中部教育事務所だより 第39号(平成26年3月1日)
『1+1』に思うこと
中部教育事務所長 大野 稔
私事で恐縮ですが、小学生の頃(は)算数が好きでした。(と言ってもよくできたということではありません。)
その一番の理由は、1+1=2、3×4=12、というように答が一つで、正解、不正解がはっきりしてて明解な答えが出るところでした。それと、もう一つ、公式というのも好きだった理由の一つでした。例えば、「(上底+下底)×高さ÷2」は台形の面積の公式ですが、この公式さえしっかり覚えておけば、台形の面積を求める問題は数値を代入しさえすれば大丈夫という感覚があったからだと思います。今思うと、なんと短絡的な考えをしていたんだろうと思ってしまいますが…。
今でも算数・数学は嫌いな訳ではありません。1+1=2であり、学問としての数学が科学技術の発展に大きく関わっていると思っているからです。
しかしながら、年齢を重ねてくると、1+1=2ではないことを思い知らされる場面に数多く出会います。それは、数式上の1+1=2ではなく、いわゆる「一人ひとりの人がもつ力を合わせると、人数以上の力が発揮できる。」というものです。科学的根拠は別として、スポーツ中継を見ていると、このことを聞くことが多いのではないでしょうか。
今年も元日から様々なスポーツの大会が行われ、TVで中継されました。特に、実業団駅伝、箱根駅伝、都道府県対抗駅伝の中継では、地元の学校、選手の活躍に心躍らせてテレビ観戦をしました。中でも、都道府県対抗駅伝では、管内の中学生の活躍に感動を覚えました。選手たちの多くが、「仲間がいたから普段以上の力が出せた」「一人ひとりの思いがつながることにより、練習以上のタイムが出せた。」というようなことを言っています。つまり、1+1が2以上になったと感じていたのだと思います。
このようなことは、社会生活を営んでいく上では、様々な場面で見られることだと思います。学校でも同じことが言えるのではないでしょうか。私自身も学校勤務の時に、合唱コンクールや中体連の大会に向けて「一人ひとりの点が線になることで、何倍もの力が出せるんだ。」などというようなことを生徒に話していたことを思い出します。
子どもたちには、小・中学校に在学している間にぜひ1+1が2以上になったと感じられる経験(時には、1+1が2以下という経験もあるでしょうが)をたくさんさせてあげたいと思っています。このような経験を経て、子どもたちの心の中に、自己存在感、自己有用感が生まれ、社会性が育まれていくと考えます。
その際、指導者にぜひ留意してほしいことは、子どもたち一人ひとりを多面的にとらえた教育活動を実践することです。学校には様々な子どもがいます。算数が得意な子、長距離走が得意な子、活発で他の子を引っ張っていくタイプの子、物静かだけれどやるべきことは黙々とこなす子、等。ひとりの違った人間であるが故に、子どもたちはその時々に様々な顔を見せます。今、世の中はディジタルの時代。ディジタルは0か1の世界ですが、子どもは0か1で評価できるものではありません。仮に、1を望ましい姿としたときに、ある場面では0.9であっても、別の場面では1.5になるかもしれません。さらに言えば、0.9でも1.5でもあくまでその時点での、ある視点からみとった一面的な姿であり、そのことひとつをとって子どもをラベリングしてしまうことは避けなければなりません。勝ち組、負け組などという表現があるようですが、教育の世界には全くなじまない言葉だと思います。指導者に本当に大切なのは、そこに至るまでの過程、つまり成長の足跡を評価し、認め、伝えていくという姿勢を持つことだと思います。
子どもたちに1+1が2以上と感じさせる教育活動を実践するためには、教職員にとっても日常の教育実践が1+1が2以上になっていると感じられる必要があるのではないでしょうか。そのためにも、教職員一人ひとりが、目指す児童・生徒の姿を共有し、協働の精神で、一丸となって日々の教育活動に当たる。当たり前のことを当たり前に徹底して行う。中部管内のすべての学校に、そんな学校風土が根付いてくれることを期待してやみません。
【生涯学習係】
地域と学校の“きずな”づくり ~学校支援センターの充実に向けて
<学校訪問より>
現在行われている活動のねらいや内容等について、評価・見直しを行い、活動の精選・充実を図ることが重要です。
