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第2部第4章第2節 廃棄物の適正処理の推進

更新日:2015年3月21日 印刷ページ表示

第1項 一般廃棄物の適正処理

1 一般廃棄物処理の現状

 家庭等から出されるごみやし尿などの一般廃棄物を衛生的に処理することは、私たちの生活環境を守り、公衆衛生の向上を図る上で大変重要です。
 一般廃棄物の処理は、市町村が計画(一般廃棄物処理計画)を定めて、その計画に基づいて行っています。県では、市町村における一般廃棄物の処理が、適正に安定して行えるよう支援しています。

(1)し尿処理の状況

 し尿は、下水道終末処理施設やし尿処理施設、浄化槽などで処理されています。平成24年度の県内におけるし尿の総排出量は、約124万キロリットルです。
 また、県内の浄化槽の設置数は、平成25年度末で約31万2千基であり、浄化槽利用人口は、平成24年度末で約95万7千人(県内総人口に占める割合は47%)となっています。
 一方、浄化槽全体に占める単独処理浄化槽の割合は約64%(約19万9千基)です。単独処理浄化槽では、生活雑排水を処理することができないことから、生活雑排水を適切に処理し河川等の浄化を進めるためには、合併処理浄化槽の整備の促進が必要です。

(2)ごみ処理の状況

 平成24年度の県内におけるごみの総排出量は約785千トンであり、県民1人1日当たり約1,059グラムとなっています。(県民1人1日当たりの内訳は、生活系ごみが約795グラム、事業系ごみが約264グラムです。)
 県内の市町村におけるごみ処理施設は、粗大ごみ処理施設・資源化施設(27か所)、焼却施設(22か所)、ごみ固形化燃料施設(3施設)、高速堆肥化施設(3か所)で行われており、焼却残さ等は最終処分場(22か所)で埋立処分されています。

2 一般廃棄物に関して講じた施策

(1)一般廃棄物処理の広域処理体制の整備支援

 県内の市町村が整備する一般廃棄物処理施設について、効率性、経済性及び環境負荷の低減、さらに循環型社会形成の推進の観点から、一般廃棄物処理の広域化を進めるため、群馬県一般廃棄物処理マスタープラン(広域化計画)を策定しました。
 県では本計画を実効あるものとするため、広域化ブロックごとに、順次その構成市町村を対象に、広域化処理を構築するための組織を設立できるよう調整を行っています。
 平成25年度は、主に藤岡富岡ブロックと吾妻ブロックにおける調整を実施しました。

(2)災害廃棄物の広域処理

 東日本大震災の津波により生じた災害廃棄物については、その量が膨大なことから被災地のみで処理することが困難なため、被災地以外の自治体で処理を行う「広域処理支援」が行われました。
 群馬県内では、平成24年6月から平成25年8月までの間、岩手県宮古地区(宮古市、岩泉町、田野畑村)の木くず等の可燃性混合物の受入処理が行われました。
 県としては、岩手県と災害廃棄物処理協定を締結し、県が安全性を確認した廃棄物の処理を岩手県から受託し、受入市町村に委託する体制を構築しました。これは、県が安全確認について責任を担う点で県が支援に加わるものです。(その時点で既に受入処理が開始されていた吾妻東部衛生施設組合は除きます。)
 県内における受入支援の実績については、実施した自治体等は、吾妻東部衛生施設組合、桐生市、前橋市の計1組合2市です。受入処理した廃棄物量は、平成24年度に4,289トン、平成25年度に3,295トン、合計で7,584トンとなりました。

(3)市町村が行う廃棄物処理施設の整備支援

 循環型社会形成推進交付金制度(環境省)を活用して廃棄物処理施設を適切に整備できるよう、市町村等が施設整備のための計画(循環型社会形成推進地域計画)を策定し、交付金を活用して施設整備をする際に、県が指導助言を行いました。

