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病害虫発生予察情報 第4号(令和3年7月予報)

更新日:2021年7月7日 印刷ページ表示

病害虫発生予察情報 第4号(令和3年度7月予報)(PDFファイル:589KB)

予報の概要

予報の概要一覧
作物名 病害虫名 対象地域名 発生時期 発生量
イネ 葉いもち 早期栽培地域   やや多
早植栽培地域 やや多
普通期栽培地域 やや多
紋枯病 早期・早植栽培地域
縞葉枯病 感受性品種栽培地域  
イチモンジセセリ
第2世代幼虫
(イネツトムシ)
栽培地帯全域  
ツマグロヨコバイ 栽培地帯全域  
フタオビコヤガ(イネアオムシ) 栽培地帯全域   やや少
果樹全般 カメムシ類(チャバネアオカメムシ) 栽培地域全域  
ハダニ類 栽培地域全域  
リンゴ 斑点落葉病 栽培地帯全域  
炭疽病 栽培地帯全域
ナシ 黒星病 栽培地帯全域  
ナシヒメシンクイ 栽培地帯全域  
ダイズ
野菜類
花き類
ハスモンヨトウ 平坦地域  
野菜類
花き類
オオタバコガ 栽培地帯全域   やや多
野菜類 軟腐病 栽培地帯全域  
キャベツ コナガ 高冷地栽培地域   やや多
タマナギンウワバ 高冷地栽培地域  
夏秋ナス ハダニ類 栽培地帯全域  
アザミウマ類 栽培地帯全域  
ネギ ネギアザミウマ 栽培地帯全域  
シロイチモジヨトウ 栽培地帯全域  

※ 発生時期の空欄は、連続発生を意味する。

主な病害虫の発生予報

1 イネ

葉いもち
発生地域 発生時期 発生量
早期栽培地域   やや多
早植栽培地域 やや多
普通期栽培地域 やや多

1 予報の根拠

  1. 前年の発生量は平年より多かった。
  2. 現在までの発生量は平年並だが、BLASTAM(P.3コラム参照)の結果、6月1日以降の出現日の合計は平年よりやや多い(表)。
  3. 普及指導機関の聞き取りでは、苗いもちの発生が平年よりもやや多い。
  4. 向こう1か月の気象予報(7月1日発表)によると、平年に比べて期間の前半は曇りや雨の日が多い見込みである。平均気温は、高い確率40%、降水量は平年並または多い確率ともに40%である。

《発生しやすい条件:平均気温19~25度で、降雨頻度が高く、多湿である場合。夜間の風が弱く、朝露の乾きが遅い場合。イネが軟弱徒長気味で葉色が濃い場合。》

2 防除上注意すべき事項

  1. 今後、いもち病が発生しやすい気象が予報されているので、特にイネの葉色が濃い場所や水口等、いもち病が発生しやすい箇所をよく観察し、早期発見に努める。
  2. 発生を認めたら、ただちに薬剤散布を行う。
  3. 補植用等の取り置き苗は発生源になりやすいので、すみやかに処分する。
  4. 農業技術センターでは、7月中旬に県内37地点においていもち病発生状況調査を行う予定であるので、今後の情報にも注意する。
表 BLASTAMによる葉いもちの感染好適条件の地域別の平均出現回数(6月1日~7月5日)
  沼田 中之条 前橋 桐生 上里見 伊勢崎 西野牧 館林 神流
本年値 3回 4回 6回 7回 5回 4回 4回 8回 1回
平年値 3.5回 2.2回 4.3回 4.3回 7.0回 4.0回 3.7回 3.3回 1.7回

