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第2部第2章第2節【大気の環境保全、騒音・振動・悪臭の防止】

更新日:2011年10月5日 印刷ページ表示

環境基準達成率(平成22年度)

一般環境大気測定局 二酸化硫黄 100%(15/15局)
 二酸化窒素 100%(20/20局)
 浮遊粒子状物質 100%(22/22局)
 一酸化炭素 100%(1/1局)
 光化学オキシダント 0%(0/20局)

自動車排出ガス測定局 二酸化硫黄 100%(2/2局)
 二酸化窒素 100%(8/8局)
 浮遊粒子状物質 100%(7/7局)
 一酸化炭素 100%(7/7局)

騒音騒音 79%(108/136地点)
 自動車騒音 66%(29/44地点)
 道路交通騒音面的評価 94%(4路線の推定値)
 高速道路 95%(19/20地点)
 新幹線 33%(6/18地点)

1 大気環境の監視と保全

(1)大気汚染監視測定体制

 大気汚染の状況を正確に把握し、実態に即応した適切な防止対策を進めるため、県内各地に測定局を設置し、自動測定器による監視測定を行っています。

ア 一般環境大気
 県では11市4町に20測定局を設置し、二酸化硫黄、窒素酸化物、浮遊粒子状物質、オキシダントなどの測定を実施しています。
 その他、前橋市が2測定局、高崎市が3測定局で測定を実施しています。

イ 自動車排出ガス
 県では6市に6測定局を設置し、一酸化炭素、窒素酸化物、非メタン炭化水素、浮遊粒子状物質などの測定を実施しています。
 その他、環境省が1測定局、高崎市が1測定局で測定を実施しています。
 一般環境大気測定結果は表2-2-2-1、自動車排出ガス測定結果は表2-2-2-2のとおりです。

 測定局の適正配置や測定項目の再検討、固定局では調査できない大気汚染状況調査のために、平成14年度から大気汚染移動観測車による測定を行っています。

大気汚染監視測定の状況は、群馬県大気汚染常時監視システムホームページやテレホンサービスにてお知らせしています。

(2)一般環境大気測定結果

ア 硫黄酸化物
 硫黄酸化物は、石炭、石油などの硫黄分を含む燃料を燃やすことに伴って発生します。二酸化硫黄と三酸化硫黄とがありますが、大部分は二酸化硫黄として排出されます。濃度の測定は二酸化硫黄で行い、環境基準も二酸化硫黄で設定されています。
 平成22年度の測定結果によると、全測定局で環境基準を達成しており、年平均値の経年変化は、図2-2-2-1のとおりです。

イ 窒素酸化物
 窒素酸化物は、一酸化窒素と二酸化窒素の総称で、発生源は工場、事業場及び自動車などがあり、燃料の燃焼過程において空気中の窒素と酸素の反応により生ずるものと、燃料中の窒素が酸化されて生ずるものがあります。大部分は一酸化窒素の形で排出され、大気中で二酸化窒素に変化します。
 窒素酸化物は、それ自体が有害であるばかりでなく、光化学オキシダントや酸性雨の原因物質であることから、その対策が課題となっています。
a 二酸化窒素
 平成22年度の測定結果によると、全測定局で環境基準を達成しています。また、二酸化窒素の年平均値の経年変化は図2-2-2-2のとおりです。
b 一酸化窒素
 一酸化窒素については、環境基準は定められていません。平成22年度の測定結果は、年平均値0.001~0.006ppm(前年度年平均値0.001~0.015ppm)の範囲となっています。

ウ 浮遊粒子状物質
 浮遊粒子状物質は大気中に比較的長時間滞留し、私たちの健康に影響を与えるといわれています。
 平成22年度の測定結果によると、全測定局で環境基準を達成しています。浮遊粒子状物質の年平均値の経年変化は図2-2-2-3のとおりです。