第2項 産業廃棄物の適正処理

1 産業廃棄物(注1)処理の現状

 様々な事業活動に伴って県内で排出される産業廃棄物は年間約350万トンと推計されています。
 産業廃棄物の処理状況は、平成25年度広域移動量調査(環境省)によると、取扱量の多い品目から、がれき類、廃プラスチック類、汚泥、木くずの順となっています。このうち、県内での中間処理(注2)量は、がれき類が最も多く、次いで木くずであり、県外処理は、汚泥、廃油の順となっています。一方、最終処分(埋立)については、県内処理では、がれき類、ガラスくず等、廃プラスチック類が多く、県外処理では、廃プラスチック類、汚泥、がれき類が多い状況です。
 県民生活や産業活動を維持するうえで産業廃棄物処理施設(以下「処理施設」という。)の整備は不可欠ですが、生活環境への悪影響を懸念する周辺住民の反対等がある中で、新たな施設の設置は依然として難しい状況にあります。
 平成22年5月に、廃棄物の適正な循環的利用の推進、排出者責任の充実、産業廃棄物処理業者(以下「処理業者」という。)による適正処理の確保等を目的として廃棄物処理法が改正され、平成23年4月から施行されています。県としては、生活環境に配慮した優良な処理施設を確保するため、排出事業者や処理業者に対する指導と廃棄物処理に対する県民の信頼向上に努めています。

  • 注1 産業廃棄物:廃棄物のうち、事業活動に伴って生じた燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定めるものを産業廃棄物といい、20種類が定められています。
  • 注2 中間処理:産業廃棄物を埋立処分する前に、減容化・無害化・安定化などの処理をすることをいいます。

2 産業廃棄物に関して講じた施策

(1)事業者に対する廃棄物の排出者責任の啓発と適正処理指導(産業廃棄物相談員や専用ホームページによる産業廃棄物情報の提供)

 産業廃棄物は、排出事業者が自らの責任で適正に処理することが廃棄物処理法で義務づけられています。排出事業者に対して、排出者責任の啓発や適正処理に関する指導を行うため、次の事業を実施しています。

ア 産業廃棄物相談員の配置

 産業廃棄物相談員を県内3か所(廃棄物・リサイクル課、西部環境森林事務所及び東部環境事務所)に配置し、県内各排出事業者に対して、廃棄物適正処理や廃棄物減量化推進等の指導と相談、情報提供を行っています。平成25年度は369事業所の訪問を実施しました。

イ 産業廃棄物専用ホームページ

 廃棄物・リサイクル課ホームページ「群馬県産業廃棄物情報」により、廃棄物の関係法令や処理業者に関するデータ等、廃棄物に関する各種最新情報を分かりやすく排出事業者や県民に伝えています。
 群馬県産業廃棄物情報(外部リンク)

ウ 産業廃棄物処理計画書の提出制度

 廃棄物の減量等を進めるため、前年度の産業廃棄物の排出量が1,000トン(特別管理産業廃棄物については50トン)以上の多量排出事業者は、産業廃棄物処理計画書を作成し、知事に提出することになっています。

(2)処理業者に対する適正処理の監視と指導

 産業廃棄物は、排出事業者が自ら適正に処理するほか、その責任において、収集運搬業・処分業許可を有する処理業者に委託して処理することとされています。
 処理業者に対しては、不適正処理につながるような行為が行われていないかを確認するため、毎年度、定期的に立入検査を実施しています。平成25年度は延べ295事業所に対して立入検査を実施しました。

(3)優良事業者の育成と悪質業者の排除

 平成22年の廃棄物処理法改正により、「優良産廃処理業者認定制度」が新たに設けられ、事業の実施に関する能力・実績が一定の基準を満たす処理業者は優良認定を受けられるようになりました。これにより、通常は5年である許可の有効期間が7年に延長され、許可更新に要する処理業者の事務負担が軽減されました。また、排出事業者にとっても、安心して廃棄物処理を委託できる優良事業者を選ぶ目安となっています。
 一方で、不適正処理等により廃棄物処理法に違反したり、欠格要件に該当したりした処理業者に対しては、許可取消等の行政処分を行っています。平成25年度は9業者に対して行政処分を行いました。

