本文へ
表示モードの切替
印刷

第2部第3章第3節 大気環境の保全、騒音、振動、悪臭の防止

環境基準達成率(平成24年度)

一般環境大気測定局

二酸化硫黄 100%(14/14局)
二酸化窒素 100%(14/14局)
浮遊粒子状物質 100%(17/17局)
一酸化炭素 100%(1/1局)
光化学オキシダント 0%(0/18局)
微小粒子状物質 0%(0/1局)

自動車排出ガス測定局

二酸化窒素 100%(8/8局)
浮遊粒子状物質 100%(7/7局)
一酸化炭素 100%(8/8局)

騒音

騒音 82%(121/148地点)
自動車騒音 73%(29/40地点)
道路交通騒音面的評価 95%
高速道路 92%(22/24地点)
新幹線 13%(2/15地点)

第1項 大気汚染の防止

1 大気汚染状況の常時監視

(1)大気汚染監視測定体制

 大気汚染の状況を正確に把握し、実態に即応した適切な防止対策を進めるため、県内各地に測定局を設置し、自動測定器による監視測定を行っています。

ア 一般環境大気

 県では10市3町1村に16測定局を設置し、二酸化硫黄、窒素酸化物、浮遊粒子状物質、オキシダントなどの測定を実施しています。
 その他、前橋市が2測定局、高崎市が4測定局で測定を実施しています。

イ 自動車排出ガス

 県では6市に6測定局を設置し、一酸化炭素、窒素酸化物、非メタン炭化水素、浮遊粒子状物質などの測定を実施しています。
 その他、環境省が1測定局、高崎市が1測定局で測定を実施しています。
 一般環境大気測定結果は表2−3−3−1、自動車排出ガス測定結果は表2−3−3−2のとおりです。
 測定局の適正配置や測定項目の再検討、固定局では調査できない大気汚染状況調査のために、平成14年度から大気汚染移動観測車による測定を行っています。

 大気汚染監視測定の状況は、群馬県大気汚染常時監視システムホームページやテレホンサービスにてお知らせしています。
 インターネット 群馬県大気汚染常時監視システム(外部リンク)
 電話 027−220−1017 (音声案内後、FAXで受信することも選択できます。)

(2)一般環境大気測定結果

ア 硫黄酸化物(注)

 硫黄酸化物は、石炭、石油などの硫黄分を含む燃料を燃やすことに伴って発生します。二酸化硫黄と三酸化硫黄とがありますが、大部分は二酸化硫黄として排出されます。濃度の測定は二酸化硫黄で行い、環境基準も二酸化硫黄で設定されています。
 平成24年度の測定結果によると、全測定局で環境基準を達成しており、年平均値の経年変化は図2−3−3−1のとおりです。

  • 注 硫黄酸化物:硫黄と酸素とが結合してできます。代表的なものとして二酸化硫黄(亜硫酸ガス)、三酸化硫黄(無水硫酸)などがあります。二酸化硫黄は刺激性の強いガスで、1から10ppm程度で呼吸機能に影響を及ぼします。主な発生源としては、自然界では火山ガス、一般環境ではボイラー等の重油の燃焼があります。一部は環境中で硫酸に変化し、酸性雨の原因にもなっています。
イ 窒素酸化物(注)

 窒素酸化物は、一酸化窒素と二酸化窒素の総称で、発生源は工場、事業場及び自動車などがあり、燃料の燃焼過程において空気中の窒素と酸素の反応により生ずるものと、燃料中の窒素が酸化されて生ずるものがあります。大部分は一酸化窒素の形で排出され、大気中で二酸化窒素に変化します。
 窒素酸化物は、それ自体が有害であるばかりでなく、光化学オキシダントや酸性雨の原因物質でもあります。

  • 注 窒素酸化物:窒素と酸素の反応によって生成する窒素酸化物は、一酸化窒素、二酸化窒素、三酸化二窒素及び五酸化二窒素などが知られています。このうち大気汚染の原因になるのは一酸化窒素、二酸化窒素です。
a 二酸化窒素(注)

 平成24年度の測定結果によると、全測定局で環境基準を達成しています。また、二酸化窒素の年平均値の経年変化は図2−3−3−2のとおりで、低下傾向にあります。

  • 注 二酸化窒素:赤褐色の期待で毒性が強く、気管支炎やぜんそく、肺水腫の原因となるなど、呼吸器に影響を及ぼします。
b 一酸化窒素(注)

