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子育て・障害者支援に関する提言 子育て・障害者支援に関する特別委員会(令和5年3月10日)

 子育て・障害者支援に関する特別委員会では、子育て・障害者支援について、横断的、集中的に審査を行うため、「ヤングケアラー、子育て支援、少子化対策、教育イノベーション、障害者の雇用・就労支援、農福連携、障害者の芸術文化活動」に焦点を当て、誰一人取り残さないという県政の方針に基づき、さまざまな観点から活発に議論を行ってきた。
 子育てや障害等の問題で苦労されている方の日常生活等における様々な不安を取り除き、地域で互いの人格や個性を尊重しながら支え合うことが、安心して暮らし続けられること、ひいては地域共生社会の構築につながる。
 また、家庭環境の多様化や就労環境の変化等により、虐待、子どもの貧困、ヤングケアラー等が社会問題となっているが、子どもたちが生まれ育った環境に左右されることなく安全・安心な環境の中で、希望を持って育つことができるよう支援が求められている。
 さらに自分の頭で考え、他人が目指さない領域で動き出し、生き抜く力を持つ人(始動人)の育成やニューノーマル、デジタル化など、これまでになかった新たな課題への対応も求められている。
 ついては、本県における子育て・障害者の支援施策に関する提言をまとめたので、県当局には、下記の事項に積極的に取り組まれるよう強く要望する。

第1 ヤングケアラーに関すること

1 早期発見について

(1)ヤングケアラーを発見しやすくするためSNS、地域包括支援センター、1人1台端末などの活用により、子どもが相談しやすい体制を充実させること。

(2)教員がヤングケアラーを発見し、迅速にスクールソーシャルワーカー(以下、「SSW」という。)に引き継ぐことができるよう、発見のための客観的指標を作成するなど教員を支援する仕組みを作ること。

(3)学校は子どもの家庭環境を把握するための対策を講ずること。また必要に応じて家庭訪問等を行い、ヤングケアラーの発見やニーズの把握に役立てること。

2 支援体制について

(1)ヤングケアラーの支援体制を充実させるため、SSWの増員や正規雇用を検討すること。また学校等で発見されたヤングケアラーを迅速に支援機関につなぐため、SSWの巡回頻度を増やすなどして、教員とSSWを密に連携させること。

(2)ヤングケアラーの支援に当たっては、各地域において民生委員・児童委員、子ども食堂、救急隊員、要保護児童対策地域協議会など、多種・多様な機関同士の密な連携を図ること。

第2 子育て支援、少子化対策に関すること

1 学校における施策について

(1)一人ひとりの児童生徒に合わせて問題を解決するため、スクールカウンセラーなど専門家と連携し、不登校等の児童生徒への支援を充実させること。また、教員やスクールカウンセラーの増員により学校における支援体制の強化に取り組むこと。

(2)子育てへの応援や少子化対策から、学校給食における食材費の公的支援を検討すること。

(3)県立高校のバリアフリー化について、障害の有無にかかわらず自身の能力と希望する将来像に沿った学校に進学できるよう施設を整備すること。また整備状況については、積極的に周知すること。

