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病害虫発生予察情報 第4号(令和2年7月予報)

予報の概要

予報の概要一覧
作物名 病害虫名 対象地域名 発生時期 発生量
イネ 葉いもち 早期栽培地域   やや多
早植栽培地域 やや多
普通期栽培地域
紋枯病 早期・早植栽培地域 やや多
縞葉枯病 感受性品種栽培地域   やや多
イチモンジセセリ
第2世代幼虫
(イネツトムシ)
栽培地帯全域  
ツマグロヨコバイ 栽培地帯全域  
フタオビコヤガ(イネアオムシ) 栽培地帯全域   やや少
果樹全般 カメムシ類(チャバネアオカメムシ) 栽培地域全域  
ハダニ類 栽培地域全域  
リンゴ 斑点落葉病 栽培地帯全域  
炭疽病 栽培地帯全域
スモモヒメシンクイ 栽培地帯全域   やや多
ナシ 黒星病 栽培地帯全域  
ナシヒメシンクイ 栽培地帯全域  
ダイズ
野菜類
花き類
ハスモンヨトウ 平坦地域  
野菜類
花き類
オオタバコガ 栽培地帯全域   やや多
野菜類 軟腐病 栽培地帯全域   やや多
キャベツ コナガ 高冷地栽培地域   やや多
タマナギンウワバ 高冷地栽培地域   やや多
夏秋ナス ハダニ類 栽培地帯全域  
アザミウマ類 栽培地帯全域  
ネギ ネギアザミウマ 栽培地帯全域  
シロイチモジヨトウ 栽培地帯全域  

※ 発生時期の空欄は、連続発生を意味する。

主な病害虫の発生予報

1 イネ

葉いもち

発生地域

発生時期 発生量
早期栽培地域   やや多
早植栽培地域 やや多
普通期栽培地域

1 予報の根拠

  1. 現在までの発生量は平年並だが、BLASTAM(アメダスデ-タを利用した葉いもち発生予察モデル)の結果、アメダス観測地点における感染好適日の出現が、6月13日~20日までの間に多く、連続的に見られている。6月1日以降の出現日の合計は、一部の地点を除き平年よりも多い(表)。
  2. 向こう1か月の気象予報(7月2日発表)によると、平年と同様に期間の前半は曇りや雨の日が多く、期間の後半は、晴れの日が多い見込みである。平均気温は、高い確率70%、降水量は平年並の確率40%である。

《発生しやすい条件:平均気温19~25度で、降雨頻度が高く、多湿である場合。夜間の風が弱く、朝露の乾きが遅い場合。イネが軟弱徒長気味で葉色が濃い場合。》

2 防除上注意すべき事項

  1. 今後、いもち病が発生しやすい気象が予報されているので、特にイネの葉色が濃い場所や水口等、いもち病が発生しやすい箇所をよく観察し、早期発見に努める。
  2. 発生を認めたら直ちに薬剤散布を行う。
  3. 補植用等の取り置き苗は発生源になりやすいので、すみやかに処分する。
  4. 農業技術センターでは、7月中旬に県内37地点においていもち病発生状況調査を行う予定であるため、今後の情報にも十分注意する。
表 BLASTAMによる葉いもちの感染好適条件の地域別の平均出現回数(6月1日~7月1日)
  沼田 中之条 前橋 桐生 上里見 伊勢崎 西野牧 館林 神流
本年値 5 3 6 4 11 5 3 2 1
平年値 1.0 1.3 2.0 2.3 3.0 2.0 2.7 2.7 1.7

注)BLASTAMは、アメダスデータから葉いもちに感染しやすい日(感染好適条件日)を予測するシステムである。

 平年値は直近3か年の平均値。

紋枯病
発生地域 発生時期 発生量
早期・早植栽培地域   やや多

1 予報の根拠

  1. 前年の発生量は平年並からやや多い。
  2. 向こう1か月の気象予報(7月2日発表)によると、平年と同様に期間の前半は曇りや雨の日が多く、期間の後半は、晴れの日が多い見込みである。平均気温は、高い確率70%、降水量は平年並の確率40%である。