 一酸化窒素については、環境基準は定められていません。平成24年度の測定結果は、年平均値0.001ppmから0.004ppm(前年度年平均値0.001から0.005ppm)の範囲となっています。

  • 注 一酸化窒素:無色の気体で液化しにくく空気よりやや重く、空気または酸素に触れると赤褐色の二酸化窒素に変わります。血液中のヘモグロビンと結合し酸素供給能力を妨げ、中枢神経をマヒさせ貧血症をおこすことがあります。
ウ 浮遊粒子状物質(注)

 浮遊粒子状物質は、大気中に浮遊する粒子状物質のうち粒径10マイクロメートル以下のものです。大気中に比較的長時間滞留し、私たちの健康に影響を与えるといわれています。
 平成24年度の測定結果によると、全測定局で環境基準を達成しています。浮遊粒子状物質の年平均値の経年変化は図2−3−3−3のとおりで、低下傾向にあります。

  • 注 浮遊粒子状物質:浮遊粉じんのうち粒径が10マイクロメートル以下の粒子をいいます。10マイクロメートル以下の粒子では気道、肺胞への付着率が高くなります。
エ 一酸化炭素(注)

 一酸化炭素は有機物の不完全燃焼により発生し、大気汚染の原因として問題となるのは、主に自動車の排出ガスです。
 平成24年度の測定結果によると、前橋局における年平均値が0.2ppm(前年度年平均値0.2ppm)となり、環境基準を達成しています。

  • 注 一酸化炭素:無味、無臭、無色、無刺激の空気より少し軽いガスで、有機物の不完全燃焼により発生します。大気汚染として問題となる大部分は、自動車の排出ガスによるものです。このガスを体内に吸入すると、血液(赤血球)中のヘモグロビンと結合し酸素供給能力を妨げ中枢神経をマヒさせ、貧血症をおこすことがあります。
オ 光化学オキシダント(注1)

 光化学オキシダントは、工場や自動車から直接排出されるものではなく、大気中に存在する様々な物質が化学反応して生成します。こうした大気中で新たに生成する汚染物質を二次汚染物質といいます。
 平成24年度の測定結果によると、全測定局で環境基準を達成していません。これは全国的にも同様であり、二次汚染物質による大気汚染対策が困難であることを顕著に示しています。夏季を中心にその濃度が著しく上昇し、光化学オキシダント注意報(注2)が発令される場合もあります。光化学オキシダントの年平均値の経年変化は図2−3−3−4のとおりで、ほぼ横ばいです。
 近年では大陸からの移流の影響も指摘されており、広域的な問題になっています。

  • 注1 光化学オキシダント:自動車や工場・事業所から大気中の排出された窒素酸化物や炭化水素等が、太陽光線に含まれる紫外線を受けて化学反応をおこして生成されるオゾン、アルデヒド、パーオキシアセチルナイトレート等、酸化力の強い物質の総称です。その95%がオゾンで、現在ではオゾン濃度を測定して光化学オキシダント濃度と見なしています。高濃度になると粘膜を刺激するため、目がチカチカしたり喉がいがらっぽく感じる等の健康被害が発生する恐れがあります。また、植物に対しても葉が枯れるなどの影響を及ぼすことがあります。大気中のオキシダント濃度は例年4月から9月の間に高濃度となることが多く、また、気象条件としては、日差しが強く、気温が高く、弱い風(群馬県の場合、南東風)が吹いているときに高濃度になりやすい傾向があります。
  • 注2 光化学オキシダント注意報:大気中のオキシダント濃度が高濃度(0.120ppm以上)となり、気象条件等を考慮してその状態が継続すると判断される際に発令します。注意報発令時には健康被害を防止するため、屋外での激しい運動を控えるよう教育施設や関係機関に伝達して注意を促します。また、汚染状況をなるべく早期に改善させるため、オキシダント発生の原因となる汚染物質を大量に排出している工場・事業者に対して排出量を抑制するよう要請します。
カ 炭化水素(注)

 想定される濃度域では直接的な健康影響は認められないため、環境基準は定められていません。しかしながら、光化学オキシダントの原因物質(メタンを除く)の一つであるため、その低減が必要となっています。