注)BLASTAMは、アメダスデータから葉いもちに感染しやすい日(感染好適条件日)を予測するシステムである。
 平年値は直近3か年の平均値。

縞葉枯病
発生地域 発生時期 発生量
感受性品種栽培地域  

1 予報の根拠

  1. 令和3年2月に採取したヒメトビウンカ越冬世代幼虫のイネ縞葉枯ウイルス(RSV)保毒虫率の県平均は2.5%で、過去10年の平均値3.2%を下回った(令和3年3月10日発表発生予察情報)。
  2. 5月4半旬に県内12地点(定点)で行った麦類作付ほ場におけるすくい取り調査の結果、本年より調査を開始した1地点を除く全地点で平年よりも少なかった(令和3年5月21日発表発生予察情報)。
  3. RSV保毒虫率が4.3%であった昨年のイネ縞葉枯病の発生は、平年並であった。
  4. 予察灯におけるヒメトビウンカの誘殺数は、平年並である。

《発生しやすい条件:ヒメトビウンカのRSV保毒虫率が高く、ヒメトビウンカの発生量が多い場合。》

2 防除上注意すべき事項

  1. イネ縞葉枯病感受性品種(コシヒカリ、ひとめぼれなど)を作付するほ場や、本病の発生が多く見られるほ場では、本田散布によりヒメトビウンカの防除を行う。
  2. 箱施用剤を使用したほ場で本田散布を行う場合は、同一系統の薬剤の連用を避ける。
  3. 発病株は伝染源となるので、早急に抜き取り処分する。

<コラム>-いもち病(葉いもち)とBLASTAM-

 BLASTAM(ブラスタム)は、アメダスデータから葉いもちに感染しやすい日(感染好適日)を予測する発生予察モデルです。

 葉いもちは感染してから発病(目に見える)まで約1週間かかります。
 そのため、BLASTAMで予測された感染しやすい日(感染好適日)の約1週間後が、葉いもちが発病したり増加したりする危険性が高まる日になります。その時期にほ場の見回りなど注意が必要になります。
 感染好適日が多かったり、連続したりすると葉いもちの発生が多くなることがあるので特に注意が必要です。

 ただし、実際の葉いもちの発生は、1.菌の量、2.イネの品種、3.薬剤防除の状況、4.ほ場条件などいくつもの要因が関与しています。
 そのため、BLASTAMの結果は、「感染好適日の約1週間後が危ない」という、葉いもち警戒の参考の1つとして活用します。

2 野菜類・花き類

オオタバコガ
発生地域 発生時期 発生量
栽培地帯全域   やや多

1 予報の根拠

  1. 県内のフェロモントラップ調査では、第一世代成虫の誘殺数が7地点中3地点で平年よりやや多くて増加がやや早い。
  2. 向こう1か月の気象予報(7月1日発表)によると、平年に比べて平均気温は高い確率40%、降水量は平年並または多い確率ともに40%である。

《発生しやすい条件:高温、乾燥条件で多発する傾向があり、梅雨期に降雨が少ない年には発生が多くなる。》

2 防除上注意すべき事項

  1. 幼虫は生長点付近の茎葉・蕾・花・幼果に食入する。組織内に入り込まれてからでは防除が困難になるため、ほ場をよく見回り、幼虫は見つけしだい捕殺する。薬剤防除を行う場合は、発生初期に実施する。
  2. 施設開口部は防虫ネットで被覆し、成虫の侵入を防ぐ。
  3. 薬剤抵抗性の発達を防ぐため、同一系統薬剤の連続散布を避ける。
  4. 第一世代成虫の発生が早まっているため、防除時期に注意する。

3 野菜類

軟腐病
発生地域 発生時期 発生量
栽培地帯全域  

1 予報の根拠

  1. 現在までの発生量は平年並。
  2. 向こう1か月の気象予報(7月1日発表)によると、平年に比べて期間の前半は曇りや雨の日が多く、後半は晴れの日が多い見込みである。平均気温は、高い確率40%、降水量は平年並または多い確率ともに40%である。

《発生しやすい条件:本病原細菌の生育適温は30度前後、高温多湿条件で発生しやすい。主に風雨等による茎葉のこすれ、害虫による食害痕、摘葉等の管理作業に伴う傷口から病原細菌が侵入・感染する。》

