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新しい生活様式でもがん検診を!(群馬県立がんセンター 鹿沼院長)

 新型コロナウイルス感染症が、生活様式をすっかり変えてしまいました。梅雨の間も炎暑となっても、誰もがマスクをしてすれ違う光景を、1年前の夏に、いったい誰が想像したでしょう。学生たちはオンラインで学習、会議はWebが当たり前、外出、旅行は控え、テレワークが推奨され、我慢の生活を続けています。コロナと戦う全ての方に感謝と敬意を表します。

 感染症で命を落とすこと、自らが感染源となること、家や職場でクラスターが発生し人が寄りつかなくなること、どれもが生活破壊に繋がるので恐れられます。給付金や助成金は有用ですが、限界があります。完全正解を知るものがいない現時点で最善と思われる道を進んで行くしかありません。一日も早く、重篤化を防ぐ薬や感染予防ワクチンが出て欲しいと祈るばかりです。

 しかし、人は恐怖を長く感じ続けられません。インフルエンザに指定も、毎年ワクチンを接種しなければ予防できないし、罹ってしまえば、薬を服用しても高熱期間が短縮されるに過ぎず、重篤化する人もいらっしゃいます。それでも私たちは、インフルエンザとは折り合いをつけて暮らしてきました。開発したらノーベル賞級と言われ続けてきた「風邪」の特効薬が、待ち望まれている訳ですが、重篤化さえ防げれば、社会貢献度は極めて高いでしょう。しかし、ふとそれ程までに恐れなければならない敵なのか、との疑念が浮かんでくることもあります。生活の質を落とし、鬱々とした気持ちで、ただ生き残るために、耐え忍んでいるばかりですと、人心は割れてきてしまいます。共同幻想論を持ち出すのは恐れ多いのですが、社会的包摂性が失われてしまっている現代社会にあって、ウイルスが文明に警鐘を鳴らしているのかもしれません。ウイルスは容易に変異します。コロナウイルスに対する免疫機構は複雑ですが、次々と新知見も得られています。感冒ウイルスへの認識は、個人幻想と共同幻想とに、長期化すればするほどゆらぎを生じさせます。波がない海はなく、凪ぐ日もあれば荒れる日もあります。歴史上「克服」できなかった感染症はありません。戦火より怖いものでもありません。終戦記念日に際し、あの頃はよかったと、後ろ向きになる気持ちは潰えました。

 新型感染症よりも理不尽な病気も事故も数多くあります。熱中症に注意しましょうと、連日のように報道されていました。健康管理や早期発見で命を落とすことが防げる病気もあります。健康的な生活を放棄する必要はありません。正しく恐れ、社会経済を維持し、命を守るために、有効性の示された検診は受け、偏り過ぎない生活をお心がけください。

群馬県立がんセンター 院長 鹿沼 達哉 先生
*出典:群馬県立がんセンターだより 第45号(令和2年10月発行)

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