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第2回群馬県高校教育改革検討委員会及び第2回ワーキンググループ会議

更新日:2019年8月28日 印刷ページ表示

1 日時

平成31年2月4日(月曜日)10時00分~12時00分

2 会場

群馬県庁審議会室

3 出席者

群馬県高校教育改革検討委員会委員 16名(欠席5名)
同委員会ワーキンググループ委員(県立高等学校長)3名(欠席1名)

4 概要

  1. 挨拶 委員長
  2. 議事「小規模校の在り方について」

配付資料

次第、群馬県高校教育改革検討委員会委員名簿、群馬県高校教育改革検討委員会ワーキンググループ委員(県立高等学校長)名簿、群馬県高校教育改革検討委員会幹事名簿、群馬県高校教育改革検討委員会ワーキンググループ幹事名簿、第2回高校教育改革検討委員会資料

5 議事概要

「小規模校の在り方について」検討の視点1

(委員長)
 それでは、本日は、小規模校の在り方について、具体的な議論をお願いしたい。まず、事務局から、本日の協議の論点の説明をお願いしたい。

(事務局)
 (資料「小規模校の在り方 検討の視点1について」を説明)

(委員長)
 事務局から、小規模校の役割やこれまでの取組、専門の教員の配置が難しいことや部活動が十分できないなどの小規模校の課題について、説明があった。それでは、検討の視点1「学校の活力の維持及び全県的な教育水準の維持・向上のため、地域の事情に配慮しながら、1学年2学級規模校の再編整備を進める」ということに関し、御意見を頂きたい。
 なお、これについては、本委員会に先立って開催された高校の校長先生方からなる高校教育改革推進実務委員会において話し合われた結果、まとまった方向性の案だそうである。検討委員会としては、高校教育の専門家でない立場から見て、これが妥当なのか、違った視点から議論した方が良いかなどを助言するのが、使命であると思う。大枠の方針としてこれでよいか、御意見をお願いしたい。
 定員引下げの5校については、高校がなくなると相当遠くの高校まで通学しなければならない地区にあり、特例としているということである。基本的な考え方としては、小規模校はある程度統合しないと今後立ち行かなくなるということだが、その際、地域の事情も考慮しなければならないということである。
 これから先、少子化はますます進むので、それぞれの地域の人たちが高校の存続を願っても、10年、15年先にはどうやっても立ち行かなくなるかもしれない。それならば、今のうちから、高校がなくても町が活性化するよう、準備期間を長くするという考えもある。今、述べた視点以外からでも構わないので、違った視点から御意見があればお願いしたい。産業界からどうか。

(委員)
 高校の生徒が減っているのは、大分前から聞いている。1学級40人である榛名高校、松井田高校は、地理的に考えると、他地区への通学は自転車で山を越えなければならない。高校を再編する場合、交通手段が確保できるのかが大切で、スクールバスなど他校へ通う交通手段が確保できれば再編も可能だと思う。学級数が少ないと先生の数も少なく、授業に支障が出てくるので、学校は、ある程度の規模で運営しなければならないと思うが、統合の際には、生徒が他の高校へ通えるかどうか、地理的な観点から考えなければならないと思う。

(委員長)
 山間部の高校がなくなると他へ通えないという場合もあるが、スクールバスなど交通手段が確保できれば廃校も考えられるという意見である。一方で、地域の高校に対する熱い思いも考えなければならないということもある。高校の立場からどうか。