  • 注 炭化水素:炭素と水素だけからなる有機化合物の総称です。石油、石油ガスの主成分であり、溶剤、塗料、医薬品及びプラスチック製品などの原料としても使用されています。さらに自動車排出ガスにも含まれています。環境大気中のメタンを除いた炭化水素(非メタン炭化水素)は、窒素酸化物とともに光化学オキシダントの主原因物質のため、光化学オキシダント生成の防止のために濃度の指針が定められており、単位はppmCで示します。また、全炭化水素とは、大気中の炭化水素の測定に用いられている自動測定器で測定されるメタンと非メタン炭化水素の合計数値で表したものです。
a 非メタン炭化水素

 平成24年度の測定結果は、各測定局における年平均値が0.08ppmCから0.28ppmC(注)(前年度年平均値0.08ppmCから0.23ppmC)の範囲でした。
 非メタン炭化水素に係る光化学オキシダント生成防止のための指針には「午前6時から午前9時までの3時間平均値が0.20ppmCから0.31ppmCの範囲」と定められています。
 平成24年度の測定結果で、各測定局における3時間平均値が0.31ppmCを超えた日数は、0日から111日でした。

  • 注 ppmC:炭化水素の濃度をメタンの濃度に換算するため、炭素原子数を基準として表した100万分の1の単位です。
b メタン

 平成24年度の測定結果は、各測定局における年平均値が1.90ppmCから2.00ppmCの範囲でした。

キ 微小粒子状物質(注)

 平成21年度から新しく環境基準が設けられた項目です。県内では、平成22年度に環境省の事業として前橋局に測定装置が設置され、平成23年度から本格稼働しています。平成24年12月には、新たに沼田局と太田局に測定装置を設置し、平成24年度末現在では県内3か所で測定を行っています。平成24年度の前橋局の測定値は年平均値で15.6マイクログラム/立方メートルとなり、環境基準(年平均値15マイクログラム/立方メートル)を超過しました。
 環境省によると、平成23年度末現在で、全国に一般局は223局設置されており、環境基準達成率は27.6%にとどまっています。また、全国の平均値は15.4マイクログラム/立方メートルでした。
 基準が設定されてから日が浅いこともあり、微小粒子状物質については不明な点がまだ多くある状況です。県では環境基準達成に向けて、この問題に取り組んでいきます。

  • 注 微小粒子状物質:浮遊粒子状物質よりさらに細かく、粒径が2.5マイクロメートル以下の粒子です。粒子が細かいため、肺の奥深くまで入りやすく、肺ガンや呼吸器系への影響だけでなく、循環器系への影響も懸念されています。このため、類似項目の浮遊粒子状物質と比較して非常に厳しい環境基準値が設定されています。

(3)自動車排出ガス測定結果

 自動車排ガス測定局(自排局)は一般大気測定局(一般局)と比較して、自動車の影響を受けやすいと考えられる交通量の多い道路沿道に設置されています。
 自動車排ガスに含まれる下記の項目について、全体的に自排局は一般局より濃度が高くなっています。しかしながら、その程度はわずかであり、群馬県内で大気環境に及ぼす自動車の影響はそれほど大きくない状況です。

ア 窒素酸化物
 a 二酸化窒素

 平成24年度の測定結果によると、全測定局で環境基準を達成しています。また、各測定局における年平均値は0.011ppmから0.021ppmの範囲となっています。

 b 一酸化窒素

 平成24年度の測定結果は、各測定局における年平均値が0.004ppmから0.029ppmの範囲でした。

イ 浮遊粒子状物質

 平成24年度の測定結果によると、全測定局で環境基準を達成しています。各測定局における年平均値は0.017ミリグラム/立方メートルから0.024ミリグラム/立方メートルの範囲となっています。

ウ 一酸化炭素

 平成24年度の測定結果によると、全測定局で環境基準を達成しています。また、各測定局における年平均値は0.3ppmから0.7ppmの範囲となっています。

エ 炭化水素
 a 非メタン炭化水素

 平成24年度の測定結果は、各測定局における年平均値が0.11ppmCから0.29ppmCの範囲でした。
 また、各測定局における3時間平均値が0.31ppmCを超えた日数は、0日から172日でした。