(4)廃棄物処理施設設置に関する住民理解の促進

 廃棄物処理施設設置にあたり、廃棄物処理法やその他関係法令の手続を行う前段階として、事前協議制度を実施しています。この制度は、持続可能な循環型社会づくりに向けて、地域理解の促進や廃棄物の適正処理の推進を図り、また、周辺地域の生活環境の保全や周辺施設への適正な配慮を図ることを目的としています。平成25年4月施行の制度改正で、施設の立地規制の追加や事業計画の周知方法の改善、手続の長期化防止策等について、見直しを行いました。また、廃棄物処理施設の構造及び維持管理等について、法令に加えて県独自の基準を定め、処理業者等にその遵守を求めています。同じく平成25年4月に、法令の基準が及ばない施設等への対象の拡大や情報公開の規定の追加などについて基準の見直しを行い、併せて廃棄物処理施設の信頼の向上を図ることとしています。

(5)PCB廃棄物の適正処理の推進

 平成13年6月に成立した「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理に関する特別措置法」により、トランス、コンデンサなどのポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物を保管する事業者は、毎年度、知事に保管・処分状況を届け出る義務があり、平成24年度末現在で1,151事業所が届出をしています。
 PCB廃棄物の処理については、国が専門の処理施設として日本環境安全事業(株)(以下JESCO)を設立し、本県内のものについては、北海道室蘭市にある北海道事業所において、平成20年5月から処理が行われています。
 また、JESCOでの処理対象物以外(微量PCB汚染物等)については、国が認定する無害化処理施設において処理が行われています。
 さらに、平成24年12月にPCBの処理期限が、「PCB特措法施行の日から起算して15年」から「平成39年3月31日まで」に改められました。

(6)最終処分場モデル研究事業

 新たな設置について理解を得ることが難しい状況にある最終処分場について、周辺住民にとって安全で安心できる施設を確保するため、最終処分場モデル研究事業として桐生市新里町地内に安定型モデル処分場が設置され、平成14年2月から稼働しています。この処分場では、許可品目以外の廃棄物が混入しないよう、県が常駐監視員を配置し、展開検査により監視しています。また、地元地区代表、事業者及び行政で組織する運営連絡協議会を定期的に開催し、開かれた施設運営の確保に努めています。

第3項 不適正処理対策

1 未然防止、早期発見、早期解決を3つの柱とした不適正処理対策の推進

(1)不法投棄の現状

 平成25年度に県内で新たに認知した不法投棄は52件・742トンでした。
 不法投棄の大規模な事案は減少し、全体として小規模化傾向となっています。しかし、依然として後を絶たない状況です。
 不法投棄された廃棄物の種類では、一部の年を除き、構築物の解体に伴って発生する「がれき類」が最多となっています。

(2)不適正処理

 不法投棄や不法焼却、不適正保管などを総称して「不適正処理」と呼んでいます。
 平成25年度に県内で新たに認知した不適正処理は、149件・1,385トンでした。
 不法投棄以外の不適正処理の種類は、不法焼却と不適正保管でした。
 不法焼却については、平成13年4月から廃棄物処理法の改正に伴い、廃棄物の焼却が原則禁止となり、野焼きや構造基準を満たさない焼却炉による焼却が違法行為として取締りの対象になったことが大きく影響していると考えられます。

(3)不適正処理対策

 県では、廃棄物の不法投棄や不適正処理を未然に防止し、また、早期に発見するとともに、発生した事案については早期に解決することにより、良好な生活環境の保全に努めています。
 主な取組内容は、次のとおりです。

