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交通・次世代産業振興に関する提言 交通・次世代産業振興に関する特別委員会(令和6年3月13日)

 人口減少が本格化し高齢化が進展する中、地方における公共交通は益々衰退し、高齢者や学生などの「自動車を使えない県民」の移動手段がなくなり、いわゆる買い物難民や医療難民等という社会問題の拡大が懸念される。特に自動車保有率が全国でもトップクラスの本県においては、危機的な状況にあると憂慮されている。
 そのため本県では、過度な自動車依存から脱却し、「暮らしの足の確保」や「基幹公共交通軸の強化・快適化」「まちのまとまりの形成」を基本方針とした「誰もが自動車以外の移動手段も選択できる社会」の実現を求める施策が進められている。
 また、MaaSや自動運転等が進められている交通のみならず医療、映像をはじめ様々な分野において、デジタル技術を活用した新たな産業が萌芽しており、県行政においてもそれらを支援し、育成することで新たな富が生じ、県民の幸福度を増大すべく取り組まれている。
 本委員会ではこれらの取組が、人口が減少し、コロナ禍の打撃を受けて疲弊しつつある地域を発展させていく上で重要な課題の一つであると認識している。そのため、本県の交通及び次世代産業振興施策を進めていくにあたり以下のとおり提言する。

  1. 公共交通は、利用者を含め市町村や県も自分事として考える意識改革が必要である。交通弱者のみならず様々な視点から、公共交通の利用価値を広く県民に理解してもらえるよう、意識改革に資する啓発に取り組むこと。
  2. 県民の公共交通への意識を変えていくには、県民がイメージできるモデル地域を集中投下により実現することが効果的である。公共交通のリ・デザインを進める上で、中心市街地エリアなどで自動運転技術の導入を含めたモデルをつくること。
  3. 地域間、市町村間の公共交通の充実は県の役割である。デジタル技術面のみではなく公共交通の利用促進にも注力し、GunMaaSによる利便性向上を図るとともにハード面での広域交通整備も併せて進めること。
  4. 市町村乗合バスを充実させて便数を確保するため、市町村との意見交換などによりニーズを把握して県の補助の可能性を探り、市町村を支援すること。
  5. 県内3私鉄の維持存続に向けて法定協議会で支援のあり方を議論すること。
  6. 規模の大小に関わらず鉄道駅のバリアフリー化を進め、利用しやすくすること。
  7. 地方の中小私鉄の維持運営には多額の支援が必要であることから、国の補助制度の活用を含めた財源確保に努めること。
  8. 地方私鉄事業者の今後の職員確保は大きな課題となり得ることから、職員の待遇改善にかかる支援についても検討すること。
  9. 地方私鉄は移動手段のみならず乗車そのものにも価値があることから、観光等との連携の可能性についても検討を進めること。
  10. 公共交通の利用促進のため、バス待ち環境の整備やパークアンドライド用の駐車場整備等を進めること。
  11. ライドシェアの検討においては、地元のタクシー事業者との連携も視野に入れること。
  12. スマートフォン等のデジタルデバイスへの抵抗感を低減させるため、操作に対する支援等デジタルデバイドを縮小させる取組も検討すること。
  13. GunMaaSを使い易くし、また、県域に広く普及させるため、次の事項を検討し実現に向けて取り組むこと。
    ・GunMaaSに従来の価値観と違ったポジティブな影響を与えられるキーワードを据えた普及を行うこと。
    ・アプリの画面を見やすく入りやすくなるよう工夫すること。
    ・GunMaaSの情報は、近隣県とも共有を進めること。
    ・GunMaaSの登録時に居住市町村を入力させて利用者データを把握し、利用者の効果的な活用を図ること。
    ・健康分野との親和性が高いことから、健康情報と連携した取組を進めること。
    ・市町村と調整し、アプリ上でのバスロケーションシステムを拡大すること。
  14. GunMaaSにタクシー事業者が多く参加できるよう配車システムの導入拡大を図ること。
  15. GunMaaSはソフト面とハード面の両方が充実することで、効果が上がることが期待できることから、県の負担を覚悟して取り組むこと。
  16. 行政がGunMaaSを手掛けることは、民間事業者ではできない交通手段をつくることができるという強みがあり、全県に展開していく中で、その強みを最大限活用すること。
  17. サブスクチケットの導入においては、より安価で購入しやすいものに改善すること。
  18. 自治体に最も求められる役割でデジタル化が効果を発揮するのは災害対応であることから、そのための人材育成やデジタル化対応への備えを急務として取り組むこと。
  19. 半導体企業の誘致は経済波及効果が大きいことから、誘致体制を整え、民間とも協力して機会を逸することのないよう取り組むこと。
  20. デジタルイノベーションを加速化するため、支援の対象領域を農業、教育などの分野にも拡大すること。
  21. DX化が遅れている中小企業が多いことから、県の支援事業をよりPRして周知に努めること。
  22. 健康寿命延伸にあたっては、デジタル技術を最大限活用して取り組むこと。
  23. eスポーツは異なる世代の人達が触れあえる社会的役割も備えていることから、そうした観点からもeスポーツの育成に取り組むこと。
  24. インバウンドへの対応を効率的に進めるため、翻訳機能付きの携帯端末が普及するよう支援すること。
  25. 自動運転技術に対する期待は非常に高いことから関係者と十分連携し、県域の普及を含めた取組を進めること。

以上、提言する。

 令和6年3月13日

群馬県議会交通・次世代産業振興に関する特別委員会

 群馬県知事 山本 一太 様


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