 b メタン

 平成24年度の測定結果は、各測定局における年平均値が1.88ppmCから1.96ppmCの範囲でした。

オ 微小粒子状物質

 国設前橋局における年平均値は17.2マイクログラム/立方メートルで、環境基準を上回りました。ただし、測定機器の等価性(注)が無いため、「参考値」です。

  • 注 微小粒子状物質の自動測定については、開発されてからの日が浅いため、その数値の信頼性について十分な検証がなされていない状態です。このため、環境省ホームページには以下の記述があります(斜字部分)。
     平成21年9月9日に、「微小粒子状物質による大気の汚染に係る環境基準について」が告示されましたが、その測定法については、「微小粒子状物質による大気の汚染の状況を的確に把握することができると認められる場所において、濾過補修による質量濃度測定方法又はこの方法によって測定された質量濃度と等価な値が得られると認められる自動測定機による方法により測定した場合における測定値によるものとする。」とされています。このため環境省では、微小粒子状物質の自動測定機が、濾過補修による質量濃度測定方法(標準測定法)と等価性を有するか否かを評価するために並行試験を実施しています。
     国設前橋局に設置された自動測定機は導入が古く、この並行試験において、等価性あるとは認められませんでした。

2 大気汚染による健康被害の防止対策

(1)大気汚染緊急時対策

 大気汚染防止法では、大気の汚染が著しくなり人の健康又は生活環境に係る被害が生ずるおそれがある場合に、被害を防止するため、住民への周知、ばい煙排出者への排出量減少の協力要請等の措置を行うよう決められています。
 このため、光化学オキシダント等の濃度が高くなった際に「群馬県大気汚染緊急時対策実施要綱」に基づき、注意報の発令などの措置を行っています。
 平成24年度は、光化学オキシダントについて、表2−3−3−3のとおり、注意報を4回発令しました。
 光化学オキシダント注意報の発令時には、その旨を関係機関に周知するとともに、

  1. 屋外での運動は避け、屋内運動に切り替える。
  2. 日が当たる場所の窓のカーテンは閉める。
  3. 目やのどに刺激を感じた時は、洗眼、うがいなどをする。

等の対策をとるよう注意喚起しています。
 また、微小粒子状物質(PM2.5)については、平成25年2月に環境省から「注意喚起のための暫定的な指針」が示されました。
 群馬県では、環境省の指針に基づき、「日平均値が70マイクログラム/立方メートルを超えると見込まれるとき」に県民に向けて、不要不急の外出や屋外での長時間の運動を控えるよう注意喚起を行います。

(2)大気汚染事故対策

 従来、大気汚染事故(自然災害、事故災害によるものも含む)が発生した際は、群馬県地域防災計画に基づいて対応を行ってきましたが、小規模の大気汚染事故など規定対象外の事故についても迅速に対応を行うため「大気汚染事故対応要綱」を制定し、平成15年4月1日から施行しています。
 この要綱において、環境保全課、環境森林事務所、環境事務所及び衛生環境研究所の対応や県関係機関相互の連絡対応について必要な事項を定め、当該事故による環境への影響を最小限にとどめるよう、より一層連携して対応していきます。

3 大気環境測定調査(有害大気汚染物質、酸性雨等)の実施と結果

(1)未測定地域における大気汚染の実態調査

 現在、大気汚染常時監視測定局を設置していない地域における大気汚染の実態を調査するため、南牧村に移動観測車を設置し光化学オキシダント濃度等の測定を行いました。測定結果は表2−3−3−4のとおりです。
 光化学オキシダント濃度については、南牧村の測定値と最も近い既設測定局(富岡)の測定値の関連性は低く、南牧村の測定値は最大値が0.076ppmと低い値で推移しており、光化学オキシダント注意報発令の目安となる0.12ppmを超過する可能性が低いことが判明しました。二酸化窒素・浮遊粒子状物質については、両地点の測定値の相関は高いとは言えず、浮遊粒子状物質については南牧村の測定値の方が低い値となりました。
 この調査結果から、南牧村については光化学オキシダント注意報発令地域には含めないこととしました。

(2)有害大気汚染物質対策

 有害大気汚染物質とは、継続的に摂取されると人の健康に影響を与えるおそれのある物質で大気汚染の原因となるもののことで、現在該当する可能性があるとされている物質は248物質あります。その中で、大気汚染による人の健康被害に係る被害が生ずるおそれがある程度高い物質は優先取組物質とされています。県では、優先取組物質(21項目)について、県内5地点(伊勢崎市、沼田市、渋川市、安中市、太田市)で調査しました。なお、このうちダイオキシン類については別途測定していますので、ここでは除きます。その結果は表2−3−3−5のとおりです。ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタンの4物質は環境基準値が、アクリロニトリル、塩化ビニルモノマー、水銀及びその化合物、ニッケル及びその化合物、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,3−ブタジエン、ヒ素及びその化合物の8物質については、健康リスク低減のための指針値が設定されています。
 これらすべての物質において、調査した5地点ともにそれらの値を下回っていました。

