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平成30年度評議会(平成31年3月13日)

  • 日時 平成31年3月13日(水)14時~16時
  • 場所 繊維工業試験場 講堂

1 繊維工業試験場評議会とは

 繊維工業試験場は、県内繊維関係企業の中核的支援機関として、その運営に外部からの意見を反映させるために評議会を設置しています。

2 説明事項と質疑

今回は、次の議題でご意見を伺いました。

  1. 平成30年度繊維工業試験場の業務実績について
  2. 平成31年度繊維工業試験場の業務計画について
  3. 質疑、要望、意見交換について

【議長】
  場長の説明を踏まえて、最初に平成30年度業務実績及び平成31年度業務計画について各委員から意見を聞きたい。さらに、平成31年度中に策定する次期中期ビジョン(2020~2022年度)についても意見を聞きたい。まず、平成30年度の繊維工業試験場業務実績では直近2~3年の技術相談件数や依頼試験・加工の手数料収入額、獲得した研究費が示されていたが、もっと長いタイムスパンで見たときの傾向はどうか。

【場長】
  まず、技術相談件数についてはここ数年の推移を見ると増加傾向にある。
  依頼試験・加工手数料収入額に関しては15年くらい前と比べると減少しているが、ここ数年では横ばいと言える。依頼試験に関してはその内容が変化しており、以前は染色堅ろう度試験や寸法変化率試験など繊維製品に関する一般的な試験が多かったが、最近は減少傾向である。その一方で抗菌性試験、消臭試験などの機能性試験の増加によって減った手数料収入をカバーできている。依頼加工に関しては、依頼の最も多い整経加工について、平成23年度にサンプル整経機を1台から2台に増やしたときに大幅に増加した経緯があり、その後は同程度で推移している。
  研究費に関しては、競争的外部資金の獲得に向けた取り組みにより、以前に比べて増加している。

【議長】
  平成31年度業務計画にあった新しい設備導入についての意見はいかがか。

【場長】
  設備については古いものが多いため、依頼試験に必要な機器については、使用頻度の高いものから更新することを検討している。また、新しい分野の研究に必要な設備の導入も考えている。

【議長】
  平成30年度業務実績及び平成31年度業務計画について、意見や質問はあるか。

【A委員】
  人工気象室では温度、湿度を制御して夏や冬の環境を再現できるとのことであるが、夏用のTシャツを着用したときに冷たさをどの程度体感できるかといった評価に使えるのか。
  また、企業が使用する場合には一日何件使用でき、実際に使用できるのはいつ頃になるか。

【場長】
  そのための用途と考えている。人工気象室は2つに区切られているが、使用できるのはどちらか一方となるため、使用は一日あたり一企業限定となる。実際に使用できるようになるのは2020年4月以降となる。

【B委員】
  人工気象室や風合い試験機を利用した際、商業ベースで使えるデータを出せると考えてよいか。また、国内基準や国際的な基準となる数値があると思うが、自社内のものでもよいか。

【場長】
  (風合いの場合)従来品と比較して、新製品のやわらかさが数値としてどの程度改善されたというデータを十分出せるため、商業ベースで使えるものである。その際、比較基準となるのは自社内の従来品の数値が比較対象となる。

【C委員】
  研究テーマ「抗菌性能をもつ天然精油の繊維への吸着性評価」で使用している天然の抗菌剤はどんな抗菌剤か。
  また、研究テーマ「アルギン酸塩コーティングにおける浴中加工技術の開発」で使用しているアルギン酸塩はどのような効果があるか。

【企画連携係長】
  植物由来で「ローズウッド」から抽出しておりアロマオイルのようなものである。今回の資料は公表できる部分のみであり、言えない部分もある。
  また、アルギン酸カルシウムは吸湿性があり、傷を早く治すフィルムに使用され、褥瘡予防・ケアなど介護用品等への利用が期待される技術になる。本研究ではそれを通常の繊維表面にアルギン酸カルシウムをコーティングしている。

