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群馬県棚田地域振興計画の策定について

更新日:2020年12月22日 印刷ページ表示

 貴重な国民的財産である棚田を保全し、棚田地域の有する多面にわたる機能の維持増進を図り、もって棚田地域の持続的発展及び国民生活の安定向上に寄与することを目的として制定された「棚田地域振興法」(令和元年8月16日施行)第6条第1項に基づき、「群馬県棚田地域振興計画」を策定しました。

群馬県棚田地域振興計画(PDFファイル:240KB)

第1 棚田地域の振興の目標

 群馬県の棚田地域においては、人口減少や高齢化の進展等により担い手が減少し、耕作放棄される棚田が増加している。一方で、棚田オーナー制度や交流イベントの開催による棚田保全や美しい棚田の景観を利用した観光の促進に取り組む地域があるなど、棚田は地域振興の核となる大きな可能性を有している。
本計画は、貴重な国民的財産である棚田を保全することにより、農産物の供給のみにとどまらず,様々な多面的機能の維持・発揮を促進するとともに、観光や都市農村交流等の取組を通じた交流人口の増加など、棚田を核とした棚田地域の振興を図ることを目標とする。なお、本計画に基づき棚田地域の振興を図るにあたっては、地域振興に関連する各計画との調和を保つこととする。

第2 棚田地域の振興に関し、総合的かつ計画的に講ずべき施策

1 棚田地域の振興に関連する施策の活用

 棚田地域の振興にあたっては、以下の関連施策を総合的かつ計画的に活用していくものとする。

(1)移住・定住の促進や「関係人口」の創出・拡大に資する施策

 都市住民や若者などの移住・定住を促進し、棚田の保全の新たな担い手とするため、「地域おこし協力隊」等の制度を一層活用して、地域の魅力発信による関係人口の創出・拡大に取り組んでいく。さらには、空き家の利活用の促進や起業支援などを通じて、移住・定住者が安心して生活できるような環境を整備する。

(2)農山漁村体験や自然体験学習等、農村交流・体験の推進に資する施策

 棚田地域においては、教育活動の一環として、児童・生徒の宿泊体験や自然体験学習等のイベントが多く開催されている。しかし、イベント開催経費や参加者の交通費などが大きな負担となっていることから、負担軽減を図るため、農村交流・体験の推進に資する施策の活用を図る。

(3)歴史的価値の高い文化的景観等、文化財の保護・活用に資する施策

 多くの棚田は美しい景観を誇り、文化財としても貴重な価値を有している。棚田の美しい景観を維持するため、文化的景観や文化財等を保護・活用する施策の活用を図る。

(4)農業生産活動、農産物の加工・販売の促進等に資する施策

 農業の担い手の減少に伴い、耕作放棄される棚田も増えていることから、棚田の保全を図るため、棚田を含む中山間地域等における農業生産活動の継続を支援する中山間地域等直接支払制度、農業生産活動を支える生産基盤の整備等に資する施策の活用を図る。さらに、棚田で生産される棚田米を含む農作物については、ブランド化や加工・販売の促進等に資する施策を通じて、農業所得の向上や地域の活性化を図っていく。

(5)国土保全や地域社会の維持・活性化に資する施策

 棚田地域は、平地に比べ、地すべりがおこりやすい地域であり、山腹に形成される棚田の保全を図るため、地すべり防止等の国土保全に関する施策の活用を図る。また、多くの棚田地域においては、集落機能、地域のネットワークが弱体化していることから、地域の集落維持など地域社会の維持・活性化に資する施策の活用を図る。

(6)観光資源の魅力向上等、観光の促進に資する施策

 多くの棚田地域においては観光資源として大きな魅力を有していることから、地域の観光資源のさらなる魅力向上や観光業の人材育成・担い手づくりに資する施策の活用を図る。また、観光の促進に向けて、農家民宿や空き家の利活用、体験プログラムの開発等による農泊の推進に資する施策を通じて、観光客の受入体制を整備する。

(7)自然環境の保全・活用、鳥獣被害対策等に資する施策

 棚田地域は、多様な自然環境を有しており、観光資源としても魅力的であることから、棚田地域における自然体験イベントやエコツーリズムの推進など自然環境の保全・活用に資する施策の活用を図る。また、多くの棚田地域は深刻な鳥獣被害を抱えていることから、侵入防止柵や檻の設置、鳥獣被害対策に資する施策の活用を図る。

