチック破片などごみの多さに驚き、「やばいな〜」と思ったと語る。「これまで登下校中にごみが落ちていても通り過ぎるだけだったけど、見方が変わった」と、身の回りが気になり始めたのは大胡東小の6年生。

 子どもたちの声を聞いて、スタジオの3人もそれぞれコメント。「そもそもこのごみを出しているのは誰だっけ?と考えると我々大人なので、なんか申し訳ない気持ちにもなりますね」と富所さん。葭内さんは、「体験してから落ちているごみへの意識が変わったという意見が印象的。体験から少しずつ意識が変わったらいいですよね」。内藤さんは「『体験』は今日のキーワード。実際に行動してみることで認識は変わる。子どもたちは問題を最もリアルに、純粋に受け止めることができる世代。だから私たち大人もメッセージをきちんと伝えなくては」。葭内さんの解説によると、「マイクロプラスチックはヒマラヤ山頂部からも検出されているほどで、もう世界中どこにでもある。もちろん海なし県群馬で使う水道水も、食べているお魚も無縁ではありません」。身近な暮らしへの影響に気づいた子どもが「再生可能な容器を使ってほしいと行政担当者にお願いに来るかもしれないですね」とつけ加えた。

 ツアーに参加した3人の小学生からクイズ
 Q 「国際的な問題になっているマイクロプラスチック。どんな問題になっているでしょうか?」(荒牧小6年男子、館林第九小5年女子、大胡東小6年男子)

 →答え 「分解されずにどんどん海に溜まっていってしまうことです。海がこのまま汚れ続けると海の生き物がいなくなってしまうかもしれません」

[14時台]

​​1.県公認環境SDGsファシリテーターの川岸祐輔さんと​伊藤崇浩さん

 [素材]ザスパ伊藤さんと川岸さん(打ち合わせの様子)写真
 ▲写真左手前が伊藤さん、奥が川岸さん

 県公認環境SDGsファシリテーターには県内で人気のプロスポーツチームの選手やスタッフもいる。例えば、サッカーJ2ザスパクサツ群馬の川岸さんと伊藤さんだ。ファシリテーターの講習では内藤さんや富所さんも一緒だったそうだ。

​ ゲーム形式の講習が面白く、全くの素人でもなるほどと腑に落ちる内容だったと川岸さん。「SDGsについては特に知識もなく、関心も薄かったが、ファシリテーター講習を勧められて受講してから「周りの意識の高さ、考え方を吸収して、一人の意識の変化ですごく大きい波が起こせそうだと感じた」と話した。講座途中から意識が変わり、自転車で会場に通い始めたという。
​ 番組内では、ザスパクサツ群馬が近年取り組んでいる環境活動を紹介。2023のシーズンからは「ザスパエコスタジアムプロジェクト」をスタートした。このプロジェクトは、ホーム戦全21試合で会場の飲食店の容器やカトラリーを再生可能なものに切り替え、また分別回収したごみをアップサイクルして再製品化するなど資源循環型スタジアムを目指すもので、Co2排出削減をパートナー企業やファン、サポーターと共に取り組んでいく姿勢を打ち出している。

【参考】ザスパ群馬公式サイト<外部リンク>

 Jリーグ全体でも近年は環境省とのタッグで「全公式戦カーボンオフセット実施」の宣言が出るなど、環境意識は年々高まっている。葭内さんもこうしたスポーツ界の動きを「意義あること」と評価。「サッカーはFIFAワールドカップが早くから児童労働で作られたボールを使わないようにするなど人権意識も高かった。スポーツも人の心を楽しく健全にするが、環境への配慮も人の心を楽しくさせ、健全なことにつながっていると思う」と語る。

​ [素材]ザスパ打ち合わせ後の写真

 また、2022年に立ち上げた地域貢献活動「ザスパの恩返しプロジェクト」も継続中だ。同プロジェクトでは“まちづくり”“ひとづくり”“かんけいづくり”をコンセプトに地域と一丸となって課題解決を目指すというものだ。地域社会のハブとなるスポーツクラブの役割を「積極的に活用してもらいたいし、自分たちも活用していく」と担当の伊藤さん。具体的には子ども対象のサッカー教室や健康増進イベント、ゲームへの無料招待などを開催。活動はSDGsの目標も意識しているとサイトにはある。

