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よくある質問~労働組合~
Q&A一覧
1 労働組合の設立について
Q(質問)1-1 労働組合を設立するためには、行政機関への届出や認可が必要ですか?また、労働委員会の資格審査を受ける必要がありますか?
Q(質問)1-2 既に会社内に労働組合がありますが、それとは別に新しい労働組合を立ち上げたいときには、既存の労働組合を解散させる必要がありますか?
2 使用者と労働組合の「協約」
Q(質問)2-1 労働協約と就業規則が矛盾している場合、どちらが優先されますか?
Q(質問)2-2 使用者が労働協約に違反した場合、不当労働行為になりますか?
Q(質問)2-3 組合とユニオンショップ協定を結んでいます。組合を脱退した従業員は、解雇しなければならないのでしょうか?
3 組合内部の手続き
Q(質問)3-1 労働組合に脱退したいと伝えたのに、脱退させないと言われました。不当だと思うのですが、労働委員会から指導をしてもらえますか?
4 団体交渉に応じる義務
Q(質問)4-1 労働組合から団体交渉を申し入れられた場合に、既に裁判を行っていることや、これから行う予定であることを理由に団体交渉を断ることができますか?
Q(質問)4-2 労働組合が希望する団体交渉の開催場所が遠方であった場合、そのことを理由に団体交渉を断ることができますか?また、開催場所の変更を会社から要求することはできますか?
Q(質問)4-3 社内に複数の労働組合があり、最も組合員数の多い組合と妥結しているならば、他の労働組合との団体交渉を断ることができますか?
Q(質問)4-4 組合員の雇い止め等、組合員個人に関する事項について団体交渉の申入れがあった場合にも、団体交渉に応じる義務があるのですか?
Q(質問)4-5 社外の労働組合からの団体交渉の要求にも応じる必要がありますか?
Q(質問)4-6 合同労働組合からの団体交渉の申入れがありました。当社従業員は1名だけが加入しているようですが、この合同労働組合は、労働組合法第7条第2号の「労働者の代表」といえますか?
Q(質問)4-7 一度団体交渉に応じると、その後もずっと団体交渉に応じなければならなくなるのですか?
5 団体交渉での対応
Q(質問)5-1 団体交渉の中で、労働組合から会社の経営に関して説明するよう要求されました。説明する義務はあるのですか?
Q(質問)5-2 団体交渉の要求事項について、会社から、その詳細について質問することは可能ですか?
Q(質問)5-3 団体交渉に応じた以上は、労働組合の要求には応じなければならないのですか?
6 団体交渉以外の組合活動とその対応
Q(質問)6-1 新しく労働組合を立ち上げました。会社に対して、既存の労働組合と同様に事務所用のスペースの貸与を求めましたが、断られてしまいました。仕方がないのでしょうか?
Q(質問)6-2 会社の労働組合への対応が、不当労働行為であると考えています。労働委員会から指導をしてもらえますか?
7 不当労働行為救済の申立てについて
Q(質問)7-1 現時点ではまだはっきりとしていないのですが、将来、会社が不当労働行為をする疑いがあります。予防的に救済申立てをすることができますか?
1 労働組合の設立について
Q(質問)1-1 労働組合を設立するためには、行政機関への届出や認可が必要ですか?また、労働委員会の資格審査を受ける必要がありますか?
A(回答)1-1
法律上、設立のための要件等の定めはなく、行政機関への届出等も不要で、資格審査を受ける必要もありません(任意団体設立と同様。)。ただし、不当労働行為の救済等、労働組合法の救済等を受けたい場合は、資格審査を受け、認定される必要があります。
Q(質問)1-2 既に会社内に労働組合がありますが、それとは別に新しい労働組合を立ち上げたいときには、既存の労働組合を解散させる必要がありますか?
A(回答)1-2
解散させる必要はありません。会社内に組合が複数存在していても問題はなく、複数の会社の従業員で構成することも可能です。
2 使用者と労働組合の「協約」
Q(質問)2-1 労働協約と就業規則が矛盾している場合、どちらが優先されますか?
A(回答)2-1
就業規則は、労働協約に反してはならないこととなっておりますので、労働協約の方が有利であればそちらが優先されます(参考:労働基準法第92条)。
Q(質問)2-2 用者が労働協約に違反した場合、不当労働行為になりますか?
A(回答)2-2
必ずしも不当労働行為になるわけではありません。協約締結に至るまでの交渉の経過とその成果を軽視し、組合を弱体化する行為となるか等を個々に判断することとなります。
Q(質問)2-3 組合とユニオンショップ協定を結んでいます。組合を脱退した従業員は、解雇しなければならないのでしょうか?
A(回答)2-3
会社には当該従業員を解雇する義務が生じます。ただし、別組合に加入した場合には、この義務はなくなり、ユニオンショップ協定に基づく解雇はできません。
3 組合内部の手続き
Q(質問)3-1 労働組合に脱退したいと伝えたのに、脱退させないと言われました。不当だと思うのですが、労働委員会から指導をしてもらえますか?
