ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 組織からさがす > 環境森林部 > 自然環境課 > 令和3年度第2回群馬県自然環境保全審議会自然環境部会 議事録

本文

令和3年度第2回群馬県自然環境保全審議会自然環境部会 議事録

更新日:2022年3月28日 印刷ページ表示

1 開催日時

 令和4年3月7日(月曜日)午後1時55分~午後3時20分

2 場所

 県庁29階第1特別会議室

3 出席者

 委員:11名(定足数6名)
 事務局(県):自然環境課長、鳥獣被害対策支援センター所長 ほか

4 会議

1 開会

 略

2 あいさつ

 略

3 議事

第1号議案:群馬県第13次鳥獣保護管理事業計画の策定について

事務局から、議案内容について説明した。
質疑応答の後、全委員から異議がなかったことから、異議がないものとして知事に答申することとされた。

【質疑応答要旨】

【委員】
薬剤散布の少ない休耕田はシギ・チドリ類の渡りの中継地、サギ類の採餌場、バンやタマシギなどの繁殖地になっている。渡り鳥、主にシギ・チドリ類の中継地保護区という観点で休耕田を活用できないか。

【事務局】
県指定鳥獣保護区については、鳥獣の保護のため重要と認める区域を指定することができる。その中でも、御提案の保護区は国の基本指針では、資料1-2の3ページにある集団渡来地の保護区に該当する。現在、県内には7か所ある。集団渡来地の区域については、採餌、休息又はねぐらとするための後背地、水面等も可能な限り含めることとされている。
今回御提案の休耕田についても、シギ・チドリ類の生息環境を守るため、保護区の候補となり得る。ただし、鳥獣保護区の指定については、利害関係者の意見調整も必要なことから、具体的な指定候補場所があれば、相談のうえ、手続きを進めさせていただきたい。

【委員】
今までの鳥獣保護区は機能できていない面があると感じており、発想を変えてはどうかと思い提案した。渡り鳥が赤道からロシアに移動する間に、日本のあちこちに休耕田があり、実際利用しているようである。休耕田の維持、自然保護の観点から、それを保護区にしてはどうかという提案である。

【委員】
予察捕獲の実施について、「科学的な知見に基づく点検と科学的、計画的な実施に努める」とあるが、科学的な知見は誰が提供するのか。本県がその知見を得るための調査研究は、どこが行っているのか。35ページから37ページにある林試や資料3-2、21ページ(4)にある組織か。鳥類調査の方はよく知っているが、獣の方は調査頻度も含めて知らないので。

【事務局】
科学的な知見の提供者は、事業計画検討会のメンバー、適正管理計画検討委員会のメンバーや、野生動物対策科学評価委員会の専門家の方々である。林業試験場、自然史博物館の職員にも、環境省登録のプランナーやコーディネーターがおり、知見の提供者となっている。バックデータとしては、狩猟報告、生息状況調査、国による調査などがある。
調査研究機関としては、計画の37ページに記載されている林業試験場が、野生動物の生態等の調査・研究をしている。

【委員】
科学的知見に基づき実施するのは大事であるので、適正に情報を集めて実施していただきたい。

【委員】
鉛暴露について、暴露するような弾丸・散弾を用いている実態の把握やそのような弾を使って未回収となる狩猟個体数は把握されているのか。
先ほどの質問も含め、双方とも「努める」と努力義務のようだが、実行性はあるのか。

【事務局】
2年に1回、調査にて確認している。非鉛製弾は値段が高いこともあり、大多数の狩猟者は非鉛製弾に切り替えられていないのが実情。また、未回収となる狩猟個体数は把握していない。環境省でも鉛暴露による影響について現在調査している段階であり、県としても国と協力して引き続き検討していきたい。必要に応じて、計画の31ページ記載の指定猟法禁止区域の指定も検討していきたい。
先ほどの予察捕獲の質問は、必要に応じて点検、捕獲の実施の調整を行うものであること、また、本計画は指針という位置づけでもあるので、「努める」としている。

【委員】
難しい問題だと思うが、未回収の個体があると野生鳥獣が食べて拡散するかもしれない。厳正に努力いただければと考えている。私も情報収集に努めたい。

【委員】
多岐に渡る事項の計画だが、改正のポイントを教えてほしい。

【事務局】
主な改正点は資料1-1に記載しているが、ポイントの1つは豚熱感染対策、2つ目は適正管理計画の作成に関する事項で、指標の策定、評価、評価結果のフィードバック等をすることを追記したことである。
なお、野生動物に県境は関係ないので、国の指針では都道府県をまたぐ広域捕獲に取り組んでいくこととしており、当県では今は事例が無いが、吾妻地域や渡良瀬遊水地で検討中である。

【委員】
広域での捕獲は大事だと思うので、よく検討していただきたい。

第2号議案:群馬県ツキノワグマ適正管理計画(第二種特定鳥獣適正管理計画・第三期計画)