エ 一酸化炭素
 一酸化炭素は有機物の不完全燃焼により発生し、大気汚染として問題になる部分としては、主に自動車の排出ガスによるものです。
 平成22年度の測定結果によると、前橋局における年平均値が0.2ppm(前年度年平均値0.2ppm)となり、環境基準を達成しています。

オ 光化学オキシダント
 光化学オキシダントは、物の燃焼によって発生する窒素酸化物と、自動車、石油化学工業、有機溶剤の使用過程などから排出される炭化水素とが、大気中で紫外線にあたって複雑な光化学反応により生成される酸化性物質の総称で、オゾンを主成分としています。こうした大気中で新たに生成する汚染物質を二次汚染物質といいます。
 平成22年度の測定結果によると、全測定局で環境基準を達成していません。また、夏季を中心にその濃度が著しく上昇(0.120ppm以上)し、光化学オキシダント(スモッグ)注意報が発令される場合もあります。光化学オキシダントの年平均値の経年変化は図2-2-2-4のとおりです。

カ 炭化水素
 炭化水素は炭素と水素だけからなる有機化合物の総称で光化学オキシダントの原因物質の一つであるため、その低減が必要となっています。
a 非メタン炭化水素
 平成22年度の測定結果は、各測定局における年平均値が0.23~0.27ppmC(前年度年平均値0.17~0.26ppmC)の範囲でした。
 非メタン炭化水素に係る光化学オキシダント生成防止のための指針には「午前6時から午前9時までの3時間平均値が0.20~0.31ppmCの範囲」と定められています。
 平成22年度の測定結果で、各測定局における3時間平均値が0.31ppmCを超えた日数は、35~105日でした。
b メタン
 平成22年度の測定結果は、各測定局における年平均値が1.92~1.97ppmCの範囲でした。

(3)自動車排出ガス測定結果

ア 硫黄酸化物
 平成22年度の測定結果によると、全測定局で環境基準を達成しています。また、各測定局における年平均値は0.001~0.002ppmの範囲となっています。

イ 窒素酸化物
 a 二酸化窒素
 平成22年度の測定結果によると、全測定局で環境基準を達成しています。また、各測定局における年平均値は0.005~0.023ppmの範囲となっています。
 b 一酸化窒素
 平成22年度の測定結果は、各測定局における年平均値が0.004~0.032ppmの範囲でした。

ウ 浮遊粒子状物質
 平成22年度の測定結果によると、全測定局で測定局で環境基準を達成しました。各測定局における年平均値は0.010~0.025ミリグラム/平方メートルの範囲となっています。

エ 一酸化炭素
 平成22年度の測定結果によると、全測定局で環境基準を達成しています。また、各測定局における年平均値は0.2~0.5ppmの範囲となっています。

オ 炭化水素
 a 非メタン炭化水素
 平成22年度の測定結果は、各測定局における年平均値が0.15~0.31ppmCの範囲でした。
 また、各測定局における3時間平均値が0.31ppmCを超えた日数は、12~154日でした。
 b メタン
 平成22年度の測定結果は、各測定局における年平均値が1.90~1.98ppmCの範囲でした。

カ 微小粒子状物質(参考)
 平成22年度に国設前橋局で測定した結果、年平均値は17.0マイクログラム/立法メートルでした。ただし、測定機器が等価性のないものであるため、参考値となります。

2 大気環境調査

(1)未測定地域における大気汚染の実態調査

 現在、大気汚染常時監視測定局を設置していない地域における汚染実態を調査するため、移動観測車を用いて測定を行いました。
 測定結果は表2-2-2-3のとおりです。どちらの地点においても主に自動車由来の二酸化窒素濃度は県内都市部よりも低い一方、光化学オキシダントについては隣接する市と同等かそれ以上の濃度であり、環境基準を超えていることがわかりました。