毎年同様の活動を行う中においても次年度改善すべきところはないか、学校の中で新たに地域の方の支援・協力を得た方がよい場面はないかなどを検討して、年間活動計画や活動記録簿等に加除訂正を加えていくことも計画的に活動を進める上で必要です。
中学校では、地域人材の授業への活用が難しいという話題が出ましたが、実技教科や総合的な学習の時間においては、調理実習や栽培指導、職業講話等、地域の方の専門性を活かした活用可能な場面が考えられます。
また、子どもたちが地域へ出ていく活動も学校支援センターの活動の一つです。年間活動計画の中に、地域行事への参加についても位置付けている学校がありました。
今年度新たに全体計画や構想図、活動計画等の作成や見直しをした学校からは、「改めて学校全体や各学年の活動をまとめてみると、予想以上に地域とつながっている活動が多いことに気がついた」という声がありました。
よりよい活動が計画的・継続的に行われるようにしていくことが大切だと考えています。 昨年度より、学校支援センターのより一層の充実を図ることを目的に、地域連携のための学校等訪問を実施しています。
<学校外関係者との連携機能の充実>
学校支援センターの活動において、公民館等の各種施設、地域関係団体等との連携は必要不可欠です。地域人材を活用したいが誰に依頼すればよいかわからない、ボランティアリーダーの後継者が見つからないという話も聞きました。公民館には地域の方の特技などの情報が集まっていますので、公民館との連携は情報収集の手段の一つになります。 また、敬老会、社会福祉協議会などの各種団体と連携した活動も数多く行われていました。
≪地域関係団体と学校が連携した活動例≫
本年度の「中部地区地域と学校のパートナーシップ推進フォーラム」における事例発表から、前橋市立清里小学校と清里まちづくり協議会の連携事業の一部を紹介します。
前橋市清里地区では、まちづくり協議会を中心に、地元特産の枝豆やタマネギを使った料理「きよさと焼き」を通して地域づくりをしようという試みを行っています。そして、清里小学校では、総合的な学習の時間に、3年生が清里公民館の調理室を使って、「きよさと焼き」づくりを行っています。講師は、まちづくり協議会の方々を中心に、PTAボランティアも加わります。地域学習の一環として実施したいという学校側の思いと、「きよさと焼き」を地域に広めたいというまちづくり協議会側の思いが一致して、平成21年度より、この連携事業が続いています。
さらに、学校内だけでなく、学校外での活動において地域の方との交流の機会を増やすことも、地域とのきずなを深め、子どもたちの社会性を育てることに繋がります。地域との双方向のつながりを強めて、地域全体で子どもたちを育てていくという意味で、子どもたちが地域へ出て行く活動(地区の運動会・文化祭・清掃活動等)への参加も積極的に進めてほしいと考えています。
<教職員の共通理解>
全教職員が学校支援センターの目的や効果等について共通理解した上で活動に臨むことによって学校支援センターがより充実すると考えています。そのために、学校支援センターについての構想図や方針、コーディネートの流れ等をまとめた資料を作成し、職員会議等を利用して配付・説明をして教職員の共通理解を図りながら活動を進めている学校がありました。自分の所属する学年や分掌以外でも、支援・協力していただいている方々や活動の内容について共通理解を図っておくことは、支援・協力していただいている方への接遇という意味でも必要なことであると考えています。事務所のホームページに、構想図や年間指導計画の例等、参考資料を掲載してありますので、ご活用ください。
おめでとうございます
今年度、各種表彰で受賞された方々をご紹介します。
優良PTA表彰
伊勢崎市立宮郷小学校PTA(文部科学大臣表彰)
伊勢崎市立豊受小学校PTA(群馬県教育委員会表彰)
前橋市立岩神小学校(早寝早起き朝ごはん運動)
吉岡町立駒寄小学校PTA(群馬県教育委員会表彰)
優良公民館表彰
前橋市東公民館(群馬県教育委員会表彰)
第35回少年の主張中部地区大会:最優秀賞
飛知和志帆さん(群大付属中)
本多琴音さん(県立聾学校)
高橋彩乃さん(伊勢崎一中)
樺沢和佳奈さん(富士見中)
※飛知和さんは県大会優秀賞受賞
【学校教育係 指導担当】
いじめ防止に向けた今年度の取組
今年度、群馬県では「いじめ対策事業」(下図参照)として県内すべての学校において、年間を通じた意図的・計画的な取組を推進しています。