(WG委員)
 嬬恋、万場、尾瀬の連携型中高一貫教育校同士で情報交換をした際に、高校を残すために何が必要かという議論の中で、高校が存在する市町村の協力がないと、県だけの費用では難しいとの話になった。各町村が、自分の学校を維持するという観点で支援しないと、高校の存続は無理だと思う。
 嬬恋村では、小中学校のスクールバスを嬬恋高校の生徒も利用させてもらっているが、各地から生徒が集まるには、スクールバスなど足の確保は非常に大きな問題である。尾瀬高校はハートフルホーム・システムを活用して、うまく生徒を集めている。万場高校は厳しい状況であり、連携中学校の生徒数が非常に少ないので、足の確保だけでは解決しない問題がある。嬬恋中の生徒は80人から90人程度いるが、その生徒たちがみんな嬬恋高校に進学してくれれば、足の確保なしに高校を維持できるが、多くの生徒が、他地区の高校へ、場合によっては下宿をしてまで、出てしまっている状況で、スクールバスだけでは解決できない大きな問題がある。
 嬬恋高校に勤務していた時、先生方に福島県や山形県、長野県に視察に行ってもらい、他県の状況を調べたが、成功しているところは、町村で寮を提供し、自然豊かな環境を生かして、利根商のみなかみ留学のように、呼び込みをしていた。成功の前提としては寮を持って、全国から募集していることである。さらに、外部人材の活用として、町村に○○高校支援課のような担当課をつくったり、町村教育委員会も相当のバックアップをしていたりするなど、県立高校でありながら、町村の高校として、寮生には支援金を支給するなど支援している。ここまで町村の支援体制を受けられるかどうかという議論になってしまうが、町村の支援がないと高校の維持は厳しいということである。村の予算で民間の業者に委託して、高校の在り方をコーディネートしてもらっている高校もあると聞いている。

(委員長)
 本県の特例校5校では、事務局から説明のあったような取組を行っているが、希望者は定員の半分にも充たない状況であり、全体としては、視点1の方向性しかないと考える。地域の事情が具体的ではないが、今後検討する中で、考えていくことだと思う。

(委員)
 地域によって事情は違うと思うが、2学級規模の各校の入学者数は1倍を割っている状況である。地域の高校生の足の問題があるので、スクールバスなどの配慮は必要であるとも思うが、万場高校の状況を見ると、地域の高校生の数は少なく、他地区からかなりの生徒が入学しており、これらの生徒はどのように通っているのか疑問に思う。嬬恋高校や尾瀬高校では、地域の子供たちが全員入学すれば充足できるが、地域の高校を選ばずに他地区の高校に出て行ってしまっている状況がある。おそらく中学校を卒業する生徒の希望が多様化しているのだと思う。スクールバスを手配する考え方はあるが、過疎地の財源の少ない地区に何億円というお金を出資させて寮を建設するというのは、現実的には難しいのではないか。
 高校までの距離が30キロメートル以上もあるような、スクールバスでは対応できない生徒には、地域の町村と県で協力し合って、民間の借家などを借りて、費用の一部を援助するということも考えられる。15歳から一人暮らしや集団生活させるのは、親としては心配だが、進学校では全寮制のところもないわけではない。そういった施策を打ち出せば、高校の再編は可能であり、地域への支援にもなると考える。財源も既存の借家を使えば可能だと思う。

(事務局)
 現在、県で行っている取組について、補足説明させていただく。万場高校については、保護者がバスの協会をつくり、保護者の自己負担でスクールバスを走らせている。宿泊施設については、嬬恋村では、村費で宿舎をつくり、スポーツ・健康コースのスケート実技選択で実施している全国募集による入学者に対応している。尾瀬高校については、従前から地元自治体に協力してもらいながら、尾瀬ハートフルホーム・システムを実施しており、ホストファミリー宅に下宿することにより、県外、県内遠方からの生徒に対応している。これは、ほぼ県費で対応している。このように、県立高校でもいくつかの事例はある。

(委員長)
 一つ一つの高校は努力しているが、全体的に見ると、結果的には募集定員に充たなくなっているという状況だと思う。

(委員)
 私が考えたのは、逆の方法である。過疎地域においては、希望する高校が地域にないという状況で、既に外へ出ている人たちがいる。高校を集約、統廃合していかざるを得ない状況の中で、地域に残る生徒たちをどのように救済していくかということだと思う。北毛地区であれば、沼田に宿泊施設をつくったり、沼田に行くための交通手段を確保したりすれば、対応できると考える。
 遠方の高校に通学するために取り組んでいることは分かったが、逆の発想はないのか。例えば、長野原から、渋川、沼田、前橋に出て行くための支援なり、手段を確保すれば、その地域の子供たちが高校教育を受ける機会を保障することになると思う。高校を減らしていかなければならないのならば、地域と県で弱者に対する支援が必要ではないのかと思い、発言させていただいた。

