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令和3年第1回定例県議会 知事提案説明

更新日:2021年2月17日 印刷ページ表示

 令和3年第1回定例県議会の開会に当たり、提案説明に先立ち一言申し上げます。

 新型コロナウイルスの感染者が県内で初めて確認されてから、約1年が経過しました。この間、4千名以上の方々の感染が確認され、多くの尊い命が失われています。改めて哀悼の意を表するとともに、御遺族の方々に、心からお悔やみを申し上げます。そして、日夜、献身的に治療に当たられている医療従事者をはじめとするすべての関係者の皆様に深く敬意を表します。
 新型コロナウイルス感染症については、この1年間、県議会の御協力をいただきながら幾度となく補正予算を編成し、迅速かつ機動的に対応して参りました。県民の命と暮らしを守るため、検査・医療体制の整備や生活の不安への対応、中小企業の支援、教育環境の整備など、感染拡大防止と社会経済活動が両立できるよう、全力で取り組んで参りました。
 最近は、新規感染者数が減少傾向にあり、病床稼働率も改善してきましたが、クラスターの発生などもあり、感染者数は隣県に比べて高止まりしています。このため、県では、2月22日までを「勝負の2週間」として、不要不急の外出自粛要請や飲食店等の時短要請を行っております。この間に、高止まりが続いている感染を抑え込みたいと考えています。
 間もなく医療従事者の皆様に対するワクチン接種が始まりますが、すべての県民の皆様が受けていただくまでには、時間が掛かります。
 県民の皆様方に、新しい生活様式の実践に引き続き御協力をいただいていることについて、改めて感謝を申し上げます。引き続き、県としてできる限りの対応を講じて参りますので、今後も、感染拡大防止の取組に更なる御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 それでは、令和3年度当初予算案をはじめ、提出議案の大要について御説明申し上げますとともに、県政推進に当たっての所信の一端を申し述べます。

当初予算編成の基本方針

 新型コロナウイルス感染症の影響により、県税などの歳入減と、コロナ対応の歳出増が同時に見込まれ、財政状況はますます厳しさを増すと考えられます。
 思い切った事業見直しによって、生み出した財源やマンパワーを、県民の命と暮らしを守るため、新型コロナウイルス感染症との長期戦を戦い抜くための取組に振り向けました。さらに、昨年12月に策定した「新・群馬県総合計画(ビジョン)」で描いた未来の実現も進めて参ります。
 こうした思いを込めて編成した予算であることから、『新型コロナ封じ込め加速予算』、『新たな未来構築予算』といたしました。

当初予算の規模

 令和3年度の一般会計当初予算の総額は、7,650億7,700万円です。
 新型コロナウイルス感染症対策に454億円を計上したことなどにより、令和2年度当初予算に比べて200億円、2.7%の増となっております。

当初予算の財源

 当初予算の主な財源について説明いたします。令和3年度の県税収入は、新型コロナウイルス感染症の影響による企業業績の悪化や消費の落ち込みにより、法人関係税や地方消費税などの大幅な減額が予想されます。令和2年度当初予算に比べて120億円の減となる2,345億円と見込みました。
 地方交付税と臨時財政対策債を合わせた実質的な交付税については、地方財政対策における伸び率等から、令和2年度当初予算に比べ284億円増の1,973億円となる見込みです。
 社会保障関係費の増加に加えて、新型コロナウイルス感染症対策に多額の予算を必要とします。国の交付金やふるさと納税などの民間資金の活用により財源確保に努めたほか、財政調整基金を大きく取り崩して予算を編成したところです。

重点施策

 それでは、令和3年度予算の重点施策について、5本の柱に沿って申し上げます。
 一つ目は、「コロナとの長期戦を戦い抜く」です。
 県民の命と健康を守るため、感染拡大防止対策、医療提供体制の確保や検査体制の充実など、これまでの取組を着実に推進します。国、市町村及び関係機関と連携して、ワクチン接種を円滑に実施します。
 また、引き続き、新型コロナウイルス感染症対策資金により、中小企業の資金繰りを支援するとともに、感染症対策にしっかりと取り組む事業者の経済活動を支援します。

 二つ目は、「ニューノーマルの早期実現」です。
 人口減少が進む中、限られた人員や財源で新たな行政課題や多様化する行政ニーズに対応するため、部長級のデジタルトランスフォーメーション推進監を設置します。体制もあわせて強化して、行政と産業のデジタルトランスフォーメーションを推進します。教育関係では、デジタル教育推進室の新設や教育DX推進スタッフの配置などにより学校現場のサポート体制を整えます。ICTを活用した教育を市町村教育委員会と連携して推進します。
 また、引き続き、「災害レジリエンスNo.1」の実現に向けて、緊急的かつ重点的に防災・減災対策を進めて参ります。あわせて災害発生時に関係機関が結集し、対応するための危機管理センターオペレーションルームを県庁舎7階に整備します。
 医療関係では、若手医師の確保に取り組む「ドクターズカムホームプロジェクト」や医師の働き方改革を推進します。「Withコロナ時代」の医療提供体制構築を目指して、遠隔医療を推進します。

