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吾妻地域森林計画書<計画の大綱>

更新日:2023年1月10日 印刷ページ表示

 本計画は、森林法(昭和26年法律第249号)第5条に基づき、全国森林計画に即して地域森林計画の対象とする森林について必要な事項の検討を行い、地域の状況、過去の実績等を勘案して樹立した地域森林計画です。この計画の計画期間は、令和5年4月1日から令和15年3月31日の10年間です。

1 森林計画区の概況

(1) 自然的背景

ア 地勢

 吾妻森林計画区は、群馬県の北西部に位置し、吾妻郡全域の4町2村からなり、総面積は127,855ヘクタールです。
 本計画区は、新潟県及び長野県境沿いに白砂山、白根山、四阿山、浅間山といった標高2,000メートルを越える山が連なり、赤沢山、子持山、榛名山等の山々を境として、利根上流、利根下流、西毛の県内の各森林計画区と接しています。
 河川は西から東へ利根川支流の吾妻川が流れており、計画区内の河川は吾妻川に合流していますが、北部の野反湖だけは魚野川となって長野県新潟県側に流下しています。

イ 地質及び土壌・植生

 地質は、火成岩、火山噴出物、軽石流堆積物が占めており、河川沿いの平坦地では洪積期の粘土等の堆積物が分布しています。
 土壌は、黒ボク土が主ですが中部や東部には褐色森林土があり、県境付近の標高の高いところではポドゾル化土壌になっています。
 植生については、標高約600メートル以下の地域はヤブツバキクラス域であり、コナラ、エゴノキ、クリ、ヤマザクラ、アカマツ等が分布し、標高600メートル前後から1,500メートル付近までは、ブナクラス域としてコナラ、ミズナラ、クマシデ、ヤマボウシ、アカマツ等が分布しています。それ以上の地域はカラマツ、コメツガ、シラビソ等からなるコケモモ、トウヒクラス域となり亜寒帯・亜高山帯の樹種が分布するほか一部はススキやササ草原になっています。また、人工造林地は、ブナクラス域まではスギとヒノキ、ブナクラス域から標高の高い地域についてはカラマツが植林されています。

(2) 社会経済的背景

ア 地域経済圏の概況

 本森林計画区の産業は観光関連産業と農業が主となっています。
 交通は、主に国道が町村を結び、隣接する渋川市から長野県へ通ずるとともに、地域高規格道路である上信自動車道が建設中(一部開通済み)であり、全線開通により首都圏や中部圏、関西圏との往来の利便性が向上することが期待されています。
 また、令和2年3月に完成した八ッ場ダムの建設に伴い、長野原町、東吾妻町では国道145号、JR吾妻線の付け替えなどによる地域内の交通体系の大幅な改善が進み、地域経済などへの影響が大きくなっています。

イ 産業

 本森林計画区内には、上信越高原国立公園をはじめとする四季の変化に富んだ優れた自然景観や、全国的に有名な草津、四万をはじめとした多くの温泉があり、県内でも屈指の観光資源を有しています。また、西部地域では冷涼な気候を活用した高原キャベツの栽培や酪農、東部地域ではこんにゃく栽培を中心とした複合的な農業経営が行われています。

ウ 人口の状況

 本森林計画区の人口は、52,501人(令和4年1月1日・住民基本台帳)で県全体の2.7%となっています。ほとんどの地域で人口の減少が進んでおり、人口密度は41.1人/平方キロメートルと県全体での305.5人/平方キロメートルに対して極めて低い値となっています。

エ 林業の概況

 本森林計画区の森林は、民有林44千ha、国有林57千haで国有林の占める割合が高くなっています。また、民有林の人工林面積は21千ha、民有林の人工林率は48.8%(県平均は48.1%)で、スギに次いでカラマツの占める割合が高くなっています。
 人工林の齢級構成では、8齢級以上が約86%(面積)を占め、保育の時期から木材資源を利用する時期に移行したと言えます。
 令和3年次の素材生産業者は12業者で、令和3年次の民有林からの素材生産量は29千平方メートルです。スギ、カラマツを中心に前橋市、藤岡市の原木市場や県外の製材工場等に出荷されています。
 特用林産物は、えのきたけ、しいたけ、まいたけ、なめこ等のきのこ類の生産をはじめ山菜類、木炭生産が行われています。

