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令和2年 報告

更新日:2020年10月28日 印刷ページ表示

第1 職員の給与

1 職員給与の実態

 本委員会の勧告の対象となる職員は、群馬県職員の給与に関する条例(昭和26年群馬県条例第55号)、群馬県公立学校職員の給与に関する条例(昭和31年群馬県条例第41号)、群馬県一般職の任期付研究員の採用等に関する条例(平成13年群馬県条例第8号)及び群馬県一般職の任期付職員の採用等に関する条例(平成14年群馬県条例第62号)の適用を受ける職員であり、これらの職員は、その従事する職務の種類に応じ、行政職、公安職、研究職、医療職、教育職など14の給料表の適用を受けている。
 本委員会は、これらの職員について、本年4月1日現在における「令和2年職員給与等実態調査」を実施したが、その概要は、参考資料「1職員給与関係」のとおりである。
 その結果によると、民間給与との比較を行っている行政職給料表又は事務職給料表の適用を受ける職員(本年度の新規学卒の採用者を除く。以下「一般行政職員」という。)の人数は4,713人、平均年齢は44.0歳で、平均給与月額は374,439円となっている。

(参考資料第1表~第10表)

2 民間給与の実態

 本委員会は、職員給与と県内の民間給与との精密な比較を行うため、企業規模50人以上で、かつ、事業所規模50人以上の民間事業所のうちから、層化無作為抽出法によって抽出した180の事業所を対象に「令和2年職種別民間給与実態調査」を実施することとした。
 本年の調査は、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を考慮し、実地によらない方法でも調査可能な特別給等に関する調査を6月29日から先行して実施した。
 この調査では、昨年8月から本年7月までの1年間において民間事業所で支払われた賞与等について調査するとともに、民間企業における給与改定の状況等を調査したが、その概要は、参考資料「2民間給与関係」のとおりである。

(参考資料第11表~第19表)

 他方、実地調査が基本となる月例給に関する調査については、8月17日から9月30日までの期間で実施することとした。この調査では、一般行政職員と類似すると認められる事務・技術関係22職種及び研究員、教員等の32職種について、本年4月分として個々の従業員に実際に支払われた給与月額等を調査している。

3 職員給与と民間給与との比較

(1)特別給

 本委員会は、これまで民間における賞与等の年間支給割合(月数)を算出し、これを職員の期末手当・勤勉手当の年間支給月数と比較した上で、0.05月単位で改定を勧告してきている。
 前記の「令和2年職種別民間給与実態調査」の結果、昨年8月から本年7月までの1年間において民間事業所で支払われた賞与等は、年間で所定内給与月額の4.44月分に相当しており、職員の期末手当・勤勉手当の年間支給月数(4.50月)が民間における賞与等の年間支給割合(月数)を0.06月分上回っていた。

(参考資料第16表)

(2)月例給

 本委員会は、「職員給与等実態調査」及び「職種別民間給与実態調査」の結果に基づき、職員にあっては一般行政職員、民間にあってはこれと類似すると認められる事務・技術関係職種の従業員について、役職段階、学歴及び年齢階層を同じくする者同士の4月分の給与額をそれぞれ対比し、精密に比較(ラスパイレス方式)を行ってきている。
 本年においても、8月17日から9月30日までの期間に実施した「職種別民間給与実態調査」の結果に基づき、4月分の給与について公民較差を算出することとする。

4 物価及び生計費

 総務省の調査による本年4月の前橋市における消費者物価指数は、参考資料「4労働経済関係」のとおり、前年同月比0.4%の下落となっている。
 また、本委員会が同省の家計調査を基礎として算定した本年4月の前橋市における標準生計費は、参考資料「3生計費関係」のとおり、2人世帯で164,210円、3人世帯で190,420円、4人世帯で216,620円となっている。

(参考資料第20表、第21表)

5 人事院の給与に関する勧告等

 人事院は、本年10月7日、国会及び内閣に対し、職員の給与に関する報告及び勧告を行うとともに、公務員人事管理に関する報告を行ったが、その概要は、参考資料「5人事院勧告等の概要」のとおりである。
 なお、月例給については、別途必要な報告及び勧告を行うこととしている。

6 本年の給与改定

 本年の職員給与及び民間給与の実態とその比較、物価及び生計費の状況並びに人事院勧告等の概要は、以上のとおりである。
 本委員会は、これらの内容を総合的に勘案し、検討した結果、職員の給与改定について、以下のとおり判断した。