 富所さんは、「スポーツは関わる人が多いし、規模が大きいので影響力は大きい」と指摘。「運営側は大変かもしれないが、時代と共に求められているものが変わっている。県内の他のスポーツチーム、例えば群馬ダイアモンドペガサスや群馬クレインサンダースなどと横の連携を作って、これまでにない価値観が見えてくると面白い」と話すと、内藤さんも「群馬県のスポーツチームが連携して動いていけば、その方が流れは大きくなるね」と同調した。

 ザスパの川岸さん、伊藤さんの議題は、「皆さんの家庭の分別事情を教えてほしい。またザスパに取り組んでほしいことがあれば聞かせてほしい」。

2.高崎市立六郷小学校

 続いて登場したのは高崎市内で唯一ユネスコスクールに加盟する六郷小。2011年に県内で2番目に登録されている。環境意識が非常に高く、SDGsに関しても実践的な授業を行う学校だ。冒頭に子どもたちからクイズが出題された。

 六郷小児童からのクイズ
 Q 「高崎市六郷小は高崎市で唯一あることに認められています。何でしょうか?」
 →答え 「ユネスコスクールに採用されていて、授業や委員会でSDGsに取り組んでいます」

【参考】ASPnet ユネスコスクール<外部リンク>
※1953年発足の国際的ネットワーク。加盟校はSDGsなどを含むユネスコの理念を実践。持続可能な開発のための教育(ESD)の推進拠点で2023年3月現在、国内に1115校ある。県内では32校が加盟。

 六郷小ではSDGsの17の目標全般について、1年から6年までの児童がそれぞれ関心のある分野を調べたり、実践したりしている。以下は児童たちの声。

  • 「環境委員会で学校内のエコパトロールや花壇の草むしりをしています。夏休み中に高崎経済大の飯島明宏教授と烏川上流の水生生物調査を行いました。水生生物について学んでから、生物のことを考えたり、環境のためにリサイクルをしてほしいと思うようになりました」
  • 「総合の時間でSDGsの目標2の『飢餓をゼロに』を調べました。ご飯を十分に食べられない人が全体の30.4%もいることを調べてとても驚きました。夏休みにフードドライブという食品を寄付する活動をしました。これでちょっとは環境が変わってくれたらうれしいなと思いました。皆さんもご飯を残さず食べたり、苦手なものに挑戦して食べてみることをやってください」
  • 「総合の時間でSDGs目標7の「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」を学び、5人に1人、約7.3億人の人が電気を利用できずにいることを知りました。日頃から節電しようと思いました。家でもソーラークッカーを使ってプリンや蒸しケーキを作って節電しています。ソーラークッカーは意外と簡単なので、災害時にも役立つと思いました。ダンボールとアルミホイルで簡単に作れるのでぜひ皆さんにもやってほしいです」

 3人の声を聞き、「フードドライブやソーラークッカーなど、自分のできることをきちんと考えて実際にやってみたところがすごいですね」と葭内さん。プラスチック廃材を利用した花壇があり、SDGsに関連することに取り組んだら書いて貼り出す掲示板もある六郷小。校内の至る所に17の目標を掲示してあるそうだ。

 【参考】高崎市立六郷小学校ウェブページ<外部リンク>

3.藤岡市立第二小学校

 続いて取材をした小学校は、議長・内藤さんの母校でもある藤岡市立第二小学校。藤岡は市内全ての小学校がユネスコスクールに参加。SDGsについての学びは4年生から始まるという。レポートするのは4年3組の社会の授業。

 藤岡市立第二小からのクイズ
 Q 「私たち4年生はごみのリサイクルについて勉強しました。群馬県は全国で何番目にごみが多いでしょうか?」(2021年度)
 →答え 「全国9番目の多さです」