 県においては、各府省庁の制度や仕組みについて十分に情報収集・把握し、その積極的な活用を図るとともに、棚田地域振興コンシェルジュとも連携を図りながら、市町村や協議会等に対して徹底した情報提供を行うものとする。

2 群馬県独自の支援施策

 棚田地域の多面的機能の良好な発揮と、都市住民等を交えた継続的な地域住民の活動の活性化による棚田地域全体の振興を図るため、「中山間ふるさと・水と土保全推進事業(棚田基金)」や「中山間ふるさと・水と土保全対策事業(ふる水基金)」等の活用により、下記の事業を実施する。

(1)棚田(畑)保全活動事業

 棚田地域のもつ緑豊かな農村景観を将来に引き継ぐことを目的とし、地域住民が組織する協定書に基づき行う、棚田(畑)地域の農地や土地改良施設、農村景観の維持・保全活動に対して支援する。

(2)群馬県やま・さと応縁隊活動調査

 大学生の若い豊かな視点から、棚田地域を含む中山間地域の地域資源を再評価し、地域住民との交流活動を通じ、農業生産活動の継続に向けた地域資源の発掘や新たなメニュー提案等、集落の特色を活かした活性化への道筋を探るための活動調査を実施する。

(3)グリーン・ツーリズム、農泊の活動推進事業

 棚田地域を含む県内のグリーン・ツーリズムや農泊の取組を推進するため、ホームページやパンフレット等を活用した広報宣伝、イベント等による理解促進、研修会の開催による人材育成や体験・交流プログラムづくり等の受入体制の整備を図る。

(4)棚田のPR

 棚田のもつ多彩な魅力の発信や棚田の維持保全に関する取組への理解向上を図るため、県ホームページによる情報提供や棚田カードの作成・配布を推進する。

(5)小規模農村整備事業

 農業・農村が有する多面的機能の発揮による地域農業の持続的発展と農村振興を図るため、市町村・土地改良区等が実施する小規模な農業生産基盤整備や農村の生活環境整備を支援する。特に、棚田地域を含む農村地域の多様なニーズに対応した、きめ細やかな整備を行う。

3 群馬県における推進体制

(1)群馬県棚田地域振興連絡会議の設置

 棚田地域に対して分野横断的・総合的な支援ができるよう、地方創生、農林、観光、文化、教育、環境等の部局の職員から構成される「群馬県棚田地域振興連絡会議」(以下、「連絡会議」という。)」を設置し、棚田地域の振興に関する情報共有や連絡調整を行うなど、関係部局間で十分な連携を図ることとする。なお、指定棚田地域の指定申請の判断等については、連絡会議で行うこととする。

(2)棚田地域の振興に関するワンストップ化

 指定棚田地域の申請や指定棚田地域振興活動計画の認定申請協議など、棚田地域の振興に関する窓口については、農政部が担うこととし、一元的に相談・協議等ができる体制を構築する。

4 棚田地域に関する情報の周知徹底

 交流人口・関係人口の増加を図るため、棚田地域における先進的・モデル的事例等、県内の棚田地域に関する情報については、国と積極的に連携を図り、幅広く周知していく。

第3 棚田地域の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

1 指定棚田地域の指定申請に関する基本的考え方

 指定棚田地域の指定申請にあたっては、国の基本方針に定められた以下の指定基準に従い、関係市町村等とも綿密に連携しながら、選定することとする。

(1)棚田等の保全を図るため、当該棚田地域の振興のための措置を講ずることが適当であると認められる

ア 棚田地域の振興を図る必要性が高いこと

 人口の減少、高齢化の進展等の社会・経済情勢の変化により、棚田が荒廃の危機に直面していると認められること

イ 棚田の多面にわたる機能の維持及び促進が期待できること

 農産物の供給、国土の保全、水源の涵養、生物多様性の確保その他の自然環境の保全、良好な景観の形成、伝統文化の継承等多面にわたる機能に優れた棚田があり、その保全及び多面にわたる機能の発揮の促進が図られること

(2)当該棚田地域に係る棚田地域活動が円滑かつ確実に実施されると見込まれる棚田地域

 棚田地域の振興及び棚田等の保全を推進する既存の組織が存在する、又はそのような組織が構築される見込みが高いこと

 なお、指定申請を行わなかった棚田地域についても、「中山間地域等直接支払交付金」や「中山間ふるさと・水と土保全対策事業(ふる水基金)」、「中山間ふるさと・水と土保全推進事業(棚田基金)」等を活用しながら、棚田地域全体の振興を図っていくものとする。