中部教育事務所としても、従前よりいじめや不登校、問題行動等の未然防止に向けて「温かい学級」を基盤とした積極的な生徒指導を推進してきました。今年度は学校、家庭、地域の連携を図るための連絡会議を新たに実施しました。また、例年通り学校における日常的な取組の充実のため「道徳の授業力向上及び人権感覚の向上」を図るための研修会等を実施しました。
事務所主催の会議、研修会
管内いじめ問題連絡会議
【第1回】
[期日] 平成25年 6月 6日(木)
[会場] 群馬県前橋合同庁舎
[内容] 説明、情報提供、協議
【第2回】
[期日] 平成26年 2月25日(火)
[会場] 群馬県前橋合同庁舎
[内容] 情報提供、情報交換
本会議は、管内の児童生徒の健全育成に携わる関係者(小中学校長、子育連会長、小中PTA連合会長、青少推会長、各市町村指導主事、社教主事)の参加の下、学校・家庭・地域の連携の強化を図るとともに、県内にいじめ防止の気運を醸成することを目的として、協議及び情報交換を行いました。2回の会議を通して今年度の群馬県のいじめ問題対策事業や管内のいじめの状況について共通理解を図り、参加者が力を合わせていじめ防止に取り組もうとする気運の醸成を図ることができました。
管内小・中学校10年目経験者研修(前橋市を除く)
【第1回】
[期日] 平成25年 8月 9日(金)
[会場] 群馬県前橋合同庁舎
[内容] 所長講話、道徳についての講義と演習
【第2回】
[期日] 平成25年10月17日(木)
[会場] 榛東村立榛東中学校、吉岡町立吉岡中学校、伊勢崎市立赤堀東小学校、渋川市立橘小学校
[内容] 講義、道徳授業参観、授業研究会、班別協議
本研修は教職10年目の先生方を対象として、道徳の授業中心として教員としての資質・能力の向上を図るため、講義、演習、授業参観及び協議を行いました。
2回の研修を通して、道徳の授業における効果的な発問構成や授業の展開の仕方についての理解を深めることができました。今後、各学級において道徳の授業が充実し、児童生徒の豊かな心がはぐくまれ、いじめの予防に役立つことが期待されます。
地区別人権教育研究協議会(前橋市を除く)
【小学校】
[期日] 平成25年10月23日(水)
[会場] 渋川市立伊香保小学校
[内容] 公開授業、授業研究会、協議
【中学校】
[期日] 平成25年10月29日(火)
[会場] 玉村町立玉村中学校
[内容] 公開授業、授業研究会、講演会
本協議会は、管内小・中学校の教員を対象として、人権教育に必要な資質の向上を図るため、公開授業、授業研究、協議等を行いました。
「思いやり」や「生命尊重」、「ネットいじめ」などを扱った道徳の授業公開及び研究協議、講演を通して、自分や他の人を大切にする人権感覚の向上を図ったり、いじめや差別を許さない態度を身に付けさせたりするための指導について理解を深めることができました。
スクールカウンセラー連絡協議会
[期日] 平成25年 9月19日(木)
[会場] 群馬県前橋合同庁舎
[内容] 講義:「いじめ問題におけるスクールカウンセラーの役割」スクールカウンセラースーパーバイザー 樺澤 徹二 様
本協議会は、管内の各校に配置されたスクールカウンセラーが、これまでの成果と課題、実施上の留意点等について協議・意見交換を行うことにより、管内小中学校の教育相談体制の充実に資するために実施しました。講義や協議等を通していじめ問題におけるスクールカウンセラーの役割や対応についても理解を深めることができました。
事務所主催の研修会
管内小・中学校初任者研修(前橋市を除く)
【 第1回 】
[期日] 平成25年 5月21日(火)
[会場] 群馬県前橋合同庁舎
[内容] 所長講話、講義・演習、班別協議
【 第2回 】
[期日] 平成25年10月22日(火)
[会場] 前橋市赤城少年自然の家
[内容] 野外実習(カッター、ウォークラリー)
【 第3回 】
[期日] 平成26年 1月28日(火)
[会場] 管内幼稚園7園
[内容] 園長講話、講義、保育参観・体験
臨時的任用教員及び非常勤講師研修会
[期日] 平成25年 5月16日(木)
平成25年 5月23日(木)
平成25年 5月29日(水)
[会場] 群馬県前橋合同庁舎
[内容] 講義、演習
管内町村校内研修主任研修会
[期日] 平成25年 5月15日(水)
[会場] 群馬県前橋合同庁舎
[内容] 講義、班別協議
