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第2部第2章第3節 自然とのふれあいの推進

更新日:2013年10月25日 印刷ページ表示

第1項 ふれあいの「場」の確保

1 自然公園・森林公園

 自然とのふれあいに対する需要の高まりに伴い、自然公園に対する多様化した要求に応えるべく、公園利用と自然環境の保護・保全を考慮した施設の整備補修、維持管理を行っています。

(1)国立・国定公園

 4つの国立・国定公園(上信越高原・尾瀬・日光・妙義荒船佐久高原)における登山道や標識、避難小屋等の県有施設の管理・整備など自然環境保全と適正な利用に配慮しつつ、利用者の快適性向上に取り組んでいます。

(2)県立公園

 赤城・榛名・妙義公園では、公衆トイレの清掃や遊歩道の下草刈りなど地域住民が主体となった地域密着型の公園管理のほか、各種県有施設の管理・整備に取り組んでいます。
 県立公園は、いずれも地域の観光と深く結びついていることから、貴重な観光資源として保護に努めるとともに、その更なる利活用を図っていきます。

(3)森林公園

 県内には7か所の県立森林公園があり、森林浴や自然観察など、それぞれの公園で森林が持っている優れた自然環境を楽しむことができます。
 この森林公園をフィールドに、ボランティア団体等が開催する自然観察会や森林整備活動が催され、社会全体で森林を守る意識の醸成にもつながっています。
 このため、地域と連携しながら森林公園の整備及び施設の改修・修繕を行いました。
 また、引き続き良好な自然環境の保全に努めるとともに、多くの方に保健休養や学習の場を提供するため、各公園の魅力や特徴を生かした管理運営を行いました。

(4)自然歩道

 長距離自然歩道は、沿線の自然や歴史、文化にふれながら手軽に歩くことができる道で、群馬県内には35コースが設定されています。
 地元市町村の協力を得ながら管理に努めるとともに、利用者からの声を反映した標識整備に取り組んでいます。

2 ぐんま天文台の運営

 群馬県人口200万人達成を記念して、「県立ぐんま天文台」が高山村に建設されることとなり、平成11年4月から一般公開されました。建設に伴い、群馬県では美しい星空をまもり将来を担う子どもたちに伝えるために「ぐんま星空憲章」を制定しました。さらに、高山村では平成10年3月に「光環境条例」を制定し、観測しやすい星空の維持に村ぐるみで取り組んでいます。ぐんま天文台でも駐車場を600メートル離れた場所に設置するなど周辺の自然環境・光環境にに配慮しつつ施設の管理運営を行っています。
 天文台では恵まれた光環境の中、「大型望遠鏡による観望会」「流星群観察会」などのイベントを通して大自然と触れ合うことができます。また、県内の学校に対し天文分野の授業のサポートも行い、好評を得ています。直接体験の中から宇宙の不思議に触れ、物事の在り方を科学的に考える機会を持てる施設です。

(1)群馬県一斉日食観測ネットワーク

 「群馬県一斉日食観測ネットワーク」は、「金環日食の北限はどこだったのか」という共通テーマのもと、県内の児童・生徒や教職員との協働により、学校ごとに「金環になったかどうか」を様々な観測方法で判定し、その結果をぐんま天文台の特設ホームページに集約して調査・考察しようと各学校に呼びかけ実施した企画です。
 ぐんま天文台を中心に、県内の多くの学校が連携して、児童・生徒等に理科の体験学習の機会を提供する場となりました。さらには、一生に一度の天文現象を120校、約29,300人の県民が参加して同時に体験するという、感動を共有する場ともなりました。

(2)ふたご座流星群観察会・説明会

 平成15年度より毎年開催している取組です。平成24年は、12月14日午前8時にふたご座流星群の極大が予想されていたため、12月13日の夜に観察会を実施しました。平成23年までは観察会の終了時刻を翌朝5時としていましたが、平日であることや冬期で非常に寒いこと等を踏まえ、午前2時で終了することとしました。
 観察会当日は天候に恵まれた上、月明かりがなく暗い流星もよく見える日であったため、平日にもかかわらず昨年を大幅に上回る数の参加者があり、多くの流星を観察することができました。説明会には90名が参加、観察会には約800名が参加しました。また、観察会実施中に流星の写真撮影も行い、観察会開催中にぐんま天文台のWebサイトに速報を掲載しました。