(1)特別給

 職員の期末手当・勤勉手当の年間支給月数が民間における賞与等の年間支給割合(月数)を0.06月分上回っていることから、民間における賞与等の年間支給割合(月数)に見合うよう、職員の期末手当・勤勉手当の年間支給月数の引下げ改定を行う必要がある。
 年間支給月数の引下げ分については、民間の賞与等の支給状況、人事院勧告等を踏まえ、期末手当から差し引くことが適当である。
 また、任期付研究員及び特定任期付職員の期末手当についても、同様に年間支給月数を引き下げる必要がある。

(2)月例給

 前記3(2)の方法により算出した公民較差に基づき、後日、改めて必要な報告及び勧告を行うこととする。

第2 職員の勤務条件等

 新型コロナウイルス感染症の拡大は、社会や経済に甚大な影響を及ぼしており、行政を取り巻く環境もますます複雑・高度化している。
 このような危機的な状況の下で、感染防止対策を行いつつ、行政サービスを効率的かつ安定的に提供するため、各任命権者においては、在宅勤務の実施や時差出勤の運用の拡大等、新たな働き方への変革の模索が進んでいる。
 こうした状況の中、新たな行政課題が顕在化してきており、本委員会としては、この課題に迅速かつ的確に対応できる有為な人材の確保を進めていくこととする。また、各任命権者においては、これまでの取組に加えて、新たな課題も踏まえた多様で柔軟な働き方に対応した勤務環境の整備等を一層進めていく必要がある。

1 意欲と能力のある人材の確保

 近年、県職員採用試験等の受験者数が減少する中、新型コロナウイルス感染症の拡大により、雇用を取り巻く環境は急激に変化している。このような状況から、若者の就業意識の多様化を見据えつつ、意欲と能力のある人材を確保することが以前にも増して重要な課題となっている。
 これまで本委員会においては、県ホームページやSNSを活用し広報活動の充実を図るとともに、県内外で就職説明会等を開催して本県職員の職務内容や仕事のやりがい等を積極的に伝え、一部職種については合格発表日の前倒しも行うなど、受験者確保に向けた取組を行ってきた。
 また、今年度は新型コロナウイルス感染症に対応するため、感染防止対策を徹底した試験の実施や、インターネットを活用した説明会内容の周知などの取組を行った。
 今後も、こうした取組を継続するとともに、一人でも多くの学生や社会人等に本県職員の魅力ややりがいを効果的に発信し、任命権者と連携し、受験者確保に向けた取組を一層進めていく必要がある。
 また、女性の活躍推進について、本年4月に策定された「群馬県職員の女性活躍推進・子育て応援プラン(以下、「女性活躍・子育てプラン」という。)」に基づき、本委員会では、誰もが働きやすい職場環境やキャリア形成等について積極的に広報し、女性受験者の確保に引き続き努めていくこととする。各任命権者においても職場環境の整備、職域の拡大や計画的育成等、女性活躍推進のための取組を着実に行っていくことが重要である。
 さらに、障害者の活躍推進についても、本年4月に策定された「群馬県職員の障害者活躍推進計画」に基づき、引き続き障害者の雇用促進及びその職業の安定を図るために必要な施策を総合的かつ効果的に推進するよう努める必要がある。

2 能力及び実績に基づく人事管理の推進

 平成28年4月に改正地方公務員法が施行されたことを受け、本県においても、実情に即して人事評価制度の見直しを行い、能力及び実績に基づく人事管理を推進しているところである。
 適切な人事管理は、より一層職員の士気を高め、その能力を最大限に発揮させるとともに、人材育成に資するものであり、組織活力を向上させるためにも重要である。
 また、能力及び実績に基づく人事管理を更に推進していくためには、公平性や納得性の高い人事評価制度の運用や管理職員のマネジメント能力の向上が求められる。
 能力評価結果を昇給に反映するに当たっては、人事評価制度に対する職員の理解を深めていくことが重要であり、任命権者においては、引き続き人事評価制度の趣旨を踏まえた効果的な研修の実施等、積極的な取組を行っていく必要がある。

3 定年の引上げ

 地方公務員の定年は、地方公務員法で国家公務員の定年を基準として、各地方公共団体において条例で定めるものとされている。
 人事院は、平成30年8月、国会及び内閣に対し、定年を段階的に65歳に引き上げるための国家公務員法等の改正についての意見の申出(以下「意見の申出」という。)を行った。国はこの「意見の申出」に鑑み、国家公務員法等の一部を改正する法律案を本年3月に国会へ提出したが、6月に廃案となったところであり、今後も国の動向を注視していく必要がある。
 定年の引上げは、雇用と年金の接続が確実に図られる一方で、人事管理の根幹に関わるものであり、能力及び実績に基づく人事管理の徹底や組織活力を維持するための方策、職員の給与体系や採用計画等、検討すべき課題が多岐にわたる状況である。このため、任命権者においては、定年の引上げに係る諸課題について、本県の実情を踏まえて丁寧に検討していくことが求められる。
 併せて、現在運用されている再任用制度についても、高齢層職員の能力及び経験を一層有効に活用できるよう環境整備に努める必要がある。