(2)高速自動車道沿道の自動車排出ガス測定結果

 高速自動車道沿道での自動車排出ガスによる大気汚染の状況調査を平成15~20年度(19年度を除く)に実施したところ、関越自動車道・上信越自動車道・北関東自動車道においてそれぞれ環境基準を達成していました。
 今年度は、上信越自動車道において休日割引の影響をみるため、移動観測車を用いて追加調査を行いました。
 測定結果は表2-2-2-4のとおりです。測定した全ての項目について環境基準は達成していましたが、二酸化窒素濃度は近隣の一般的な地点より濃度が高く、高速道路の影響が若干見られました。また、平日と休日の二酸化窒素濃度を比較したところ、平日の方が高く、休日割引の影響は見られませんでした。

(3)有害大気汚染物質対策

 有害大気汚染物質とは、継続的に摂取されると人の健康に影響を与えるおそれのある物質のことで、現在該当する可能性があるとされている物質は248物質あります。県では、その中で優先的に対策に取り組まなければならない22物質のうち19物質について調査しました。県内の5地点(伊勢崎市、沼田市、渋川市、安中市、大泉町)で調査し、その結果は表2-2-2-5のとおりです。ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタンの4物質は環境基準値が、アクリロニトリル、塩化ビニルモノマー、水銀及びその化合物、ニッケル及びその化合物、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,3−ブタジエン、ヒ素及びその化合物の8物質については、健康リスク低減のための指針値が設定されてまいす。
 これらすべての物質において、調査した5地点ともにそれらの値を下回っていました。

3 規制基準遵守状況調査

(1)法律・条例による規制

ア 大気汚染防止法による規制
 大気汚染防止法による規制対象施設には、32種類のばい煙発生施設(一定規模以上のボイラー、金属加熱炉など)と5種類の一般粉じん発生施設(堆積場、破砕機など)及び9種類の特定粉じん発生施設(石綿を排出するおそれのある解綿用機械、混合機など)があります。また、特定粉じん排出等作業(吹付け石綿を使用している建物等の解体、補修など)も規制の対象となっています。規制対象物質は、ばい煙として硫黄酸化物、ばいじん、有害物質(カドミウム、塩素、塩化水素、ふっ素、鉛、窒素酸化物など)があり、ほかに石綿、粉じんがあります。なお、それぞれの施設ごとに排出基準、管理基準などが定められています。
イ 群馬県の生活環境を保全する条例による規制
 条例による規制対象施設には、9種類のばい煙特定施設(電気分解槽など)と5種類の粉じん特定施設(こんにゃく製粉施設など)があります。

(2)ばい煙発生施設等の届出状況

 大気汚染防止法に基づくばい煙発生施設は、平成23年3月末現在、1,174事業所(政令市所管の事業所を除く)、3,340施設(政令市所管の施設を除く)です。(政令市とは、前橋市及び高崎市をいいます。)
 また、群馬県の生活環境を保全する条例によるばい煙特定施設については平成23年3月末現在、146事業所、709施設となっています。

(3)規制基準*2遵守状況調査

 大気汚染防止法、群馬県の生活環境を保全する条例の規定に定められているばい煙発生施設、ばい煙特定施設、一般粉じん発生施設、粉じん特定施設及び揮発性有機化合物排出施設を設置している工場・事業場並びに特定粉じん排出等作業場に対し立入検査を行い、指導をしました。
 平成22年度は、ばい煙発生施設等を設置する326事業所等に対して、排出ガス中のばい煙量、ばい煙濃度の測定、施設の維持管理及び自主分析の確認などについて、立入検査を実施し、指導をしました。
 また、ばい煙等濃度の測定を29事業所、29施設で行ったところ、1事業所、1施設が排出基準に不適合でした。排出基準不適合事業所に対しては、文書による改善指導を行いました。

4 大気汚染による健康被害の防止対策

(1)大気汚染緊急時対策

 大気汚染防止法では、大気の汚染が著しくなり人の健康又は生活環境に係る被害が生ずるおそれがある場合に、健康被害を防止するため、住民への周知、ばい煙排出者への排出量減少の協力要請等の措置を行うよう規定されています。
 このため、光化学オキシダント等の濃度が高くなった際に「群馬県大気汚染緊急時対策実施要綱」に基づき、注意報の発令などの対策を行っています。
 平成22年度の発令状況は、光化学オキシダントについて、表2-2-2-6のとおり、注意報を12回発令しました。
 なお、当県では平成14年度から「光化学スモッグ注意報」を「光化学オキシダント注意報」と表現しています。