【C委員】
  (繊維表面へのコーティングに関して)すべての繊維に対して可能か。

【企画連携係長】
  密着性や耐久性が異なるが、すべての繊維に対して可能性があると考えている。
 
【議長】
  褥瘡予防だと医師への協力、認証試験としての時間やコストがかかると思うが、その辺はいかがか。

【企画連携係長】
  すぐに始められる研究として、身近なもので美容によいとか、靴下への加工によって肌に優しいという部分からスタートしている。

【D委員】
  平成30年度の商品化支援では4件の実績があるが、具体的な成果として企業にとってどのくらい利益が出たというデータはあるか。「着る化粧品」の商品化の実績についてC委員に聞きたい。

【C委員】
  (「着る化粧品」の売り上げについての具体的な数値等の発言のため、非公表とする。)
  現在は肌にどのような効果があるかといったエビデンス(証拠)を求めて、大学との共同研究に入っている。

【場長】
  販売件数についてはストール、アームカバーは数百個、扇子は数個である。

【D委員】
  こういう事例が増えていくことで試験場のアピールになると思う。

【E委員】
  機器整備について、もう少し周知してほしいと感じている。例えば、電子顕微鏡の導入に関しても繊維関連企業の開発部担当者に対して、導入されたということだけでなくこんなことができるという事例を示すことで、利用も増えてくるのではないか。また、機器の見学や、わかりやすい紹介をしてもらえるとありがたい。
  当社ではカーテンに付着した汚れについて、何の汚れか特定できず困っている。分析結果からこのような物質であろうという予測でもいいので知見が得られるといった具体例がほしい。

【場長】
  いろいろな方法でPRはしているが、なかなか届いていない部分もある。

【議長】
  今の意見については、試験場として検討していただきたい。具体的な事例があると利用範囲も広がると思う。

【F委員】
  試験場に新規に導入された機器では、糸コーティング機に興味がある。この機器は、どのような素材や種類の糸に対してもコーティングが可能なのか聞きたい。この機器によって、糸に新しい機能性が付与できるということで、新しいものづくりにつながると思う。

【企画連携係長】
  極端に太い糸でない限り、通常の太さの糸であればどんな素材でも可能であり、1000デニールくらいの太い糸まで対応可能である。

【G委員】
  更新予定の転写捺染機について、現在の使用頻度はどのくらいか。

【場長】
  現在の転写捺染機は、昭和63年に導入した機器であるが、現在も月に4~5回程度使用している。

【議長】
  (更新予定の転写捺染機は)今のものと比較して使い勝手はどうか。

【場長】
  機器のサイズがコンパクト・スリムになっている。また、温度制御の精度もよくなっているのではないかと期待している。

【H委員】
  新しいサンプル整経機の導入されるとのことだったが、弊社は試験場に多くの整経加工を依頼しているので、導入されることは喜ばしい。
  商品化支援のところで、「天蚕糸をオーガンジーで作成した扇子」の事例があったが、天蚕糸をオーガンジーという組織で織ることに関して技術的にどんな部分をクリアしたということか。
  また、公募型共同研究のテーマ「東京オリンピックに向けた消臭技術の開発」は、どんなことを行った研究か。

【生産技術係長】
  「天蚕糸をオーガンジーで作成した扇子」の研究であるが、天蚕糸には節があったり、表面が平滑でないため製織時に注意が必要である。オーガンジーは細い糸でタテ・ヨコともに密度が高く、低速の力織機で製織したが、その際に油剤処理や表面を平滑にするための加工方法を検討する必要があった。

【素材試験係長】
  「東京オリンピックに向けた消臭技術の開発」の研究であるが、東京オリンピックでは外国人によるホテルやタクシーの利用増が見込まれており、そのような空間内では体臭や香水に対する消臭技術が求められている。ホテルの壁紙にどう消臭技術を付与するかという相談があり、セルロースナノファイバーやキトサンナノファイバーで検討を行った。