3 ぐんま昆虫の森の運営

 桐生市新里町の面積約45ヘクタールの里山を利用して、雑木林や棚田、小川、畑など様々な環境が再現され、身近な昆虫の生態を観察することができるフィールドと、様々な昆虫に関する写真や標本、生体展示で学習でき、クラフト体験もできる昆虫観察館などからなる「ぐんま昆虫の森」の管理運営を行いました。
 この施設では、恵まれた自然環境の中で、子どもから大人までの幅広い県民が、昆虫をはじめとする様々な動植物と触れ合い、生命、自然、環境を体験的に学習することができます。
 自然と人間が調和した「自然と人にやさしい群馬」の創造に寄与するための施設です。

(1)ホタル観賞会、夜の雑木林の昆虫観察会実施

 平成17年の開園当初からホタルの生息環境を整備し、平成21年度から観賞会を開催しています。平成22年度には地元のボランティア協力により『ホタル沢』が整備されました。以来、継続的な整備を行いホタルの舞など魅力向上に一層努め、650人程の来園者が魅了されました。
 また、夜の雑木林の昆虫や夜鳴く虫の観察会を3回実施し、700人程の来園者が夜の樹液に集まるカブトムシやセミの羽化、ライトトラップやフルーツトラップに集まる昆虫たちに見入ったり、昆虫たちのいろいろな鳴き声に聞き入っていました。

(2)県民参加型事業

 昆虫の森では、多くの県民が整備や管理運営に参画できる県民参加型事業として、様々な取組を行っています。
 自然観察の解説やクラフト体験指導などを行う「ボランティア解説員」、茅葺きの赤城型民家の維持管理を行う「新里町老人クラブ」、また、昆虫の森運営上のパートナーとして「NPO法人新里昆虫研究会」などがあり、昆虫の森と一体となって活躍しています。
 このように、昆虫の森の整備、管理運営には多くの県民の方々がボランティアとして関わっています。

4 自然史博物館の運営

 自然史博物館は、豊富な展示物や映像、ジオラマ、タッチ式の情報端末等を用いて地球の生い立ちや生命の進化の歴史、本県の豊かな自然と現状を紹介している国内有数規模の参加体験型博物館です。また、県内の自然や古環境を学術調査し、その成果を研究論文やWeb、講座等を用いて公開しています。さらに、県民やマスコミ等からの問い合わせにお答えする機関でもあります。平成24年度の利用者数は241,022名でした。

(1)常設展

 「地球の時代」、「群馬の自然と環境」、「博物学者の部屋」、「自然界におけるヒト」、「かけがえのない地球」の5つのコーナーで計3,387点の標本を展示しています。
 「群馬の自然と環境」では、群馬の自然を標高別に4つの地域に分け、代表的な生態系をジオラマで紹介し、ジオラマやその周囲には多くの動植物及び地質・岩石等の標本を展示しています。平成24年度には、改訂された「群馬県レッドデータブック動物編」を基に絶滅種や絶滅危惧種、特定外来生物等のラベルを更新し、本県の生物多様性の現状をわかりやすく説明しました。また、高層湿地の貴重な自然が残されている尾瀬については、ジオラマや写真だけでなく、尾瀬シアターで映像を駆使してわかりやすく紹介しています。「かけがえのない地球」では、自然環境を見つめ、守り、子孫に伝えることの大切さが学べるよう環境学習に特化した展示を行っています。

(2)企画展等の実施

 平成24年度は、「オシャレな動物たち」「深海の生物海底二万里の世界」、「キノコとカビのミラクルワールド」、「サバンナの風 写真に見るアフリカの大地」、「サンゴ −共生の海・ささえあう生命−」を開催しました。
 「深海の生物」では、リュウグウノツカイやダイオウグゾクムシの液浸標本、全長18メートルのダイオウイカ実物大模型、潜水調査船しんかい6500の模型などを展示し、深海生物の生物多様性と歴史、暗所に暮らす生物に特徴的な生物発光、日本の深海調査の現状や歴史などについて展示を行いました。
 「キノコとカビ」では、動・植物の死骸や排泄物を分解し、土に還す分解者の役割を担っている菌類について乾燥標本や模型のほか、キノコハウスを設置し原木シイタケを展示するなどして、その生活様式や種類の多様性などを体感しながら学べる展示を提供しました。
 「サンゴ」では、当館収蔵の標本を中心に展示するとともに、珊瑚礁の生き物を生体展示し、動物界におけるサンゴの仲間の位置付けや分類、そしてサンゴ類の変遷と生物たちの絶妙な関係、危機に瀕している珊瑚礁について紹介しました。