(委員長)
 高校がなくなったときの交通手段の確保や支援について考えながら、全体的には再編せざるを得ないと思うが、いかがか。

(WG委員)
 高体連の立場から、状況をお知らせする。嬬恋高校はスケートの伝統校であるように、スケートやスキーは県のお家芸の一つである。これから2巡目の国体を控えている中で、競技人口が少なくなってきているが、高校の存在意義は大きく、高校がなくなってしまうと、冬季スポーツの拠点をどこに置くかが問題となる。2年前に全国大会を実施したところであるが、スケートやスキーは実施できる場所が限られるので、全国大会が何年かに1回は回ってくる。一部の競技のことだが、尾瀬、長野原、嬬恋のどこを残すかということについては、そのような観点があることをお知らせする。

(委員長)
 そのようなことも地域の事情に入ることだと思う。地域の事情として、統合するときに他校へ通えるかどうか、地域のバックアップがあるかどうかなどがある。このようなことを考慮しながら、全体的には、生徒減に併せて高校の数を減らすのが基本的な考え方であるということでよいか。

(委員)
 統合の方向性は避けられないと思うが、その際に、今まで小規模校が担ってきた役割をどうするのか、その視点が大事だと思う。逆に、統合しなければならない理由として、小規模校を維持していく場合の影響があるが、この小規模の役割と維持することの影響をどう調整するかだと思う。したがって、小規模校が担ってきた役割は地域にとっては大きなものだと思うので、あまり近視眼的に統合するのではなく、統合後にどう担保していくかに視点を置きながら、統合していく方向だと思う。
 地域にとって高校がなくなることは経済的に大きな影響があり、市町村立の小中学校の問題ともリンクした、セットで考えるべき課題である。この場は県立高校の統廃合がテーマとなっているが、地域全体について検討するための組織体はあるのか。

(事務局)
 現行の高校教育改革推進計画については、県内を、基本的に8地区に分け、再編対象地区の検討委員会には、地域の方にも入っていただき、総合的に検討する場を設けてきた。今後については、本委員会における御意見等を踏まえて検討していく。

(委員長)
 今の議論については、地域の事情に配慮するということに集約されるのではないかと思う。再編はしないという選択肢はあり得ないと思うので、視点1はこの方向で進めるということを、委員会として承認して、次の視点2、3に進みたい。

「小規模校の在り方について」検討の視点2及び3

(委員長)
 それでは、検討の視点2と3について、事務局から、説明をお願いする。

(事務局)
 (資料「小規模校の在り方 検討の視点2および3について」を説明)

(委員長)
 まず、募集停止基準についてであるが、これを設けて、基準に適合したら検討を始めるというのが、スタンダートな形だと思う。あらかじめ基準を設けて、こういう状態になるともう立ち行かないということを、高校や地域の方々と共有しておくということである。また、そうであっても、そこに高校がないと生徒の行くところがなくなってしまうというような地域の高校については、特例校として認めざるを得ないということである。
 整理すると、募集停止の基準をつくること、それについて、一律的に適用ではなく、特例を認めることの2点について、御意見を頂きたい。

