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台風19号に対する農作物の技術対策

令和元年10月10日
技術支援課普及指導室

 大型で猛烈な台風第19号は、10日3時には硫黄島の南南西にあって、1時間におよそ10キロの速さで北へ進んでいます。中心の気圧は915ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は55メートル、最大瞬間風速は75メートルで、中心から半径240キロ以内では、風速25メートル以上の暴風となっています。
 台風は、日本の南を北北西に進み、次第に進路を北東に変えて、非常に強い勢力を保ったまま、12日から13日にかけて、西日本から東日本に接近し、上陸するおそれがあります。
 本県への影響も十分考えられますので、今後も最新の台風情報を随時ご確認ください。

1 共通事項

  • 事故防止の観点から、台風接近時のほ場見回りは避け、大雨や強風が収まってから行うこと。
  • 局地的な大雨が予想され、ほ場が冠水する恐れもあるので、速やかに排水ができるように備えること。これまで浸冠水したことのある地域については、前例を参考にして重点的な対応を図ること。
  • 河川及び用水の増水並びに土砂災害の恐れがあるところでは、作業の安全確保を第一としつつ、適切に対応すること。
  • 薬剤散布にあたっては、農薬ラベルに記載されている使用基準や注意事項を必ず守り、正しく使用すること。

2 普通作物

1 水稲

事前対策

  • 既に成熟期となっており、収穫可能な場合は、台風接近前に収穫する。
  • 大雨に対応できるよう、用排水路の点検・補修整備を行う。

事後対策

  • 冠水時や土砂が流入した場合は、速やかな排水、排出を図る。
  • 倒伏した場合は、速やかに排水し、成熟状況を見極めて早めに収穫する。成熟期まで期間がある場合は、できる限り株を引き起こし、穂が水面や田面に接触しないようにする。収穫期に穂発芽等の品質低下が認められる場合は、刈り分けを行う。

2 大豆

事前対策

  • 水田では用排水路の点検・補修整備を行い、ほ場への水や土砂の流入を防止する。また、ほ場内に排水溝を整備するなどの対策を講じておく。

事後対策

  • 冠水及び滞水したほ場は、速やかに排水し、根の機能回復を図る。

3 工芸作物

1 タラノキ

事前対策

  • 倒伏が予想される風当たりの強いほ場では、予め杭とロープ等で固定する。
  • 土砂の流出入防止のために排水溝の手直しを行うとともに、必要に応じて土のうなどを設置する。

事後対策

  • 強風による倒伏は、新梢が屈曲しないうちにできるだけ早めに手直しする。
  • 滞水、土砂の流入があった場合は、湿害の発生を防止するため速やかに排水させる。

4 畜産

1 飼料作物

事前対策

  • 降雨により、草地や飼料畑に水や土砂が流入する恐れがある場合は、防水や排水対策を実施する。
  • 飼料イネ・飼料用米については、水稲の項を参照のこと。

事後対策

ア 飼料用トウモロコシ
  • ほ場に滞水している場合は、速やかに排水溝を設けて排水を行い、湿害による生育不良を最小限にくい止める。
  • 倒伏及び茎の損傷等が著しく回復が期待できない場合は、青刈り利用またはサイレージ利用とする。
  • 倒伏したものを青刈り利用する場合は、飼料給与に注意を払う。若刈りのものを一度に多量給与する事は避け、乾草等を併用しながら給与量を調節する。また、サイレージとして詰め込む場合は、発酵品質改善のために乳酸菌、糖蜜、ふすま等を添加して品質向上に努める。刈り取りに際しては、土砂等の夾雑物の混入を極力避ける。
イ 牧草類
  • 台風の風による被害は比較的少ないものと考えられるが、生育が進み草丈が伸びているものは倒伏が心配される。この場合は速やかに刈り取りを行い、茎葉の汚染状況を見ながら利用する。
ウ 飼料イネ・飼料用米
  • 水稲の項を参照する。

2 家畜、畜舎及び付属施設の風雨対策

事前対策

  • 畜舎への風雨被害を防止するため、屋根、窓や入り口の点検を行い、必要があれば補修や補強等を実施する。雨や風が畜舎内に吹き込まないように戸締まりを行う。
  • 堆肥舎やハウスかく拌処理施設への風雨被害を防止するため、施設の事前点検を実施し、窓や入口は戸締まりを行う。雨水の施設内への流入や汚水が流出しないよう施設及び排せつ物の管理を適正に行う。
  • 飼料庫、農業機械・器具格納庫は、風雨被害を防止するため点検を行い、必要があれば補修や補強を実施する。飼料、農業機械・器具は雨にさらされないよう管理する。

事後対策

  • 雨が畜舎内に吹き込んだ場合は、敷料等の交換を行って畜舎内を乾燥状態に保つ。
  • 雨に当たり飼料養分の低下した飼料作物を給与する場合は、栄養価、嗜好性に配慮し、家畜の生産性が低下しないように注意する。

5 野菜

(1)事前対策

  • ハウスの被覆などで傷んでいる箇所は、風雨が吹き込むので修復しておく。また、緩んでいるマイカー線の張り直しや基礎の杭等の補強を行う。
  • 雨水がたまりやすいほ場は、事前に排水溝を掘っておく。また、ハウス内に雨水が流入しないように土のう積み等の防水対策を図る。
  • 露地野菜の支柱や誘引線、ほ場まわりの防風網はあらかじめ補強しておく。
  • 果菜類等で収穫期に達しているものは、やや早めに収穫し、被害を最小限に抑える。
  • ほ場周辺で飛ばされる恐れがあるものは片付けておく。