(3)情報システム

 自然に関する情報発信センターとして、博物館に蓄積されている豊富な情報を館内の情報コーナーやWebを通じて提供しています。また、世界の博物館と情報を共有するネットワークに参加し、収蔵資料の情報を他の博物館や研究者に提供しています。

(4)調査研究

 本県の貴重な自然を調査し県民に紹介するため、県内をいくつかの地域に区分して、職員の専門分野を活かした調査・研究を実施しています。
 平成24年度は、上野村総合学術調査3か年計画の2年目にあたり、動植物や菌類等で幅広く調査を行いました。
 また、担当分野別調査研究18本、大学や専門機関等との連携による調査研究29本等、県内を中心に多方面で調査研究を進めています。調査研究の公開としては、「群馬県立自然史博物館研究報告17号」の発行、研究論文19本、学会発表11本等があります。

(5)教育普及事業

 野外へ出て豊かな自然を観察する「ファミリー自然観察会」や、地域の自然や科学をテーマとした「講演会」、県内の遠隔地で博物館資料を展示する「移動博物館」等、多くの事業を実施することで、県民の方々に自然に親しむ機会を提供するとともに、人と自然との関わりを理解し、自然を愛する心を育む場を提供しています。
 また、小中学生を対象にした「ミュージアムスクール」や、高校生を対象とした「高校生学芸員」等において、野外調査を基本とした活動を通して、自然に関心を持つ次世代の人材育成を行っています。平成24年度は、教育普及事業及び学校への支援の総計で、延べ58,984名の参加者を得ています。

第2項 ふれあいの「機会」の提供

1 森林環境教育の推進

 森林の持つ公益性や多面的機能に対する県民の関心、森林や環境を大切にする意識を高めるため、森林環境教育を推進しています。憩の森森林学習センターでは、子どもから大人まで幅広い年代を対象にしたイベントや講演会などを年間を通して開催しました。
 また、県立森林公園等をフィールドにした県民参加型の森林環境教育イベントの企画プログラムを募集し実施する「森の体験ふれあい事業」を行い、森林の特徴や機能について、幅広く学ぶ場を提供しました。

(1)流域連携

 水資源を安定的に確保するための水源林の保全、水源地域対策、水質保全などの課題は、流域全体で取り組んでいかなければ解決できません。
 本県は、日本一の流域面積を持つ利根川の上流県「水源県ぐんま」として、下流域の自治体や住民と協力・連携しながらこれらの課題に取り組んでいます。

(2)利根川水系上下流交流事業

 水源地域への理解を深め、水の大切さについて考えてもらうため、本県と東京都とで利根川水系上下流交流事業を行っています。その中のひとつ「夏休み水のふるさと体験会」では、都県の親子が水源地域へ訪問して、ダムや森林の役割を学びながら、上流(群馬県)と下流(東京都)との交流を促進しています。

3 グリーン・ツーリズム推進

 農村地域に滞在しながら、「自然、文化、人々との交流」を楽しむグリーン・ツーリズムを推進し、都市住民が農村生活体験を通じて自然とふれあい、同時に農村地域の活性化にも繋がるような機会づくりに取り組んでいます。

4 食農体験

 次代を担う子どもたちに、農業や食料の大切さを伝え、賢い消費者づくり、将来の担い手づくりにつながる「食農教育」に取り組んでいます。

(1)食農教育サポート事業

 農業・農村との関わりを重視した体験型の食育である食農教育を推進するため、食農教育フォーラムを開催し、子どもたちに「食」と、それを支える「農」の大切さを伝えています。

5 水生生物とその生息環境の理解促進

 川や湖沼などの水辺環境は単に水がある場所ではなく、たくさんの植物や動物など生き物が生息し育つ場であり、子ども達が水生生物と接する絶好の機会を与えてくれるとともに、生態系を理解する上でも貴重な学習フィールドといえます。
 しかしながら、子ども達が日常生活の中で川や湖沼へ行って自然に親しむ機会は極端に少なくなっており、水辺環境での遊びの中で自然発生的にできていた環境教育が衰退してしまうことが心配されています。
 そこで、県では漁業協同組合や市民団体などが行っている水生生物の観察会や希少魚等の保護活動、子ども釣り教室など子どもたちに水辺環境と接する機会を与え、水生生物とその生息環境の理解促進に役立つ活動を支援しています。