(委員)
 やはり統合というのは難しい問題である。昨年、富岡東高校と富岡高校が統合したが、地域としては大変なことであった。地元の人たちのコンセンサスをしっかりとっていかないと、長引いて大変な騒ぎになる。このことを踏まえると、基準は必要だが、地域の個別の事情がまず優先されるべきだと思っている。
 私は青森県の例に関心があるが、地元との協議をある時期になったら開始するということについて、例えば、万場高校と下仁田高校に絞った場合の検討委員会が必要だと思う。一般論としての統合の基準は必要だが、地元の個別の事情を最優先にして、子供たちを中心に考えていくべきである。既に、万場の人たちは、万場富岡間のバスが出ているので、バスで下仁田や富岡に買物や病院に行っている。下仁田を通過してしまうという面もなくはないが、万場と下仁田を一つに考えるということもできると思う。
 下仁田の奧に、南牧という村があるが、今年の小学校の入学者が4人であり、1年生から6年生まで合わせても29人しかいない状況である。これから更に減っていくわけだが、下仁田も似ているところがある。地域の子供たちは、中学を卒業して6人に1人が下仁田高校に残り、5人は違う高校に行くという数字が出ている。具体的に万場と下仁田はどういう方法が良いか、地域のコンセンサスを求めながらやっていくとすれば、時間がかかると思うが、検討委員会を広げていく必要がある。
 今、私は県産業教育振興会の委員をやっていて、商業、工業、農業の職業教育の課題を検討している。万場高校や下仁田高校に、地元の産業界が求めているものはあるので、産業界の人たちに、もっとしっかり情報提供していく必要があると思う。富岡の産業界については、「大手企業もあって、ものづくりは盛んだが、人が少ない、だから企業誘致もしにくい。」ということがある。IHI、沖電気、ヨコオといった企業もあり、下仁田や万場高校にも求人がいっていると思うが、情報が少なくて外に出てしまう状況がある。富岡に実業高校があるが、その学校の子供たちは地域の産業界にとって有為な人材である。そのような子供たちを育てていく高校もあるわけで、企業は戦力として期待している。
 私は下仁田高校と万場高校は一つにせざるを得ないと思うが、やはり特色をしっかり出して、その高校の卒業生は、企業や大学進学を含め、社会で求められる人材なのだということを、表に出せるような機会や組織があることが、高校の存在感や子供たちのモチベーションのアップにつながると思う。統合はやむを得ないが、基準は少し柔軟に、地域のコンセンサスをしっかり取ることが重要であると感じている。

(委員長)
 学校の特色を出すこと、統合も仕方ないが、地域のコンセンサスが重要であるという意見である。確かに地元の熱い思いもあると思うので、地元の人たちが納得するということが大事である。学校がなくなることがプラスに転化することは難しいとしても、いきなり統合しますというのではなく、事情をよく説明するということだと思う。
 例えば、万場高校と下仁田高校に特化した委員会に、地元の人にも入ってもらい、課題を共有してもらえば、一緒に考えてくれると思うし、地元の人からこうしようという意見が出れば、それが活力になると思う。限界まで耐えて、どうしようもなくなってから短期間で統合するのではなく、何年も前から見通しをもって地元の人たちと委員会を結成し、十分な期間をとって検討することが必要なのだろうと思った。

(委員)
 統合や学級減はやむなしと思うが、地域はもちろん地域外からも、保護者が子供を通わせたいと思える特色をいかに打ち出していくかということが大事であり、生徒に通いたいと思ってもらうことも必要である。それが例えば、スケートかもしれないし、実業界とのつながりかもしれない。それぞれの高校の特色を打ち出し、学級減又は統合をしたときに、「こういうことであれば」という希望が地域に見えればよい。特色を出せないと、進路選択のときに、保護者や子供が、他のやりたいことのある行きたい学校を選んでしまうことになると思う。統合や学級減をする前に、どういう方向で特色化を図っていったらよいのか、特色を地域ごとに十分吟味し、検討し、話合いを重ねて、それがあってこそ希望が見えてくると考える。

