ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 組織からさがす > 人事委員会事務局 > 人事委員会事務局 > 令和元年 報告

本文

令和元年 報告

更新日:2019年10月9日 印刷ページ表示

第1 職員の給与

1 職員給与の実態

 本委員会の勧告の対象となる職員は、群馬県職員の給与に関する条例(昭和26年群馬県条例第55号)、群馬県公立学校職員の給与に関する条例(昭和31年群馬県条例第41号)、群馬県一般職の任期付研究員の採用等に関する条例(平成13年群馬県条例第8号)及び群馬県一般職の任期付職員の採用等に関する条例(平成14年群馬県条例第62号)の適用を受ける職員であり、これらの職員は、その従事する職務の種類に応じ、行政職、公安職、研究職、医療職、教育職など14の給料表の適用を受けている。
 本委員会は、これらの職員について、本年4月1日現在における「平成31年職員給与等実態調査」を実施したが、その概要は、参考資料「1職員給与関係」のとおりである。
 その結果によると、民間給与との比較を行っている行政職給料表又は事務職給料表の適用を受ける職員(本年度の新規学卒の採用者を除く。以下「一般行政職員」という。)の人数は4,730人、平均年齢は44.0歳で、平均給与月額は374,913円となっている。

(参考資料第1表~第10表)

2 民間給与の実態

 本委員会は、職員給与と県内の民間給与との精密な比較を行うため、企業規模50人以上で、かつ、事業所規模50人以上の民間事業所のうちから、層化無作為抽出法によって抽出した185の事業所を対象に「2019年(平成31年)職種別民間給与実態調査」を実施した。
 この調査では、一般行政職員と類似すると認められる事務、技術関係22職種の約8,900人及び研究員、医師等の54職種約300人について、本年4月分として個々の従業員に実際に支払われた給与月額等を実地に詳細に調査した。
 また、昨年8月から本年7月までの1年間において民間事業所で支払われた賞与等について調査したほか、各民間企業における給与改定の状況等についても調査した。
 本年の調査結果の概要は、参考資料「2民間給与関係」のとおりである。

(参考資料第11表~第25表)

3 職員給与と民間給与との比較

(1)月例給

 前記の「平成31年職員給与等実態調査」及び「2019年(平成31年)職種別民間給与実態調査」の結果に基づき、本委員会において、職員にあっては一般行政職員、民間にあってはこれと類似すると認められる事務、技術関係職種の従業員について、役職段階、学歴及び年齢階層を同じくする者同士の4月分の給与額をそれぞれ対比し、精密に比較(ラスパイレス方式)を行った結果、職員給与が民間給与を346円(0.09%)下回っていた。

職員給与と民間給与との較差
民間給与(A) 職員給与(B) 較差(A)-(B)
(((A)-(B))/(B)×100)
375,259円 374,913円 346円(0.09%)

(注)民間、職員ともに、本年度の新規学卒の採用者は含まれていない。

(2)特別給

 本委員会は、これまで民間における賞与等の年間支給割合(月数)を算出し、これを職員の期末手当、勤勉手当の年間支給月数と比較した上で、0.05月単位で改定を勧告してきている。
 前記の「2019年(平成31年)職種別民間給与実態調査」の結果、昨年8月から本年7月までの1年間において民間事業所で支払われた賞与等は、年間で所定内給与月額の4.49月分に相当しており、職員の期末手当、勤勉手当の年間支給月数(4.45月)が民間における賞与等の年間支給割合(月数)を0.04月分下回っていた。

(参考資料第22表)

4 物価及び生計費

 総務省の調査による本年4月の前橋市における消費者物価指数は、参考資料「4労働経済関係」のとおり、前年同月比1.3%の上昇となっている。
 また、本委員会が同省の家計調査を基礎として算定した本年4月の前橋市における標準生計費は、参考資料「3生計費関係」のとおり、2人世帯で131,640円、3人世帯で171,890円、4人世帯で211,860円となっている。

(参考資料第26表、第27表)

5 人事院の給与に関する勧告等

 人事院は、本年8月7日、国会及び内閣に対し、職員の給与に関する報告及び勧告を行うとともに、公務員人事管理に関する報告を行ったが、その概要は、参考資料「5人事院勧告等の概要」のとおりである。

6 本年の給与改定

 本年の職員給与及び民間給与の実態とその比較、物価及び生計費の状況並びに人事院勧告等の概要は、以上のとおりである。
 本委員会は、これらの内容を総合的に勘案し、検討した結果、職員の給与改定について、以下のとおり判断した。

(1)月例給

 本年4月における職員給与と民間給与とを比較した結果、職員給与は民間給与を346円(0.09%)下回っていることから、民間給与との較差、人事院勧告等を踏まえ、月例給の引上げ改定を行う必要がある。
 月例給の改定に当たっては、基本的な給与である給料を引き上げることが適当であり、行政職給料表は、国及び他の都道府県との均衡を考慮し、人事院勧告に準じて改定する必要がある。
 その他の給料表も、行政職給料表との均衡を基本としつつ、本県の実情を踏まえて改定する必要がある。