(3)酸性雨(注)・酸性霧

 降水のpHなどを把握するため、平成3年度から前橋市郊外で酸性雨調査を実施しています。
 平成24年度の降水について通年観測したところ、pHは4.6から6.8の範囲で、平均値は5.0でした。最近10年のpH年平均値の経年変化は図2−3−3−5のとおりで、やや上昇(改善)傾向にあります。
 また、山岳部に発生する酸性霧について、その性状を長期的に把握するため、衛生環境研究所が赤城山で酸性霧調査を実施しています。平成24年度の酸性霧について観測したところ、pHは3.3から6.5の範囲で、平均値は4.0でした。経年変化は図2−3−3−5のとおりです。
 なお、同地点で環境省が酸性雨の調査を実施しており、その結果はpH4.2から7.2で、平均pHは4.9でした。
 このように、同じ場所で採取してもほとんどの場合、雨と霧では霧の方がpHが低くなります。これは、霧の方がより大気汚染物質を取り込みやすいためです。
 一方、同じ雨でも前橋と赤城山では赤城山の方が若干pHが低くなっています。これは、赤城山の雨の方が汚染されているという意味ではなく、アンモニアのような中和成分が前橋よりも少ないためと考えられます。

  • 注 酸性雨:狭い意味ではpHが5.6以下の雨のことです。酸性雨は化石燃料等の燃焼によって生じる硫黄酸化物や窒素酸化物が大気中で硫酸や硝酸などに変化し、これらが雨(雲)に取り込まれることによって起こります。広く酸性雨という場合には、雨のほか酸性の霧やガスなどの地上への降下も含み、これらを酸性降下物と呼ぶ場合もあります。酸性雨が湖沼や森林に降り注いだ場合には生態系を破壊する可能性があり、都市部では建造物等が腐食してしまうなどの被害が考えられます。

4 工場・事業場への立入検査

(1)法律・条例による規制

ア 大気汚染防止法による規制

 大気汚染防止法では、下記の施設を対象として規制しています。この他に、特定粉じん(アスベスト)についても規制していますが、これについては次節に記述します。

 それぞれの施設ごとに、ばい煙発生施設及び揮発性有機化合物発生施設については排出基準が、一般粉じん発生施設については管理基準が定められています。

イ 群馬県の生活環境を保全する条例による規制

 群馬県の生活環境を保全する条例では、下記の施設を対象として規制しています。

(2)ばい煙発生施設等の届出状況

 ばい煙発生施設等の届出状況は以下のとおりです。(前橋市、高崎市、伊勢崎市、太田市が所管する届出件数を含む)

(3)法令遵守状況の監視

 規制対象となるばい煙・粉じん発生施設及び揮発性有機化合物排出設備を設置している工場・事業場等に対して立入検査を実施しました。
 平成24年度は、ばい煙発生施設等を設置する463事業所等に対して立入検査を実施し、排出ガス中のばい煙量、ばい煙濃度の測定、施設の維持管理及び自主分析の確認などについての確認・指導を行いました。
 また、ばい煙等濃度の測定を21事業所、22施設で行ったところ、全て排出基準に適合していました。

第2項 騒音・振動の防止

1 騒音規制法および振動規制法の管理運営

 騒音・振動公害は、発生源の周辺地域に限られ、大気汚染や水質汚濁のように広域的に影響を及ぼす恐れがありません。そのため、生活実態のない地域等について規制する必要がないことから、騒音規制法及び振動規制法では、地域指定制を採用しています。この指定地域には、工場騒音・振動の規制、建設作業騒音・振動の規制、自動車騒音・振動測定に基づく要請等が適用され、本県では全市町村について地域指定しています。(ただし、全域ではありません。)
 群馬県の生活環境を保全する条例においては、飲食店営業等から深夜発生する騒音や航空機による商業宣伝放送について規制しています。また、騒音規制法の規制対象外である3施設(コンクリートブロックマシン、製瓶機、ダイカストマシン)と、振動規制法の規制対象外である5施設(圧延機械、送風機、シェイクアウトマシン、オシレイティングコンベア、ダイカストマシン)及び1作業(空気圧縮機を使用する作業)を規制対象としています。