(委員長)
 特色化を図って魅力的な高校にするということは、小規模校が統合に当たって検討するということ以前に、どんな高校も本来やるべきことだとは思うが、逆に言えば、ピンチはチャンスということもあるわけで、統合をきっかけに特色化を進めるということが可能かもしれないと思った。
 先ほどの話にもあったとおり、高校だけの問題ではなくて、産業界や小中学校にも関係するような問題である。南牧村の話もあったが、もう小学校が立ち行かないのではないのかという気もする。また、教育は社会全体と関係してくるので、政治にも関わってくる。例えば、外国人労働者が入ってくることになれば、人口増になるとともに、今度は日本語や日本文化を教える必要が出てくるといったように、いろいろなシナリオが考えられる。本当は、この場だけで政治から社会問題まで論じるわけにはいかないとも思うが、これらのことも踏まえ、様々な視点で、現実的な方法を考えていかなければならないと思う。そのためにも、フリーディスカッションのような形でこの問題を協議していただきたい。

(委員)
 山間部の子供たちであっても、自分が行きたい高校を選び、自宅から遠い学校であれば、下宿をしてでも通学をしている。地元で通える範囲に高校がなければならないという論は、成り立たなくなってきているのではないか。
 倉渕の山の奧に英語村ができて、日常生活を英会話で行うということだが、そこの全寮制の学校は、定員が充足し、入学希望があっても断っているような状態だそうである。夏休み、冬休みの特別授業も募集しているとのことで、本当に魅力ある特色を持てば、立地条件には関わらずに生徒を集められると、この倉渕英語村の例が意味していると思う。
 子供たちが大勢いた時期から比べると、今では少子化で、全国どこへ行っても学校が余っているという現状だと思うが、それを適正な数字に戻していく、戻していきながら特色を持った高校を増やしていくという、そんな方向性を考えていったら、また別の道が見えてくるのではないか。

(委員長)
 例えば、英語に特化した学校をつくることはできるのか、高校の科目等で、こうしなければならないという決まりはあるのか。

(事務局)
 基本的には、学習指導要領にのっとっているので、英語だけに特化するということは難しいと思う。

(委員長)
 高校卒業資格を得るにはそういう縛りはあるが、その中で、スケートなど、存在意義があれば、選ばれる学校になるだろうとも思う。その学校に行きたいと思わせるような特色づくりを、統合しなくてもすむように頑張っていただきたいという、小規模校に対するエールを、提言という形で送りたい。
 今までなかった募集停止の基準を設定するということについては、それでよいと思うが、他に意見はあるか。

(委員)
 今まで小規模校が担ってきた役割がなくなってしまうことは嫌だと思う。私はスクールカウンセラーとして学校に入っているので、不登校の生徒と出会うことが多い。担当しているのは東部地域だが、不登校等の生徒を1学年20人くらい集めている私立高校に人気がある。沖縄の寮に入って、そこで高校を卒業する生徒もいるなど、みんないろいろな思いがあって、高校での再スタートを望んでいる。東部地域だと万場や嬬恋についての情報が入ってこないが、不登校の子供たちがこじんまりとした中で、きめ細かに指導を受けられるという特色を打ち出せれば、そういう展開もあると考えていた。

(事務局)
 一点、補足とコメントをさせていただく。先ほどの英語の件に関し、学科の中に英語科という枠組みがあり、英語の単位数を増やすことは可能である。他にも、例えば、理数科という枠組みで、理科と数学の単位数を増やして特色化を図るということも可能である。また、現在、小規模校ではいろいろなコースを設定して特色を図っており、嬬恋高校のスポーツ・健康コースや万場高校の福祉コースなどがある。万場高校の福祉コースは、県内で最初に福祉教育を行った伝統のあるコースである。今話を伺った不登校に対する対応としては、小規模校は各校で手厚く生徒の面倒を見ているが、特に松井田高校については、都市部の方からも生徒を集めており、中学校時代に不登校であった生徒の多くが回復しているとして評価を得ている。

