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第3 分野毎の施策の推進(1)

1 がん検診の受診率及び質の向上

○ 平成20年度以降、がん検診等については健康増進法に基づく事業(努力義務)として引き続き市町村が行い、生活習慣病に着目した健康診査(義務)については医療保険者が行うことになります。

○ がんは早期発見、早期治療により、治癒率も高くなります。しかし、本県のがん検診受診率は全国平均を上回っているものの、下表のとおり、受診率は低迷しています。

○ 勤労者の多くは、職場におけるがん検診受診者も多いことから、企業の協力も得て、県、市町村、医療保険者、検診実施機関等が連携して、がん検診の普及啓発に努めることが必要です。

○ 当面、以下の目標を掲げ受診率の向上等を目指すこととします。

 

群馬県における老人保健事業による基本健診、がん検診受診率
健診(検診)の種類 平成15年度 平成16年度 平成17年度 精検受診率
基本健診 64.6% 51.7% 50.0%  
胃がん検診 18.1% 16.2% 14.9% 91.7%
肺がん検診 31.9% 36.2% 36.0% 94.6%
大腸がん検診 19.8% 20.2% 20.1% 65.8%
子宮がん検診 20.5% 19.1% 24.8% 85.9%
乳がん検診 22.2% 21.0% 29.8% 91.1%

【個別目標】

 (1)効果的・効率的な受診間隔や重点的に受診勧奨すべき対象者を考慮しつつ、5年以内に、がん検診受診率を50%以上にするとともに、精検受診率については100%とします。

  (2)すべての市町村において、精度管理・事業評価が実施されるとともに、科学的根拠に基づくがん検診が実施されることを目標とします。

  (3)HPV(ヒト・パピローマウィルス(※注3)等ウィルスとの因果関係が明らかながん(子宮頚がん、口腔がん等)については、若年層を含め啓発活動を行っていくことを目標とします。 


※注3 HPV   子宮頚がんは、20歳代の若年層に急速に増えています。性感染症の一つであるHPVは子宮頚がんの99%に認められ、子宮頚がん発症の重要な一因子とみなされています。

2 放射線療法及び化学療法の推進並びにこれらを専門的に行う医師等の育成

  ○ 現在は、がんの種類によっては、放射線療法が手術と同様の治療効果を発揮できるようになるとともに、新たな抗がん剤が多く登場し、化学療法の知見が蓄積してきたことから、進行・再発といった様々ながんの病態に応じ、手術、放射線療法及び化学療法を効果的に組み合わせた集学的治療(※注4)が、各々を専門的に行う医師により実施されていくことが求められています。

  ○ このため、放射線療法及び化学療法を専門的に行う医師を養成するとともに、がん治療を支えることができるがん治療に関する基盤的な知識や技能を有した多職種の医療従事者(※注5)を養成していき、多職種の医療従事者が協力して治療に当たる体制を構築していく必要があります。

  ○ 群馬大学は、文部科学省の「がんプロフェッショナル養成プラン」(※注6)により、がん診療を担う専門の医師、看護師、薬剤師等の育成を進めています。

  ○ 本県においては、放射線療法及び化学療法を実施できる医療機関が極めて少数であることから、以下の目標を掲げます。

【個別目標】

 (1)がん診療を行っている医療機関が放射線療法及び化学療法を実施できるようにするため、まずはその先導役として、すべての拠点病院において、5年以内に、放射線療法及び外来化学療法を実施できる体制を整備します。

 (2)群馬大学医学部附属病院内において開始される重粒子線治療(※注7)の確立・普及に必要な人材を育成するとともに、がん治療にかかわる多職種の医療従事者へ最新医療情報を提供することを目標とします。


※注4 集学的治療  手術、放射線療法、化学療法などを組み合わせることによって、その患者に最もふさわしい治療を行う治療方法です。

※注5 多職種の医療従事者 医師、歯科医師、看護師、薬剤師、診療放射線技師、臨床検査技師、心理療法士等のがん治療に直接・間接的にかかわる医療従事者。

※注6 がんプロフェッショナル養成プラン 文部科学省が、大学から申請されたプログラムの中から、質の高いがん専門医等を養成し得る内容を有する優れたプログラムに対し財政支援を行い、今後のがん医療を担う医療人の養成推進を図ることを目的とし平成19年度から実施されました。