A(回答)3-1
組合への加入や脱退は原則自由ですので、組合の対応は不当なものである可能性があります(参考判例:最二小判平成19年2月2日)。ただし、当委員会には、労働組合に対する指導権限はありません。
なお、会社と組合との間でユニオンショップ協定を結んでいる場合(2-3参照)がありますので御留意ください。
4 団体交渉に応じる義務
Q(質問)4-1 労働組合から団体交渉を申し入れられた場合に、既に裁判を行っていることや、これから行う予定であることを理由に団体交渉を断ることができますか?
A(回答)4-1
団交と裁判は役割が異なるため、裁判を行っていることで団交を拒否する正当な理由にはなりません(参考判例:最三小判昭和61年7月15日)。なお、裁判を受けていることを組合への説得の材料とすること自体は問題はありません。
Q(質問)4-2 労働組合が希望する団体交渉の開催場所が遠方であった場合、そのことを理由に団体交渉を断ることができますか?また、開催場所の変更を会社から要求することはできますか?
A(回答)4-2
一概に言えませんが、会社が会社所在地での開催に固執し、団交に応じなかった場合で、不当労働行為と判断された例はあります(参考命令:中労委命令平成22年3月31日)。変更の要求自体は可能ですが、不合理な条件を押し付けようとすると、実質的な団体交渉の拒否となり得るので注意が必要です。
Q(質問)4-3 社内に複数の労働組合があり、最も組合員数の多い組合と妥結しているならば、他の労働組合との団体交渉を断ることができますか??
A(回答)4-3
単に多数組合と妥結したというだけでは、団体交渉そのものを拒否する正当な理由とはなりません。少なくとも当該妥結結果を誠実に説明する義務があると思われます。「唯一交渉団体約款」等があっても、その約款が無効になると考えられます(参考命令:中労委命令昭和56年11月18日。参考通ちょう:昭和25年5月13日労発第157号)。
Q(質問)4-4 組合員の雇い止め等、組合員個人に関する事項について団体交渉の申入れがあった場合にも、団体交渉に応じる義務があるのですか?
A(回答)4-4
個別的事項であっても応諾義務は生じます。個々の組合員の労働条件を守ることも正当な組合活動であると考えられます(参考判例:最三小判昭和61年7月15日)。
Q(質問)4-5 社外の労働組合からの団体交渉の要求にも応じる必要がありますか?
A(回答)4-5
従業員が加入する労働組合であれば、社内、社外に関係なく、労働組合法上の団交応諾義務が発生します(参考通ちょう:昭和25年5月8日 労発第153号)。
Q(質問)4-6 合同労働組合からの団体交渉の申入れがありました。当社従業員は1名だけが加入しているようですが、この合同労働組合は、労働組合法第7条第2号の「労働者の代表」といえますか?
A(回答)4-6
原則としていえると解されています。
Q(質問)4-7 一度団体交渉に応じると、その後もずっと団体交渉に応じなければならなくなるのですか?
A(回答)4-7
原則として、使用者には団体交渉に応じる義務があります。ただし、誠実に交渉し、両者ともに、これ以上譲歩する余地がなくなった、交渉の「行き詰まり」等の場合には、その団交要求には応じる義務はない(既に義務は果たした)と判断できる可能性があります(参考判例:最二小判平成4年2月14日)。
5 団体交渉への対応
Q(質問)5-1 団体交渉の中で、労働組合から会社の経営に関して説明するよう要求されました。説明する義務はあるのですか?
A(回答)5-1
原則として、会社の経営事項を説明する義務はありません。ただし、当該経営事項を知らなければ、労働条件についての交渉に支障が出る等の事情があれば、説明する義務が生じ得ます。
Q(質問)5-2 団体交渉の要求事項について、会社から、その詳細について質問することは可能ですか?
A(回答)5-2
質問は可能です。むしろ誠実に回答するためにも必要な質問は行うべきと考えられます。
Q(質問)5-3 団体交渉に応じた以上は、労働組合の要求には応じなければならないのですか?
A(回答)5-3
誠実に交渉した結果、組合の要求に応じられないとの結論になったとしても、それは違法ではありません。団体交渉応諾義務は、あくまでも誠実に団体交渉を行う義務です。
6 団体交渉以外の組合活動とその対応
Q(質問)6-1 新しく労働組合を立ち上げました。会社に対して、既存の労働組合と同様に事務所用のスペースの貸与を求めましたが、断られてしまいました。仕方がないのでしょうか?
A(回答)6-1
合理的な理由がないならば、組合差別となり、労働組合法違反の可能性があります(参考判例:最二小判昭和62年5月8日)。会社に貸与ができない理由をよく確認するべきです。
Q(質問)6-2 会社の労働組合への対応が、不当労働行為であると考えています。労働委員会から指導をしてもらえますか?
A(回答)6-2
労働委員会には指導権限がありません。不当労働行為か否かは審査を経て判断することになるので、そのような状況が考えられる場合は、救済申立てを行ってください。
7 不当労働行為救済申立ての手続きについて
Q(質問)7-1 現時点ではまだはっきりとしていないのですが、将来、会社が不当労働行為をする疑いがあります。予防的に救済申立てをすることができますか?
A(回答)7-1
救済申立ては、現実に行われた行為について判断をするものなので、予防的な申立てはできません。不当労働行為とまではいえないまでも、会社の行為に不満があるのならば、あっせん制度の利用を検討されてはいかがでしょうか。
労働委員会のあっせん制度はこちら(該当ページへ)