第3項 ふれあいを深めるための「人材」の育成

1 青少年の自然体験活動推進

 北毛青少年自然の家は、昭和43年4月に県下4番目の青年の家として設置され、青年の家と少年自然の家の機能を併せ持つ青少年健全育成施設として「北毛青年の家」の名称で運営されてきました。
 施設は、子持山・小野子山の鞍部に位置し、約15ヘクタールの広大な敷地と300名を収容する教育キャンプ場・体育館・総合グラウンド・野外施設等を有しています。豊かな緑と恵まれた自然環境の中で、野外活動や登山、オリエンテーリング、各種スポーツなどが体験できる最適の場です。
 妙義青少年自然の家は、昭和46年8月に「妙義少年自然の家」の名称で設置されました。妙義山の自然林の中に位置し、豊かな自然に囲まれ、四季をとおして野鳥をはじめ多くの動植物の姿が見られます。近くには、日本三奇勝の一つに数えられる石門群、妙義神社、さくらの里、富岡市立妙義ふるさと美術館や自然史博物館などがあります。
 東毛青少年自然の家は、昭和54年に「東毛少年自然の家」の名称で開所しました。大間々扇状地の中に連なる八王子丘陵のほぼ中央に位置し、アカマツ、コナラ、クヌギ林に囲まれた中にあります。
 八王子丘陵は、古生層を始め、金山流紋岩、藪塚凝灰岩などから構成されており、動植物の種類も多く自然観察に適しています。近くには、茶臼山ハイキングコース、スネークセンター、石切り場、北山・西山古墳、岩宿遺跡などの学習環境にも恵まれ、多くの団体が利用しています。
 3施設ともに、平成22年4月1日、「青少年自然の家」に名称を変更しました。

(1)自然体験事業

 各施設とも前述の資源を活かした自然体験事業を展開しています。例えば、野外炊事やテント泊等の体験活動や登山、動植物観察、星座観察等の自然体験活動が挙げられます。
 これらの活動を通して、子どもたちの感受性や自主性、社会性を育てています。また、親子で取り組む自然体験事業では、親子の協働作業・共通体験により親子の絆を深めたり、自然体験不足といわれている保護者世代への自然体験活動の普及・啓発を図っています。
 また、夏季休業中には県内の小中学生を対象に、1週間程度の長期キャンプを開催しています。これは、子どもたちの社会性や生きる力を育むため、異年齢集団を編成し、テント泊や野外炊事等の生活プログラム、動植物観察や冒険プログラム等を実施しているものです。

(2)ボランティア事業

 ボランティア事業は、「青少年ボランティア体験」と「青少年ボランティア講座」に分けられます。「青少年ボランティア体験」は青少年を対象に、自然の家でボランティア活動に取り組ませるものです。施設設備及び自然環境の整備や手入れ、施設利用者への指導補助、主催事業における指導や補助を通して青少年の社会性を涵養しています。
 「青少年ボランティア講座」では、自然体験活動をとおして、地域社会の一員として、温かで住みよい地域づくりや地域を支える人づくりに貢献しようとする青少年を育成しています。

(3)青少年自立支援事業

 青少年自立支援事業では、様々な要因により社会とうまく関われない青少年に、自然体験や生活体験等様々な体験活動の場を提供し、忍耐力や協調性、社会性を育むとともに心の居場所づくりを図っています。また、保護者への支援も併せて行っています。

2 自然保護に関する普及啓発

 自然保護に対する関心が高まるなか、正しい鳥獣保護思想の普及を図るため、次の事業等を実施しました。

(1)県民探鳥会

 「県民探鳥会」を渡良瀬遊水地で開催しました。75名の県民の皆様からの参加がありました。

(2)愛鳥モデル校の育成指導等

 野鳥に関する知識を深め、愛鳥思想を育む目的のもと、愛鳥モデル校に指定した6の小学校に巡回指導等を行いました。
 また、愛鳥週間ポスターの原画募集に164の小・中・高・養護学校から3,154点もの作品の応募がありました。

(3)傷病鳥獣の救護

 けがや病気により保護された野生鳥獣(傷病鳥獣)を傷病鳥獣救護施設(林業試験場内・野鳥病院)及び桐生が岡動物園(桐生市に委託)に収容し(表2-2-3-1)、野生復帰を行いました。

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