[期日] 平成26年 1月15日(水)
[会場] 群馬県前橋合同庁舎
[内容] 説明、班別協議
中部地区学校安全教育推進研修会
[期日] 平成25年 5月28日(火)
[会場] 渋川市北橘公民館
[内容] 講演:実践女子短期大学 教授 日野一男 様、班別協議
管内特別支援・療育連携協議会(就学指導連絡協議会)
[期日] 平成25年 5月31日(金)
[会場] 群馬県前橋合同庁舎
[内容] 講話、協議・情報交換
[期日] 平成25年 9月18日(水)
[会場] 群馬県前橋合同庁舎
[内容] 事例発表、協議・情報交換
管内特別支援教育コーディネーター研修会
[期日] 平成25年 6月12日(水)
[会場] 群馬県前橋合同庁舎
[内容] 講義、班別協議
中部地区PTA指導者研修会
[期日] 平成25年 6月22日(土)
[会場] 群馬県生涯学習センター
[内容] 講演会、事例発表
青少年赤十字中部地区連絡協議会
[期日] 平成25年 7月10日(水)
[会場] 群馬県前橋合同庁舎
[内容] 講話:日赤群馬県支部主管 田村 吉廣 様、実践発表:栃木県青少年赤十字指導者協議会高等部 副部長 君島 剛 様
少年の主張中部地区大会
[期日] 平成25年 8月 4日(日)
[会場] 玉村町文化センター
[内容] 少年の主張発表会
管内特別支援教育推進研修会
[期日] 平成25年 8月 8日(木)
[会場] 玉村町文化センター
[内容] 講演:日本体育大学女子短期大学部 准教授 宇部 弘子 様
ネットモニタリング講習会・携帯インターネット問題指導者講習会
[期日] 平成25年 8月19日(月)
[会場] 群馬県前橋合同庁舎
[内容] 説明、講習
中部地区学校支援センター推進研修会
[期日] 平成25年 9月 5日(木)
[会場] 群馬県生涯学習センター
[内容] 講演会、事例発表
管内町村教科別授業研究会
[期日] 平成25年10月24日(木)
[会場] 榛東村立榛東中学校
[内容] 公開授業、授業研究会
[期日] 平成26年 1月22日(水)
[会場] 玉村町立中央小学校
[内容] 公開授業、授業研究会
中部地区地域と学校のパートナーシップ推進フォーラム
[期日] 平成26年 1月26日(日)
[会場] 群馬県生涯学習センター
[内容] 講演会、事例発表
外国語指導助手研修講座
[期日] 平成26年 1月31日(金)
[会場] 伊勢崎市立第二中学校
[内容] 研究授業、研究協議
県・文部科学省研究指定校の発表会
保健体育科授業充実事業
[期日] 平成25年10月17日(木)
[会場] 伊勢崎市立第二中学校
[内容] 公開授業、授業研究会
【学校教育係 人事担当】
1.平成25年度に改正された規則等
◎「群馬県公立義務諸学校非常勤講師就業要領」の一部改正について
・年次有給休暇の付与の条件となる勤務日数は、複数校に勤務する者については、それぞれの学校における勤務日数を合算して算定するものとしました。
◎「臨時的任用教職員の休暇の取扱い」について
・年次有給休暇を繰り越す条件の臨時的任用の継続において、「同一の勤務校で」を削除し、「1日も空けずに」を加えることにしました。
2.教員免許更新制
◎教諭又は養護教諭の免許状所持者の最初の修了確認期限(平成27年3月31日)となる対象者(第5グループ)について
・次の生年月日にあたる者が対象となります。
昭和34年4月2日~昭和35年4月1日
昭和44年4月2日~昭和45年4月1日
昭和54年4月2日~昭和55年4月1日
*更新講習の受講期間は、平成25年2月1日~平成27年1月31日となります。
◎栄養教諭の免許状所持者の最初の修了確認期限(平成28年3月31日)となる対象者(第1グループ)について
・次の者が対象者となります。
平成18年3月31日以前に栄養教諭の普通免許状を授与された旧免許状所持者
*更新講習の受講期間は、平成26年2月1日~平成28年1月31日となります。
※不明な点については、平成25年3月 学校人事課「免許更新制 事務処理の手引き」を参照してください。
各係直通電話の利用について
各係への連絡は、直通電話をご利用ください。
総務係:027-232-6607
学校教育係(人事担当):027-232-6416
学校教育係(指導担当):027-232-6454
生涯学習係:027-232-6512
代表電話:027-232-6511
FAX:027-232-4586