第3 分野毎の施策の推進(3)
5 医療機関の整備等
地域連携クリティカルパス(※10)の活用等
がん診療を行っている医療機関には、地域連携クリティカルパスの活用等により、医療機関の連携体制を構築し、切れ目のない医療の提供を実現することが望まれます。その際には、診療に関する学識経験者の団体など関係団体等と協力していくことが望まれます。
セカンドオピニオン(※11)の普及
患者自らが適切な治療法等を選択できるようにするため、担当医に遠慮せず、他の専門性を有する医師や医療機関において、治療法の選択等に関してセカンドオピニオンを受けられる体制の整備が必要です。
拠点病院の体制整備
○ 拠点病院については、そのがん医療水準を向上させるため、専門分野の異なるがん診療を行う医師が定期的にカンファレンスを開催し、提供しているがん医療の評価を行う体制を整備していきます。
○ 拠点病院については、活動状況を適宜把握し、必要に応じて指導を行い、指導により改善できない場合や拠点病院としてより適切な医療機関がある場合は、拠点病院としての指定継続・新規推薦について検討を行います。
○ 拠点病院に地域連携クリティカルパスを整備し、緩和ケア病棟、緩和ケア外来、緩和ケアチーム、在宅療養支援診療所等が連携すること等により、地域ごとの連携強化を図っていきます。
○ 拠点病院は、地域のがん診療を行っている医療機関に対する診療支援や、地域のがん診療に携わる医療従事者に対する研修等を通じて、地域全体のがん医療水準の向上に努めていきます。
○ 医療機関の連携の下、適切な診断が行われるようにするために、遠隔病理診断支援等による医療機関の連携を推進していきます。
患者への適切な医療の提供
医師は、より専門的な診療が求められるがん患者が受診した場合には、必要に応じ、専門的な医療機関を紹介するなど、がん患者が適切ながん医療を受けられるように、日頃より注意を払うことが望まれます。
小児がん医療等の推進
成長と発達が著しい小児期にがんに罹患した方々が適切ながん医療を受けられる体制を強化します。
【個別目標】
(1)指定指針に基づき、拠点病院を保健医療計画との整合性を図り、3年以内に整備します。
(2)すべての拠点病院において、5年以内に、5大がん(肺がん、胃がん、肝がん、大腸がん、乳がん)に関する地域連携クリティカルパスを整備することを目標とします。
(3)すべての拠点病院において、適切なセカンドオピニオンが行われることを目標とします。
※10 地域連携クリティカルパス 地域内で各医療機関が共有する、各患者に対する治療開始から終了までの全体的な治療計画。急性期病院から回復期病院を経て自宅に帰り、かかりつけ医にかかるような診療計画であり、医療連携体制に基づく地域完結型医療を具体的に実現するものです。
※11 セカンドオピニオン 担当医以外の医師に、1.診断の確認、2.治療方針の確認、3.その他の治療方法の確認とその根拠を聞くことができます。これを「セカンドオピニオンを聞く」といいます。