4 勤務環境の整備

(1)時間外勤務の縮減等

 時間外勤務の縮減は、職員の心身の健康保持や公務能率の向上の観点から極めて重要な課題であるとともに、仕事と家庭の両立支援の推進や人材確保にも資するものであり、強くその実現が求められている。
 任命権者においては、これまで長年にわたり様々な取組を実施してきており、知事部局等では、昨年度から時間外勤務命令を行うことができる上限が設定されたところであるが、新型コロナウイルス感染症や豚熱(CSF)、大規模な自然災害への対応等の影響もあり、時間外勤務は増加している。
 また、教育委員会では、本年4月に施行された群馬県立学校の教育職員の業務量の適切な管理等に関する規則(令和2年群馬県教育委員会規則第11号)において、いわゆる時間外在校等時間の合計時間について上限が定められたところであり、今後も教育職員の勤務時間を適正に把握するとともに、新型コロナウイルス感染症への対応を含む新たな業務が増加していることから、一層の長時間勤務の解消に向けた取組を行っていく必要がある。
 このような状況を踏まえ、任命権者においては、職員の健康の確保に最大限の配慮を行うことが強く求められる。また、時間外勤務を縮減していくために、既存業務の徹底した見直しや、業務の効率的な執行など更なる仕事の進め方の見直しを図った上で、その業務量に応じた人員の確保や機動的な人員配置など、より実効性のある取組をスピード感を持って実施していくことが重要である。
 併せて、年次有給休暇の計画的、連続的取得の促進についても、積極的に取り組んでいく必要がある。

(2)心の健康づくりの推進

 職員が心の健康を保持することは、職員本人やその家族にはもちろんのこと、公務能率を向上させ、質の高い県民サービスを行っていく上でも、重要な課題である。
 メンタルヘルス対策については、これまでも任命権者において、メンタルヘルス不調の発生予防、早期発見・早期対応、円滑な職場復帰と再発防止を総合的・体系的に推進しているところである。
 今後も、ストレスチェック制度の有効活用等により職員自身のストレスへの気付きを促すとともに、職場環境の課題の把握や改善につなげ、働きやすい職場づくりに取り組むとともに、長時間労働を行った職員等に対し、産業医による面接指導等を適切に実施していく必要がある。

(3)仕事と家庭の両立支援の推進

 職員が性別にかかわりなく育児や介護等に取り組める職場環境づくりの推進は、優秀な人材の確保やキャリア形成の支援等の観点から極めて重要な課題である。
 これまでも、育児休業や介護休暇などの制度の充実が図られてきたところであるが、本年4月には「女性活躍・子育てプラン」が策定され、ワーク・ライフ・バランス推進のための具体的取組として、家事・育児や介護を担いながら活躍できる職場環境の整備や、男性職員の家事・育児参画の促進が定められた。任命権者においては、これらの取組が着実に実施されるよう、引き続き、職場としての支援体制を整備していくことが重要である。
 また、本年7月から「時差出勤」及び「休憩時間の弾力化」の通年化が知事部局等で試行されているが、育児・介護・障害等、多様な事情に応じた柔軟な働き方を可能とすることは、両立支援の推進に資するものと考えられることから、更なる制度拡充の必要性について検討を進めることが求められる。
 さらに、不妊治療と仕事の両立も重要な課題であるため、国や他の都道府県の状況を注視しつつ、その支援のあり方について検討する必要がある。

(4)ハラスメント防止対策

 職場におけるハラスメントは、職員の尊厳を傷つけ、その能力の発揮を妨げるとともに、職場の活力と機能の低下をもたらすものである。
 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第24号)の施行に伴い、パワーハラスメント防止対策の法制化や事業主に相談等をした労働者に対する不利益取扱いの禁止等、ハラスメント対策が強化された。本県においても、管理監督者や職員が認識すべき事項等をまとめた「ハラスメント防止対策ハンドブック」が作成されたところである。
 ハラスメントについては、これまでも各種の防止対策が講じられてきたが、職員の勤務意欲の向上や心身の健康、働きやすい職場環境を実現するため、対策を充実・強化し、有効に機能させる必要がある。

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