 授業ではまず、「2021年度のごみ排出量調査で群馬が9番目の多さだった」という新聞報道を読み、ごみの削減方法について意見を出し合った。その後、ごみの項目と分別のマスが書かれたプリントが配られ、みんなで分別を実践。サンプルのごみを小さく切り取って、燃えるごみか、不燃ごみか、資源ごみか、それぞれが考えながら貼りつけていく。プリントは藤岡市の分別方法に沿った内容で、覚えた分別方法をそのまま自宅で活かせるそうだ。

 担当の田村先生は「教えたことを家庭で話して、家庭を巻き込んで考えてほしい。社会に出た時に自分で考えられる子になってほしい」と授業のねらいを話す。授業を終えた児童に感想を聞くと、ごみ減量につながる分別のポイントをしっかり理解していた。

燃えるごみでもできるだけ細かくリサイクルできるように分別する」
「可燃ごみに入れる前にリサイクルマークがないか確認する。マークがあったら別にする」
「有害物以外でリサイクルできるものは自分から進んでする」
「ペットボトルのキャップとかリサイクルするものをきちんと見て(ごみを)出す」

 スタジオの3人も「しっかりした子どもたちですね!」「すごく実践的な授業」と感心していた。

 葭内さんは、「子どもたちがいろんな体験をして、自分たちで考えて行動しているのがとても良いですね。お茶大にも「エシカルラーニングラボ」というのがありまして、幼稚園、小中高、大学が連携して取り組んでいます。実は来月から小学生に中高生に教えにきてもらおうと思っているのですが、今日まさに小学生のいろんな取り組みや声を聞いてとても参考になりました」とコメントしていた。

[15時台]

​1.県公認環境SDGsファシリテーターの金子詩乃さん

 [素材]金子詩乃(打ち合わせの様子)の写真
 
▲打ち合わせ中の金子さん(写真奥左)

 金子さんは学童やフリースクール、小学校、イベントなどで、子どもたちに「まるっとしの」の環境クイズを出題。クイズを通し、“自分サイズ”でできるエコ活動を届けている。スタジオでもクイズを2つ出題してもらった。

 Q1 ペットボトルをそのまま土の上に放置したら、どのくらいで土に戻るでしょうか?
 →答え 450年

 Q2 お肉を買う時、鶏肉、豚肉、牛肉か種類を選択することで、二酸化炭素の排出量を減らすことができるでしょうか? ○(マル)か×(バツ)か?
 →答え ○(マル)。減らすことができます。

 金子さんはクイズを糸口に“自分サイズ”でできる環境アクションを紹介。例えばペットボトルの問題に関しては、「マイボトルを持つ」などが環境に配慮した行動となり、お肉であれば、生育過程で最も環境負荷の少ない鶏肉を選ぶことがCo2排出削減につながる。

​ 金子さんが活動を行う上で大切にしていることは2つ。一つは「自分がワクワクすること、楽しいと思うことを原動力に発信」。もう一つは「電気を使わないでお話をお届けする」(クイズはパソコンを使わず、ごみになった段ボールに書き、紙芝居方式で実施しているそう)。ソーラークッカーを使って調理したおいしい焼き芋をクイズの後に食べるのも恒例だという。

 電気を使わないこだわりにはスタジオの3人も驚いた様子。「段ボールのプレゼンは見たことないですね。面白い。それだけでひきつけられます」と葭内さん。金子さんは活動に込めるメッセージをこう語る。「地球はみんなが暮らす大きなおうち。地球環境が整うことは実は自分の暮らしを整えることだと思っています。自分自身と大切な人が心地よく暮らすために“自分サイズ”でできることをみんなで楽しみながらやっていきたい。一人の百歩より百人の一歩の方が楽しく、パワフルだと思っています」

 金子さんの議題は、「自分サイズで楽しくできるエコ活動を教えてほしい」。

 葭内さんは、金子さんの活動について、「クイズは子どもがスッと入り込みやすいから話のつかみになる。お肉の話なら、例えばアニマルウェルフェア(動物福祉)の問題につなげることができますし、その代用品として最近人気の大豆も、どこの国で作ったかでCo2排出量は変わる。例えば、ブラジルのアマゾンの伐採をして作った大豆なのか、日本で作った国産大豆なのか、消費の背景に話を広げてみるといいかもしれません」と解説した。

