ノロウイルスによる食中毒・感染性胃腸炎に注意しましょう
二次感染に特に注意が必要です
ノロウイルス食中毒は秋から冬に発生する代表的な食中毒です。
ノロウイルスは少量で感染する一方で、感染者の便などから大量に排出されるため、容易に二次感染が発生し、新たな感染や食中毒が次々に起こる可能性がある点に特に注意が必要です。また、ノロウイルスは感染性胃腸炎の原因にもなるため、食中毒・感染症の両面から予防する必要がある点で他の食中毒と異なります。
ノロウイルスによる食中毒は寒冷期に発生が増加しますので、冬場は十分にご注意ください。
ノロウイルスの特徴
わずかな量のウイルスで感染
10~100個という非常に少ない量のウイルスで感染します。
人の腸管で増殖し、便やおう吐物に大量に排出
感染者のふん便1グラムに約20億個、おう吐物1グラムに約2,000万個が含まれると言われています。
症状が治まった後も、1週間~1ヶ月程度ふん便等からウイルスを排出
症状が治まっても、しばらくは二次感染のおそれがあります。
- 85度~90度で、90秒以上の加熱で不活化
- アルコール消毒や逆性石鹸では死滅しない
- 4度程度の低温でも60日以上生存する
- 一度感染した人でも繰り返し感染する
ノロウイルスの症状
潜伏期間
24時間から48時間程度
主な症状
吐き気、おう吐、下痢、腹痛、発熱(いずれも1~2日続いた後に治る)
その他
- 子どもや高齢者は重症化する場合がある。
- ノロウイルスに効果のあるワクチンや抗ウイルス剤はない。
ノロウイルスの感染経路
ノロウイルスの主な感染経路は次の三つです。ノロウイルスは少量で感染する一方で、感染者の便などから大量に排出されるため、下図のような感染・発症サイクルによって、新たな感染や食中毒が次々に起こる可能性がある点に特に注意が必要です。

(1)二枚貝を食べて感染(食中毒)
二枚貝にはノロウイルスを体内に蓄積する性質があり、下水処理で除去しきれずに排出されたウイルスを持っていることがあります。このような二枚貝を生食又は不十分な加熱で食べた時に感染するパターン。
(2)感染者がウイルスを食品に付着させ、その食品を食べて感染(食中毒)
食品を取り扱う人の手や調理器具から食品に付着し、できた料理を食べた人が感染するパターン。
(3)人から人に感染(感染症)
ウイルスを含むふん便やおう吐物が飛沫して空気中を漂い、それが口から入って感染するパターン
感染を予防するには~食中毒と感染症両面からの予防が必要~
(1)食中毒の予防の4原則

1.持ち込まない=調理する人の健康状態に注意!
おう吐や下痢の症状がある場合は、調理を行わないようにしましょう。
2.つけない=徹底した手洗い、調理器具の洗浄・消毒!
・次のタイミングで、必ずしっかり手を洗いましょう。
- 調理を始める前
- 生の肉や魚、卵などを取り扱う前後
- 食事の前
- トイレに行った後や、おむつを交換したり、動物に触れたりした後
・調理器具は使用の都度、きれいに洗い、熱湯又は塩素で消毒しましょう。
3.やっつける=中心部まで十分加熱する!
ノロウイルスは、85~90度で90秒以上加熱すると死滅します。
汚染されている可能性のある二枚貝などの食品は、中心部までしっかり加熱しましょう。
4.ひろげない=定期的な消毒・清掃、汚物の適切な処理!
- 調理する場所、トイレ等は定期的に清掃・消毒をしましょう。
- おう吐物などの汚物は適切に処理しましょう。
(2)感染症の予防
ふん便、おう吐物の処理に注意する
- 床や衣類付着した場合は、すぐに塩素系漂白剤で消毒する。
- 使い捨てのマスクや手袋を身につけ、直接触らない。
- おむつ、使ったマスク、手袋等はすぐに密封して捨てる。
手洗い、うがいをする
- 汚物の片づけが終わったらよく手を洗い、うがいをする。