【議長】
  なぜ、コストの高いセルロースナノファイバーを検討しようとしたのか。

【素材試験係長】
  最初は表面積が高い点を考慮して利用を検討した。研究用材料としての候補であり、コスト面はあまり考えていなかったが、研究の結果、従来あるナノ銀粒子の付与のほうが効果が高いという結論に至った。

【I委員】
  試験場の次期ビジョン(2020~2022年度)策定に関して提案したい。設備導入に関しては大型機器だけでなくソフト面に関しての導入を検討してほしい。その例として、織りや編み(たて編、よこ編)のデザインシミュレーションのソフトがあるので、すでに場内にあるものも活かしつつ、熟練度が高くなくても使えるソフトを場内に設けてはどうか。

【場長】
  当試験場には織物のCADが導入されている。もし、編物のものがそれと同程度の使い勝手のものであれば検討していきたい。

【議長】
   伝統的な織物産業も新しい用途で使うとなるとデザイン力も必要である。外部の人材等の協力など検討していただきたい。

【場長】
  商品化する際にはデザイン力が必要である。外部人材を活用するなど検討していきたい。

【J委員】
  コンピュータカラーマッチング試験では色差の評価ができ、今まではロット違いの評価が困難であったが、数値化によりその判断ができて助かっている。
  また、糸コーティング機に関しては、これまで試験場の機器を使用したことをきっかけに、最近自社内で同じ機器を購入した。まだ製品化には至っていないが、この機器がものづくりに役立つことを期待している。今後も試験場との共同研究等、新しい商品開発などで協力していただけることを期待している。
  今後導入を予定している風合い試験機に関してはどのように利用できるか。

【場長】
  風合い試験機による風合いの数値化により、より客観的に評価できると思われる。

【K委員】
  商品化を目標としている企業が新たに試験場と連携したい場合には、どのようにすればよいか。

【場長】
  まず、当試験場に相談していただくのが第一歩である。具体的に考えていることやわからないことを相談して、試験場で担当できる部分は対応する。その中で、試験場で対応できないことは、試験場を通して外部機関へ協力を依頼することもできると思う。
  ものをつくるには資金が必要であり、年度のはじめには、試験場の公募型共同研究や県の新技術・新製品開発推進補助金など試作開発を行う助成制度がある。また、年度途中であれば、当試験場への受託研究という方法も対応可能である。

【議長】
  販路開拓支援の相談は金融機関などでも行っているが、技術的な部分は試験場に相談いただくとよいと思う。
  続いて、平成31年度事業計画のところで平成31年度中に次期中期ビジョン(2020~2022年度)を策定するにあたり、委員の皆様の意見を伺いたい。
  現行の試験場ビジョンとしては、伝統産業を大事にしつつ、新たな産業分野への参入を見据え、そのための技術構築を目指すラインを堅持したいと理解している。委員の皆様から発言をお願いしたい。

【A委員】
  本日の資料を見て、研究開発事例が具体的で、商品化支援件数の目標値など踏み込んだ内容になっていると感じた。いろいろな事業を幅広く精力的にやっており、試験場に来れば支援してくれると感じており、これからも活用したい。

【B委員】
  当社では伝統産業である着物の製造が中心となる。研究している職員の目線から見て、他の分野に使えるのではないかなど自分にはわからないような意見やヒントをいただきたい。先日の展示会では着物に興味のある外科医の先生が来て、絹製品が医療・介護用に活用できるといった貴重な意見をいただいた。試験場で違った分野からの意見を伝える役割を担ってもらえるとありがたい。

【議長】
  他分野との連携や事例について情報収集をしてもらえると参考になると思う。

【C委員】
  外部との連携強化を提案したい。例えば、農業・食品産業総合研究機構(以下、農研機構)では、ミノムシから糸をとる技術を開発した事例がある。試験場は、組換えカイコの研究等で、農研機構と共同研究を行っており、今後も農研機構と密接に連携してさまざまな研究を行ってほしい。