(委員長)
 小規模校の「一人一人に寄り添った教育」については、図らずもこうなってしまったのではないかという気がしており、少人数でマンツーマン的に指導できるのは、結局廃校になるほど小さくなってしまったことの良い側面であると思っている。本来なら理想論としては、どこの学校でもこのようにやるべきだが、たまたま小規模校という状況の中で生じたということであり、きめ細かい教育を求めて生徒が増えると、この良さがなくなるということがあるかもしれない。
 青春時代は心の病もあるが、一度ドロップアウトしてしまうと戻れないという社会はおかしいので、そういう生徒が伸び伸びと、高校でもやり直せるということが、特色となり得る一つの方法であると感じている。小学校、中学校も同じような状況があると思うがいかがか。

(委員)
 群馬県内の小学校の数は2、3年変わっていない。先日、出席した関東・甲信越ブロックの会議において、今後の学校数が示されたが、千葉、新潟では義務教育段階の学校の統廃合が進んでいる。群馬県の良さなのかどうか、それぞれの市町村は真剣に取り組んでいるのだろうが、急激な統廃合がなく、他県に比べると緩やかだという印象を持っている。群馬県は認知度も全国的に低いが、関東のこの場所にある群馬県の立地性を表していると思う。
 第1回の会議において、これからの子供の数が急激に減るグラフが示された時に、高校の統廃合がこれだけ大変な状況にあることが分かったが、この人口減に対して、知事部局も産業界も教育界と一緒になって考えていかないと地元のコンセンサスも得られないので、オール群馬でやっていくことが大事だと、皆さんの話を伺って感じた。青森、島根の例もあったが、他にも鹿児島の話を聞いたこともあり、そういうところの小学校長の認識は私たちとかけ離れていることにもショックを受けた。やはり群馬もこれをきっかけにいろいろなところと、一緒に考えなくてはいけないと思う。

(委員長)
 南牧村の小学校の入学者4人というのは大丈夫なのか。

(委員)
 前橋の敷島小ですら、来年15人だそうである。いろいろと支障はあるだろうが、4人の良さでやっていくと思う。

(委員)
 小学校は小さくても地域に根ざした教育が求められているが、中学校ではそういうわけにはいかなくて、切磋琢磨できる環境で多様な考え方に触れさせることが必要である。教科の専門性も高まるし、部活動もやりたいということで、保護者が住所を変えてまで行きたい学校に子供を行かせてしまう、ということが実際にある。
 前橋市では何年か前に小中学校の適正規模・適正配置の基本方針を作り、前橋市教委が統廃合の案を示した。反響はたくさんあったが、小学校中学校の何校かは統廃合をしてきた。最終的には子供たちのより良い教育環境を整備するために、行政が地域の理解を求めながら進めてきたということである。ある小学校では、なかなか地域の理解を得られずに時間がかかった結果、そのうちにだんだんと、保護者が統合先の学校の校区へ住所を変更してしまうということになり、片方の学校が自然消滅し、もう片方へ吸収されてしまいそうな状況になってしまった。統合することで良い学校をつくっていきましょうということなのに、これでは教育的にも良くないので、できれば早めに合意に持っていく必要があると思った。
 そういうことを踏まえると、高校の統廃合もやむなしと思うが、募集停止の基準を設け、募集停止になるからということで、そこから議論を始めると、統合は、だいぶ先になってしまう。今から、既に充足率がこれだけになってしまっているという数字を基にして、ある程度前もって、地域に根ざした高校として、どういう高校をつくっていけばよいのかを考え始めないと、これからどんどん生徒が少なくなって、子供たちの教育環境としても良くないだろうと感じた。
 それから、中学校の、関東や全国の会議で話題になるのは、通信制高校を選ぶ生徒の増加についてである。先ほどから不登校が話題になっているが、人との関わりが苦手ということで、通信制高校を保護者と生徒が選んでいる状況が生じていて、関東、特に首都圏では心配をしている。本来なら都立の学校にもっと応募があるはずなのに、通信制高校を選んでしまう状況があるということである。私たちも適正な進路指導をしていかなければならないと思うが、入りたくなるような学校、居場所のある、学びたくなるような環境づくりについて、もっと示していかなければならないだろうと思っている。
 統合もやむなしだが、できるだけ早めに検討をしていくことが必要である。もともと私たちが高校生のときにはこんなに多くの高校はなかった。前橋の中学校の統合の際に、学校を生徒増に併せて増やしたのだから、生徒減に併せて減らしますと行政は説明をしてきたが、高校の統合の際にも同様に、歴史的なことを遡って考えてもよいと思う。