(2)大気汚染事故対策

 従来、大気汚染事故(自然災害、事故災害によるものも含む)が発生した際は、群馬県地域防災計画に基づいて対応を行ってきましたが、小規模の大気汚染事故など規定対象外の事故についても迅速に対応を行うため「大気汚染事故対応要綱」を制定し、平成15年4月1日から施行しています。
 この要綱において、環境保全課、環境森林事務所、環境事務所及び衛生環境研究所の対応や県関係機関相互の連絡対応について必要な事項を定め、当該事故による環境への影響を最小限にとどめるよう、より一層連携して対応していきます。

5 県民参加事業

 大気の状態は、普段目で見て確かめることが難しいものです。全国星空継続観察(スターウォッチング・ネットワーク)は、肉眼や双眼鏡を使った身近な方法による星空観察を通して、大気の状態を一般の方々に見てもらうことが目的の一つです。この観察は環境省の主催により、全国の地方公共団体、学校、市民グループ等が協力し、毎年夏期と冬期の2回、全国一斉に実施しています。
 これまでの観察の結果、大都市ほど星が見えにくくなっていることが確認されています。星が見えにくくなるのは、地上から発した人工の光が、大気中のちり等の大気汚染物質に反射して、夜空が自然の状態より明るくなっているためです。しかし、近年では町村部でも星が見えにくくなっていて、光害や大気汚染が大都市周辺へも拡大していることが、示唆されます。必要以上の照明は光害だけでなく、エネルギーの浪費にもつながります。

6 酸性雨・酸性霧

(1)酸性雨

 平成3年度から降水のpHなどを把握するため、前橋市郊外で調査を実施しています。
 平成22年度の降水について通年観測したところ、pHは4.4~5.8、平均pHは4.8でした。pH年平均値の経年変化は図2-2-2-5のとおりで、最近10年ではやや上昇傾向にあります。

(2)赤城山での調査

 山岳部に発生する酸性霧について、その性状を長期的に把握するため、衛生環境研究所が赤城山で調査を実施しています。
 この調査結果は、表2-2-2-7のとおりで、霧水の平均pHは4.1でした。
 また、同地点で環境省が雨の調査を実施しています。この結果は、pH4.2~6.3で、平均pHは4.8でした。このように、同じ場所で採取してもほとんどの場合、雨と霧では霧の方がpHが低くなります。これは、霧の方がより大気汚染物質を取り込みやすいためです。

7 環境騒音

(1)環境騒音測定結果

 現在、騒音に係る環境基準は等価騒音レベルをもって評価しています。各市町村が平成22年度に行った環境騷音測定結果に基づく環境基準の達成状況は、表2-2-2-8に示すとおりです。
 時間帯別では、夜間の環境基準達成率が低くなっています。

(2)道路交通騒音面的評価

 県では、平成22年度に道路交通騒音の面的評価を、富岡市、館林市、邑楽町における4路線で行いました。
 この評価は、環境省から示されている「騒音に係る環境基準の評価マニュアル・地域評価編(道路に面する地域)」に基づき実施したものです。
 なお、達成率は、道路端から両側50mの範囲内にある住居等について推計した騒音レベルを基に、その範囲内の住居総戸数のうち環境基準を達成している戸数の割合を算出した結果です。

8 自動車騒音

(1)一般道路

 平成22年度は、県内主要道路沿線の44地点で、各市町村により自動車騷音の測定が行われました。
 環境基準の達成状況及び要請限度の超過状況は表2-2-2-10のとおりです。
 測定地点のうち29地点(66%)が昼間及び夜間の時間帯において、道路に面する地域の環境基準を達成しました。
 また、自動車騷音の要請限度(公安委員会に対する要請及び道路管理者に意見を述べる際に自動車騒音の大きさを判定する基準)では、要請限度を超えた地点はありませんでした。

