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群馬ヘリポート長寿命化計画
1 計画策定の目的
- 昭和63年の開港から35年が経過し、滑走路など空港土木施設や、ターミナルビルなど建築物の劣化・老朽化が進展しており、滑走路やエプロンなど一部施設は修繕をしたが、その他施設については大規模修繕の必要性が高まっている状況にある。
- 群馬ヘリポートは、防災航空隊や警察航空隊など防災活動の拠点として重要な役割を担っており、今後もヘリコプターの安全な運航確保が必要不可欠であることから、計画に基づく維持修繕の実施と定期的な点検・調査を実施し、施設の安全性確保と機能保全を図るとともに、施設の長寿命化及び維持管理に係る中長期的なトータルコストの縮減と平準化を図ることを目的とする。
2 計画期間
- 本計画の対象となる期間は、令和6年度(2024年度)から令和35年度(2053年度)までの30年間とする。
- なお、点検・調査結果や維持修繕の対応状況を踏まえ、5年程度を目安として、定期的に見直しを図る。
3 対象施設
- 空港土木施設(滑走路、着陸帯、誘導路、エプロン、飛行場標識施設、舗装施設、排水施設、道路・駐車場、場周柵等)
- 建築施設(ターミナルビル(管理棟)、ヘリコプター学習館)
- 電気・機械施設(受変電設備、発電・蓄電設備、中央監視設備、照明設備、空調設備、消火設備、給排水設備)
4 健全度調査
本計画の策定(平成30年)から概ね5年が経過したことから、最新の維持修繕実績を把握するとともに、各施設について健全度調査を行い、維持保全実施方針の見直しを行った。
5 維持保全実施方針
群馬ヘリポートとしての維持保全に対する考え方を整理し、以下に実施方針を定める。なお、地域防災計画において交通の確保、航空輸送の確保のヘリポートとなっていることから、次の基本的な考えに基づくものとする。
1)基本的な考え方
- 群馬ヘリポートの維持保全実施方針を策定するためには、維持保全に関する基本的考え方を整理する必要がある。
- 維持保全の目的は、“施設の効用の保持”、“災害の予防と安全の確保”、“快適かつ衛生的な環境の保持”、“省資源・省エネルギー及びトータルコストの縮減と平準化”などを達成するために行う一連の行為である。なお、維持保全を含む「保全」については、その行為によって次のとおり分類される。
2)維持保全実施方針
群馬ヘリポートの維持保全実施方針については、年間を通じた利用形態等を踏まえ、以下のとおりとする。
(1)施設の劣化等に起因する機能障害による、ヘリポート運用への重大な影響の回避を最優先させることとし、トラブルを未然に防ぐ予防的保全を目指すものとする。
(2)問題が顕在化してからの対処ではなく、計画的に点検・調査を行い、施設の劣化を早期段階で予測、発見し、より適切なタイミングで対応することを予防的保全とする。
(3)具体的な対応としては、維持保全を計画的に実施するものとし、施設の健全度を計画的な点検・調査により把握し、定期的な保守作業の継続による施設の耐用年数の延長を図りつつ、重要施設については予防的保全として対応する。また、トラブルによる影響が限定的な施設については事後保全として対応する。
3)優先順位の考え方
今後の維持保全に係る点検・調査、修繕・更新等は、主要施設のライフサイクルとこれまでに実施された保全業務及び一般的な更新時期を迎える主要機器類に対する方策、既に顕在化している課題を考慮し、以下に示す重要度(利用者への影響度)と維持修繕対策の緊急度を基準に優先順位を整理する。
(1)重要度 高
施設のトラブルが発生した場合において、ヘリポート運用の影響が大きい施設であり、トラブルを未然に防ぐ「予防保全」を目指す施設
(2)重要度 普
「重要度 高」施設と比較して、トラブルが発生した場合におけるヘリポート運用の影響が限定的であり、維持保全の実施内容において費用とのバランスを考慮して実施する施設
(3)重要度 低
「重要度 普」施設と比較して、トラブルが発生した場合におけるヘリポート運用の影響が更に限定的であるため、維持保全の実施内容において費用を優先させるものとして、「事後保全」の扱いを基本とする施設
緊急度A 1~2年以内に修繕・更新することが望ましいもの
緊急度B 緊急度Aよりも緊急性は低いが、3~5年以内の修繕・更新が望ましいもの
緊急度C 緊急度Bよりも緊急性がさらに低く、修繕・更新は6年以降とするもの
4)健全度調査の実施方針
耐用年数の延長や、適時の事後保全に対応するため、日常点検・定期点検を実施し、結果等の履歴を確実に蓄積するなど、メンテナンスサイクルを構築する。
(1)点検・調査・診断
各施設について、消防法、電気事業法、水道法等による法定点検のほか、下表のとおり日常点検・定期点検を行い、施設の状態を把握し、緊急度を判定した上で、適時に修繕を行う。
(2)情報の蓄積と利活用
各施設の点検・調査・診断の結果や修繕・更新等の対策履歴等については、適切に保管し、今後の維持保全に活用する。
(3)基準等
点検・調査・診断や修繕・更新等にあたり空港土木施設は、国の基準類や群馬ヘリポート維持管理・更新計画を適用し、建築施設は、群馬県県有施設長寿命化指針、建築基準法12条点検マニュアル等を適用する。
5)維持保全に係る留意点
今後の維持修繕の取組や、計画見直しの際には、下記項目に留意し、空港土木施設や建築施設だけではなく、電気・機械施設も長寿命化を意識したものとする。
(1)耐久性の高いものを用いる
(2)可能な限り更新時期を見直す(第3者による施設の評価を行う)
(3)新技術の導入
点検・調査・診断や修繕工事に係る新技術、省エネにつながる技術については、国の開発、導入を参考とし現場への導入・普及に取り組み、一層のコスト縮減や長寿命化を図る。
(4)インフラ機能の適正化
適宜、施設に求められている役割や機能を再確認し、必要に応じて質的向上や附帯施設の見直し等を検討する。