(2)特別給

 職員の期末手当、勤勉手当の年間支給月数が民間における賞与等の年間支給割合(月数)を0.04月分下回っていることから、民間における賞与等の年間支給割合(月数)に見合うよう、職員の期末手当、勤勉手当の年間支給月数の引上げ改定を行う必要がある。
 年間支給月数の引上げ分については、民間の賞与等の支給状況、人事院勧告等を踏まえ、勤勉手当に配分することが適当である。
 また、任期付研究員及び特定任期付職員の期末手当についても、同様に年間支給月数を引き上げる必要がある。

(3)住居手当

 住居手当については、公務としての類似性や地方公務員法(昭和25年法律第261号)に定める給与決定原則を踏まえ、人事院勧告に準じて改定する必要がある。
 ただし、改定に当たっては、職員への手当の支給状況を考慮し、所要の経過措置を講ずることが適当である。
 なお、単身赴任手当受給者の留守家族が居住する借家、借間に係る手当額については、当分の間の措置として定めた額としていることから見直しを検討する必要がある。

7 その他

(1)獣医師に対する初任給調整手当の支給

 近年、動物の伝染性疾病の予防、まん延防止や食の安全、安心の確保など、公務における獣医師の役割がより重要となっている中、獣医師の採用については全国的に困難な状況が続いており、本県においても、職員採用選考考査における競争倍率の低下や合格者の採用辞退件数の増加が確認されている。
 こうした状況を踏まえ、優秀な獣医師を継続的に確保するため、「6本年の給与改定」の内容に加え、令和2年4月1日から獣医師に初任給調整手当を支給する必要がある。

(2)障害者を対象とした職員採用選考考査に係る初任給基準の見直し

 人事院は、平成30年度から国家公務員障害者選考試験を実施しており、同試験により採用された者の初任給基準については、本人が有する知識経験、学歴免許等の資格等に照らして、「国家公務員採用一般職試験(高卒程度試験)」の結果により採用された者と同様に取り扱うこととしたところである。
 本県においても、障害者を対象とした職員採用選考考査により採用された者の初任給基準の取扱いについては、国や他の都道府県の状況等を踏まえて見直す必要がある。なお、これに伴い、在職者についての調整を行う必要がある。

第2 職員の勤務条件等

1 意欲と能力のある人材の確保

 若年人口の減少や民間企業における高い採用意欲等を背景に県職員採用試験等の受験者数は減少傾向であり、官民を問わず人材確保をめぐる状況は厳しくなっている。
 このような状況から意欲と能力のある人材の確保は重要な課題となっており、これまで本委員会においては、県ホームページやSNSを活用し広報活動の充実を図るとともに、県内外で業務内容説明会や就職説明会等を開催し、本県職員の職務内容や仕事のやりがい等を積極的に伝え、一部職種については合格発表日の前倒し等も行い、受験者確保に向けた取組を行ってきた。
 特に、群馬県職員の女性活躍推進プランに基づき、女性職員のキャリア形成や働きやすい職場環境等について積極的に広報するなど、女性受験者の確保に向けた取組を行ってきた。
 今後も、こうした取組を継続するとともに、一人でも多くの学生や社会人等に本県職員の魅力ややりがいを幅広く発信できるよう、任命権者と連携し、受験者確保に向けた取組を一層進めていく必要がある。
 また、障害者の雇用については、これまで身体障害者を対象とした職員採用選考考査を実施してきたが、今年度から精神障害者及び知的障害者も対象とするなど、受験資格の変更を行った。さらに、本年6月には障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律(令和元年法律第36号)が公布されたことから、任命権者においては、法の趣旨を踏まえ、引き続き障害者の雇用促進及びその職業の安定を図るために必要な施策を総合的かつ効果的に推進するよう努める必要がある。

2 能力及び実績に基づく人事管理の推進

 平成28年4月に改正地方公務員法が施行されたことを受け、本県においても、人事評価制度の見直しを実情に即して行い、能力及び実績に基づく人事管理を推進しているところである。
 適切な人事管理は、より一層職員の士気を高め、その能力を最大限に発揮させるとともに、人材育成に資するものであり、組織活力を向上させるためにも重要である。
 また、能力及び実績に基づく人事管理を一層推進していくためには、公平性や納得性の高い人事評価制度の運用や管理職員のマネジメント能力の向上が求められる。
 任命権者は、評価者等に対し、引き続き人事評価制度の趣旨を踏まえた効果的な研修の実施に努めるとともに、より適切に制度が運用されるよう、取り組んでいく必要がある。