(1)工場・事業場等の騒音・振動対策

 騒音・振動については、市町村長に事務が委任されており(航空機による商業宣伝放送を除く。)、騒音規制法、振動規制法及び群馬県の生活環境を全する条例に基づき、規制基準の遵守及び施設設置届出が適正に行われるよう指導しています。
 市町村で実施した騒音・振動特定工場等調査の結果は表2−3−3−9及び表2−3−3−10のとおりです。

(2)航空機による商業宣伝放送

 平成24年度は37回実施されました。宣伝内容は、自動車販売関係が100%を占め、1回あたりの実施時間は120分でした。

(3)高速自動車道沿線騒音対策要望

 各高速自動車道における環境基準の達成及びその維持については、県内の沿線市町村から遮音壁設置要望をまとめ、平成24年8月に東日本高速道路(株)高崎・宇都宮・加須管理事務所に要望を行いました。
 また、平成24年10月には関係県で構成する「東北・上越・北陸新幹線、高速自動車道公害対策10県協議会」を通じて同社に要望を行いました。

(4)新幹線騒音対策要望

 上越・北陸新幹線における環境基準の達成及びその維持については、平成24年10月に関係都県で構成する「東北・上越・北陸新幹線、高速自動車道公害対策10県協議会」を通じて東日本旅客鉄道(株)本社及び(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構に要望を行いました。
 また、測定の結果、環境基準未達成地域があることから、平成25年2月にJR東日本高崎支社に発生源から出る騒音の防止対策をより一層強化するよう強く要望しました。

2 環境騒音の測定調査

(1)環境騒音測定結果

 現在、騒音に係る環境基準は等価騒音レベル(注)をもって評価しています。各市町村が行った環境騒音測定結果に基づく環境基準の達成状況は、表2−3−3−11及び図2−3−3−6に示すとおりです。
 時間帯別では、夜間の環境基準達成率が低くなっています。

  • 注 等価騒音レベル:ある時間範囲Tについて、変動する騒音レベルをエネルギー的に平均値として表したもの。時間的に変動する騒音のある時間範囲Tにおける等価騒音レベルはその騒音の時間範囲Tにおける平均二乗音圧と等しい平均二乗音圧をもつ定常音の騒音レベルに相当します。単位はデシベル(dB)

(2)自動車騒音測定結果

ア 一般道路

 平成24年度は、県内主要道路沿線の40地点で、市町村により自動車騒音の測定が行われました。
環境基準の達成状況及び要請限度の超過状況は表2−3−3−11及び図2−3−3−7のとおりです。
 測定地点のうち29地点(73%)が昼間及び夜間の時間帯で環境基準を達成しました。
 また、自動車騒音の要請限度(公安委員会に対する要請及び道路管理者に意見を述べる際に自動車騒音の大きさを判定する基準)では、1地点(3%)で要請限度を超えました。

イ 高速道路

 東北縦貫自動車道、関越自動車道新潟線、関越自動車道上越線(上信越自動車道)及び北関東自動車道における沿線地域の騒音の状況を把握するため、沿線市町村により自動車騒音測定を行いました。その結果は、表2−3−3−13及び表2−3−3−14のとおりです。

(3)新幹線鉄道騒音・振動

 上越新幹線及び北陸新幹線における沿線地域の騒音・振動の状況を把握するため、新幹線騒音・振動測定を行いましたが、結果は次のとおりです。

ア 上越新幹線

 騒音環境基準の達成状況については、表2−3−3−15に示すとおりでした。なお、表2−3−3−16は、平成24年度に実施した新幹線鉄道騒音・振動の調査結果です。
 それによると、線路に近い25メートル地点を中心に新幹線鉄道騒音に係る環境基準を超過した地点がありました。
 また、振動については、環境保全上緊急を要する新幹線鉄道振動対策に示されている勧告指針値(70dB)を各測定地点とも下回っていました。

イ 北陸新幹線

 騒音環境基準の達成状況については、表2−3−3−17に示すとおりでした。なお、表2−3−3−18は、平成24年度に実施した新幹線鉄道騒音・振動の調査結果です。
 それによると、線路に近い25メートル地点に新幹線鉄道騒音に係る環境基準を超過している地点がありました。
 また、振動については、環境保全上緊急を要する新幹線鉄道振動対策に示されている勧告指針値(70dB)を各測定地点とも下回っていました。