オ 森林組合の現況

 本森林計画区内では、吾妻森林組合が活動しています。
 吾妻森林組合は常勤役員2人、職員16人、作業班員26人、組合員数は2,893人、組合員所有森林面積は21,776ha(令和4年3月31日)で、林産・販売や間伐材の加工・販売、森林整備を事業としています。
 林産・販売事業は、皆伐を中心とし、施業地の団地化や作業道の開設、高性能林業機械を使用した効率的な施業による林産経費の削減に努め、組合員へ収益を還元しています。
 加工事業においては、林産事業により生産される小径木等を加工し、付加価値を高めて利用拡大を図っています。また、平成29年度に整備したチップ生産加工施設からバイオマス発電施設へ燃料用チップを供給しています。
 今後は、森林所有者に代わって行う森林管理や、施業集約化による効率的な素材生産、加工製品の販路拡大等に引き続き取り組む必要があります。

2 前計画の実行結果の概要及びその評価

 前計画における前半5カ年分の実行結果の概要及びその評価は次のとおりです。

 伐採立木材積については、主伐と間伐の総数では計画580千平方メートルに対して実行377千平方メートルと65%の実行歩合となり、主伐と間伐の別に見ると、主伐は計画180千平方メートルに対して実行146千平方メートル(実行歩合81%)、間伐は計画400千平方メートルに対して実行231千平方メートル(実行歩合58%)となりました。また、間伐面積については、計画が5,000haに対して実行が1,827ha(実行歩合37%)でした。間伐の実行歩合に対して主伐の実行歩合が高いのは、森林組合による積極的な皆伐再造林の取り組みが影響したものと考えられます。

 人工造林の面積については、計画410haに対して実行193ha(実行歩合47%)、天然更新の面積については、計画210haに対して実行70ha(実行歩合33%)でした。伐採立木材積の実行歩合は65%でしたが、面積あたりの蓄積が多い高齢級の森林が多く伐採されたと推測され、伐採面積が少なく、更新の面積も少なかったものと考えられます。

 林道の開設及び拡張については、開設は計画10.0kmに対して4.6km(実行歩合46%)、拡張は計画64.4kmに対して10.7km(実行歩合17%)でした。近年の集中豪雨等による災害への対応や、森林所有者の不在村化等により用地取得交渉に時間を要する箇所があり、進捗が遅れたものと思われます。

 保安林の整備については、水源の涵(かん)養のための保安林は計画1,119haに対して実行119ha(実行歩合11%)、災害防備のための保安林は計画592haに対して実行383ha(実行歩合65%)、総数では実行歩合が29%にとどまりました。全県的に森林境界の不明瞭化や、森林所有者の不在村化等により、保安林指定の進捗が遅れています。

 治山事業については、山地治山は計画100箇所に対して実行59箇所(実行歩合59%)、保安林整備は計画7箇所に対して実行4箇所(実行歩合57%)となりました。森林所有者の不在村化等により用地取得交渉に時間を要する箇所があり、進捗が遅れたものと思われます。

 ※実行結果の詳細は(附)参考資料 4 前期計画の実行状況(過去5年間)を参照

3 計画樹立に当たっての基本的な考え方

 森林は、県土の保全、水源の涵(かん)養及び地球温暖化防止等の多面的機能の発揮を通じて、県民が安全で安心して暮らせる社会の実現や、木材等の林産物の供給源として地域の経済活動と深く結びついています。
 とりわけ、本県の森林は、戦後に積極的に造成された人工林を主体に蓄積が年々増加しており、多くの人工林が利用期を迎えています。これらの森林資源を有効に利用しながら森林の有する多面的機能の持続的な発揮を図るため、森林の現況、自然条件及び県民のニーズ等を踏まえつつ、施業方法を適切に選択し、計画的に森林の整備及び保全を進めながら、望ましい森林の姿を目指すことが重要です。
 その際、全ての森林は多種多様な生物の生育・生息の場として生物多様性の保全に寄与していることを踏まえ、一定の広がりにおいてその土地固有の自然条件に適した様々な生育段階や樹種から構成される森林がバランス良く配置されることが望まれます。
 この計画は、このような考え方に即し、森林の整備及び保全の目標、森林施業、林道の開設、森林の土地の保全、保安施設等に関する事項を明らかにするものです。

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