ア 未然防止
a 事業者に対する監視

 産業廃棄物処理業者への立入検査や産業廃棄物運搬車両の路上調査を実施しています。

b 事業者や県民の意識啓発

 新聞やラジオ等の各種広報媒体やチラシを活用して事業者や県民の意識啓発を図ったほか、6月と12月の廃棄物適正処理推進月間には通常の監視活動に加えて、職員による休日監視パトロールを実施しました。

イ 早期発見
a 情報の入手

 廃棄物・リサイクル課にフリーダイヤルの「産業廃棄物110番」を設置して広く県民から情報を入手しています。(平成25年度は39件を受理)

産業廃棄物110番
フリーダイヤル0120-81-5324 ハイ ゴミ通報

 また、不法投棄場所として狙われやすい山間部での業務が多い森林組合や郵便局など7機関と情報提供に関する協定を締結しています。

b パトロール

 警察官OBの嘱託職員である「産業廃棄物不適正処理監視員」(通称:産廃Gメン)が、4班8名体制でパトロール(年間延べ1,440人・日)を行ったほか、行政機関による監視が手薄になる休日と夜間における監視の目を確保するため、民間警備会社に監視業務委託を実施しています。(年間140日)
 さらに、県警の協力を得て、県警ヘリコプター「あかぎ」による空からの監視(スカイパトロール)も行っています。(平成25年度は23回)

ウ 早期解決

 認知した事案に対しては、廃棄物・リサイクル課及び環境(森林)事務所の担当職員が迅速かつ綿密な調査を行った上、原因者が判明した場合は強力な是正指導を行い、現場の原状回復を図るとともに不適正行為の再発を防止しています。

エ その他

 毎年6月と12月を「廃棄物適正処理推進強化月間」と定め、期間中は重点的な取組を行っています。

2 警察・市町村等関係機関との連携強化

(1)警察との連携

ア 取締体制

 警察では、悪質・巧妙化する廃棄物事犯に迅速に対応するため、生活安全部生活環境課に経済・環境事犯特別捜査係を設置し、各警察署と連携して環境犯罪に対する取締りを積極的に推進するほか、県や市に警察官を出向・派遣し、関係機関との情報交換や共同臨場等行政と連携した活動を行っています。
 また、県警ヘリコプター「あかぎ」によるスカイパトロールを定期的に実施し、目の届きにくい山間部等を上空から監視することで、不法投棄等の発見に努めています。

イ 取締重点

 本県は、山間地や河川が多く、廃棄物の不法投棄が行われやすい環境にあります。
 警察では、組織的・広域的な事犯、暴力団が関与する事犯、行政指導を無視して行われる事犯等を重点に取締りを強化しています。
 また、環境被害の拡大防止と早期の原状回復を図るため、関係機関に必要な情報提供を行っています。

ウ 検挙状況

 最近の特徴としては、大規模な不法投棄等は減少傾向にありますが、逆に小規模な不法投棄や不法焼却が増加傾向にあります。
 具体的には、家屋の解体工事に伴って排出される木くずやがれき類等の不法投棄、ビニール類の不法焼却が目立っています。また、家庭から排出される粗大ゴミ等の不法投棄、不法焼却も目につきます。

(2)市町村との連携

ア 市町村職員の県職員併任発令

 不適正処理事案への対応を強化するために、市町村職員を群馬県職員に併任して産業廃棄物に関する立入検査権を付与しています。(平成26年5月1日現在、29市町村89人)

イ 不法投棄監視カメラの貸出し

 市町村と連携した廃棄物不法投棄監視体制の整備・強化を図り、不法投棄の未然防止、拡大防止及び原因者の特定をするため、市町村へ不法投棄監視カメラを貸出しています。

(3)連絡会議の開催

 警察・市町村等関係機関の担当者を集めた連絡会議を定期的に開催し、情報交換を図るとともに、広域的な事案に対しては、共同で事案に対応するなどの連携を図っています。

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