 この話題に関連して、富所さんが「いずれCo2排出量などの数字を企業側が提供しなければならない時代が来る?」と質問。葭内さんは「もちろんそうなってほしい。消費者も選択しやすくなります。牛肉は2000年代初頭のBSE(狂牛病)問題をきっかけに、どこで生まれたお肉かわかるようになりました。海外ではすでにCo2排出量の明示を義務付ける動きもあって、商品がどんな経路をたどったかを示す“トレーサビリティ”(履歴)は、これからどんどん開示されて選択の方法になると思います」と話した。​

2.企業紹介

 企業事例も一社取り上げた。高崎市中尾町に昨年12月に発足した農業法人「mino-lio(ミノリオ)」だ。県内の自動車ディーラー・GNホールディングスの傘下に設立された農業法人で、カネコ種苗の技術協力を得て、これまで廃棄していた使用済のエンジンオイルを再生し、イチゴ栽培に活用しようとする画期的なビジネスモデルで話題を呼んでいる。インタビューは同社の通称“いちご王子”のわゆさん、カネコ種苗の西沢さんに行った。

 イチゴ栽培のような施設園芸は、冬場に化石燃料を燃してハウス内を加温するのが通常だが、ガソリン高騰などで農家の経営も厳しくなっている。そんな中、カネコ種苗の西沢さんが自動車点検整備の際に出るエンジンオイルの廃油を見て、『ここに油田がある』とひらめき、GNグループの山田本部長に話を持ちかけたことから事業化の歩みが始まったという。イチゴを栽培する「ぐるりいちご農園」は来年1月開園予定。エンジンオイルの廃油を顧客から回収し、重油に再生した上でハウスの燃料にしてイチゴを栽培。そのイチゴをお客さんの元に届けることで循環型農業を実現させたいという。

【参考】株式会社mino-lio(ミノリオ)ホームページ<外部リンク>

 わゆさんは、「年間で約44万リットルの廃油は小学校のプールが溢れるほどの量。それを有効活用できないかと探っていたところ、西沢さんとの出会いがあった。ディーラーから農業法人へ、新しい業種への挑戦はワクワクする」と話す。

 一方、西沢さんは「誰もやっていないことにGNさんはチャレンジしている。異業種が農業に参画するに当たって、農地を所有するまでの苦労もあった。『化石燃料を減らす施設園芸』は自分もテーマの一つ。仕事にはドキドキ、ワクワク、ハラハラこの3つが必要だと思うが、このチャレンジはまさにそういう仕事」と期待を寄せる。今後は廃エンジンオイルが使えることを実証し、農家にもノウハウを伝えていきたいという。まえばしハニープロジェクトで養蜂を実践中の内藤さんも、受粉時期に蜜蜂を提供することで事業に関わる。蜜蜂たちも働かせすぎず、適度に休ませながら“持続可能な”受粉に配慮する計画で、さまざまな工程で循環が意識されている事業だ。今後の展開に期待が集まっている。

​メール紹介

 内藤さんが「あなたのメールが会議での発言になります」と呼びかけたことで、放送終了までに約80通の取り組みや提言が寄せられた。テーマは「ごみ」が最も多く、ごみ分別やごみ減量に関して日頃取り組んでいることを書いたものが多かった。ごみ問題一つ取り上げてみても、リスナーの職業は主婦もいるが、看護師、飲食店経営者、運送業と幅広く、職業に応じて課題を切り取る視点はさまざまだと思わされた。

 話は少し飛躍するかもしれないが、イギリスやフランスでは今、気候変動に対してさまざまな年齢や属性の住民をランダムに抽出して市民会議を行い、市民側の要望を行政に提案する動きがあるが、そんな話も思い起こした(日本でも札幌、川崎、武蔵野市、つくば市など各地に誕生している)。

 ラジオで、広く開かれた“会議”をするという発想にはさまざまな可能性があるのかもしれない。

 番組内で紹介された主なメールと3人のコメント及びそのほかのメール (PDF:272KB)

リンク、関連資料

(1)地域における環境SDGs推進事業

(2)群馬県版マイCo2シミュレーター

(3)その他