※注7 重粒子線治療   重粒子(炭素イオン)を加速して体外から照射することにより、体内のがんを治療します。従来の放射線治療に比べ、がん病巣だけに照射することが可能なため副作用が少なく、かつ、殺がん効果が高いため、今までは治せなかった放射性抵抗性がんを治すことが可能です。本県では、県と群馬大学が共同で施設整備を進めており、21年度に臨床試験の開始を予定しています。

3 治療の初期段階からの緩和ケアの実施

■ 緩和ケア

   がん患者とその家族が可能な限り質の高い療養生活を送れるようにするためには、緩和ケアが、治療の初期段階から行われるとともに、入院、外来、在宅を問わず、様々な場面において切れ目なく実施される必要があります。

   しかし、がん診療に携わる医師の緩和ケアの重要性に対する認識が不十分であることから、緩和ケアをより一層推進していくことが求められています。

   このため、がん診療に携わる医師の研修等により、がん患者の状況に応じ、身体的な苦痛だけでなく、精神心理的な苦痛に対する心のケア等を含めた全人的な緩和ケアの提供体制を整備するとともに、より質の高い緩和ケアを実施していくため、緩和ケアに関する専門的な知識や技能を有する多職種の医療従事者を育成していく必要があります。

■ 口腔機能の維持と向上

 放射線療法及び化学療法等により低下する口腔機能の維持向上のために、多職種の医療従事者が連携する必要があります。

■ 在宅医療

 がん患者の意向を踏まえ、住み慣れた家庭や地域での療養も選択できるよう、在宅医療の充実を図ることが求められており、がん患者の在宅での療養生活の質の維持向上を図るため、多職種の医療従事者が在宅医療と介護を適切に提供していく体制を整備していく必要があります。

○ 訪問看護

   在宅医療においては、訪問看護の果たすべき役割が大きいことから、訪問看護に従事する看護師の確保を推進するとともに、在宅で療養するがん患者の疼痛緩和及び看取りまでを含めた終末期ケアを24時間安定的に提供できる訪問看護に従事する看護師を活用した在宅療養モデルの紹介等により、訪問看護の24時間連絡体制の整備や事業所の充実等を一層推進します。また、訪問看護に従事する看護師の専門性を十分に発揮できるような体制を整備していきます。

 ○ 介護保険

   平成18年4月から介護保険制度において、40歳から64歳の方でがん末期により介護が必要となった場合には、介護保険によるサービスの利用が可能となり、新たに創設された療養通所介護(※注8)の利用も可能となっています。また、要介護・要支援認定の効力は申請日に遡ることとしており、申請日から認定日までの間も介護保険サービスの利用が可能であり、制度運用の周知徹底を図ることが必要です。

 【個別目標】

  (1)10年以内に、すべてのがん診療に携わる医師が研修等により、緩和ケアについての基本的な知識を習得することを目標にします。

  (2)原則としてすべての2次医療圏において、5年以内に、緩和ケアの知識及び技能を習得しているがん診療に携わる多職種の医療従事者を増加させます。

  (3)原則としてすべての2次医療圏において、5年以内に、緩和ケアに関する専門的な知識及び技能を有する緩和ケアチームを設置している拠点病院等がん診療を行っている医療機関を複数箇所整備します。

  (4)がん患者の意向を踏まえ、住み慣れた家庭や地域での療養を選択できる患者数の増加を目標とします。 


  ※注8 療養通所介護  難病やがん末期の要介護者などに対して、医療機関や訪問看護ステーション等と連携して提供する通所サービス。

 ○ がん医療における緩和ケアの概念図


 

がん医療における緩和ケアの概念図
〔 国立がんセンターがん対策情報センター作成 〕

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