(委員)
 参考意見だが、私の子供が、統合間近の中学校に入学するところであり、その地区での適正規模委員会が7、8年くらい前に持ち上がった。市の統合指針で、○○中学校と○○中学校を一緒にして新しい中学校にするということで委員会が始まった。地元の保護者もそうだが、育成会や自治会等とすり合わせの機会を何度も何度も重ねたが、結局、流会になった。統合の合同委員会では両方の中学校区の委員長が両委員長という形をとったが、地元意識が強く、○○中、○○中というそれぞれの校舎を絶対に使いたいということで、最終的には、流会として、相当な口論で散会した形となった。5年後、病院が建設予定ということで状況も変わるだろうから、そこまで待ちましょうということになった。その後、会議が再開して、2年後の平成33年度に開校が決定されて、今、制服の校章マークや制服の検討など、準備が進んでいる。
 統合という場合、中学と高校で同様かもしれないが、かなりの影響が地元にある。各高校とも、OBが地元におり、産業界でも活躍をしている方が多いと思う。地元での意見を聞くと、その地区でのシンボルとなっている高校なので、どうしてもいろいろな思いが出てくると思う。
 特例5校については、存続や統合、廃校といった在り方をそれぞれ基準を基に設定して、そこに誘導していくような設定がよいと思う。地元中学校や小学校、地元の関係者の意見だけだと、喧嘩別れになってしまうので、行政の指針を示し、落とし所を捉えた上で、説得していくのがよいと思う。今、お話ししたようなこともあるので、行政的なコントロールを経た上でやっていただきたいという意見である。

(委員長)
 一筋縄ではいかない、委員会をつくればいいというわけではない、喧嘩別れしてしまうこともあるということかと思うが、話し合う場はつくらなければならないと思う。当事者以外の人も委員に入れればよいという考え方もできる。
 中学校では難しいかもしれないが、高校だとその後大学に行ったり、地元企業で働いたりする人もいるので、例えば産業界の人に入っていただくなどすれば、もう少し違った形になると思う。同じ立場の二人がいて、どうにもいがみ合ってしまう所から、第三者が入ることで、少し変わってくると思う。ただし、地元の思いというのは大変強く、一筋縄ではいかないということを十分肝に銘じなければならない。
 視点2と3について、募集停止の基準を設定しつつ、特例的に学級減を実施するということについてはよいということだが、特例を認めて、1学年1学級とするときに、本校と分校のどちらが良いかについて御意見を伺いたい。それぞれのメリットとデメリットについて、現場の意見や状況をお聞きしたい。

(委員)
 本県には高校での分校はないが、分校には校長が配置されないので、何かの行事の時などには本校から校長が来るが、普段はいないということになる。また、定数として養護教諭を置けないということはかなり厳しく、保健室はあるが、常勤の養護教諭がいないということになり、嘱託の方を置くにしてもその予算が必要になる。また、校長がいないとなると、対外的に独立してなかなか行動ができなくなると思う。例えば、生徒募集の広報に行くにしても、本校にお願いして、こういう分校もあるので併せて生徒募集をお願いするというような形になってしまう。そういった意味では、本校・分校を単純に比較するのであれば、現実的には本校の方が良いということになると思う。
 いずれにしても、1学年40人1学級規模、3学年で3学級ということだと、職員は校長を入れても10名程度なので、それで本当に学校が運営できるかとなると無理だと思う。そうなると、例えば後5人くらい職員をつけるという予算措置をとるとか、他の学校から少しずつ減らして持ってくるというようなこともしなければならない。
 県下で特別支援学校が、当初分校として設置されたのが、最近、本校化していった経緯もおそらく、独立校として地域とやっていくには、分校では難しいということがあったのではないかと思う。そういった経緯も考えると、本校の方が良いと思う。