事務局から、議案内容について説明した。
質疑応答の後、全委員から異議がなかったことから、異議がないものとして知事に答申することとされた。

【質疑応答要旨】

【委員】
科学的な管理の基礎となっているクマの推定生息数が年々増えているように見える。実際に増加しているのか、調査方法の変化なのか教えてほしい。

【事務局】
第二期計画と第三期計画では、生息数の推定に、階層ベイズ法を用いている。その計算要素には、捕獲頭数や目撃頭数、堅果類豊凶指数などがある。第三期計画では、第二期計画の時には活用していなかったセンサーカメラを県内の約30カ所に設置し、その撮影頻度も要素として取り入れている。このことで、より精度が高まり実態に近づいた推定生息数であると考えられる。なお精度が向上しただけでなく、第二期計画の推定時から約7割も増加した結果となったことから、クマの生息数自体が増加傾向にあると考えられる。

【委員】
錯誤捕獲について、発生状況等の情報収集を行っているようだが、現在はどのような形で行われているのか。

【事務局】
クマの捕獲については毎月、許可した頭数や捕獲した頭数の集計を行っており、その時に合わせて錯誤捕獲された頭数の情報収集を行っている。現状では、頭数は把握されているものの、発生した場所や状況等の詳細情報が不足しているため、それらの情報収集を強化して、錯誤捕獲の発生防止に努める方針である。

【委員】
図表は、年度表記よりも西暦表記の方が私には解りやすいが、資料2-3の16ページや18ページのように、その他も併記は可能か。今後で構わないので。

【事務局】
図表などの表記について、他の各種計画なども鑑みて、読みやすさや解りやすさを考慮したい。

【委員】
任意計画から法定計画になった背景を教えてほしい。

【事務局】
保護管理のための目安として、任意という位置づけの計画だったが、次第に農林業被害、特に林業被害が拡大し、クマが人里に出没する事態が増加した。それに伴って有害捕獲頭数も増加する状況になったため、科学的・計画的な保護管理を行う必要が生じ、鳥獣保護管理法に基づく法定計画として策定することになった。

【委員】
樹幹巻資材のテープ巻きと防止帯について、地域による違いか、効果が違うのか。

【事務局】
主な違いは、コストと作業性になる。テープ巻き・防止帯ともに、樹木の幹に人工物を巻き付けて、クマの警戒心を刺激して忌避効果を期待する対策であり、物理的な防御効果は低いものである。テープ巻きとは、5センチ幅ほどのプラスチックの紐を、包帯のようにグルグルと巻き付けるもので、木に巻く作業の手間がかかるが、材料が安価である。防止帯とは、幅が15センチから20センチ、長さが1.5メートルほどのプラスチックの帯を、ベルトのように巻き付けるもので、幹に巻いて、余って垂れ下がった帯が風で揺れることで、クマの警戒心を刺激する。木に巻く作業は簡単だが、1枚あたりの価格が約700円ほどかかる。以上の違いから、それぞれが選択されている。

第3号議案:群馬県ニホンザル適正管理計画(第二種特定鳥獣適正管理計画・第五期計画)

事務局から、議案内容について説明した。
質疑応答の後、全委員から異議がなかったことから、異議がないものとして知事に答申することとされた。

【質疑応答要旨】

【委員】
サルの推定生息数は2,407頭とある。同年のクマの推定生息数は2,022頭。野生動物の生息数の把握は難しいと思うが、サルとクマの生息数を比べると、両種の数が同じようで現実的ではない。サイズや食性から考えるとサルの方がもっと多いか、クマの方がより少ないと思うがどうか。

【事務局】
委員発言のとおり、野生動物の生息数の把握は難しいものがある。クマの生息数については、先ほど説明したとおり階層ベイズ法を用いて生息数を推定しているが、サルについては、昭和58年から隔年で実施している、市町村によるニホンザル生息調査の結果を集計したもので、人里に出没し、被害を加えるサルの群れを調査したものである。このため。地域住民の目に触れない、把握対象でない奥山のサルの群れはカウントされていないことを承知願いたい。

【委員】
対策のすみ分けについて、市町村に任せるもの、県が行うものがあると思うが、どのようになっているか知りたい。

【事務局】
市町村は、毎年度、ニホンザル加害レベル管理チェックシートを作成して、群れや被害の現状を把握するとともに、計画に基づき加害レベルに応じた個体群管理捕獲を実施する。県は、資料3-1の21ページに記載の関係機関が、第二種特定鳥獣適正管理検討委員会ニホンザル専門部会で、学識経験者を交えて連携するとともに、それぞれの立場で被害対策を支援している。なお、鳥獣センターでは、捕獲個体への発信器の装着や、サル群の行動圏、被害発生を把握するためのテレメトリー調査の支援なども行っている。

【委員】
頭数の変化について、気候変動も関わっていると思うが、どう受け止めているか。

【事務局】
頭数変化に対する気候変動の影響について、ニホンザル専門部会で議論したことがないと思われるので、次回の検討課題としたい。

自然環境保全審議会自然環境部会へ戻る