(2)事後対策

  • ハウス施設やほ場に浸水した場合は、速やかに排水溝を掘り排水に努める。
  • ハウスや支柱・防風網を点検して、損傷箇所があれば早めに補修する。
  • 茎葉の損傷、湿度の高まりにより、病害の発生が助長されるので適用農薬を散布する。使用方法をよく確認して使用時期の収穫前日数に注意する。
  • 天候回復後、草勢回復のために追肥の施用や液肥の葉面散布を行う。
  • 排水後土壌表面が固結しているほ場では、土壌が乾燥しほ場に入ることが可能になったら土壌表面を浅く中耕する。
  • 果菜類で被害を受けた果実は摘果して草勢回復を図る。
  • 倒伏した果菜類の株は可能な限り起こすとともに支柱や誘引線への誘引を行う。また、ネギが倒伏した場合はできるだけ起こし、軟白部が曲がるのを防ぐ。
  • 台風通過後は吹き返しの強風に充分注意する。
  • ハウス施設では、台風通過後に天気が急激に回復すると、ハウス内が高温となるので、天窓やサイド換気を速やかに行う。また、遮光ネットの利用や葉水を行い強光による葉焼けやしおれを防止する。

6 果樹

(1)事前対策

  • 多目的防災網や防風ネットの緩んでいるワイヤーや紐は張り直し、ずれたり飛ばされないように補強する。また、防災網や防風ネットの破れている部分は補修する。
  • トレリスは、隅柱と中柱の横ぶれや架線の張り等を点検し、必要に応じて締め直す。
  • ブドウ等の雨除け施設は、ビニールが飛ばされないように補強するか、場合によっては除去する。
  • 幼木やわい性台リンゴ樹は、支柱や添え木を補強し、倒伏や樹体の損傷、落果を防止する。
  • モモ等の立木性果樹では、主枝や亜主枝等の太枝が折損しないよう支柱で固定する。
  • 高接ぎした樹では、接いだ部分から折れやすいので添え木をする。
  • 園内に水が溜まらないように排水溝を掘る等、十分な排水対策を行う。
  • 収穫が可能な果実については、台風接近前に収穫しておく。

(2)事後対策

  • 果実のすり傷、葉の裂傷等から病害発生のおそれがある場合は、速やかに適用薬剤を散布する。なお、薬剤散布にあたっては使用基準を厳守する。
  • 浸水、滞水している園では、速やかに排水溝を掘るなど排水に努める。
  • 倒伏や傾いた樹は、出来るだけ早く起こして盛土と支柱で固定し、かん水やマルチを行って新根の発生を促す。
  • 太枝が裂けた場合は、針金やボルト等で固定する。回復不能な場合は切り落とし、切り口に塗布剤を塗る。
  • 枝の損傷や落葉が甚だしい樹では、果実肥大や品質が低下するので再度着果数の見直しを行う。
  • 落葉が激しい場合は、幹や太枝に石灰乳等の白塗剤を塗布し、日焼けを防止する。
  • 樹勢回復のための追肥は、被害直後には行わず、樹勢に応じて施用する。

7 花き

(1)事前対策

  • 雨水のたまりやすいほ場では、周囲に排水溝を掘り排水に努める。また、ハウス内に雨水が流入しないように、土のう積み等の防水対策を図る。
  • ハウスの被覆資材など傷んでいる箇所は、風雨が吹き込むので修復しておく。また、緩んでいるマイカー線の張り直しや基礎の杭等の補強を行う。
  • 倒伏しやすいキク等の切り花類では、十分土寄せを行いネットや支柱を補強しておく。

(2)事後対策

  • 冠水、浸水したほ場では、速やかに排水に努めるとともに、肥培管理を的確に行い生育の回復に努める。
  • ハウスや支柱等栽培施設を点検して、損傷箇所があれば早めに補修する。キクなどの電照施設においては、速やかに作動状況の点検を行い、電照処理等が確実に行われるよう確認する。
  • 茎葉に付着した土砂は動力噴霧機等で洗い流し、生育促進を図る。
  • 切り花類等で株元が土砂で埋まって深植え状態になったものは、速やかに土砂を取り除き天候の回復を待って浅く中耕する。
  • 切り花類の倒伏したものは、できるだけ早く起こし茎や花穂の曲がりを防ぐ。
  • 枝物類・切り花類は、強風によって折損した茎葉の整理と薬剤散布を的確に行い病害の発生を防止する。
  • 台風通過後は吹き返しの強風に充分注意する。
  • ハウス施設では、台風通過後に天気が急激に回復すると、ハウス内が高温となるので、天窓やサイド換気を速やかに行う。また、遮光ネットなどを利用し、強光による葉焼けやしおれを防止する。

8 養蚕

(1)事前対策

  • 蚕室への風雨被害を防止するため、屋根、窓や入り口の点検を行い、必要があれば補修や補強等を実施する。雨や風が蚕室内に吹き込まないように戸締まりを行う。
  • パイプハウス等の簡易飼育室は、補強・破損箇所の補修等を行い、風で飛ばされないよう対処する。
  • 過去に浸水・冠水被害を受けた桑園は排水溝を掘る等の十分な排水対策を行う。

(2)事後対策

  • 飼育中の蚕室は、通風換気に注意して蚕座内環境の適正化に努める。
  • 飼育に使用する桑葉が損傷している場合は、葉質低下が早いので長期保存を避けるとともに、冷所での保存を心がける。また、1回あたりの給桑量を少なくして給桑回数を増やして飼育する。
  • 浸冠水の被害を受けた桑園は、速やかに排水を図るとともに、病害虫の発生原因となる冠水した条桑は伐採して適正に廃棄する。
  • 新植した桑の倒木は、早急に起こして根回りに土寄せして固定する。

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