(2)高速道路

 東北縦貫自動車道、関越自動車道新潟線、関越自動車道上越線(上信越自動車道)及び北関東自動車道における沿線地域の騒音の状況を把握するため、沿線市町村により自動車騒音測定を行いました。その結果は表2-2-2-11のとおりです。

9 新幹線鉄道騒音・振動

 上越新幹線(昭和57年11月15日開業)、北陸新幹線(平成9年10月1日開業)における沿線地域の騒音・振動の状況を把握するため、新幹線騒音・振動測定を行いましたが、結果は次のとおりです。

(1)上越新幹線

 騒音環境基準の達成状況については、表2-2-2-12に示すとおりでした。なお、表2-2-2-13は、平成22年度に実施した新幹線鉄道騒音・振動の調査結果です。
 それによると、線路に近い25m地点を中心に新幹線鉄道騒音に係る環境基準を超過した地点がありました。
 また、振動については、環境保全上緊急を要する新幹線鉄道振動対策に示されている勧告指針値(70デシベル)を各測定地点とも下回っていました。

(2)北陸新幹線

 音環境基準の達成状況については、表2-2-2-14に示すとおりでした。なお、表2-2-2-15は、平成22年度に実施した新幹線鉄道騒音・振動の調査結果です。
 それによると、線路に近い25m地点に新幹線鉄道騒音に係る環境基準を超過している地点がありました。また、振動については、環境保全上緊急を要する新幹線鉄道振動対策に示されている勧告指針値(70デシベル)を各測定地点とも下回っていました。

10 航空機による商業宣伝放送

 本県では、条例により航空機による商業宣伝放送の規制を行っています。
 平成22年度は、55回の商業宣伝放送が実施されました。宣伝内容は、自動車販売関係が全体の94%を占めており、1回あたりの平均実施時間は113分でした。

11 騒音対策

(1)県としての対策

 道路交通騒音の深刻な箇所のうち、沿道の住居立地状況を勘案し、今後緊急度の高い箇所から低騒音舗装等を実施し、道路交通騒音対策の推進を図ることとしました。

(2)高速自動車道沿線騒音対策要望

 各高速自動車道における環境基準の達成及びその維持については、県内の沿線市町村から遮音壁設置要望をまとめ、平成22年8月に東日本高速道路株式会社高崎・佐久管理事務所に要望を行いました。
 また、平成22年9月には関係県で構成する「東北・上越・北陸新幹線、高速自動車道公害対策10県協議会」を通じて東日本高速道路株式会社に要望を行いました。

(3)新幹線騒音対策要望

 上越・北陸新幹線における環境基準の達成及びその維持については、平成22年9月に関係都県で構成する「東北・上越・北陸新幹線、高速自動車道公害対策10県協議会」を通じて東日本旅客鉄道株式会社本社及び独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構に要望を行いました。
 また、測定の結果、環境基準未達成地域があることから、平成23年3月にJR東日本高崎支社に発生源から出る騒音の防止対策をより一層強化するよう強く要望しました。

(4)工場・事業場等の騒音対策

 工場・事業場から発生する騒音、建設作業に伴って発生する騒音、自動車の走行に伴って発生する騒音、飲食店営業等から深夜発生する騒音、航空機による商業宣伝放送に伴う騒音を規制しています。
 商業宣伝を除く騒音については、市町村長に事務委任されており、騒音規制法及び群馬県の生活環境を保全する条例に基づき、規制基準の遵守及び施設設置の届出が適正に行われるよう指導しています。
 市町村で実施した騒音特定工場等調査では、63の特定工場等を対象に調査が行われ、39の事業場で適合していました。