3 道路交通騒音の測定評価

 道路交通騒音面的評価は、県内全域の主要な道路に面する地域における自動車騒音について、原則5年間(最長10年間)で測定評価を行い、自動車騒音の環境基準達成状況を調査しています。
 平成24年度に群馬県及び県内12市が道路交通騒音面的評価を行いましたが、結果は表2−3−3−20のとおりです。
 県では、これまでの路線に加え新たに大泉町における1路線で行いましたが、結果は表2−3−3−21のとおりです。この評価は、環境省から示されている「騒音に係る環境基準の評価マニュアル・地域評価編(道路に面する地域)」に基づき実施したものです。
 なお、達成率は、道路端から両側50メートルの範囲内にある住居等について推計した騒音レベルを基に、その範囲内の住居総戸数のうち環境基準を達成している数の割合を算出した結果です。

第3項 悪臭の防止

1 悪臭防止法の管理運営

 悪臭防止法では、事業活動に伴って発生する悪臭について必要な規制を行うことによって、生活環境を保全し、県民の健康を保護することを目的としています。規制の方法として、アンモニア(注1)等の特定の22物質を対象とした物質濃度規制と、複合臭(注2)や未規制物質にも対応できる臭気指数規制の2種類があり、そのいずれかにより、悪臭の排出等が規制されています。それぞれの規制値は、地域の実情を考慮して地域ごとに定められています。
 悪臭に関する苦情は、物質濃度規制では解決できない事例や、規制地域外での事例が多い状況です。
 そのため、本県では県内全市町村で臭気指数による規制を行うことを基本方針に、市町村と調整を行ってきました。
 平成25年4月1日現在、前橋市、高崎市、桐生市、伊勢崎市、太田市、沼田市、館林市、渋川市、藤岡市、富岡市、安中市、みどり市、榛東村、吉岡町、上野村、神流町、下仁田町、南牧村、甘楽町、中之条町、嬬恋村、草津町、高山村、東吾妻町、片品村、川場村、昭和村、みなかみ町、玉村町、板倉町、明和町、千代田町、大泉町、邑楽町の12市14町8村全域が臭気指数規制地域として指定されています。
 今後とも、県内全市町村、全区域への臭気指数規制導入を目指し調整を行っていきます。
 また、臭気指数規制を導入した際に必要となる実務知識の取得のため、平成16年度から市町村職員を対象に「嗅覚測定法研修会」を開催するなど、実際に規制の運用にあたる市町村の支援に努めています。
 さらに規制地域内の事業者に対しては、説明会の実施等によって制度の普及啓発に努めるとともに、今後も地域の実情を十分に考慮しながら、悪臭防止対策を推進していきます。

  • 注1 アンモニア:刺激臭のある無色の気体で、圧縮することによって常温でも簡単に液化します。畜産、鶏糞乾燥、し尿処理場などが主な発生源で、粘膜刺激、呼吸器刺激などの作用があります。し尿のような臭いがします。
  • 注2 複合臭:複数の原因物質が混ざり合うことによって、様々な相互作用が起こります。例えば、別々に嗅ぐとそれほど強く感じない臭いでも、混ぜて嗅ぐと強く感じることがあります。このような相互作用が複雑に絡み合って、1つの臭いが作り出されます(例:香水)。人間の嗅覚は、このような相互作用を全て加味して、総合的に臭いを感じ取っています。

2 畜産公害防止対策の推進

 畜産経営に関する公害苦情の発生状況は、表2−3−3−22に示すとおりでした。県内の畜産経営に関する苦情の約6割が悪臭関連であり、畜産業の健全な発展のためには悪臭防止対策が重要です。

(1)臭気対策

ア 家畜排せつ物臭気対策モデル事業

 本県で開発した脱臭装置を平成21年度に11か所設置し、平成25年度まで実証データを収集し、その効果を確認するとともに、地域と調和した畜産経営を確立するため、普及を図ってきました。

イ 家畜排せつ物臭気対策事業

 本県で開発した脱臭装置等の導入費を補助し、畜産臭気の問題を抱えている地域の生活環境を改善する事業を平成22年度から開始しました。平成22年度には利根沼田地域に脱臭装置を2か所設置し、平成24年度には中部地域に脱臭装置を2か所と常緑樹の生垣を1か所設置しました。