《発生しやすい条件:前年の発生量が多い場合。高温(適温28~32度)、多湿、多肥栽培で生育が旺盛な場合。》

2 防除上注意すべき事項

  1. 薬剤防除は株元まで到達するように散布する。
  2. 今後発生しやすい気象が予想されているので、早期発見、適期防除に努める。
  3. 特に昨年発生が多かったほ場では、前年のイネで形成された菌核が圃場にとどまり次作の伝染源となり発生しやすい条件となるため注意する。
縞葉枯病
発生地域 発生時期 発生量
感受性品種栽培地域   やや多

1 予報の根拠

  1. 令和2年2月~3月に採取したヒメトビウンカ越冬世代幼虫のイネ縞葉枯ウイルス(RSV)保毒虫率の県平均は4.3%で、過去10年の平均値2.9%を上回ったが、平成25年度調査以降4%前後で横ばい傾向となっている(令和2年3月18日発表 発生予察情報)。
  2. 5月4半旬に県内11地点(定点)で行った麦類作付ほ場におけるすくい取り調査の結果、2地点で平年よりも多かったが、9地点では平年並か平年より少なかった(令和2年5月27日発表 発生予察情報)。
  3. RSV保毒虫率、5月4半旬のヒメトビウンカの発生量ともに昨年と同じ傾向であり、昨年のイネ縞葉枯病の発生は、平年に比べやや多かった。
  4. 予察灯におけるヒメトビウンカの誘殺数は、4地点中1地点で平年を上回った。

《発生しやすい条件:ヒメトビウンカのRSV保毒虫率が高く、ヒメトビウンカの発生量が多い場合。》

2 防除上注意すべき事項

  1. イネ縞葉枯病感受性品種(コシヒカリ、ひとめぼれなど)を作付するほ場や、本病の発生が多く見られるほ場では、本田散布によりヒメトビウンカの防除を行う。
  2. 箱施用剤を使用したほ場で本田散布を行う場合は、同一系統の薬剤の連用を避ける。
  3. 発病株は伝染源となるので、早急に抜き取り処分する。

<コラム>-いもち病(葉いもち)とBLASTAM-

 BLASTAM(ブラスタム)は、アメダスデータから葉いもちに感染しやすい日(感染好適日)を予測する発生予察モデルです。

 葉いもちは感染してから発病(目に見える)まで約1週間かかります。
 そのため、BLASTAMで予測された感染しやすい日(感染好適日)の約1週間後が、葉いもちが発病したり増加したりする危険性が高まる日になります。その時期にほ場の見回りなど注意が必要になります。
 感染好適日が多かったり、連続したりすると葉いもちの発生が多くなることがあるので特に注意が必要です。

 ただし、実際の葉いもちの発生は、1.菌の量、2.イネの品種、3.薬剤防除の状況、4.ほ場条件などいくつもの要因が関与しています。
 そのため、BLASTAMの結果は、「感染好適日の約1週間後が危ないぞ!」という、葉いもち警戒の参考の1つとして活用します。

2 果樹全般

カメムシ類(チャバネアオカメムシ)
発生地域 発生時期 発生量
栽培地帯全域  

1 予報の根拠

  1. 1月に実施した越冬量調査では、越冬成虫の発生量は平年を上回った。
  2. 県内に設置したフェロモントラップについて、6月の誘殺数は7地点中6地点で平年を上回った。
  3. 沼田市に設置した果樹予察灯(水銀灯)について、6月の誘殺数は平年を上回った。
  4. ナシやリンゴ等の果樹園への飛来が報告されている。
  5. 環境省花粉観測システム(はなこさん)(外部リンク)によると、2~5月の前橋市のスギ花粉濃度は平年より低く、チャバネアオカメムシの餌であるスギ球果は平年より少ないと予想される。
  6. 向こう1か月の気象予報(7月2日発表)によると、平年と同様に期間の前半は曇りや雨の日が多く、期間の後半は、晴れの日が多い見込みである。平均気温は、高い確率70%、降水量は平年並の確率40%である。

