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リトリート・温泉文化に関する提言 リトリート・温泉文化に関する特別委員会(令和6年3月13日)

 リトリートは、非日常の世界で疲れた心と身体を癒やし、本来の自分を取り戻す過ごし方であり、群馬県では、長期滞在型観光を通じて、その豊かな温泉、自然、歴史遺産、食など、それぞれの望む方法で明日への活力を得ることができる。
 群馬県においては、令和3年1月に新・群馬県総合計画(ビジョン)を制定し、20年後の目指すべきぐんまの姿が示され、この目指す姿の実現のため、近未来構想として示された3つの柱「リトリートの聖地」「クリエイティブの発信源」「レジリエンスの拠点」のうちの1つであり、新しい群馬県を切り開き、未来へ投資するための様々な取組を進めているところである。令和6年4月からの新しい群馬県観光振興計画においては、基本理念として「『GUNMA』を世界に誇るリトリートの聖地へ」を掲げ、「リトリートの聖地=群馬県」という認知を国内外に広げていくとともに、受入基盤の整備や観光コンテンツの充実により長期滞在や消費拡大を促して取り組んでいくこととしている。
 また、温泉文化については、温泉文化のユネスコ無形文化遺産登録に向けて、様々な取組を進めているところである。取組の発端は、平成30年に群馬県温泉協会をはじめとする県内民間団体による「登録推進協議会」の発足である。コロナ禍により一時的に停滞したが、令和4年に自民党県議団からの強い要望があり、知事自ら各方面へ積極的に働きかけを始めたことで状況が一変した。同年11月には国会議員による議員連盟や知事の会が、令和5年4月には民間主導の全国推進協議会や研究者による有識者検討会が設置され、政官民一体となった働きかけが行われた。このような動きが功を奏し、令和5年6月に閣議決定された国の成長戦略と骨太の方針には、温泉文化を構成する「温泉」や「旅館」などが「文化資源」として盛り込まれた。群馬県が全国を主導して関係機関と連携した取組を進めており、2026年の温泉文化のユネスコ無形文化遺産登録は困難になったが、2028年の登録を目指して引き続き取り組んでいく。
 本委員会においても、リトリートの推進や温泉文化のユネスコ無形文化遺産登録に向けての取組は、本県にとって、現在・未来を考える上で、重要な課題のひとつであると認識しており、これまでの方針や価値観を変えていくことが重要となってくる。
 ついては、本県におけるリトリート・温泉文化の推進に当たっては、次の事項に配慮されるよう強く要望する。

<リトリートの推進に関すること>

  1. 新たな価値、新たな観光をつくるという意味で、今まで観光の対象にならなかった資源を外からの大切な視点として取り入れていくよう努めること。また、リトリートは、ワーケーションと相性も良いので、連携を検討すること。
  2. リトリートと親和性がある「ペットツーリズム」について、他県での取組等も参考として積極的に取り組むこと。
  3. イベントツーリズムについて、イベントの参加者は、前泊や後泊などで長く滞在することも多いため、花火や祭り、スポーツ大会など様々なイベントの参加者を対象に、更にその地域を楽しんでもらう体験の提供を検討すること。
  4. 群馬県内の地域の魅力を、群馬県のリトリートを象徴するインパクトのある写真や動画を活用して情報発信するよう努めること。
  5. Webにアクセスしないと情報が届かないというのではなく、通勤や仕事の合間に目に飛び込むような広告や、ポスターなどのアナログな媒体も有効であると考えられるため、今後検討すること。
  6. 宿泊プランの利用者アンケートを実施する際に、ぐんまちゃんグッズが当たる等のインセンティブを付与するなど、ニーズの把握に努めること。

<県立赤城公園活性化整備に関すること>

  1. 県立赤城公園活性化事業について、来園者が増えると登山道が荒れ、自然環境が悪化する懸念もあるため、自然を保護するために必要なコストと財源確保の仕組みを考えること。
  2. 県立赤城公園活性化事業について、冬期には気温が下がり雪も深くなるため、トイレ状況の改善も含めて、通年で利用できる環境整備を行うよう検討すること。
  3. 県立赤城公園活性化事業について、今後、施設の管理運営に指定管理者制度の導入も想定されるが、その場合は、一定程度の自由があり、指定管理者のモチベーションがあがるような仕組みを検討すること。
  4. 赤城山景観ガイドライン策定について、地元住民の協力は不可欠であるので、地元には丁寧に対応しつつ、前橋市とも協力を進めること。
  5. 赤城公園のトイレの臭気対策について、今後の技術革新により改善できる可能性があるため、トイレ管理の手法について、継続的に検討すること。