【D委員】
  当社ではよこ編みのニット製品を製造しており、取引先からニット生地に関する染色堅ろう度試験結果を求められるが、実際のところ民間の試験機関にお願いしている。試験場でももっとアピールしてはどうか。

【場長】
  特に染色堅ろう度試験については、取引先から民間の検査機関を指定されることが多く、当試験場に依頼を出したくても出せない状況があることは認識している。当試験場には、試験結果で何か問題があったときの相談等で是非利用してほしい。

【議長】
  試験場としてもっと宣伝した方がよいということだと思う。

【E委員】
  今の話とは異なる意見となる。カーテンの場合、機能性試験の依頼として、収縮率、遮熱性、遮光性、紫外線遮蔽性など様々である。試験場で全部依頼することは機器の都合上不可能であるため、設備を整えている機関へ依頼している。取引している問屋が依頼先を指定している場合が多い。以前は試験場に依頼していたが、時代が変わってきており、試験場として試験依頼の獲得だけに注力すると無駄になってしまうため、違う方向で伸びていった方がよい。

【F委員】
  3年くらい前に文化服装学園で展示会を行った際に内部を見学したところ、大量の桐生の織物が保管されていた。コンピュータで学生が検索して、目的とする織物の生地を選べるシステムがありすごいと感じた。産地をPRしながら、もっと桐生でつくっているものをお互いに共有できたらいいと思う。外部との連携という意味でもっと強化してほしいと思う。

【G委員】
  大学ではデザインやアートを行っており、(学生の就職に関して)ある会社でこういう人がほしいという情報があれば、試験場を通じて情報がほしい。

【議長】
  会社から学生に素材を提供してつくるものを指定し、会社の求めるものができればその学生を採用するというのはどうか。

【G委員】
  すでに行っているが、なかなかうまくいかない。試験場から情報をいただけるとありがたい。

【場長】
  情報があればお伝えしたい。

【H委員】
  当社は服地を製織している企業であるが、分業となっている織物製造における工程で心配な技術がある。それはドビー織物引き込みである。引き込みは整経後の糸を織機につなぐ工程であり、桐生では高齢化が進んでおり先行きが心配である。他産地へ依頼することはできるが、整経したものを送って返送してもらう手間が必要となる。機械化はできるが購入できないほど高価であり、技術者育成に関して足踏み状態となっている。公的機関である試験場がこの問題を引き受けて、解決の柱になってもらえればありがたい。

【議長】
 この話は伝統産業における技術の伝承に関する問題で県としての問題とも言える。

【工業振興課長】
  高齢化に伴う事業承継に関して、織物を製造する上で一つの工程が歯抜けしてしまうという問題であり、重要な課題であると認識している。

【I委員】
  繊維に関する全国唯一の公設試験場として、オールラウンド化が必要ではないか。たて編の機械は織物との関連性も高い。ノウハウが途絶えることのないよう、たて編の研究を行うことで、蓄積された技術の伝承につながると思う。

【J委員】
  当社ではベッドマットレス生地を製造している。輸入生地が安価で多く入ってきているが、 取引先に桐生産地の良さを知ってもらい、デパートに桐生織のベッドマットレスで販売して いる。桐生を知ってもらうため、これからも取引先と一緒に試験場を見学したいと考えてい るので、力を貸してもらいたい。

【K委員】
  (高齢化や後継者不足に関連して)高校生の就職では、参考にしているのは親が勧めるかどうか、つまり親の意見が重要であると聞いている。
    試験場では年に2回イベントで体験コーナーを開催しているが、子どもだけでなくその親に対しても産地の技術力を数値で示し、親が子どもに対して「桐生産地で就職させたい」と思えるような情報発信も必要ではないか。

【議長】
  各委員から大変貴重な意見が出たと思う。今後の繊維工業試験場の運営に向けて本日の意見を参考にしてほしい。

―閉会―

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