《発生しやすい条件:越冬世代の発生量が多く、スギ・ヒノキ球果が少ない年は、果樹園への飛来数が多くなる。》

2 防除上注意すべき事項

  1. 果樹カメムシ類の飛来状況は園によって差があるので、園内をこまめに見回り早期発見に努め、飛来を認めたら早急に防除を行う。特に、夜間の最低気温が18度を超えると飛来する可能性が高いので注意する。
  2. カメムシ類は夜行性であるため、夕方や活動の鈍い早朝に薬剤散布を行うと効果的である。

3 リンゴ

スモモヒメシンクイ
発生地域 発生時期 発生量
栽培地帯全域   やや多

1 予報の根拠

  1. フェロモントラップによる越冬世代成虫の誘殺数は、4地点中3地点で平年を上回った。
  2. 向こう1か月の気象予報(7月2日発表)によると、平年と同様に期間の前半は曇りや雨の日が多く、期間の後半は、晴れの日が多い見込みである。平均気温は、高い確率70%、降水量は平年並の確率40%である。

《発生しやすい条件:気温が高いと世代間が短縮し発生回数が多くなり、被害が多くなる。》

2 防除上注意すべき事項

  1. 第2世代以降(7月下旬以降)では果実での被害が多くなり、世代数を重ねるほど虫の密度は高くなるため適期防除に努める。
  2. 8月~9月が高温乾燥傾向の年は、平年よりも遅い時期まで被害が続くことがあるので注意する。
  3. 薬剤散布は丁寧に行う。特にほ場の周縁部など薬液のかかりにくい部分に対しては、手散布などを行う。
  4. 被害果は放置せず、土中深くに埋めるなどの方法により適切に処分する。

4 野菜類・花き類

オオタバコガ
発生地域 発生時期 発生量
栽培地帯全域   やや多

1 予報の根拠

  1. 県内のフェロモントラップ調査では、越冬世代成虫の誘殺数が7地点中4地点で平年よりやや多く、第一世代成虫の増加がやや早い。
  2. 向こう1か月の気象予報(7月2日発表)によると、平年に比べて平均気温は高い確率70%、降水量は平年並の確率40%である。

《発生しやすい条件:高温、乾燥条件で多発する傾向があり、梅雨期に降雨が少ない年には発生が多くなる。》

2 防除上注意すべき事項

  1. 幼虫は生長点付近の茎葉・蕾・花・幼果に食入する。組織内に入り込まれてからでは防除が困難になるため、ほ場をよく見回り、幼虫は見つけしだい捕殺する。薬剤防除を行う場合は、発生初期に実施する。
  2. 施設開口部は防虫ネットで被覆し、成虫の侵入を防ぐ。
  3. 薬剤抵抗性の発達を防ぐため、同一系統薬剤の連続散布を避ける。
  4. 第一世代成虫の発生が早まっているため、防除時期に注意する。

5 野菜類

軟腐病
発生地域 発生時期 発生量
栽培地帯全域   やや多

1 予報の根拠

  1. 現在までの発生量は平年並~やや多い。
  2. 向こう1か月の気象予報(7月2日発表)によると、平年と同様に期間の前半は曇りや雨の日が多く、期間の後半は、晴れの日が多い見込みである。平均気温は、高い確率70%、降水量は平年並の確率40%である。

《発生しやすい条件:本病原細菌の生育適温は30度前後、高温多湿条件で発生しやすい。主に風雨等による茎葉のこすれ、害虫による食害痕、摘葉等の管理作業に伴う傷口から病原細菌が侵入・感染する。》

2 防除上注意すべき事項

  1. 雨水がたまりやすいほ場は排水溝を掘り、ほ場の排水に努める。
  2. 発病後の防除効果は低いので、予防的な防除を重点に行う。
  3. 降雨によってはね上がった土の飛沫が作物の傷口に付着することで感染が助長されるため、特に強雨や長雨後は適用薬剤による防除をおこなう。
  4. 被害残さは感染源となるため、被害株は速やかに抜き取り、ほ場の外に持ち出し適切に処分する。
  5. 耐性菌の発生を防ぐため、同一系統の薬剤を続けて散布しない。

