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第2部第5章第1節 環境教育・環境学習の推進

更新日:2015年10月8日 印刷ページ表示

第1項 人材の育成

1 教員向け研修講座(環境教育研修講座)

 県では、各学校で環境教育を効果的に推進できる教員を養成するため、小学校・中学校・高等学校・中等教育学校・特別支援学校の教員を対象に「環境教育研修講座」を実施しています。
 平成26年度は、8月及び11月に低炭素社会の実現に向けた最先端の講義及び研究施設見学、教材製作を実施しました。
 また、大気に含まれるPM2.5等の調査体験を行いました。こうした研修を通して、児童生徒に実体験を伴った環境学習を実践するための指導力の向上を図ります。また、自然・生物・化学及びエネルギーの各視点より環境を捉え、体験、分析、見学という形でバランスよく展開します。参加者は延べ19名でした。

研修の概要

(1)エネルギーについて
日時 平成26年8月8日(金曜日)
場所 群馬大学理工学部総合研究棟
内容 「先端技術から学ぶ環境教育~燃料電池の普及に向けた取組から~」
講義 「低炭素社会そして水素エネルギー」
 「カーボン材料概論」
 「電気化学の基礎」
 「アドバンストカーボンの概要」
実習 「電子顕微鏡によるカーボン材料の観察」
 「簡単な燃料電池作成」
講師 群馬大学理工学部教授

(2)大気汚染について
日時 平成26年10月15日(水曜日)
場所 群馬県衛生環境研究所
内容 「本格的な調査体験から学ぶ環境教育
 ~大気汚染の目安であるPM2.5やSPMの測定より~」
講義 「大気汚染に関する現状と対策」
 「PM2.5の環境教育」
実習 「PM2.5の測定体験」
見学 研究所内施設見学
講師 群馬県衛生環境研究所大気環境係

関係業務

(1)尾瀬自然体験研修(小・中学校初任者研修)
ア 事前研修 尾瀬の自然体験について理解するとともに、尾瀬の自然、歴史、環境保全について学びます。
日時 平成26年7月1日(火曜日)・平成26年7月30日(水曜日)・平成26年8月6日(水曜日)
場所 群馬県総合教育センター
講義 「尾瀬自然体験研修について」

イ 現地研修 尾瀬の自然環境のすばらしさを体感するとともに、児童生徒を引率する上での環境保全に関する知識を習得します。
日時 平成26年7月31日(木曜日)~8月1日(金曜日)・平成26年8月7日(木曜日)~8月8日(金曜日)
場所 尾瀬国立公園
内容 「尾瀬自然体験研修」

ウ 事後研修 研修の成果と課題をまとめ、引率時の指導者の役割や体験活動の意義について理解します。
日時 平成26年9月16日(火曜日)
場所 群馬県総合教育センター
内容 「研修成果のまとめ」

2 国が主催する環境教育研修への教員の派遣

 今日、環境問題を解決し、持続可能な社会を構築していくためには国民の環境に対する意識を高め、一人一人が環境に配慮した行動をとることが重要であり、その基盤となる環境教育・環境学習を推進することが重要であると考えます。
 そのため、県教育委員会では、各学校・地域で中核となる教員を国が主催する環境教育に関わる研修等へ派遣するよう努め、環境教育に関する専門的な知識と児童生徒への指導力を備えた教員を養成できるようにしています。

3 ぐんま環境学校(エコカレッジ)

 県では、環境活動に意欲のある県民を対象に「ぐんま環境学校(エコカレッジ)」を実施し、環境学習を進め、環境と人間の関わりについて正しい理解を持ち、行動に移す人材を育成しています。
 平成26年度は、7月から11月にかけて講義やワークショップ、フィールドワーク等を8日間開講しました。28名の受講生は、公害防止や気候変動、エネルギー、リサイクルなどに関する講義や育樹作業の体験、尾瀬でのフィールドワーク、清掃センターでのリサイクル実習を通して、幅広い分野の知識を深めるとともに今後の活動への意欲を新たにしました。
 修了生には、地球温暖化防止活動推進員や動く環境教室の環境学習サポーターとして活躍している方もいます。
 今後も事業を継続し、講師や受講生同士の交流の場を設け、横のつながりを築けるような環境づくりに配慮しながら、環境活動に自ら進んで取り組むことができる人材を育成していきます。

