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決算特別委員会環境農林分科会が県内調査を実施しました(平成27年10月9日)
1 調査目的
決算特別委員会環境農林分科会所管事項より、「平成26年度の群馬県一般会計歳入歳出決算、同特別会計歳入歳出決算の認定に関すること」について調査し、今後の本県施策の進展に役立てます。
2 調査期間
平成27年10月9日(金曜日)
3 調査項目
(1)尾瀬国立公園(利根郡片品村)
尾瀬国立公園は、本州最大の湿原を持ち、高山植物の宝庫としても有名であり、現在、生育が確認されている高等植物だけでも900種類を超えます。植物の種類や希少種の多さだけでなく、動植物やそれらをとりまく地形的、気候的環境も含む生態系そのものが、学術的にも、自然の素晴らしさを伝えてくれる貴重な場所です。尾瀬の植物の多くは、5月中旬から10月中旬ごろまでの約5ヶ月間に凝縮された短い春・夏・秋の間に、芽を吹き、花を咲かせ、実をつけます。入山者の目を楽しませてくれる色とりどりの花々は、厳しくも豊かな尾瀬の自然が見せる横顔のひとつです。
このような湿原生態系としての価値が評価され、平成17年11月、複数の湿地を移動する渡り鳥などの生き物や、その生態系を国際的に守るために作られたラムサール条約湿地(正式名称:「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」)として登録されました。
また、平成19年8月には、オオシラビソ林や山地湿原など優れた自然環境を有する会津駒ヶ岳と田代山・帝釈山の周辺地域を新たな国立公園区域として編入し、新たな一つの国立公園、「尾瀬国立公園」として指定されました。新たな国立公園の誕生は、昭和62年7月に釧路湿原国立公園が指定されて以来、20年ぶりのことでした。この「尾瀬国立公園」誕生を契機に、尾瀬を子どもたちの環境学習の場として考え、尾瀬の優れた景観と貴重な生態系に触れながら自然保護の学習に役立てるために、平成20年度、群馬県は、「尾瀬学校」を創設しました。実施している環境学習コースは、鳩待峠から尾瀬ヶ原に下り、山ノ鼻ビジターセンターや植物研究見本園などを巡って戻る往復4時間程度のコースや、竜宮まで足を伸ばす往復6時間程度のコースなどとなっています。
さらに、尾瀬は、国の「特別天然記念物」にも指定されていますが、その学術的価値の高さから、保存が厳しく義務づけられており、わずかな変化でも影響が尾瀬全体に及ぶことから、尾瀬の環境そのものを保護するため、現状を変更してはいけないこととなっています。その一方、近年、シカによる尾瀬ヶ原の湿原及び尾瀬沼を含めた尾瀬全体の植生の荒廃が進んでいることが強く懸念されています。このため、群馬県は、「群馬県尾瀬地域生物多様性協議会」を設立し、ニホンジカによる植生被害に対してくくりわな・銃などで対策を推進するとともに、ニホンジカより食害を受けた尾瀬ヶ原内の湿原に小規模の防塵柵を設置し植生の回復の観察も行っています。
そこで、尾瀬の保護・活用という環境対策の観点から、「尾瀬学校」及びニホンジカ対策等の現状取組について調査しました。
尾瀬国立公園に関する概要説明を受ける
湿原の現状を調査
湿原の現状を調査
4 出席委員等
主査:井田 泉、副主査:原 和隆
委員:橋爪洋介、委員:あべともよ、委員:中島 篤、委員:金井秀樹、委員:伊藤 清、委員:山崎俊之