6 キャベツ

コナガ
発生地域 発生時期 発生量
高冷地栽培地域   やや多

1 予報の根拠

  1. 現在までの嬬恋村でのフェロモントラップによる誘殺数は平年並~やや多い
  2. 現在までの嬬恋村での夏秋キャベツでの発生量は、平年並~やや多い。
  3. 向こう1か月の気象予報(7月2日発表)によると、平年と同様に期間の前半は曇りや雨の日が多く、期間の後半は、晴れの日が多い見込みである。平均気温は、高い確率70%、降水量は平年並の確率40%である。

《発生しやすい条件:少雨条件で発生が助長される。》

2 防除上注意すべき事項

  1. 梅雨明けに伴い、寄生虫数の増加、被害の拡大が懸念される。
  2. 生育初期の防除を徹底し、初期密度を下げることにより、生育期中盤の被害拡大を防止するとともに、生育期終盤に発生する次世代の密度低減を図る。
  3. 薬剤抵抗性の発達を防ぐため、同一系統薬剤の連続散布を避ける。本県ではジアミド系殺虫剤抵抗性を持った個体が確認されているため、薬剤の選択には注意をする。
  4. アブラナ科雑草にも寄生するので、ほ場周辺の雑草を除去する。
  5. 収穫残さは増殖源になるので、速やかに片付ける。

 *JA嬬恋村からの情報提供

タマナギンウワバ
発生地域 発生時期 発生量
高冷地栽培地域   やや多

1 予報の根拠

  1. 現在までの嬬恋村でのフェロモントラップによる誘殺数は、平年並~やや多い
  2. 向こう1か月の気象予報(7月2日発表)によると、平年と同様に期間の前半は曇りや雨の日が多く、期間の後半は、晴れの日が多い見込みである。平均気温は、高い確率70%、降水量は平年並の確率40%である。

2 防除上注意すべき事項

  1. 梅雨明けに伴い、寄生虫数の増加、被害の拡大が懸念される。
  2. ほ場をよく観察し、早期発見に努め、若齢幼虫のうちに防除を行う。
  3. 薬剤抵抗性の発達を防ぐため、同一系統薬剤の連続散布を避ける。

 *JA嬬恋村からの情報提供

その他の病害虫の発生予報

その他の病虫の発生予察情報一覧
作物名 病害虫名 発生時期 発生量 特記事項
イネ イチモンジセセリ第2世代幼虫(イネツトムシ)   青色誘引捕獲器による誘殺数は平年並。
ツマグロヨコバイ   予察灯による誘殺数は平年並。
フタオビコヤガ(イネアオムシ)   やや少 フェロモントラップ調査による誘殺数は、平年より少ない。
予察灯による誘殺数は平年より少ない。
果樹類全般 ハダニ類   現在までの発生量は平年並。
リンゴ 斑点落葉病   現在までの発生量は平年並。
高温多湿条件で発生しやすく、連続した雨などの短期間の気象条件で急増することがあるので注意する。
炭疽病 現在までの発生量は平年並。
高温多湿条件で発生しやすく、特に果実の濡れ時間が長いほど感染しやすいので注意する。
ナシ 黒星病   現在までの発生量は平年並だが、一部の地域でやや多い。
ナシヒメシンクイ   現在までのフェロモントラップ調査による誘殺数は平年並。
ダイズ
野菜類
花き類
ハスモンヨトウ   現在までの発生量は平年並。
フェロモントラップ調査による誘殺数は平年を上回っているので、今後のほ場における発生に注意する。
夏秋ナス ハダニ類   現在までの発生量は平年並。
フェロモントラップ調査による誘殺数は平年並。
アザミウマ類   現在までの発生量は平年並。
ネギ ネギアザミウマ   現在までの発生量は平年並。
シロイチモジヨトウ   現在までの発生量は平年並。
フェロモントラップ調査による誘殺数は平年を上回っているので、今後のほ場における発生に注意する。

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