第2項 推進体制の充実

1 環境学習の推進

(1)地域環境学習の推進

 県民に身近な地域で環境学習の機会をより多く提供するため、県が平成11年度から民間で活躍する環境ボランティアの群馬県環境アドバイザー、環境カウンセラー、NPO法人に委託し、環境学習事業を実施しています。身近な環境問題を取り上げることで、県民の環境問題に対する関心を高め、環境保全活動への参加促進を図ります。
 地球温暖化問題から自然観察会、川の生き物調べ、ごみ減量策など、毎年、多くの企画が寄せられ、県事業として適当であると認められた企画を採用して県と実施主体との委託契約で実施しています。
 平成26年度までの16年間で、延べ373団体に委託して1,157回の講座を開催し、約5万7千人の県民の方に参加していただきました。
 今後も県内各地で様々な事業が実施され、多くの県民が地域での環境学習へ参加することが期待されます。

  • 平成26年度実施状況
    • 委託数 18件
    • 講座数 32回
    • 参加者延べ 1,013人

(2)移動環境学習車「エコムーブ号」の運営

 「エコムーブ号」は、様々な環境学習機材を積んだ移動環境学習車です。燃料は天然ガスで、環境にもやさしい車です。

  • 平成26年度の利用状況
    • 実施件数 72件
    • 利用者数 4,129人

 この「エコムーブ号」を活用した「動く環境教室」は、水、ごみ・リサイクル、大気、温暖化などのテーマに環境学習サポーター(講師)が学校に出向いて、実験や体験活動を交えながらわかりやすく環境について学ぶことができます。
 実験は、地球温暖化をはじめ、水の汚れ、大気の汚れなどを調べたり、リサイクルについて考える教材がそろっています。

(3)「こどもエコクラブ」への支援

 「こどもエコクラブ」は、幼児から高校生までなら誰でも参加できる環境活動のクラブです。2人以上の子どもと、子どもたちをサポートする1人以上の大人でクラブをつくることができ、県がこのクラブの活動を支援しています。
 全国事務局がある「(公財)日本環境協会」のもと全国で取り組まれており、全国大会も開催されています。群馬県では平成8年からこどもエコクラブが結成されています。平成26年度の登録状況及び事業状況は次のとおりです。

  • 平成26年度の登録状況
    • クラブ数 29クラブ
    • 会員数 2,268名
    • サポーター 278名

ア 群馬県こどもエコクラブ学習会

 県内のエコクラブが一堂に会し、合同体験学習交流会を行いました。
a 日時:平成26年8月30日(土曜日)
b 場所:サンデンフォレスト(前橋市粕川町)
c 参加者:83名
d プログラム:森のガイドハイク、自然材料を使ってのクラフト作成

イ 群馬県こどもエコクラブ交流会
 県内各クラブの1年間の活動の成果を発表し、相互の交流を図るため、交流会を行いました。
a 日時:平成27年1月17日(土曜日)
b 場所:前橋市立児童文化センター(前橋市)
c 内容:
活動発表(5団体)

  • 前橋市児童文化センター環境冒険隊(前橋市)
  • まなやんず(伊勢崎市)
  • なんきつ子どもエコクラブ(前橋市)
  • しらさわエコキッズクラブ(沼田市)
  • 前橋市若宮小学校緑の少年団(前橋市立若宮小学校)