 三つ目は、「『100年続く自立した群馬』の実現」です。
 県庁舎32階に整備した、官民共創スペース「NETSUGEN(ネツゲン)」等を活用して、地域課題解決のための実証事業や、アートによる地域振興に取り組みます。
 新たな時代を切り拓(ひら)く「始動人」を育成するため、教育のあり方を改革・創造する「教育イノベーション」を推進します。また、少人数学級編制を小学1年から中学3年までの全学年で導入し、ICTを活用した新しい学びと感染症対策を実施します。
 「ぐんま5つのゼロ宣言」の実現に向けて、県産材を使用した省エネ・創エネ住宅である「ぐんまゼロ宣言住宅」の普及や水素エネルギーの調査研究などに取り組みます。

 四つ目は、「新たな富や価値の創出」です。
 「ぐんまちゃん」を世界中で認知される人気キャラクターに成長させるため、アニメ作品のテレビ放映を目指すとともに、全国プロモーションを展開します。
 また、林業の産業としての自立を目指して、治山・林道事業から林業・木材産業の振興に予算をシフトします。
 コロナ禍により抜本的な構造転換が求められる観光については、ニューツーリズムの創出支援やワーケーションの推進などにより、新たな観光スタイルを構築します。
 県産農畜産物は最大の可能性を秘めていると考えています。魅力をエビデンスベースで発信する「G-アナライズ&PR」に取り組みます。
また、プロスポーツの活用、eスポーツの推進やロケ誘致の強化などにより、本県に新たな富や価値を創出して参ります。

 最後は、「財政の健全性の確保」です。
 県民の安全・安心を確保するため、災害発生時等の緊急的な財政出動に備えるとともに、新たな富や価値を生み出す施策に取り組むためには、財政の健全性の確保は極めて重要です。
 そのため、厳しい財政状況の中でも、事業の見直しを進め、災害等への備えとして重要な財政調整基金の残高の確保に努めました。
 また、投資的経費を抑制し、臨時財政対策債や減収補てん債を除く県債について、発行額を76億円削減し、県債残高も62億円減少させるなど、財政の健全性にも配慮いたしました。

令和3年度関係その他の議案

 続いて、特別会計については、母子父子寡婦福祉資金貸付金会計など11件を、企業会計については、流域下水道事業会計など7件を提出しております。
 事件議案は、52件を提出しております。
 第15号議案は、多文化共生・共創社会の実現に向けて、県、市町村、県民及び事業者の責務を明らかにするとともに、施策の基本的事項を定めるものです。「多文化共創」を条例に規定するのは、全国初となります。
 第17号議案は、虐待から子どもの生命を守り、子どもの権利を擁護することに関し、基本理念等を定めようとするものです。児童虐待の通告があった場合には、24時間以内に子どもの安全確認を行うなど、児童虐待防止への取組を総合的に推進します。
 第19号議案は、県と市町村との連携強化を図るため、県内全域に振興局を設置しようとするものです。
 第53号議案は、本県が今後10年間に重点的に取り組む具体的な政策を体系化した新・群馬県総合計画(基本計画)を策定しようとするものです。

令和2年度関係議案

 続いて、令和2年度関係について、予算関係では13件を提出しております。
 このうち、一般会計補正予算案については、国の補正予算に伴い、新型コロナウイルス感染症対策事業や防災・減災に係る公共事業の増額など、所要の補正を行うものです。
 事件議案としては、八ッ場発電所を設置するとともに、上武ゴルフ場を廃止するための条例改正など、20件を提出しております。

おわりに

 以上、重点的な施策について申し上げました。
 新型コロナウイルス感染症対策、豚熱への対応や災害対策など、県民の安全・安心を確保することが県政の最重要課題であることは、言うまでもありません。県民の命と暮らしを守るため、引き続き、迅速かつ冷静に対応して参ります。
 一方で、本県に新たな富や価値を生み出す取組にも力を尽くして参ります。
 令和3年は、20年後の本県の目指す姿を描いた「新・群馬県総合計画(ビジョン)」の最初の年となります。ビジョンを県政の羅針盤として、年齢や性別、国籍、障害の有無等にかかわらず、すべての県民が、自ら思い描く人生を生き、幸福を実感できる自立分散型の社会を目指します。
 昨年、「tsulunos(ツルノス)」と「NETSUGEN(ネツゲン)」がオープンし、官民共創コミュニティの中核となる場所が県庁32階に整いました。これらを最大限に活用することで、イノベーションを創出していきます。
 コロナとの長期戦を戦い抜くとともに、本県に新たな富や価値を生み出していくため、私自身が先頭に立って、全力を尽くして参ります。引き続き、県議会をはじめ県民皆様方の御支援と御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 県議会の開会に当たり、県政推進に当たっての所信の一端を申し述べるとともに、議案の大要について御説明申し上げました。
 何とぞ、慎重御審議の上、御議決くださいますようお願い申し上げます。

 なお、第104号議案の監査委員の選任につきましては、事案の性質上、早急に御議決くださいますよう、お願い申し上げます。