12 振動の現状と対策

(1)振動の現状

 振動は、工場、建設作業、交通機関等がその発生源ですが、これらの振動が問題となる事例では、ほとんどが騒音の苦情を伴っています。
 本県では、工場等から発生する振動及び建設作業から発生する振動について、振動規制法により昭和53年4月から県下全市町村(全域又は一部地域)を振動規制地域として指定・適用しました。
 さらに、群馬県の生活環境を保全する条例において、振動規制法の規制対象外である5施設(圧延機械、送風機、シェイクアウトマシン、オシレイティングコンベア、ダイカストマシン)及び1作業(空気圧縮機を使用する作業)を追加しています。

(2)振動対策

 工場・事業場から発生する振動、建設作業に伴って発生する振動、自動車の走行に伴って発生する振動については、市町村長に事務委任されており、振動規制法及び群馬県の生活環境を保全する条例に基づき、規制基準の遵守及び施設設置の届出が適正に行われるよう指導しています。
 市町村で実施した振動特定工場等調査では、37の特定工場等を対象に立入検査が行われ、36の事業場で適合していました。

13 悪臭

 悪臭防止法では、アンモニア等の特定の22物質を対象とした物質濃度規制と、複合臭や未規制物質にも対応できる臭気指数規制のいずれかにより、悪臭の排出等が規制されています。それぞれの規制値は、地域の実情を考慮して地域ごとに定められています。
 悪臭に関する苦情は、物質濃度規制では解決できない事例や、規制地域外での事例が多い状況です。
 そのため、本県では県内全市町村で臭気指数による規制を行うことを基本方針に、市町村と調整を行っています。
 平成23年4月1日現在、前橋市、高崎市、桐生市、伊勢崎市、太田市、沼田市、館林市、渋川市、藤岡市、富岡市、安中市、吉岡町、上野村、神流町、下仁田町、南牧村、甘楽町、草津町、高山村、片品村、川場村、昭和村、みなかみ町、玉村町、板倉町、明和町、千代田町、大泉町、邑楽町の11市12町6村が臭気指数規制地域として指定されています。
 現在は未指定の市町村についても、今後調整と行い、平成24年4月までに県内全市町村、全区域への臭気指数規制導入を目指しています。
 また、臭気指数規制を導入した際に必要となる実務知識の取得のため、市町村職員を対象に、平成16年度より「嗅覚測定法研修会」を開催するなど、実際に規制の運用にあたる市町村の支援に努めています。
 さらに、規制地域内の事業者に対しては、説明会の実施等によって制度の普及啓発に努めるとともに、今後も地域の実情を十分に考慮しながら、悪臭防止対策を推進していきます。

14 畜産環境

 「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」(以下:家畜排せつ物法)が完全施行され、家畜排せつ物の管理については、畜産農家は法律の基準を遵守することが義務づけられました。また、同法に基づく国の基本方針変更に伴い、20年5月に「群馬県家畜排せつ物利用促進計画」を見直し、27年を目標年度としてたい肥の利活用を積極的に進めることとしました。
 この中で、畜産農家は、家畜排せつ物の適正管理に加え、耕種農家との連携により、家畜ふんたい肥の農地への還元を基本とした有機質資源としての有効活用を図ることが求められています。
 これらに対処するため、畜舎等の周辺環境の保全とともに、畜産農家の経営の安定が図られるよう、平成22年度は次の事業を実施しました。

(1)地域と調和した畜産環境確立事業

ア 家畜ふんたい肥流通利用支援
 これまで家畜排せつ物法に対応するため、家畜排せつ物処理施設を整備し、畜産農家の周辺環境の保全を支援してきましたが、21年度(21~23年)からは地域における資源循環型農業の推進及び畜産経営の健全な発展を図ることを目的とし、たい肥流通のために必要な機械・施設の整備を行える事業を開始し、22年度は3地域で事業を実施しました。
イ 畜産環境リース整備促進
 畜産環境整備リース事業の特別緊急対策(1/2補助付きリース事業)により、(財)畜産環境整備機構から、特別対策機械を借り受けた団体が支払うべき当該年度の附加貸付料の一部を助成し、施設の整備促進を行いました。