3 高齢層職員の能力及び経験の活用

 人事院は、昨年8月、国会及び内閣に対し、定年を段階的に65歳に引き上げるための国家公務員法等の改正についての意見の申出(以下「意見の申出」という。)を行った。この意見の申出では、「若年労働力人口の減少が続く中で、公務において質の高い行政サービスを維持していくためには、高齢層職員を戦力としてその能力及び経験を本格的に活用することができるよう、所要の環境整備を図りつつ段階的に定年の引上げを行う必要がある。」と言及しており、国でもこれを踏まえて検討が行われている。
 定年の引上げは、雇用と年金の接続が確実に図られる一方で、能力及び実績に基づく人事管理の徹底や組織活力を維持するための方策等、検討すべき課題が多岐にわたる状況である。このため、任命権者においては、国の動向を踏まえながら、定年の引上げに係る諸課題について、具体的な検討を進める必要がある。
 併せて、現在運用されている再任用制度についても、高齢層職員の能力及び経験を一層有効に活用できるよう環境整備に努める必要がある。

4 勤務環境の整備

(1)時間外勤務の縮減等

 時間外勤務の縮減は、職員の心身の健康保持や公務能率の向上の観点から極めて重要な課題であるとともに、仕事と家庭の両立支援の推進や人材確保にも資するものであり、強くその実現が求められている。
 任命権者においては、これまで長年にわたり様々な取組を実施してきているところであり、本年4月からは、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成30年法律第71号)による労働基準法(昭和22年法律第49号)の改正や国家公務員の動向も踏まえ、時間外勤務命令を行うことができる上限が設定されたところである。
 また、教育委員会では、教職員の多忙化解消に向けた協議会からの提言等を踏まえ、学校現場において具体的な取組が行われているところであるが、必ずしもその取組が全ての学校に浸透、定着し、教職員が多忙化解消を実感しているとは言えない状況である。
 今後も、任命権者においては、既存業務の積極的な見直し、減量化など徹底した事務、事業の見直しや、業務の効率的な執行など更なる仕事の進め方の見直しを図った上で、その業務量に応じた人員の確保や適正な人員配置を行うなど、時間外勤務の縮減のため、より実効性のある取組をスピード感を持って実施していくとともに、職員の健康の確保に最大限の配慮をする必要がある。
 併せて、年次有給休暇の計画的、連続的取得の促進についても、休暇の計画表の活用等により、引き続き積極的に取り組んでいく必要がある。

(2)心の健康づくりの推進

 職員が心の健康を保持することは、職員本人やその家族にはもちろんのこと、公務能率を向上させ、質の高い県民サービスを行っていく上でも、重要な課題である。
 メンタルヘルス対策については、これまでも任命権者において、メンタルヘルス不調の発生予防、早期発見、早期対応、円滑な職場復帰と再発防止を総合的、体系的に推進しているところである。
 今後も、ストレスチェック制度の有効活用等により職員自身のストレスへの気付きを促すとともに、職場環境の課題の把握や改善につなげ、働きやすい職場づくりに取り組んでいく必要がある。

(3)仕事と家庭の両立支援の推進

 職員が性別にかかわりなく育児や介護等に取り組みやすい職場環境づくりの推進は、優秀な人材の確保やキャリア形成の支援等の観点から極めて重要な課題である。
 また、少子高齢化という構造的な問題を背景に、誰もが活躍できる社会の実現が重要課題となっている中で、公務においても限られた職員数で複雑、高度化する行政需要に対応することが求められており、職員一人一人の多様なニーズを柔軟に受け止め、その能力を最大限に発揮できるようにする必要がある。
 これまでも、育児休業や介護休暇などの制度の充実が図られてきたところであるが、性別にかかわりなく、職員が両立支援制度を利用しやすくなるよう、任命権者においては、引き続き、制度の普及、啓発や職員が置かれている状況の適切な把握など、職場としての支援体制の整備を行っていくことが重要である。
 フレックスタイム制については、本年4月に対象職員の拡大が図られているが、国においては、障害のある職員に対して柔軟化の措置を行ったところである。
 育児、介護、障害など、多様な事情に応じた柔軟な勤務等を可能とすることは、両立支援の推進に資するものと考えられることから、更なる制度拡充の必要性について検討を進める必要がある。

(4)ハラスメント防止対策

 職場におけるハラスメントは、職員の尊厳を傷つけ、その能力の発揮を妨げるとともに、職場の活力と機能の低下をもたらすものである。
 各種ハラスメントについては、これまでも防止対策が講じられてきたところであるが、職員の勤務意欲の向上や心身の健康、働きやすい職場環境を実現するため、その実情に応じ、国の取扱い等も参考にしながら対策を充実、強化していく必要がある。

5 会計年度任用職員制度の実施

 平成29年に地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律(平成29年法律第29号)(以下「改正法」という。)により、会計年度任用職員制度が創設されたところである。
 来年4月からの同制度の実施に当たっては、制度の周知期間や募集開始時期などを勘案した上で、改正法の趣旨に沿って、遺漏なく速やかに所要の準備を進める必要がある。

令和元年職員の給与等に関する報告及び勧告へ戻る