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ニホンジカにおける捕獲実証試験

企画・自然環境係 坂庭 浩之

1 はじめに

GPS首輪によるシカ行動把握調査の研究から、シカの行動圏の特性が把握されたことから、実際に効率的に捕獲する方法について研究を行いました。シカを効率的に捕獲するため、餌による集合化を行い確実に捕獲する手法の確立を研究の目的としました。

2 結果と考察

(1)餌による誘引と行動圏の関係

 シカを誘引し集合化させるため、8種の餌を使いシカの誘引特性の比較を行いました。入手性、価格、シカ誘引力、タヌキなどへの誘引力等を総合的に判断し、乳牛用配合飼料、鉱塩、ヘイキューブが誘引餌として良好であると評価されました(表)。
 誘引餌に集まったシカを捕獲しGPS首輪を装着しその行動を分析したところ、誘引餌場を繰り返し利用するような行動が確認されました(図-1)。捕獲されたことによりその場所を忌避することなく、繰り返し同じ餌場を利用することから、配合飼料は強い誘引力を持つことが改めて確認されました。また、誘引餌は遠くのシカを誘引するものではなく、本来のシカの行動圏の中に餌があることで、そこの場所の利用頻度が上がることによりシカが集合化すると考えられました。 

表 餌の選択性
種類 入手性 単価 取扱性 保存性 シカ誘引力 キツネタヌキ誘引力 給餌方法 誘引餌としての良否
配合飼料 2 2 2 2 パイプ給餌器 2
鉱塩 2 2 2 2(季節依存) なし 地面 1
ヘイキューブ 2 2 2 2(季節依存) なし パイプ給餌器 2
草食獣用飼料 3 2 2 2 自動給餌器 3
トウモロコシ 2 2 2 3 自動給餌器(詰まる) 3
ふすま 2 3 3 3 地面(腐敗) 3
こぬか 2 3 3 3 地面(腐敗) 3
乾草 2 3 3 2(季節依存) なし 地面 3

凡例: 1非常に良い 2良い 3悪い

(2)効率的な誘引捕獲技術の確立

 餌によりシカを集合化することが確認されたことから、そこでの捕獲試験を行いました。パイプ給餌器による給餌は配合飼料とヘイキューブを用い、鉱塩は地面に置く方法としました。くくりわなをパイプ給餌器の足下に1器(図-2)、鉱塩ではその両脇に各1器(図-3)を設置しました。捕獲結果は、わなの動作不良などを除くと、77.3パーセント(1.29日/頭)、61.6パーセント(1.62日/頭)で捕獲されることが確認されました。動作不良などが発生する事で捕り逃がしもあり、捕り逃が発生しにくい構造のわな(高性能くくりわな)を市販品の中から選択することで、捕獲成功率の向上が可能となりより低コストな捕獲が可能となります。
 なお、捕獲効率は次式により算出

捕獲効率(パーセント)=捕獲頭数/わな設置日数×100

(3)捕獲通報装置の開発

 効率的な捕獲ができることで、捕獲に係る経費を低廉化できますが、更に低コスト化を図るため、わなの巡回が不要となる捕獲通報装置を開発しました。
 使用する機材は一般に入手可能なもの(機種 TR-313/国内販売 GISupply社製造 GlobalSat社)に3Dプリンターによるハウジング等を製作し、防水ケースに収めました。これにより、捕獲した情報がスマホやパソコンで確認できることになりました。

3 まとめ

 シカの行動把握から効率的な捕獲技術の確立まで研究した結果、非常に効率の良い捕獲技術を確立しました。鉱塩誘引と性能くくりわなによる定点捕獲で、特定の場所の密度を減らすことが可能になります。また、捕獲通報装置を組み合わせることでわなの見回りが省略でき、捕獲作業全体の低コスト化が図れます。

図1餌と行動圏画像
図1餌と行動圏
図2パイプ給餌器画像
図2パイプ給餌器
図3鉱塩とわな画像
図3鉱塩とわな
図4捕獲通報装置写真
図4捕獲通報装置

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