(2)バイオマス利活用推進

 地域の環境保全を図るため、畜産に関する苦情の実態調査及び巡回指導等を実施しました。
 また、堆肥流通を促進するため、堆肥施用による実証展示ほを3地域に設置し、地域の特徴を活かした資源循環型農業の推進を図りました。
 悪臭防止法や水質汚濁防止法に対応するため、臭気指数測定や尿汚水浄化処理施設維持管理の研修会を開催するとともに、環境保全に対する意識向上を図るための冊子を作成・配布しました。

3 畜産臭気低減技術の開発

(1)畜舎臭気の特徴

 畜舎臭気の主な原因は、家畜が排せつするふん尿です。家畜の種類によってえさや消化生理が異なるため、発生する臭気も異なります。牛ふんの主な臭気はアンモニアですが、豚ぷんでは酪酸やプロピオン酸などの低級脂肪酸も含まれます。鶏ふんではアンモニアの他にアミン類も含まれます。
 臭気成分のうち、アンモニアは100万分の1で悪臭として感じられます。低級脂肪酸ではアンモニアの1,000分の1でも悪臭として感じられるため、臭気を低減させるのは大変難しくなります。また、畜舎はそのほとんどが開放型となっているため、畜舎全面から臭気は拡散していきます。気象条件により臭気の発生や広がり方も異なるため、対策はさらに難しくなります。
 畜産試験場では、低コストな臭気低減技術や装置について検討していますので、その概要について紹介します。

(2)これまでに開発した臭気低減技術

ア 軽石脱臭装置による臭気低減技術

 家畜ふんを発酵させ堆肥にする時には、高濃度の臭気が発生します。これを脱臭するため、軽石を用いた脱臭装置を開発しました。この装置は、発酵施設から発生したアンモニアを、水を散布した軽石脱臭槽に送り込み、アンモニアを捕集するとともに軽石に生息させた細菌により硝酸に変化させ、継続的に脱臭する装置です。アンモニア濃度約400ppmの臭気を90%以上除去できます。
 この装置は、ふん発酵施設からの高濃度の臭気ばかりでなく、畜舎から発生する低濃度の臭気の除去も可能な装置です。

イ 樹木を利用した臭気低減技術

 樹木には、アンモニアなどを吸着・吸収することにより臭気を除去する効果があります。葉の表面積が多い針葉樹などは高い効果を示しますが、高濃度のアンモニアには対応できません。畜舎周辺など低濃度の臭気に対しては、畜舎周辺に生け垣状に樹木を植えることにより周辺への臭気拡散が抑制できます。

(3)ネットによる畜舎臭気低減技術の開発

 密閉できるふん発酵施設や畜舎の脱臭については、脱臭装置を設置し、畜舎内の臭気を装置へ送りこむことで脱臭できますが、ほとんどの畜舎や堆肥舎は開放型であるため、脱臭装置による脱臭はできません。そこで、現在、開放された畜舎や堆肥舎にネットを張ることにより脱臭する方法を検討しています。
 ビニールハウスを利用した小規模試験の結果では、網目が1.0センチメートル×1.0センチメートルのネットを使用したところ、アンモニア濃度15ppmから20ppmの臭気を約半分にすることができました。また、ネットに水や酸性溶液を浸潤させることにより、アンモニア除去能力が上がることが確認されています。現在は、安定した臭気除去能力を確保するための改良を実施しています。

(4)モミガラを利用した低コスト脱臭装置の開発

 脱臭槽に充填する資材として安価で手に入りやすいモミガラを利用し、活性汚泥を加え、微生物の硝化作用を利用して、中小規模の畜産農家が導入しやすい低コストな脱臭装置を開発しました。
 屋外での小規模試験の結果、堆肥処理施設から排出される平均約20ppmのアンモニアを90%以上除去することができましたが、水温が低下する冬期は脱臭能力が低下しました。現在は、冬期にも安定した除去能力が得られるよう対策を検討しています。
 また、畜舎で悪臭が発生しやすい場所であるバーンクリーナー(畜舎内の家畜ふんを集めトラックまで搬出する装置)の搬出部にモミガラ脱臭装置を設置し、脱臭効果について検証しています。

平成25年版環境白書のページへ戻る

このページについてのお問い合わせ

環境森林部環境政策課
〒371-8570 前橋市大手町1-1-1
電話 027-226-2821
FAX 027-223-0154
E-mail kanseisaku@pref.gunma.lg.jp
迷惑メール対策のため、メールアドレスの一部(@pref.gunma.lg.jp)を画像化しております。