(2)バイオマス利活用推進事業

 地域の環境保全を図るため、県及び地域機関による、畜産に起因する苦情の実態調査及び巡回指導等を実施しました。
 また、たい肥流通を促進するため、たい肥施用による実証展示ほを県内3地区に設置し、地域の特徴を活かした資源循環型農業の推進を図りました。
 さらに、指導者の資質向上を目的に環境汚染防止技術研修会への参加を促すとともに、畜産農家・耕種農家向けに良質たい肥の生産と流通・利用を促す目的で、「耕畜連携たい肥利用推進研修会」を農林水産省関東農政局と共催で開催しました。
 また、水質汚濁防止法・悪臭防止法対応を踏まえ、排水・臭気対策等の研修会(畜産環境研修会)や、尿汚水処理水の水質検査等を実施し、施設管理の指導を行いました。
 なお、畜産経営に起因する公害苦情発生状況は、表2-2-2-16に示すとおりでした。

(3)臭気対策事業

ア 家畜排せつ物臭気対策モデル事業
 本県で開発した脱臭装置(軽石脱臭装置・ファイバーボール脱臭装置)を県内11ヶ所にモデル設置(21年度)し、平成25年度まで実証データを収集し、その効果を検証するとともに、畜舎等の周辺環境の保全と、畜産経営の健全な発展を図る目的で、普及・推進を図っています。
イ 家畜排せつ物臭気対策事業(平成22~24年)
 県内の畜産経営に起因する苦情の6割以上が悪臭関連事案であり、畜産業の健全発展のためには悪臭防止対策が重要です。そこで、群馬県で開発した脱臭装置等の導入費等を補助し、畜産臭気の問題を抱えている地域の生活環境改善を目的に補助事業を平成22年度から開始しました。
 (22年の実績沼田市に脱臭装置を2基設置)

15 花粉症対策

 これまでは5人に1人が「花粉症」であると言われていましたが、平成22年3月に民間の気象情報会社が行った調査では、およそ3人に1人が発症しているという結果がでました。
 また発症者の割合を都道府県別に見ると、群馬県は何と全国第2位(38.04%)。過去5年間の総花粉飛散数が全国第3位であったことも影響しているようです。
 花粉症発症メカニズムについては十分に解明されていないため、原因の究明や予防及び治療といった医療面での対策が第一ですが、花粉の発生を抑える対策を総合的に進めることも欠かせません。

(1)花粉症対策品種の開発と普及

 群馬県では、独立行政法人森林総合研究所林木育種センターや他都県と連携して、花粉症対策苗木の生産を進めています。
 スギについては、平成3年度からスギの雄花の着花量調査を行い、平成12年度までに「花粉の少ないスギ」3品種を選抜しました。これに近県から選抜されたスギも含め、「花粉の少ないスギ」から種を採るための採種園を造成しました。
 平成17年度から種を採り始めて生産者に配布して育苗し、平成21年度からは県内に植えるスギ苗木はほぼすべてが花粉症対策スギになっています。
 一方、ヒノキについては、「花粉の少ないヒノキ」を林木育種センターから購入し、平成23年春に植栽、平成25年度から種を採る準備を始めています。
 また、スギ・ヒノキの花粉症対策苗木のほかにも、コナラなど広葉樹の苗木生産や植栽についても助成を行うなど、多様な森林づくりに努めています。

(2)伐採や樹種転換による発生源対策

 群馬県内の森林のおよそ25%がスギとヒノキの人工林です。
 群馬県で花粉飛散数が多いのは、山間部の中でも人家に近い場所にスギやヒノキなどの人工林が多いためではないかと推測されます。
 これら人工林の多くは植えてから50年くらい経過していますが、手入れが行き届かず放置され、葉が枯れあがったり、土が流れて根が浮いたりするなど、台風などの気象災害を受けやすいところもあります。
 そこで、花粉の発生源対策として、手入れの行き届かない人工林を中心に伐採をして花粉対策苗木や広葉樹に植え替えたり、間伐などの手入れを積極的に行うなど、森林全体を元気にリフレッシュさせる施策を展開しています。