2 防除上注意すべき事項

  1. 雨水がたまりやすいほ場は排水溝を掘り、ほ場の排水に努める。
  2. 発病後の防除効果は低いので、予防的な防除を重点に行う。
  3. 降雨によってはね上がった土の飛沫が作物の傷口に付着することで感染が助長されるため、降雨後は適用薬剤による防除を行う。
  4. 被害残さは感染源となるため、被害株はすみやかに抜き取り、ほ場の外に持ち出し適切に処分する。
  5. 耐性菌の発生を防ぐため、同一系統の薬剤を続けて散布しない。
  6. 梅雨期に強雨や長雨があった場合には、梅雨明け後の気温の上昇とともに発病が拡大するので注意する。

4 キャベツ

コナガ
発生地域 発生時期 発生量
高冷地栽培地域   やや多

1 予報の根拠

  1. 現在までの嬬恋村でのフェロモントラップによる誘殺数は平年並~やや多い(注)。
  2. 向こう1か月の気象予報(7月1日発表)によると、平年に比べて期間の前半は曇りや雨の日が多く、後半は晴れの日が多い見込みである。平均気温は、高い確率40%、降水量は平年並または多い確率ともに40%である。

《発生しやすい条件:少雨条件で発生が助長される。》

2 防除上注意すべき事項

  1. 梅雨明けに伴い、寄生虫数の増加、被害の拡大が懸念される。
  2. 生育初期の防除を徹底し、初期密度を下げることにより、生育期中盤の被害拡大を防止するとともに、生育期終盤に発生する次世代の密度低減を図る。
  3. 薬剤抵抗性の発達を防ぐため、同一系統薬剤の連続散布を避ける。本県ではジアミド系殺虫剤抵抗性を持った個体が確認されているため、薬剤の選択には注意をする。
  4. アブラナ科雑草にも寄生するので、ほ場周辺の雑草を除去する。
  5. 収穫残さは増殖源になるので、すみやかに片付ける。

 (注)JA嬬恋村からの情報提供

その他の病害虫の発生予報

その他の病虫の発生予察情報一覧
作物名 病害虫名 発生時期 発生量 特記事項
イネ 紋枯病 昨年の発生量は平年並~やや多かった。高温多湿な場合、生育が旺盛な場合に発生しやすいので注意する。
イチモンジセセリ第2世代幼虫(イネツトムシ)   トラップ調査による誘殺数は平年並。
ツマグロヨコバイ   予察灯による誘殺数は平年並。
フタオビコヤガ(イネアオムシ)   やや少 フェロモントラップ調査による誘殺数は、平年より少ない。
予察灯による誘殺数は平年並。
果樹類全般 カメムシ類(チャバネアオカメムシ)   現在までのフェロモントラップおよび予察灯調査による誘殺数は平年並。
ハダニ類   現在までの発生量は平年並。
リンゴ 斑点落葉病   現在までの発生量は一部の園でやや多いが、全体では平年並。
高温多湿条件で発生しやすく、連続した雨などの短期間の気象条件で急増することがあるので注意する。
炭疽病 現在までの発生量は平年並。
高温多湿条件で発生しやすく、特に果実の濡れ時間が長いほど感染しやすいので注意する。
ナシ 黒星病   現在までの発生量は平年並。
ナシヒメシンクイ   現在までのフェロモントラップ調査による誘殺数は平年並。
ダイズ
野菜類
花き類
ハスモンヨトウ   現在までの発生量は平年並。
フェロモントラップ調査による誘殺数が平年を上回っている地域があるので、今後の発生に注意する。
キャベツ タマナギンウワバ   現在までの発生量は平年並。
夏秋ナス ハダニ類   現在までの発生量は平年並。
アザミウマ類   現在までの発生量は平年並。
ネギ ネギアザミウマ   現在までの発生量は多いが、平年並である。
シロイチモジヨトウ   現在までの発生量は平年並。

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