2 保育施設等における施策について

(1)私立保育園・認定こども園に在籍する子どもたちが円滑に小学校に入学できるよう、現場のニーズを酌み取って連携すること。

(2)国と連携し、保育人材をはじめ、福祉人材の円滑な確保に努めること。

(3)子どものバスへの置き去りを防止するため、保育施設等の確実な事故防止対策を推進するとともに、事故防止の優良事例について保育施設等へ周知すること。

(4)保育士による園児への虐待を防止し、また保育士を虐待の疑いから守るため、保育施設への防犯カメラの設置について国に支援を要望すること。

(5)保育施設における使用済おむつに関して、市町村から処分費補助の要望等があった場合は前向きに検討すること。

3 子どもの居場所・少子化対策・子どもの心のケアについて

(1)子どもの居場所に係る地域ネットワークづくりに当たっては、各市町村の社会福祉協議会等と連携すること。

(2)ぐーちょきパスポートのデジタル化については、アンケート機能等から得られる県民の意見を反映させ、利便性をより一層向上させること。

(3)ぐんま結婚応援パスポートについては、若者の認知度を向上させるため、民間企業等と連携すること。

(4)子どもの心のケアネットワーク事業については、子どもの自殺、虐待、家庭不安、逆境体験等にも対応できるよう、内容を充実させること。

4 医療的ケア児支援について

(1)医療的ケア児支援センターの設置に当たっては、相談、専門的な助言等の機能を充実させること。また、情報発信や利用者同士の交流機会の提供等を通じ、医療的ケア児の家族も支援すること。

(2)医療的ケア児支援に係る各分野・機関との連携を進め、まとめるための組織づくりに努めること。また、入園・就学時に市町村がワンストップで支援する体制づくりを早急に進めるとともに、現場での支援について市町村と連携して検討すること。

(3)保育所やこども園等に対し、医療的ケア児に係る支援制度等について、積極的に情報を提供すること。

(4)県内各地域の医療的ケア児が同様に支援を受けられるよう、支援調整を行う医療的ケア児等コーディネーターを地域の偏りなく養成・配置すること。また、養成したコーディネーターのフォローアップに取り組むこと。

(5)医療的ケア児に係る関係者の理解を促進するため支援者を養成するとともに、今後のコーディネーター養成につなげること。

(6)県内の医療的ケア児の実態・実数等の把握を行い、支援につなげること。

(7)医療的ケア児については、短期入所、レスパイト、学齢期後の支援などニーズが増加傾向にあるため、各課題に対する支援について整理・検討すること。

第3 教育イノベーションに関すること

(1)OECDの社会情動的スキルに関する調査への参加と並行して、教育や子育て施策に役立つデータの収集に努めること。また、調査結果の効果的な活用について検討すること。

(2)新・総合計画の教育イノベーションに関する指標については、学校の取組や子どもたちの課題解決の進捗状況が客観的に分かる指標の設定を検討すること。

(3)学校におけるICT活用を推進するため、学校現場を支援する人材を偏りなく配置すること。

第4 障害者の雇用・就労支援、農福連携に関すること

(1)農福連携や就労能力の向上を推進するため、障害者福祉サービスの就労継続支援事業における施設外就労加算廃止の見直しについて国に要望すること。

(2)障害者福祉サービスにおける利用者負担額補助制度が令和4年度で廃止されるが、市町村や障害者団体等の意見も参考に他の施策への振替等も検討すること。

(3)障害者施設等共同受注窓口について、民間企業等に積極的に活用してもらえるよう周知すること。

(4)障害者の就労継続支援事業所等からの物品や弁当等の購入、清掃等の役務などの優先調達や障害者の工賃向上について、民間企業等の協力を得るための取組を推進すること。

第5 障害者の芸術文化活動に関すること

(1)障害者の芸術文化活動支援におけるネットワークづくりに当たっては、文化関係、医学関係、教育関係など、多様な分野における連携を推進すること。

(2)県民に障害者の芸術文化活動について普及・啓発を行うとともに、障害者アート作品の有料貸出し事業や県立美術館における展示等について検討すること。

第6 意見交換会において関係者から出された主な意見

1 群馬県ヤングケアラー支援庁内外連絡会議構成員(外部委員)

(1)ヤングケアラーが県内の全ての地域で、専門家の支援を等しく受けられる環境とすること。

(2)各市町村の事例を積み重ね、共有に努めること。

2 群馬県障害者芸術文化活動支援モデル事業実施団体

(1)アートは障害者の心の表現であり、障害者の芸術文化活動の重要性について、支援機関の理解を促進すること。

(2)障害者の芸術文化をサポートする講師をリスト化したり、講師への謝礼を補助するなど、障害福祉サービス事業所等が行う芸術文化活動に対する支援を検討・推進すること。

以上、提言する。

 令和5年3月10日

群馬県議会子育て・障害者支援に関する特別委員会

 群馬県知事 山本 一太 様


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