(委員長)
 現場の意見としては、分校ではなかなかやりにくいので、本校にした方が良いが、その代わり、先生の手当をする必要があるということかと思う。高校教育に携わっていない門外漢である我々は、何か言う知見を持ち合わせていないという感じがしており、高校の先生方が考えた意見が良いと思うが、いかがか。
 先生を、本来なら配置しなければならないところから減らすということを含めて、この委員会がどうしろということを言える性格ではないと思うので、できるだけ本校でいくという方向性でよいか。
 その次のテーマとして、そうしたときに教育環境をどう維持していけばよいかについてアイデアがあるかということだが、学校の魅力化を進めるなど、これまでにも関連した議論があったかと思う。時間も少なくなってきたが、何か御意見はあるか。

(委員)
 先ほど地域という話が出たが、地域をどこまで捉えるかというところで、地元を地域として捉えていくのか、市で捉えていくのか、地区で捉えていくのかということで変わってくると思う。地域の方々と連携して話合いをしていくときに、地域という部分で、この町でこの高校をどうしようかということで捉えるだけではなく、地域に住んでいる一人一人の子供たち、一人一人の人間がどう学びの機会を得られるかということを考えていかなくてはならないと思う。ただ単に、地元の高校に何かをやってもらうとか、教育の機会確保ということだけでなく、一人一人の子供たちの教育をどう考えていけるかということがすごく重要であると思う。
 福祉でも、地域といったときに、昔は本当に小さい地域であったが、少し広く捉えていかないと、いろいろな機会を逃してしまったり、サポートを受けられなくなったりしてきている気がする。もし、地域と高校の話合いをしていくときに、視点として、地元の高校をどうシンボルとして捉えていくかということだけではなく、ここにいる子供たちをどう育んでいくかということを含めて検討していくような投げ掛けをしていかないといけないと思う。先ほどもあったが、前橋に進学するのであれば、そのために何かをつくるということも必要だとか、そういったことも一緒に考えていくような地域住民の方との関係がこれからは重要なのではないかと感じた。

(委員長)
 今の御意見を聞いていて、それは生徒を中心とした視点ということだと理解したのだが、それでよいか。例えば、地元をどのくらいの範囲で捉えるのかということも、地元の高校に行かなければならない生徒がどういうふうに育っていくか、統合されたときにどう影響するか、夢を実現するための別のパスがきちんとあるのかどうかという視点ということか。

(委員)
 そうである。地元を学校だけで捉えるのではなく、また、学校をどうするかだけでなく、学校がある地域の子供たちをどう育てるかという方が広く捉えられるのではないかと思う。
 学校を統合するからということだけでなく、そこにいる子供たちが、もちろん中学生たちが高校に上がるときにどういうふうに地域から学習の機会を与えられるのかということを、その高校のことや生徒を集めるという視点だけではなく、考えていかなくてはならないと思った。

(委員長)
 今日の小規模校の方向性については、実務委員会において、高校の先生方が考えたものであり、我々は高校教育の専門ではないので、本委員会は、これに対し違った視点から欠けている部分がないかチェックし、意見を申し上げるものだと思う。小規模校の在り方ということについては、これでよいということにさせていただきたい。
 この委員会の実働の仕方について、皆さんお忙しい中を出席していただいているので、是非皆さんから御意見をお願いしたい。そのために、次回は、顔見知りになり始めていると思うので、フリーディスカッション形式で進めさせていただけたらと思っている。次回からの進め方についてそのような形でよいか。もちろん事務局から議題は来るので、その議題は大丈夫かということは進めていく。
 それぞれの論点に縛られると思ったことを言えない、そこに合わせて言わないといけないというのは非常に大変だと思うので、うまく進めさせていただければと思う。進行の仕方について、それではよくないというようなことがあればお聞かせいただきたい。

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