壁新聞・絵日記掲示

  • しらさわエコキッズクラブ
  • なんきつ子どもエコクラブ
  • 元総社エコクラブ「わんぱく探検隊」
  • スター☆クラブ

コースター作成
 間伐材を使ったコースターに子どもたちそれぞれが好きな絵を描きました。

リユース交換会
 子どもたちが自分の不要になった物を交換しあうことで、自分ではいらなくても、友達が喜んでくれる物があることを理解し、3Rについて体験的に学び、子どもたち同士の交流を深めました。

2 群馬県環境学習等推進行動計画

 「環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律」が平成15年度に成立し、平成17年度に「群馬県環境学習推進基本指針」(以下「基本指針」という。)を策定しました。
 平成23年度に本法が「環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律」として改正され、体験の機会の場などの新しい制度の創設とともに、行動計画の策定などが規定されました。
 そこで、理念的である基本指針を引き継ぎ、具体的な環境学習の行動へつなげるための行動計画として、『環境に興味を持ち「人と環境」の関係について総合的かつ科学的な理解を深め、環境に責任と誇りをもって、主体的に行動できる人を育てる学習』を具体化していくため、群馬県の推進施策や具体的な取り組み、評価指標を用いた点検などを盛り込んだ「群馬県環境学習等推進行動計画」を策定しました(平成27年3月)。
 この行動計画では目標と具体的な施策を次のとおり定め、五つの柱として推進して行きます。

  1. 人材の育成・活用
  2. 参加の場や機会づくり
  3. プログラムの整備
  4. 連携・協働の取組
  5. 普及啓発

3 緑の少年団への支援

 緑の少年団は、緑と親しみ緑を守り育てるなどの活動を通して、自然を愛し人や社会を愛する心豊かな人間に育てることを目的に、県内の小学校を中心に組織された団体であり、現在331団体、約6万人の子どもたちが活動しています。
 学校林の整備や森林の学習会、地域の施設へのプランターの寄贈や清掃活動等、学校や地域の実態に応じて様々な活動が展開されています。県では広くこの活動を支援し、体験活動や学習機会を提供することを通じて森林環境教育を推進しました。

4 小・中学生のためのフォレストリースクール

 小・中学校での授業や体験活動等を通じて、森林や緑化の重要性を認識し、森林保全や環境保護への意識啓発を図るため、フォレストスクールを県内各地で実施しました。近隣の里山の自然観察や林業体験、校庭の木々を生かしたネイチャーゲームやクラフト等を実施するために講師を派遣して、学校の授業を支援しました。(参加校数37校、参加生徒数2,585人)
 また、夏休み中に憩の森・森林学習センターにおいて、「夏の森林教室」を実施し、児童と引率の教員に対して、間伐や「ツリーイング」を体験してもらい、森林や林業について幅広く学ぶ場を設定しました。

5 教育現場での環境教育の充実

 各学校で環境教育の充実を図るためには、各教科、道徳、総合的な学習の時間及び特別活動等それぞれの特質に応じて、児童生徒の実態を踏まえながら環境に関する学習が行われるようにするこ
とが重要です。
 そこで県教育委員会では、特に小・中学校において、各学校が発達の段階に応じた系統的な取組ができるよう、環境教育全体計画の作成、見直しを依頼しています。
 また、県内の環境教育の特色ある取組を広く紹介するため、環境教育実践事例集「みんなの環境わたしたちの実践」を毎年2月に作成し、県総合教育センターのウェブページに掲載しています。
この実践事例集では、小、中、高等学校の優れた取組を1校ずつ紹介しています。

6 ぐんま緑の県民基金市町村提案型事業(森林環境教育・普及啓発)

 「ぐんま緑の県民基金市町村提案型事業」では、児童生徒や県民を対象とする森林環境教育や森林体験活動、森林の機能や重要性について普及啓発を図る取り組みを支援しています。
 平成26年度は、県内11市町村において15の事業の自然観察会や間伐体験、森林体験バスツアーなどを支援しました。

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