<登山道・山岳観光に関すること>

  1. 登山道の維持補修について、登山者のストックによる穴が木道等の破損の要因となっているので、様々な視点で登山道の整備を検討すること。
  2. 尾瀬の木道整備について、クラウドファンディングによる寄附金を受けて実施する工事は、資金を集めた歩荷や、他の寄附者の意向も大切にすること。
  3. 登山道の管理に向け、解体撤去したはしご階段の木材を降ろす作業等へのボランティアの参加や、木道廃材の利用を検討すること。また、尾瀬木道は、付加価値が高く、ストーリー性を持っているため、廃材を利用したノベルティ製作を検討すること。
  4. 登山道・木道の維持管理の講習会の開催を検討すること。
  5. 登山道整備について、(嬬恋村)鳥居峠南側から荒船山までに至るルートには、温泉もあり、リトリートに寄与すると考えられるため、登山道の延伸を検討すること。
  6. ふるさと納税や入山料等は、納付する人のモチベーションにつながるよう、目に見えるように活用すること。
  7. 県管理登山道だけでなく、安全な登山ができるよう関係機関と連携すること。
  8. 利用者負担を視野に入れながら、登山道の整備を進めること。

<温泉文化の推進に関すること>

  1. 国の関係省庁をはじめ、様々な関係機関と連携し、2028年に温泉文化がユネスコ無形文化遺産に登録されるよう努めること。
  2. 全国の温泉地や国民を巻き込んだ機運の醸成を図るため、温泉文化の魅力や価値をしっかりと伝えること。
  3. 温泉文化のユネスコ無形文化遺産登録の国内候補選定に向け、文化財保護法上の文化財登録を目指し、専門家の意見を踏まえて、温泉文化の調査を実施すること。
  4. ユネスコへの無形文化遺産登録申請にあたっては、ユネスコ無形文化遺産保護条約の趣旨に鑑み、温泉文化として、何を価値として守りたいのかが伝わるよう整理すること。

<移住促進・ワーケーションに関すること>

  1. 県がワーケーションを推進していくためにも、実際に県職員自身が体感することが大事であり、経験しないと分からない部分があるので、県職員がワーケーションに取り組める制度を作るよう検討すること。
  2. ワーケーション推進プロジェクトについて、受入自治体から企業側に、ワークスペースや宿泊施設などの魅力的・具体的な提案ができることが重要であり、実際に企業が何を求めているのか、評価や課題をしっかり検証し、次につなげるよう取り組むこと。また、NETSUGENとも連携し、NETSUGENの利用者が増えるよう取り組むこと。
  3. リトリートの推進にもつながる観点から、移住者が感じた群馬県の魅力を分析するなど、移住理由の傾向や増加要因など情報収集に努めること。
  4. ワーケーション推進プロジェクトについて、中長期的な視野を持ち、将来的な目標設定を行うよう努めること。
  5. 群馬県の自然環境やインフラだけではなく、住民も含めて、その地域を丸ごと好きになってもらえることが重要であることから、地域の住民の声を聞いて実施するよう努めること。
  6. 日本はアメリカと比べてもテレワーク制度を取り入れている企業が少ないことから、移住希望者に対する就労支援の観点からも就職部門と連携した取組も進めること。
  7. 実質的なワーケーションの実施人数や、施設利用者の増加など、成果が見えるよう努めること。
  8. 「転職なき移住」については、移住後の県内就職にもつながる可能性があるので、新たなキャッチフレーズを打ち出すなど、若い人へのPRの強化を検討すること。

<県産農畜産物のブランド化に関すること>

  1. 産直ECサイトについて、有機農家の積極的な登録を促し、有機農産物をPRすることで、お取り寄せに興味がある方に訴求できるよう取り組むこと。
  2. 県産農畜産物のブランド化にあたり、県で育成した蚕品種の繭・生糸を使った製品について認定されている「ぐんまシルク」のブランド化に注力すること。
  3. 果樹振興について、紙ベースのマップをウェブ版果樹園マップにすることで、情報をレイヤリングできるなど大きなメリットがあるので、利用者目線でシステムを構築するよう検討すること。

<観光・リトリートと連携した農業振興に関すること>

  1. 農家の高齢化が進んでおり、離農する農家の方も一定数いるため、これから離農を考えている農家と新規で就農を考えている方をマッチングできる仕組みを検討すること。
  2. 観光・リトリートと連携した農業振興に関して、工場見学も可能であり、富岡製糸場にある機械と同等の機械が実際に稼働している貴重な施設である、安中市の碓氷製糸株式会社の活用を検討するとともに、養蚕業の維持継続の観点から蚕糸についても注力すること。
  3. 就農促進対策について、就農相談窓口に来る相談者には理解度に温度差があるため、理解度に合わせた対応をしていく仕組みを作るよう検討すること。

 以上、提言する。

 令和6年3月13日

群馬県議会リトリート・温泉文化に関する特別委員会

 群馬県知事 山本 一太  様


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